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メールマガジン2011年08号

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2011年08月 Vol.31

1.人事・総務ニュース

7月のできごと

最低賃金が生活保護下回る「逆転現象」9都道府県 (7月14日)

 厚生労働省は、最低賃金で働いた場合の収入が生活保護の受給額を下回る「逆転現象」が生じている地域が9都道府県(北海道、宮城、埼玉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、広島)に上ると発表しました。差額がもっとも大きかったのは北海道の31円でした。

国民年金納付率が過去最低59.3% (7月13日)

 厚生労働省は、2010年度の国民年金納付率が59.3%(前年度比0.7ポイント低下)となったと発表し、現行制度が始まった1986年度以降最低となったことがわかりました。政府は納付率80%を前提に年金財政を設計しており、このままでは将来の給付への影響は避けられない見通しです。

高額療養費の月額上限引下げを検討 (7月13日)

 厚生労働省は、高額療養費の自己負担の月額上限を引き下げる検討に入りました。所得を問わず治療が10カ月以上の長期に及ぶ場合の軽減などを実施する見込み。健康保険法などの改正案を2012年の通常国会に提出し、2015年度の実施を目指すとしています。

「消えた年金記録」回復に新基準 (7月12日)

 厚生労働省は、年金記録回復委員会において、「消えた年金記録」に関する新しい回復基準を了承しました。同じ企業グループ内で転勤した場合に記録が抜けていたり、ボーナスの届出漏れが生じていたりした場合に消えた記録を回復します。10月にも全国の年金事務所で回復手続を始める予定です。

震災後2,000社以上が事業再開できず (7月9日)

 帝国データバンクの調査で、岩手・宮城・福島の被災3県の沿岸部に本社のある企業や事業所4,280社のうち、計2,070社が事業を再開できていないことがわかりました。事業休止中が438社、社屋倒壊などで連絡が取れなくなっている企業が1,632社などとなっています。

高校生の求人が来春9%減少 (7月8日)

 厚生労働省は、来春卒業予定の高卒者向け求人数(6月20日~24日受付)が40,346人(前年同期比9.0%減少)となったと発表しました。被災地の福島県が前年同期比41.1%減、宮城県が28.1%減。関東でも群馬県が29.7%減、栃木県が27.9%減、東京都が23.7%減となるなど、東日本を中心に落ち込みが目立っています。

震災による内定取消しが416人 (7月8日)

 厚生労働省は、東日本大震災の影響で6月末までに内定を取り消された学生(新卒者)が416人になったと発表した。内訳は高校生が248人、大学生などが168人。地域別では福島県88人、岩手県87人、宮城県58人のほか、企業の本社が集中する東京都が88人と多かった。

震災に伴う労災請求が当初予測の25% (7月8日)

 岩手・宮城・福島の被災3県で、親族が労災給付を請求した件数が1,191件(7月4日現在)で、厚生労働省の当初見込みの5%にとどまっていることがわかりました。事業所の被災で必要書類が揃わないことや、家族が行方不明者の生死の判断をつけられないことなどが原因とみられます。

2.社会保険ワンポイント・ゼミナール

支給限度額を超えるときは?(雇用保険・高年齢雇用継続給付)

 当社には、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けている社員がいますが、先月の支給決定通知書に、限度額を超えているため支給なしという内容の記載がありました。
 先月は、残業代が多かったため支給されないことになったのだろうと思いますが、この限度額はどのようになっているのですか?

支給限度額とは?

 雇用保険の高年齢雇用継続給付は、一定の要件を満たす60歳以上65歳未満の雇用保険の一般被保険者に対して支給対象となる月ごとに、支払われた賃金額に給付率を乗じて支給額が計算されますが、「支給限度額」が設けられています。

 この支給限度額(平成23年7月31日までは327,486円)は、支給額そのものの上限をいうのではなく、その月に支払われた賃金額と計算上の支給額との合計額の上限を意味します。

支給限度額が適用される場合は

  高年齢雇用継続給付を受ける資格があっても、その月に支払われた賃金額が支給限度額を超えた場合は、支給がありません。

 また、支払われた賃金額と支給額の合計額が支給限度額を超えるときは、支給限度額から賃金額を差し引いた額が高年齢雇用継続給付の支給額となります。

支給限度額は毎年8月1日に変更

 雇用保険の給付額を算定するための基礎となる賃金日額などは、法律に基づき毎月勤労統計調査の平均給与額が上昇または低下した比率に応じて、毎年8月1日に自動的に変更されますが、高年齢雇用継続給付の支給限度額もそれに連動して変更されます。

ワンポイントチェック

 今回のケースのように、残業代など変動的な賃金が通常よりも多くなる月は、高年齢雇用継続給付の支給がなかったり減額されたりする場合がありますので、対象者の60歳到達時賃金月額や支給限度額を再確認しておくことも必要となるでしょう。

