1. 東京都千代田区・社会保険労務士法人ACROSEED
  2. メールマガジン
  3. メールマガジン2011年12月号

メールマガジン2011年12月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2011年12月 Vol.35

1.人事・総務ニュース

11月のできごと

是正支払い、1企業当たり889万円

 厚生労働省はこのほど、平成22年4月から23年3月までの1年間に、賃金不払い残業(いわゆるサービス残業)について労働基準法違反で是正指導を受け、1企業当たり100万円以上の支払いが行われた事案の状況をまとめました。

 是正の対象となったのは1,386企業で、前年度に比べて165企業の増加。支払われた割増賃金の合計額は123億2,358万円で、7億2,060万円増加しました。

 また、1企業当たりの支払額の平均は889万円で、前年度に比べて61万円減少していますが、労働者1人当たりでは11万円で、1万円増加しています。

精神障害の労災基準を具体化へ

 厚生労働省に設置された専門検討会は11月8日、精神障害の労災認定における心理的負担(ストレス)の評価基準を示す報告書をまとめました。

 報告書では、業務上の重大ミスや一定時間を超える長時間労働、職場のセクシュアルハラスメントやいじめなどの項目で、認定対象となる強い心理的負荷と認められる出来事の具体例を定めており、従来不明確であった精神障害における認定基準を分かりやすくすることで、今後は審査の迅速化と効率化を図ることができるとしています。

 具体的には、精神障害につながる心理的負荷(ストレス)の強度を出来事別に「強」「中」「弱」の3段階に分類。また、長時間労働では、発病直前の1ヵ月におおむね160時間を超える時間外労働を行っている場合を、特別な出来事として総合評価で「強」としています。

成長分野等人材育成支援事業の奨励金

  健康、環境分野および関連するものづくり分野(成長分野等)において、期間の定めのない従業員を雇い入れ、または他の分野から 配置転換し、Off-JT (通常の業務を離れて行う職業訓練)を実施した事業主に対して訓練費用の助成を行う事業で、利用の要件が緩和されています。

 平成23年10月31日以降に成長分野等以外の産業から移籍により労働者を受け入れ、かつ職業訓練を行った場合は、労働者に仕事をさせながら訓練を行うOJTも新たに助成対象となりました。

約3割の人が「家族が認知症」

 家族に認知症患者がいる、または、いた経験のあった人が約3割に上ることが、製薬会社(ヤンセンファーマ株式会社)の調べでわかりました。うち4割弱の人は介護経験があるとしています。介護経験者は年代が上がるほど増加し、30代では19.3%、60代では61.3%に上っています。

建設業の従業員数が過去最低

 国土交通省は、2010年における建設業の従業員数が16万4,984人(前年比0.5%減)となったと発表しました。1994年の調査開始以降、過去最低となっています。

 調査対象は大手建設業者55社。前年実績を下回るのは3年連続で、ピーク時(1994年)と比べて4割近く減少しました。同省では「震災の復興需要で2011年はやや改善する可能性がある」と分析しています。

民間企業の冬季賞与1.2%減の見通し

 民間企業における冬季賞与の1人当たり平均支給額が37万4,800円(前年比1.2%減)となり、3年連続でマイナスとなる見通しであることが、民間シンクタンク4社の調査で明らかになりました。震災などの影響により企業収益が落ち込んだためとみられます。

2.社会保険ワンポイント・ゼミナール

育休給付金の支給延長の要件は?(雇用保険)

  育児休業中の社員から、子が1歳になっても保育所に入れそうにないので育児休業を延長したい、という連絡がありました。この場合、育児休業給付金の支給も延長されるということですが、保育所に入れない場合の具体的な要件があれば教えてください。

育児休業給付金の支給延長

  雇用保険の育児休業給付金は、原則として養育する子が1歳に達するまでの期間が支給対象とされていますが、保育所への入所申込みを行っていても定員超過などの理由で入所できない場合など、育児休業を延長しなければならないようなやむを得ない理由があるときには、その申し出により最大で1歳6ヵ月に達するまで給付を受けることができます。

保育所に入れない場合の注意事項

 保育所への入所申込みは、正式な手続きを行っていることが必要で、問い合わせをしたところ、途中入所は難しい状況や定員超過のため次回の入所は困難であると説明を受け、入所を申し込まなかった場合は、要件には該当しません。 また、ここでいう保育所とは、児童福祉法に基づき都道府県または政令指定都市などが設置を認可した保育所をいい、いわゆる無認可保育施設はこれに含まれません。

 延長対象となる入所申込みを行っていたことを証明するために、申込みの文書の写しや控えを保管しておくことが大切です。

 なお、入所希望日は、1歳の誕生日(※)以前の日でなければならず、1歳の誕生日(※)の翌日以降である場合は延長対象とならないので注意が必要です。

 さらに、保育所に入れないことを証明するために、市区町村から交付された不承諾通知(保留通知)の写しも必要となります。

支給延長の取扱いの一部変更

 このほか延長対象となる要件として、これまでは当初に事業主に提出する「育児休業申出書」に記載する育児休業の終了(予定)日が1歳の誕生日の前日までとなっていることが必要とされていましたが、平成23年8月5日より、当初から育児休業の終了(予定)日が1歳の誕生日(※)以降の場合でも延長対象に該当することになりました。

