メールマガジン2012年2月
メールマガジン「人事・総務レポート」
2012年2月 Vol.37
1.人事・総務ニュース
1月のできごと
社会保障と税の一体改革素案を決定 ~パートの社会保険適用拡大を明記~
政府・与党は1月6日、社会保障と税の一体改革の素案を正式に決定しました。
年金関連では、過去の特例措置で本来より2.5%高くなっている年金の支給水準を、平成24年10月分から3年間かけて減額し本来の水準に戻すことに加え、パートなど短時間労働者については、現行の社会保険の適用基準を拡大することが明記されました。
また、消費税率を平成26年4月に8%、27年10月に10%と2段階で引き上げることにより、その財源で基礎年金の国庫負担割合を2分の1に恒久化するとともに、低所得者の基礎年金加算や、受給資格期間の短縮を実施することなども盛り込まれました。政府・与党は、主な関連法案を年度内に通常国会に提出する方針です。
児童手当法改正案を国会提出 ~24年度以降の「子ども手当」を合意~
平成24年度以降の子どものための手当等に関して、12月20日、厚労相など関係4大臣と民主党政策調査会長との会合で、その支給内容の詳細について合意が行われました。
子ども1人あたりの支給額は、3歳未満は月額1万5,000円、3歳以上小学校修了までは、第1子と第2子が月額1万円、第3子以降は月額1万5,000円、小学校修了後中学校修了までは月額1万円とされます。また、平成24年6月分からは所得制限が適用されるようになり、年収960万円(夫婦、子ども2人)を基準とし、扶養親族数などに応じた加減が行われます。そして、所得制限以上の人については、中学校修了までの子ども1人につき、月額5,000円を支給するとしています。
厚労省では、児童手当法など所要の改正法案を通常国会に提出する予定です。
震災等の復旧・復興作業を対象 ~「一人親方」の労災補償範囲を拡大~
建設業の個人事業者として労災保険に特別加入している「一人親方」について、震災などの復旧・復興作業中の通常想定されない作業による災害についても、労災保険の必要な給付が受けられることを趣旨とする改正労災保険法施行規則が、1月1日付で施行されました。
特別加入者が被災した場合の保険給付は、同規則に規定された事業内容の範囲内で届出のあった業務の内容を基礎として支給・不支給の判断が行われていますが、復旧・復興作業の中には、建設業では通常行うことが想定されない作業が含まれることから、こうした作業中に被った災害についても、適切な補償が受けられるようにすることを目的として改正されたものです。
有期契約労働者の処遇 ~5年超えれば無期雇用に転換へ~
パートや契約社員など有期契約労働者の処遇などの在り方について検討してきた労働政策審議会は、同じ使用者との間の労働契約が5年を超えて反復更新された場合には、労働者の申出により、期間の定めのない契約に転換させる仕組みを導入することが適当であるとする報告書をまとめ、12月26日、厚労相に建議を行いました。
このほか、無期の契約に転換する際に、賃金などの労働条件は別段の定めがない限りは同じ条件で継続させることも可能とすることや、いったん契約が切れて再び契約する場合に、前後の契約期間か通算されないこととなる期間(クーリング期間)は原則6ヵ月が適当であるなどとしています。
会社説明会は来年も「大学3年の12月解禁」(12月20日)
就職活動をする大学生向けの会社説明会は、来年も12月に解禁されることになりました。経団連の米倉弘昌会長は19日の定例会見で、採用のルールを定めた倫理憲章について、「何年ごとに見直すとか、いまは考えていない」と明言しました。説明会の解禁を従来より2ヵ月遅らせ、「大学3年の12月」とした今年のルールが、2014年春卒業組にも適用される見通しです。経団連の倫理憲章に強制力はないが、大企業の大半が従っています。
協会けんぽ保険料10.0%に引上げへ(12月27日)
全国健康保険協会(協会けんぽ)は、2012年度における保険料率(全国平均)が現行の9.5%から10.0%に上昇するとの試算結果を発表しました。高齢化による医療費の増加が主な要因であり、引上げは3年連続となります。
雇用保険料率を1.0%に引下げへ(12月15日)