3.人事・総務 参考資料

~ 新入社員の「働くことの意識」調査 ~
「定年まで勤めたい」最高の34%

 このほど公益財団法人日本生産性本部が平成23年度の新入社員を対象に実施した「働くことの意識」調査結果によると、自分が入社した会社に定年まで勤めたいと考える新入社員が33.5%に上り、同調査開始以来の過去最高となったことが分かりました。

厳しかった就職活動

「第一志望の会社に入れた」とする回答は一昨年の62.3%から昨年は55.2%に減少しましたが、本年も56.6%とほぼ同水準で推移し、本年入社組の就職活動も厳しかったことがうかがえます。

 次に、「人並み以上に働きたいか」という質問に対しては、「人並み以上」が平成19年は42.8%だったが、20年38.5%、21年41.0%、22年43.0%、本年46.8%に変化し、「人並みで十分」が19年47.9%、20年51.9%、21年50.3%、22年49.3%、本年47.3%に変化し、数年前の「お気楽志向」は退潮したように見えます。

 また、「この会社でずっと働きたいか」という質問に対しては、「定年まで勤めたい」が33.5%で過去最高となった反面、「状況次第で変わる」は30.6%で過去最低となりました。

会社の選択基準

 就職先の会社を選ぶ基準として、最も多かった回答は「自分の能力、個性が生かせるから」で36.8%、以下「仕事がおもしろいから」(26.8%)、「技術が覚えられるから」(8.8%)などとなっています。

 また、会社選択基準の経年変化で興味深いのは、40年前の調査では27%でトップだった「会社の将来性」が、本年は7.7%にまで減少したことです。

会社の選択基準

  就労意識について13の質問文をあげ、「そう思う」から「そう思わない」まで4段階で聞いたところ、肯定的な回答(「そう思う」と「ややそう思う」の合計)の比率は下表のような順になり、総じてポジティブな項目が上位を占め、反対に、ネガティブな項目が下位を占めています。

今の若い世代は職場の人間関係にドライというイメージがありますが、この結果を見る限り、新入社員たちは職場の人間関係に期待をもっており、反面、「仕事をしていくうえで人間関係に不安を感じる」も58.7%あり、職場の人間関係が新人社員の大きな関心事であることが分かります。

4.労務管理

 旅費のうち日当と宿泊費の支給基準を引き下げたいのですが、旅費の具体的な内容は就業規則に定めていないので、従業員代表者の意見を聴くなど、法律で定める就業規則の変更手続きをとらなくても問題はありませんか?
  

就業規則の変更

 労働契約法(第8条)において、「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」と定められているように、労働条件の変更は労使間での合意が成立していることが原則となっています。

 また、合意することなく就業規則の不利益な変更により労働条件を引き下げる場合においては、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が以下の事項に照らして合理的なものであるときは、労働条件は変更後の就業規則に定めるところによるものとすると定められています。(同法第9条、第10条)

  1. 労働者の受ける不利益の程度
  2. 労働条件の変更の必要性
  3. 変更後の就業規則の内容の相当性
  4. 労働組合等との交渉の状況
  5. その他の就業規則の変更に係る事情

旅費の基準や規程

 会社の命令による出張などに要する「旅費」には、実費が精算される運賃だけではなく、出張に通常必要とされる費用としての宿泊費や日当なども含まれるのが一般的ですが、旅費であっても基準を定めて労働者に支給する場合には、労働条件の一部と考えることができます。

 旅費に関する事項は、就業規則に必ず記載しなければならないものではありませんが、旅費に関して、その事業場のすべての労働者に適用される規定をつくる場合は、就業規則の中に記載しなければならないとされています。

 また、就業規則本体とは別に基準や規定をつくっても差し支えないのですが、その場合は、就業規則に付属する規定とみなされますので、本体と同様な扱いが求められます。したがって、労働基準法の定めにより労働者への周知と就業規則変更の手続き(意見書を添えて届け出る)は必要となります。

旅費の引き下げ

 就業規則等に、日当や宿泊費の支給額等に基準があって、それを引き下げる場合は、労働契約の内容である労働条件の不利益な変更にあたるので、原則的には一方的な引下げはできず、労使間での合意が必要となります。ただし、合意がない場合でも、変更の内容を労働者に周知させることと、変更が「合理的なもの」であること、という労働契約法で定める要件をいずれも満たした場合には、変更後の基準は有効となります。

 今回のケースのように、就業規則に規定していないからといって、事前の説明などもなく旅費の基準を引き下げると、不満が発生しトラブルのもとになる可能性が高くなります。無用なトラブルを防ぐためには、事前に引下げの内容だけではなく、その理由なども労働者によく説明して、意見を聴くなど、十分に理解を得られるようにすることが大切でしょう。

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