雇用契約書の作成・変更
1.雇用契約書の役割
1. 雇用契約の成立
雇用契約は募集企業と求職者が交わす契約のひとつで、求職者の“労務提供申込み”と募集企業の承諾の“給与支払承諾”の両者の合意があれば成立します。
契約は、当事者双方の自由意思に基く合意があることが成立要件ですので、原則として雇用契約書などの書面の有無は問われません。
2. 雇用契約書と労働条件通知書の違い
労働基準法により、主要な労働条件については明示することが義務付けられ、一定の事項については書面で明示しなければなりません。書面の種類については、“雇用契約書”や“労働条件通知書”など、特に規定されているわけではありませんので、企業側から一方的に通知する“労働条件通知書”を交付すれば法律上は問題ありません。
勤務時間や給料の額、休日などの労働条件は、求人媒体などで確認していることがほとんどですが、その他の詳細な労働条件については、あいまいなままの場合が多いのが実態だと思います。労使間の不要なトラブルを防止するためにも、労使双方の署名・押印のある雇用契約書を2部作成し、1部は企業が保管しておく方が賢明だと思います。
3. 雇用形態・就労形態の多様化と雇用契約書
近年、雇用形態や就労形態は多様化しています。経済のグローバル化に伴う国内・国外の企業間競争や、少子・高齢化の進行による人口構造の変化、さらにライフスタイルに合わせた働き方の労働者側のニーズなどによるためといわれています。
期間の定めがない正規社員、一定期間の契約社員、定年後の嘱託社員などの雇用形態の相違や、在宅勤務、裁量労働、短時間勤務などの就労形態の相違などにより、労働条件などの契約内容は異なります。そうした労働条件を書面に記載し、労使間で確認するために雇用契約書は重要な役割を果たします。
2.民事的なルールを法制化した労働契約法
1. 労働契約法の成立の背景
人事・労務管理の個別化や雇用形態・就労形態の変化に伴い、労働条件が個別に決定されることが多くなっています。それに伴い、個々の従業員と企業の労使間の紛争(個別労働紛争)も増加しています。
紛争解決のための手段としては、裁判制度に加え、H13から個別労働関係紛争解決制度、H18から労働審判制度が施行され、手続面における整備が進んでいます。こうした中、労働契約に関する民事的なルールの必要性がいっそう高まり、H20に労働契約法が施行されています。
2. 労働契約法の役割
労働契約法の制定により、労働契約の民事的な権利義務の関係を確定させる法的根拠が示されました。労働基準法は罰則をもって最低労働条件を設定していますが、労働契約は労働基準法の条件を前提に労働条件を決定し、従業員の保護が図られています。
これにより、労使間の労働契約における「労使対等」「ワークライフ・バランス考慮」や「信義誠実」などの一般原則を周知し、また労使間の合理的な契約行為が期待されています。
3.リスク管理のための雇用契約書
1. 未払い賃金の防止
従業員が8時間/1日、40時間/1週の法定労働時間を超えて勤務したにもかかわらず、企業が労働基準法で定められた時間外割増賃金が支払われない場合、この従業員の賃金債権を一般的に「未払い残業代」といいます。
労働時間を厳格に管理することや、残業を事前申告させ残業は許可制にすることも重要ですが、雇用契約書に時間外労働割増賃金を含み、さらに何時間分の時間外労働に該当するかを記載する、いわゆる“定額残業代制”を採用することも、未払い残業代の防止策として有効です。但し、定額残業代も労働時間・割増賃金の計算方法など適法に運用する為のルールづくりに注意が必要となります。
2. 企業の秘密保持
近年、個人情報や企業秘密の漏えいに対する消費者や企業側双方の意識が高まり、雇用契約書の項目に規定したり、従業員から秘密保持誓約書を提出してもらったりすることが多くなっています。従業員が秘密保持の義務を負うことは、労働契約の性質上、付随している義務ということもできます。
契約書や誓約書で明文化し、従業員にもその自覚をしてもらい、退職後についても在職中に知り得た企業の秘密漏えいの回避を促すこともできます。
3. 退職後の競業避止
従業員が業務遂行上に知り得た専門的・技術的な情報や開発情報は、企業の貴重な財産です。競業避止義務とは、これらの情報を有している従業員が退職後に競業会社や独立開業などをしない信義則上の義務ということができます。
専門的・技術的に高度であり特に重要な企業秘密に接する従業員に対しては、雇用契約書に特約を付したり個別に誓約書の提出を求めたりして同意を得ることが重要です。