※いわゆる「パパ・ママ育休プラス制度」を利用して育児休業をしている場合は、「1歳の誕生日」を「休業終了予定日の  翌日」と読み替えて扱われます。

ワンポイントチェック

 市区町村により、入所申込みのタイミングも様々となっていて、毎月1日だけを入所希望日として決めているところもあります。入所希望日が1歳の誕生日の翌日以降である場合は支給延長の対象とならないので、例えば11月29日が誕生日の場合、入所希望日を11月1日、またはそれ以前の月の1日として申し込まなければなりません。  

 現に育児休業を取得している人がいれば、余裕を持って入所申込み時期を確認しておくようにアドバイスするとよいでしょう。

3.平成23年就労条件総合調査 ~年休取得日数・取得率ともに微増~

 このほど厚生労働省が発表した「就労条件総合調査」(平成23年1月1日現在、常用労働者30人以上の企業が対象)によると、昨年の年次有給休暇の取得日数は前年比0.1日増の8.6日、取得率は同1.0ポイント増の48.1%と、それぞれわずかながら増加したことが分かりました。 ただ、政府が掲げている平成32年に年休取得率を70%にするという目標からは程遠いと言えるでしょう。

所定労働時間

 1日の所定労働時間は、1企業平均7時間43分、労働者1人平均7時間44分で、ともに前年と同水準となっています。 また、週所定労働時間は、1企業平均39時間23分で前年に比べ1分長く、労働者1人平均39時間01分で前年と同水準。 1企業平均を産業別にみると、「金融業、保険業」が38時間03分で最も短く、「宿泊業、飲食サービス業」が39時間48分で最も長くなっています。

年次有給休暇の取得状況

 平成22年1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数は除く。)は、労働者1人平均17.9 日で前年と同水準。そのうち、労働者が取得した日数は8.6日で前年に比べ0.1日、取得率は48.1%で同1.0ポイントそれぞれ増加しています。(産業別に関しては下図を参照のこと)  なお、年次有給休暇を時間単位で取得できる制度がある企業は7.3%となっています。

時間外労働の割増賃金率

 時間外労働の割増賃金率について「一律に定めている」企業は82.3%で、そのうち、割増賃金率を「25%」とする企業は93.0%、26%以上」は7.0%となっています。

1ヵ月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率と代替休暇制度

 1ヵ月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めている企業は24.5%で、そのうち、割増賃金率を「25~49%」とする企業は31.6%、「50%以上」は68.4%となっています。 また、割増賃金の支払いに代えて有給の休暇を付与する「代替休暇制度」がある企業は22.9%となっています。

労働費用総額

 平成22年の「労働費用総額」は、常用労働者1人1ヵ月平均414,428円で、そのうち、「現金給与額」は337, 849円(労働費用総額に占める割合81.5%)、「現金給与以外の労働費用」は76,579円(同18.5%)となっています。(産業別に関しては下図を参照のこと)

現金給与以外の労働費用

  「現金給与以外の労働費用」76,579円の内訳は,「法定福利費」44,770円,「退職給付等の費用」20,813円,「法定外福利費」8,316円などとなっています。

法定福利費および法定外福利費

 「法定福利費」44,770円の内訳は、「厚生年金保険料」24,053円、「健康保険料・介護保険料」14,845円、「労働保険料」5,277円などとなっています。  また、「法定外福利費」8,316円の内訳は、「住居に関する費用」4,110円、「医療保健に関する費用」958円、「食事に関する費用」759円などとなっています。

派遣労働者の受入状況等

 平成22年の派遣労働者の受入れ企業は28.4%で、それらの企業における「1人1ヵ月平均の派遣労働者受入れ関係費用」は261,706円となっています。  また、派遣労働者数が「3年前と比べて減少した」企業は60.8%で、これを産業別にみると、「製造業」71.2%、「金融業、保険業」63.0%、「生活関連サービス業、娯楽業」57.9%、「運輸業、郵便業」57.5%などとなっています。

派遣労働者が担当している業務の今後の予定

 現在派遣労働者が担当している業務の今後3年間の予定(複数回答)をみると、「引き続き派遣労働者を活用する」企業は75.9%、「現在受け入れている派遣労働者を自社従業員として直接雇用する」26.8%、「現在派遣労働者を活用している業務を自社従業員で実施する」20.2%などとなっています。

4.労務管理 懲戒処分の根拠は定めておく?

  このほど、重大な過失で会社に損害を与えた社員に対して懲戒処分を検討しています。
  当社の就業規則には、懲戒の対象となる行為や処分の内容を具体的に記載していませんが、処分をしても問題はないでしょうか?
  

