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メールマガジン2011年10月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2011年10月 Vol.33

1.人事・総務ニュース

9月のできごと

公的年金支給額の引下げを検討 厚労省(9月16日)

 厚生労働省は、公的年金の支給額を段階的に引き下げることを検討していることを明らかにしました。減額幅は年0.8~0.9%で、国民年金では500~600円の減額とする考えです。早ければ2012年度からの実施を目指すとしていますが、与野党間の調整の難航が予想されています。

9年間で約4万社の製造業が「消滅」(9月16日)

 2002年から2010年の9年間で破産、特別清算、休業、廃業、解散などにより「消滅」した製造業が3万9,872社に上ることが、帝国データバンクの調査で明らかになりました。95%以上が中小零細企業でした。

年金受給資格期間「25年」から「10年」に短縮を検討 厚労省(9月14日)

 厚生労働省が社会保障審議会(年金部会)の初会合を開き、年金の受給資格を得るために必要な期間を現行の「25年」から「10年」に短縮することを検討していることがわかりました。無年金・低年金となる高齢者の増加を防止するのがねらいです。

最低賃金の全国平均が7円増で737円に(9月13日)

 厚生労働省は、2011年度の最低賃金に関して各都道府県の審議会が出した答申状況を発表し、全国平均(時給)が737円(前年度比7円増)となったことがわかりました。新しい最低賃金は9月末から順次適用されます。

震災の影響による倒産が半年で330件(9月10日)

 東京商工リサーチは、東日本大震災の影響により倒産した企業の数が、震災から半年で330件に上ったと発表しました。負債総額は6,274億7,500万円でした。取引先や部品調達先の被災の影響による倒産が92.1%で、地域別では東京都が66件で最多、東北6県の合計は56件でした。

高額薬代捻出のため「生活費の切詰め」が3割以上(9月2日)

 全日本民主医療機関連合会が高額な薬代のかかる患者を対象にアンケート調査(978人が回答)を行った結果、薬代を支払うために「何らかの工夫をしている」と回答した人が56.5%に上ることがわかりました。具体的には「生活費の切詰め」(35.6%)、「貯蓄の取崩し」(16.5%)、「借金」(1.4%)などとなりました。

非正社員・短時間労働者に社会保険の適用拡大へ(9月2日)

 厚生労働省が社会保障審議会の特別部会を開き、非正社員や短時間労働者に厚生年金・健康保険の適用を拡大するため、加入要件を見直す検討に入りました。現行の要件である「週30時間以上勤務」を「週20時間以上勤務働」とする考え。また、国民年金保険料の支払免除基準も、現行の「年収130万円未満」からの引下げを検討するとしています。

メンタルヘルス不調者がいる事業所が大幅増加(9月1日)

 厚生労働省が「平成22年労働安全衛生基本調査」(従業員10名以上の全国8,742事業所とそこに勤務する労働者1万1,557人が回答)の結果を発表し、「メンタルヘルスの問題で連続1カ月以上休んだ労働者がいる事業所」は5.9%となり、前回調査(5年前)の2.6%から大幅に増えたことがわかりました。

2.社会保険ワンポイント・ゼミナール

二次健康診断は負担がない? (労災保険)

   定期健康診断を受けた社員が、労災保険で二次健康診断を受けたいと、申請の書類を持ってきました。初めてのケースなので、それがどういうしくみなのか、また、会社にはどのような負担があり、注意すべき点はあるのかについて教えてください。

二次健康診断等給付とは?