厚生労働省は、雇用保険料率(労使折半)について、今年度の1.2%から0.2ポイント引き下げて、来年度は1.0%に引き下げる方針を明らかにしました。財政収支に余裕があるためで、労使の負担を軽減したい考えです。
「育休取得後の降格・減給は人事権濫用」(12月28日)
育児休業から復帰後に降格・減給されたのは不当であるとして、ゲームソフト制作会社の元女性社員が会社に対して損害賠償などを求めていた控訴審判決で、東京高裁は、35万円の支払いを命じた一審判決(東京地裁)を変更し、賠償額を95万円に増額する判決を言い渡しました。 裁判長は「本人の同意なく降格・減給したのは人事権の濫用」と判断しました。
2.社会保険ワンポイント・ゼミナール
社長に労災発生、給付はどうなる? (労災保険の特別加入)
当社は倉庫業を営んでいますが、通常の業務時間中に荷物の搬入作業を手助けしていた社長が大腿部を骨折する大けがをしてしまい、治療とリハビリのため数ヵ月療養に専念する予定です。 社長は労災保険に特別加入していますが、この場合は労災の給付はどうなるのでしょうか?特別加入者の業務上災害とは
労災保険に特別加入している中小事業主等が業務上または通勤途中で災害にあった場合には、原則として、労働者と同じように必要な給付を受けることができます。
ただし、業務上における災害については、労働者と同じような業務をしている場合に限られていて、事業主の立場として行う業務、例えば法人などの執行機関として出席する株主総会や役員会、事業主団体の会議、得意先の接待などに出席する行為は補償の対象とはなりません。
また、労働者の時間外労働または休日労働に応じて就業する場合でも、労働者と一緒に就業したり就業時間に接続して業務の準備や後始末をする場合に限られていて、例えば、労働者が出勤していない所定休日に社長が一人で作業を行っていて負傷した場合などは、補償の対象とはなりません。
特別加入者の業務上災害とは
今回のケースのように、通常の業務時間内に労働者と同じような作業をしていた際に発生した災害で負ったけがの治療は、労災保険の「療養補償給付」の対象となり、労災指定病院等において無料で受けられます。
また、治療などのために業務の遂行が不能となった場合には、「休業補償給付」を受けることができます。給付は休業4日目以降が対象となり、休業1日につき給付基礎日額の60%相当額で、さらに休業特別支給金として、休業1日につき給付基礎日額の20%相当額が上乗せで支給されます。
この給付基礎日額は、労働者の場合には災害発生前の平均賃金をもとにして決定されますが、特別加入者の場合は3,500円から20,000円の間の所定金額で、あらかじめ事業主が都道府県労働局長に届け出ている金額となります。
労働者に対する休業補償給付(または通勤災害の場合の「休業給付」)は、休業した日に対して賃金が支払われている場合には、給付が制限されますが、特別加入者の場合は「賃金」がないので、休業中に役員報酬が支払われていても給付の制限はありません。
ただし、災害が特別加入者の故意または重大な過失によって発生した場合や保険料の滞納期間中に生じた場合には、全部または一部の制限が行われることがあります。
ワンポイントチェック
労災保険の特別加入者の給付基礎日額は、災害発生時において、届け出ていた額が適用されます。 給付基礎日額を変更したい場合は、労働保険の年度更新の時期に当年度について変更が可能とされていて、実質的には新しい年度が始まってから給付基礎日額の変更を申請することとなっていましたが、平成24年度以降の給付基礎日額については、年度更新の時期だけではなく、前年度の3月18日から3月31日の間でも変更の申請ができるようになります。 前年度に変更を申請することで、年度更新の前に発生した労災事故でも変更後の給付基礎日額に基づいて給付が行われます。3.参考資料 (希望者全員の継続雇用を義務づけへ)
労働政策審議会(厚労相の諮問機関)は、希望者全員を対象に、65歳までの安定した雇用を確保する措置を企業に義務づけることなどを求める報告書をまとめ、1月6日、厚労相に建議を行いました。
現行の制度では、65歳までの継続雇用制度を導入する場合に、希望者全員ではなく、継続雇用の対象者に係る基準を労使協定で定めることが可能とされています。
