人事給与制度コンサルティング
1.ACROSEEDの人事給与制度
1. ACROSEEDが提唱する人事・労務管理の社内体制
アブラハム・マズロー(アメリカの心理学者)の“自己実現論(5つの欲求段階説)”は、組織心理学として従業員のモラール(勤労意欲)やモチベーション(行動意欲)・アップの説明で善用されることがあります。この自己実現論は、人事給与制度を理論的に理解するためにたいへん参考となります。優秀な人材ほど、能力やスキル等を最大限発揮して自己目標を達成したいとする高い欲求段階にあります。
ACROSEEDでは、マズローの理論を参考に社内体制を段階的に捉え、3つのステップに区分して提唱しています(図表左参照)。
優秀な社員が育成される社内体制は、①生計費の保障を前提に、下位段階の「安心して働くことができる就業環境《→生命維持や安定志向の充足》」を確保し、②就業規則を活用することにより、中位段階の「コンプライアンス・リスク管理《→集団帰属の芽生え》」を整備します。①と②の状態が確保され、かつ人事評価で認知・承認されると、従業員の自己実現が喚起され、③「モラールやモチベーション・アップ」の段階へと誘引されます。
人事給与制度は、下位段階の従業員の“生命維持”や“安定志向”を充足し、「安心して働くことができる就業環境」を確保するために、生計費が保障されていることが前提となります。
2.ACROSEEDが考える人事給与制度の定義
人事給与制度が“生計費の保障”が前提であることは上記で述べましたが、そもそも人事給与制度とはどのような制度をいうのでしょうか。この質問に対して、明確な回答を得ることは困難です。なぜなら、人事給与制度の法的に定められた定義がとくにあるわけではないからです。
ACROSEEDでは、人事給与制度の本質を理解するうえで“人事給与制度とは、なんらかの人事的基準で従業員の給与を決定する制度”という定義づけをしています。
3.人事給与制度の「見える化」
人事給与制度は、なにも大手企業ばかりの制度ではなく、従業員が少数の企業においては、経営者自身が従業員に目が行き届いているため、経営者自らの判断で給与を決定していることが多くあります。こうした“目には見えない給与の決定方法”も、立派な人事給与制度です。
そうした目には見えない給与の決定方法にも、従業員の年齢や家族構成、日ごろの仕事の成果など必ず何らかの基準を有しています。ACROSEEDでは、その判断材料を「見える化」し、明確かつ公正な人事給与制度の構築に貢献しています。
4.能力主義と成果主義のバランス重視
1990年代後半の不況下において、大手企業を中心に導入が進んだ欧米的な成果主義は、その行き過ぎから従業員のモチベーションの低下を招く弊害が多く指摘されました。中小企業の人事給与制度は、依然として能力主義の人間基準が中心ですが、経済や人材のグローバル化などの新たな時代環境の変化の中で、能力主義だけでは対応できない状況にあるのも事実です。
ACROSEEDでは、能力主義もしくは成果主義のみを提唱するのではなく、人材育成期の若年層は能力主義要素の比重を多く、人材活用期の中高年層は成果主義要素の比重を多くし、スキルステージを勘案した能力主義と成果主義のバランスを重視しています。
2.グローバル化の進展と人事給与制度
1. グローバル化と財務体質の強化
情報通信技術の飛躍的進展や交通手段の発達による移動の容易化、市場の国際的な開放などにより、世界経済のグローバル化が進展し、国内外における企業間競争が激化しています。
企業を取り巻く社会経済の環境が大きく、かつめまぐるしく変化している今日、企業は財務体質の強化のために人件費抑制策を強いられています。また、従業員は企業に貢献する成果を求められています。
2.成果主義の台頭と反省
1990年代後半の不況下において、成果や業績により人事給与制度を管理するアメリカの成果主義の導入が進みました。当時の成果主義は、短期的成果に対する人事評価において、目標に達しない場合は給与の引下げ、降格といった厳しい人事制度といわれています。
当初の成果主義は、財務体質の強化に寄与し競争力向上に貢献してきたとの評価もありますが、その行き過ぎが従業員のモチベーション低下に影響を与えるなど弊害も多く指摘され、その反省からか基本給の決定要素を“成果”とする企業は減少傾向にあります。
3.トータル人事制度と人事給与制度
企業は、グローバル化をはじめとした大きな社会経済の構造変化に対応するために、人事処遇のあり方を考えていくことが早急の課題となっています。
人事処遇のあり方については、人事給与制度のほか、人事評価制度や人材育成、等級制度などを含めたトータル人事制度として検討していく必要がありますが、とかく人事給与制度は企業の財務体質の直結する制度であるため、制度改革には切っても切り離せないものです。
3.人事給与制度設計の基本
1. 人事給与制度の2つの視点