 「三大疾病」といわれる病気のうち脳卒中や心筋梗塞などの「脳・心臓疾患」は、長時間労働や業務上のストレスなど、業務に起因して起こることも多く、発症前の段階において予防の措置を講ずることが効果的であるとされています。そのため、通常の健康診断でその危険性が高いと判断されたときに二次的に受ける健康診断には、一定の条件の下に労災保険が適用されます。

 これを「二次健康診断等給付」といい、事業者や受診者の負担なく受けることができます。二次健康診断等給付は、原則として、一次健康診断の結果において、(1)血圧検査、(2)血中脂質検査、(3)血糖検査、(4)BMI(肥満度)の測定の4つの検査すべてに異常の所見があるとされた場合に受けることができます。

 ただし、労災保険制度に特別加入している人と、すでに脳血管疾患または心臓疾患の症状を有している人は対象外となります。

給付の内容と手続方法は

 二次健康診断等給付には、脳血管および心臓の状態をより詳しく調べるために、一定の検査項目が追加された二次健康診断と、発症を防ぐための医師や保健師による特定保健指導の2つがあります。

 二次健康診断等給付を受けようとするときは、二次健康診断等給付請求書に必要事項を記入し事業主の証明を受け、一次健康診断の結果を証明することができる書類を添付して、二次健康診断等給付を受けられる病院や施設を経由して、所轄の都道府県労働局に提出します。

事業者が行う措置は

 事業者は、二次健康診断を受けた労働者から、健診の結果を証明する書面が提出された場合には、労働安全衛生法に基づいて、医師などの意見を聴き、必要があるときは、就業上の措置を講ずる義務があります。具体的には、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などの措置が挙げられています。

ワンポイントチェック

 二次健康診断等給付は、やむをえない事情がある場合を除いて、一次健康診断を受けた日から3ヵ月以内に請求することが必要です。また、1年度につき2回以上の一次健康診断を受けていずれも要件を満たした場合でも、二次健康診断等給付は1年度に1回しか受けることができません。

3.人事・総務 参考資料 「非正社員」、過去最高の約4割

 このほど厚生労働省が発表した「平成22年就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、昨年10月1日現在、パートや派遣などの「非正社員」の割合が38.7%となり、平成19年の前回調査を0.9ポイント上回って過去最高を更新したことがわかりました。

正社員及び正社員以外の労働者

 「正社員がいる事業所」の割合は94.2% (平成19年調査(以下「前回」という。)94.4%)、「正社員以外の労働者がいる事業所」は77.7%(同77.2%)となっています。

正社員以外の労働者がいる事業所

 正社員以外の労働者がいる事業所の割合を就業形態別にみると、パートタイム労働者がいる事業所が57.0% (前回59.0%)と最も高く、次いで嘱託社員15.3% (同12.9%)、契約社員13.8% (同10.9%)、派遣労働者9.5%(同11.6%)の順となっています。

 産業別にみると、パートタイム労働者がいる事業所は概ねどの産業でも高い割合となっているが、中でも「宿泊業、飲食サービス業」では86.0%と最も高くなっています。

 それ以外の就業形態では、嘱託社員は「電気・ガス・熱供給・水道業」(41.6%)、契約社員は「教育、学習支援業」(30.1%)、派遣労働者は「情報通信業」(27.4%)でそれぞれ最も高くなっています。

就業形態別労働者の割合

 就業形態別に労働者の割合をみると、正社員が61.3% (前回62.2%)、正社員以外の労働者が38.7% (同37.8%)で、その内訳はパートタイム労働者22.9% (22.5%)、契約社員3.5% (同2.8%)、派遣労働者3.0% (同4.7%)などとなっています。

 男女別では、男性は正社員75.3%(同76.0%)、パートタイム労働者10.3%(同10.2%)、嘱託社員3.2%(同2.3%)、契約社員3.1%(同2.3%)などで、女性は正社員41.9%(同42.6%)、パートタイム労働者40.5% (同40.0%)、契約社員4.0%(同3.6%)、派遣労働者4.0% (同5.8%)などとなっています。

現在の就業形態を選んだ理由

 正社員以外の労働者(出向社員を除く)について、現在の就業形態を選んだ理由(複数回答3つまで)をみると、「自分の都合のよい時間に働けるから」38.8% (前回42.0%)、「家計の補助、学費等を得たいから」33.2%(同34.8%)、「通勤時間が短いから」25.2%(同23.2%)などとなっています。

 就業形態別では、パートタイム労働者は「自分の都合のよい時間に働けるから」50.2%(同55.9%)、派遣労働者は「正社員として働ける会社がなかったから」44.9% (同37.3%)、契約社員は「専門的な資格・技能を活かせるから」41.0% (同37.0%)がそれぞれ最も高くなっています。