懲戒の原則

 懲戒(制裁)とは、職場の秩序を保つために、使用者が労働者の服務規律違反などに対して課す罰をいいますが、懲戒を行うためには、労働契約上その根拠が必要とされています。

 常時10人以上の労働者を使用する事業場では就業規則の作成が義務づけられていますので、懲戒を定めた場合には、その種類や程度、どのような場合に懲戒処分の対象になるかという「懲戒事由」を就業規則に記載しておくことも必要となります。

懲戒処分の種類と内容

 懲戒処分の種類については、一般的には、訓戒、減給、出勤停止、降格、懲戒解雇などがありますが、このうち、「減給」は労働基準法(第91条)に制限規定があり、1回の事案に対する減給額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、また、複数の事案がある場合にも、総額が1賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはなりません。

 また、懲戒の内容や程度についても、例えば、「訓戒」であれば「始末書を提出させ、将来を戒める」、「出勤停止」であれば「7日以内」など、具体的に定めておくことが求められます。

懲戒事由

 懲戒事由についても、就業規則に定めておくことが必要です。その事由を一つ一つ具体的に示すことが望ましいのですが、実務的には、対象となる行為すべてを具体的に示しておくことは無理なので、処分の対象とするべき典型的な違反行為として、具体的なものをいくつか示したうえで、「その他服務規律に違反したとき」「前各号に準ずる行為があったとき」などと、包括的に定めておくとよいでしょう。

懲戒処分の相当性

 懲戒処分を行う場合には、処分の対象となる事由と処分の内容とが、つり合いのとれたものでなければならないとされています。

 労働契約法(第15条)では、「懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」と定められていて、使用者が懲戒を行う権利に歯止めをかけています。

 労働審判や裁判などになった場合は、違反行為と処分の内容のバランスだけではなく、弁明の機会を与えたかどうか、過去にも同様な事案があった場合には、それと比較しても相当性があるかどうかなどが考慮されることもあります。

 懲戒をめぐるトラブルにならないようにするためには、あらかじめ懲戒に関して定めておくことも必要ですが、懲戒を行う場合には、相当だと認められる処分となるように慎重に進めることも大切となります。

5.労使紛争

 労働行政による個別労働紛争解決システムの概要

 人事労務管理の個別化や雇用形態の変化などに伴い、労働関係についての個々の労働者と事業主の紛争(以下「個別労働紛争」といいます)が増加しています。  紛争の最終的解決手段としては裁判制度がありますが、これには長い時間と多くの費用がかかってしまいます。  こうした個別労働紛争の未然防止と、職場慣行を踏まえた円滑・迅速な解決を図ることを目的として、都道府県労働局では「個別労働関係紛争の解決促進に関する法律」に基づき、以下の3つの解決援助サービスを行っています。

 労働関係についての個々の労働者と事業主との間の紛争を円満に解決するための「個別労働関係紛争解決制度」は、平成13年10月の法律施行から今年で10年を迎え、職場での紛争解決に大きな役割を果たしています。
※「民事上の個別労働紛争」とは、労働基準関係法令違反を伴わない解雇、労働条件の引下げ等の個別労働紛争といいます。

6.参考資料(高年齢者の雇用状況 ~95.7%が雇用確保措置を実施~)

 このほど厚生労働省は、65歳までの段階的な高年齢者雇用確保措置(以下「雇用確保措置」と表記)の実施を義務づけた高年齢者雇用安定法に対する企業の取組状況を公表しました。それによると、今年6月1日現在、従業員31人以上の企業138,429社のうち、雇用確保措置を実施済みの企業割合は95.7%(132,429社)と前年より0.9ポイント減少したことが分かりました。

雇用確保措置の実施状況

 雇用確保措置の実施済企業は95.7%で前年比0.9ポイント減少。これを企業規模別にみると、大企業では99.0%で同0.3ポイント 雇用確保措置の産業別実施状況上昇、中小企業では95.3%で同1.0ポイント減少となっています。(産業別に関しては右表参照)

雇用確保措置の上限年齢

 現在の義務年齢である「64歳」を上限年齢とする企業は9.2%、法の義務化スケジュールを前倒しして「65歳以上」とする企業(定年の定めのない企業を合む。)は90.8%となっています。

雇用確保措置の内訳

 「継続雇用制度の導入」の措置を講じている企業が82.6%、「定年の引上げ」14.6%、「定年の定めの廃止」2.8%となっています。

希望者全員が65歳以上まで働ける企業の状況

 希望者全員が65歳以上まで働ける企業(希望者全員65歳以上までの継続雇用制度の導入、65歳以上定年、定年の定めなしのいずれかを実施)は47.9%で前年比1.7ポイント上昇。これを企業規模別にみると、大企業では23.8%で同0.1ポイント上昇、中小企業では50.7%で同1.9ポイント上昇となっています。

定年到達者の動向

 過去1年間の定年到達者(43万5,000人)のうち、継続雇用を希望しなかった人は10万7,000人(24.6%)、定年後に継続雇用された人は32万人(73.6%)、継続雇用を希望したが基準に該当しないことにより離職した人は7,600人(1.8%)となっています。