人事給与制度の方向性を考える上で、その前提として、人事管理には財政面の“企業経営”と企業で働く従業員の“ヒト”という2つの視点があることを考えなければなりません。
財政面の“企業経営”の立場では、いかに適正なコストで従業員を使用するかという人件費の効率性が重要です。これに対して従業員の“ヒト”は、働きがいなどの就業環境や将来への目標(キャリア・パス)などが、人事管理では重要な意味を持ちます。
2. 給与額決定の明確化・高い納得性
給与はすべての従業員の「生活の糧」「自己実現の手段」の基本をなすものです。人事給与制度は、採用の場面、特に中途採用者の給与決定時においてきわめて明確に決定することができます。
優秀な人材を確保し労働意欲を高めるには、納得性の高い人事給与制度は必要ですし、また今後どのようなキャリアを積んでいけば給与が上がるかといったことを制度化することができれば、そのままモチベーションアップも期待できます。
3. 総額人件費のマネジメント
給与は、企業が経営活動を継続していくうえで人件費というコストになります。現在の低成長時代の状況下、年功序列的に年齢や勤続年数などで昇給させることは困難です。
給与は、従業員1人当りが生み出す付加価値の向上、すなわち企業の労働生産性の向上なしに昇給させることはできません。給与を人件費というコストとしてとらえ、総額人件費としてマネジメントする必要があります。
4.人事給与制度の改革のステップ
1.制度改革の目的
人事給与制度の改革のファーストステップは、その改革の目的を明確にすることです。具体的な目的が明確になっていないと、制度改革の到達点を示す目標が定まりません。
「給与の決定方法を制度化したい」「成果や業績を反映させたい」「財政強化のために人件費を抑制したい」など、具体的な目的を明確にし、どのレベルまで制度改革を実行するか目標を決定します。
2.人事処遇・等級制度の決定
人事給与制度において、人事処遇である「どのように評価を行い、どのように評価に応じた待遇をするか」の決定は、企業の給与に対する基本ポリシーを示すことになりますので、たいへん重要です。
人事処遇は、通常、職務遂行能力を基準とした“職能”や仕事を基準とする“職務”、また期待する役割を基準とする“役割”などで決定され、それらを等級制度とリンクする形で設計されます。それぞれにメリット・デメリットがありますので、どれか1つに決める必要があるわけではありません。それぞれをバランスよく取り入れ、給与の基本ポリシーを示すことになります。
3.給与体系の構築
人事処遇・等級制度の方向性を定めた後は、給与の基本となる基本給や諸手当の項目を体系化します。
基本給は年齢・学歴・勤続年数などを基準にして定める“属人給”と、仕事的要素の職能・職務といった“仕事給”で構成され、各種の手当を付加するかたちをとることが一般的です。どのような給与体系がベストかは、人事処遇に対する給与の基本ポリシーを参考にします。
4.給与テーブル
給与の体系は、基本給や諸手当で構成されています。これらの基本給や諸手当の金額を一覧にしたものが給与テーブルです。この給与テーブルをベースとして各従業員の給与額が決定されます。
従業員一人ひとりの給与を公平に決定し、かつ給与決定の納得性を得るためには、給与テーブルを公平に設計することが大切です。
5.あらたな制度への格付け・移行
総額人件費をマネジメントしながら、給与体系を確立し給与テーブルを設計できれば、いよいよ格付け・移行へのステップとなります。
組織図や等級制度を参考に、従業員を給与テーブルに格付けします。あらたな人事給与制度において、既存の給与額が上下する従業員が現われてきますので、不利益変更を考慮しつつ、調整給などを用いて移行調整策を検討します。
6.給与規定の作成・改定
これまでのプロセスを経て決定されたあらたな人事給与制度に基づき、従業員一人ひとりの個別給与を決定します。
決定した給与が下がるいわゆる“降給”の必要がある場合、労働条件となる給与を一方的に変更できません。降給基準を明確にし、変更内容について従業員から合意を得ることが原則となります。就業規則などの給与規定に降給制度があることを明記して公表する必要があり、適正な運用を求められます。また、降給する金額を一気に引き下げるのではなく、数回の給与改定に数回に分けて逓減させる配慮も必要です。
5.人事給与制度に関するQ&A
| 給与を決定するルール(人事給与制度)制度を構築するうえで、どのような制度がいいのか全く分かりません。 |
| 給与を決定するルールである人事給与制度を構築するうえで、最低賃金を除き、特に法律で規制されていません。自由に制度設計できることを意味します。人事給与制度を構築するうえで重要なのは、優秀な人材を確保することができ、かつ従業員のモチベーションを保つために、従業員の“納得性”を得られる制度にすることです。 |