4. 退職・解雇事由
労働契約を終了・解消させる形態には、大別すると「退職」と「解雇」があり、退職には、従業員側からの意思表示である「辞職」や、労使間の意思表示の合致である合意退職、一定の事由が発生した場合に労使双方から意思表示がなくても当然に労働契約を終了させる定年などがあります。また解雇は、企業側の一方的な意思表示によって労働契約を終了させるものをいい、従業員側の債務不履行を理由とする「普通解雇」、企業秩序の維持義務に反した従業員に対する「懲戒解雇」、そして企業の経営上の都合を理由とする整理解雇があります。
退職、解雇に関する事項は、どのようなときに“退職”となり、どのようなときに“解雇”となるか、労働契約において重要事項です。詳細は就業規則へ委任することも含め、労働契約を終了・解消時のリスク管理として契約の根拠としなければなりません。
4. 雇用契約書の作成でよくあるQ&A
| 採用したときに勤務時間と給与額を口頭で説明しただけで、雇用契約書などを渡していません。今からでも作成した方がよいでしょうか? |
| 雇用契約は契約書などの書面がない場合であっても、口頭で成立しています。しかし、勤務時間、給与の額、休日など労働条件は非常に多岐にわたります。後でお互いが「言った」「言わない」とならないためにも、今から雇用契約書などの書面を作成したほうがよいでしょう。 |
| 従業員と個別に締結した雇用契約の内容と、就業規則の内容が違っている場合はどうなるのでしょうか? |
| 就業規則は企業における最低労働条件を規定するのが一般的であり、その内容が契約内容となります。就業規則の規定内容が個別に締結していた労働条件と異なる場合は、個別に合意している雇用契約の内容が優先されます。ただし、個別に合意している雇用契約の内容が就業規則で定める内容に達していない場合、つまり就業規則に規定している労働条件を下回る場合は、その個別の合意は無効となり就業規則が優先されます。 |
| 試用期間を定めているため、正式に採用を決定してから雇用契約書を交付すればいいでしょうか? |
| 試用期間も労働契約であるため、雇入れの際に労働条件を明示する必要があります。試用期間については、書面により明示が義務付けられている“労働契約の期間に関する事項”といえますので、労働条件通知書や雇用契約書を交付しなければなりません。なお、試用期間中の給与額を正式採用後の給与額より低く設定する場合は、試用期間中および正式採用後の給与額を区分し、書面により交付する義務があります。 |
| 当社には正社員とパート社員がいます。雇用契約書にはどのような違いがありますか? |
| パートやアルバイトなどの短時間勤務の社員は、雇入れ後に労働条件について疑問が生じトラブルとなることが少なくないことから、平成20年にパートタイマー労働法が改正されています。そのため、特にトラブルとなりやすい「昇給」「退職手当」および「賞与」の有無については書面の交付により明示することが義務付けられています。なお、パート等の短時間勤務の社員との契約が、期間を定めた労働契約(有期労働契約)の場合は、「契約更新の有無の明示」および「更新する場合があると明示した場合にはその判断基準の明示(業務量、勤務成績・態度、労働者の能力等)」をしなければなりません。 |
5.雇用契約書の作成・変更サービス内容
1.サービス概要
外国人の採用、就労ビザ取得や労務コンサルテーションに精通したACROSEEDの社会保険労務士が雇用契約書を作成します。労働法関連や入管法のコンプライアンスはもちろん、外国人と交わした労働条件と就業規則の規定内容との整合性を確認します。
単に労働条件等の権利義務関係を書面にするのではなく、企業と外国人間の『信頼関係』を構築することを最大の目的としています。
2.サービス内容
- 外国人雇用コンサルテーション経験豊富な社会保険労務士が作成します。
- リスク回避のための誓約書作成
- 労働条件の内容と就業規則の規定内容に関するミーティング
- 時間外の勤務と手当のコンプライアンスチェック
- 退職、解雇、懲戒のルールの規定確認
3.サービスの料金
契約期間は最長6ヵ月までとし、報酬額はスケジュールの進捗状況により以下のように異なります。| 雇用契約書の作成 | 52,500円~ |
|---|---|
| 外国語(日⇒英、中、韓)翻訳 | 31,500円~ |
・翻訳のみの場合は翻訳サービスをご覧ください。
お見積り・お問い合わせ
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