正社員以外の労働者を活用する理由

 正社員以外の労働者の活用理由(複数回答)をみると、「賃金の節約のため」が43.8%(前回40.8%)と最も高く、次いで「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」33.9%(同31.8%)、「賃金以外の労務コストの節約のため」27.4% (同21.1%)の順となっています。(右図参照)

 就業形態別にみると、契約社員は「専門的業務に対応するため」41.7% (同43.6%)、派遣労働者は「即戦力・能力のある人材を確保するため」30.6% (同35.2%)、パートタイム労働者は「賃金の節約のため」47.2%(同41.1%)がそれぞれ最も高くなっています。

活用上の問題点

 正社員以外の労働者を活用する上での問題点(複数回答)をみると、「良質な人材の確保」が50.8% (前回51.4%)と最も高く、次いで「仕事に対する責任感」50.5%(同48.3%)、「仕事に対する向上意欲」38.4% (同37.5%)、「定着性」33.6% (同35.4%)などとなっています。

各種制度の適用状況

 事業所における各種制度の適用状況(複数回答)を前回調査と比較すると、パートタイム労働者は「雇用保険」58.4% (前回55.5%)、契約社員は「福利厚生施設等の利用」50.1%(同47.4%)、嘱託社員は「福利厚生施設等の利用」50.8%(同48.0%)、派遣労働者は「社内教育訓練」31.0% (同28.8%)などで上昇しています。

4.労務管理

  このほど当社の女性社員が産休に入りましたが、育児休業について就業規則に詳細な定めがないので、どのような取扱いになるのか質問されています。当社の就業規則には育児休業については「育児・介護休業法に定めたとおりとする。」とだけ記載されていて、今回のケ-スは法律どおり取り扱うことにしますが、就業規則には育児休業の詳細な事項まで記載することが必要でしょうか?
  

就業規則の「絶対的必要記載事項」

 労働基準法(第89条)では、就業規則に必ず記載するべきものとして、次の1から3の事項を挙げています。

  1. 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
  2. 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、締切り及び支払の時期、昇給に関する事項
  3. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 これらは「絶対的必要記載事項」といわれ、このうち「休暇」には、労基法上規定されている年次有給休暇、産前産後休暇、生理休暇だけではなく、育児・介護休業法による育児休業や介護休業、子の看護休暇なども含まれています。

 育児休業については、対象となる労働者の範囲などの付与要件や育児休業取得に必要な手続き、休業期間などを就業規則に記載することが必要とされていますが、これらの事項は育児・介護休業法においても具体的に定められているので、就業規則に法の定めるところにより育児休業を与える旨の定めがあれば、記載義務は満たしているものと解釈されています。

休業の扱いは明確にすることが望ましい

 このように、育児休業そのものに関しては、就業規則の絶対的必要記載事項としてみた場合は、「育児・介護休業法に定めるとおり」だけでも問題はないのですが、育児休業中の賃金の取扱い、とくに賃金を支給しないこととする場合は、就業規則や賃金規程に記載することが必要となります。

 また、育児休業の申出を受けた場合には、事業主はその労働者に対して次の事項を速やかに通知しなければなりません。

  1. 育児休業申出を受けた旨
  2. 育児休業開始予定日及び育児休業終了予定日
  3. 育児休業申出を拒む場合には、その旨及びその理由

 通常、上記の通知は「育児休業取扱通知書」を交付することで行うのですが、休業中の賃金や社会保険料などの扱い、休業が終わった後の労働条件などについても通知書で明確にしておくほうが、誤解を生まず、安心して休業してもらうことができるので、望ましいことだとされています。

育児休業規程

 育児休業に関する事項については、就業規則の本則に、育児休業に関する別の規程を定めるという委任規定を設ければ、「育児休業規程」のように一括して定めることができます。

 仕事と子育ての両立支援を進めるためにも、法律に沿った措置だけではなく、独自の取組みなどもできないかどうか検討して、別規程として備えておくことも良いでしょう。