| 当社は中小企業ですので、採用は即戦力として中途採用がほとんどです。また、給与額の決定方法が特に決まっていないため、従業員のあいだに給与のばらつきがあります。今後どのようにすればよいでしょうか? |
| 中途採用者の給与は、採用者の前職の給与額や既存の従業員の給与を比較し、その均衡を考えなければならないため頭を悩ませます。また、採用時期の違いや景気状況などにより、給与額などの採用条件が異なることもしばしば生じてしまいます。そのため人事給与制度を整備し、給与額を合理的に決定します。導入する際は、複雑な人事給与制度を設計する必要はありません。重要なのは、従業員との間に“納得性”を得られるようにすることです。 |
| 職能資格制度の能力主義を見直し、成果や業績による成果主義への転換を考えています。しかし、日本の雇用社会に成果主義は馴染まないともいわれていますが…。 |
| 日本の能力主義は、企業内の労働市場の機能性、すなわちフレキシブルな人事異動を可能なものとし、日本の経済成長にとってたいへん大きな役割を果たしてきたといわれています。少なくとも日本の中小企業にとって、今後も労働市場の機能性はその必要性がなくなることはないのではないでしょうか。しかし、経済のグローバル化や高齢化などの新たな環境の中で、成果主義的要素も導入していかざるを得ない状況も事実だと思います。一方、成果主義といわれている欧米では、単に仕事基準だけではなく、日本のような人間基準の職能給を取り入れる傾向があるようです。日本は欧米寄りに、欧米は日本寄りに進んでいくなかで、これまでの日本型給与モデルを廃棄するのではなく、その長所を活かしながら欧米モデルの良さも取り入れていく姿勢が必要なのではないでしょうか。 |
6.人事給与制度コンサルティングサービス
1.サービスの概要
景気低迷による企業の経営環境の悪化、グローバル化によるコスト競争の激化、高齢社会の進展などを背景に、企業にとって今後の従業員の給与のあり方は、中小企業を中心に不透明になってきています。
そうした状況下、ACROSEEDの社会保険労務士は、企業の実情に配慮しながらも、“トータル人事制度”として全体のバランスを考慮し、人事給与制度コンサルティングを通じて従業員の能力を活かせるオフィスづくりのサポートに寄与します。
2.サービスの流れ
サービスのご依頼は、以下のような流れとなります。
| ミーティング | |
|---|---|
![]() |
・「ヒト」の専門家である社会保険労務士がお伺いします。 ・理想とする人事給与制度を明確化し、方向性を確認します。 |
| 人事評価制度の現状確認・分析 | |
![]() |
・給与の決定方法をお伺いします。(新規作成の場合) ・給与テーブル・等級制度などの人事給与制度に関する社内資料をお預かりします。(改定の場合) ・企業としての総額人件費を検討します。 |
| 等級制度の提案・レビュー | |
![]() |
・“職能給”“職務給”“役割給”などの基本ポリシーに応じたシンプルな等級制度をご提示します。(新規作成の場合) ・基本ポリシーの改定にともなった等級制度のレビューを行います。(改定の場合) |
| 給与体系の提案・レビュー | |
![]() |
給与の基本ポリシーを参考に基本給や諸手当の項目を体系化・レビューします。 |
| 給与テーブルの設計・改定 | |
![]() |
・世間相場や外部競争力を考慮し、給与テーブルを設計・改定します。 |
| あらたな制度への格付け・移行あらたな制度への格付け・移行 | |
![]() |
・等級制度への格付けを行います。(新規作成の場合) ・総額人件費を考慮し、給与テーブルへ移行します。 ・降給が生じる場合、調整給などを用いて移行調整策を検討します。 |
| 給与規定の作成・改定 | |
![]() |
・降給などの不利益変更に対応し、従業員との個別合意をサポートします。 ・就業規則などの給与規定に人事給与制度を明記して周知します。 |
3.サービス料金(従業員数100名まで)
契約期間は最低6ヶ月以上とし、報酬額はスケジュールの進捗状況により次のように異なります。(打ち合わせ回数は目安として2回/月となります。)
- 6ヶ月以内に終了した場合は最低報酬額の①になります。
- 7ヶ月目以降は月額制になります(②または③)
- 契約期間は、最短6ヶ月・最長2年となります。
| スケジュール期間 | 月額 |
|---|---|
| 1.業務開始月~6ヶ月経過後まで | 126,000円×6ヶ月(合計756,000円) |
| 2.業務開始7ヶ月目~12ヶ月経過後まで | 月額63,000円 |
| 3.業務開始2年目~2年経過まで | 月額31,500円 |
お見積り・お問い合わせ
お見積り・サービスに関するお問い合わせなど、お気軽にお問合せ下さい。
|
TEL:03-6905-6370(代表) FAX:03-5276-3233 メールでのお問い合わせ:メールフォームへ |