老齢厚生年金の支給開始年齢の段階的引上げ
現在、老齢厚生年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられており、男性については、平成25年度に定額部分の65歳までの引き上げが完了し、報酬比例部分についても、同年度から61歳に引き上げられ、以後3年ごとに65歳までの段階的な引き上げが実施されることになっています。
こうしたことから、65歳未満の定年制により無年金や無収入となる人が生じることがないように、雇用と年金を確実に接続させるため、現行の継続雇用の対象者に係る基準は廃止することが適当だとしています。
一方で、企業側からは、継続雇用の完全義務化は、若年者の雇用に大きな影響を及ぼす懸念があるという意見もあることから、その方策として、①希望者全員を対象とするのは、各年代の年金の支給開始年齢にあわせて雇用と年金が確実に接続できる時期までとし、それ以降は対象者の選定基準を利用できる特例を認めること、②同一企業だけではなく、子会社や関連会社なども雇用確保先と認めることが必要だとしています。
また、今後すべての企業で雇用確保措置が確実に実施されるようにするためには、指導の徹底を図るとともに、指導に従わない企業に対しては企業名の公表などを行うことも適当だとしています。
これを踏まえ、厚労省では高年齢者雇用安定法の改正案を通常国会に提出し、平成25年度からの施行を目指しています。

4.労務管理 (トラブル回避の対応術)
出向は一方的に命令できる?
当社では、業績が一向に回復しない状況が続いているので、一部の社員に対して、当社に在籍させたままでの他社への出向を検討しています。当社の就業規則には、会社が社員に出向を命令できることと、命じられた社員は従わなければならないことを規定していますが、実際に、同意を得ず一方的に出向を命令しても問題はないでしょうか?出向の意義と命令の有効
一般的に出向とは、労働者が元の企業に籍を残したまま、他の企業においてその指揮命令のもとで働くことをいいます。出向した労働者は出向元および出向先の両方に対して二重の雇用契約を結ぶことになるので、派遣先との雇用契約が生じない労働者派遣とは異なります。
出向は使用者の命令によって行う人事異動の一つですが、企業内での配置転換などと違って、他企業への異動になるので、労働者の地位を使用者が第三者に譲る場合には労働者の承諾を得なくてはならないと定める民法第625条第1項に基づいて、基本的には、出向させる労働者の承諾が必要だとされています。
しかし、この「承諾」に関しては、発令の都度の個別(当人)の同意(承諾)ではなく、就業規則などに使用者の出向命令と労働者の出向義務の根拠規定があれば事前の包括的な同意でも足りるとする学説や判例もあり、争いとなった場合には、個別のケースごとにその有効性が判断されています。
労働契約法での出向の定め
一方、労働契約法第14条では、出向命令の効力に関して、「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする。」と定めています。
このように、労働契約法においては、使用者が出向を命じることができる根拠規定があるという前提に立って、個別の承諾が必要かどうかではなく、使用者による「権利の濫用」に対して制約を設けています。
権利の濫用かどうかの判断に当たっては、業務上の必要性や人選の合理性だけでなく、出向先での賃金などの労働条件、出向元と出向先との関係、出向期間、赴任の事情などに照らして、労働者に相当程度の不利益な状況が生じるかどうかが、重要なポイントであるとされています。
権利の濫用とされないために
このようなことから、就業規則などにおいて会社が出向を命じることがある旨が記載されていたとしても、実際に出向を命令するときには、できれば同意を取り付けておき、出向命令が権利の濫用とされないように慎重に進めることが必要となります。
そのためには、事前に出向先との協議を行い双方で出向契約を交わすこと、家庭など個人的な事情も勘案した上で対象労働者を選定すること、出向に関する規定としては、出向命令と出向義務だけではなく、出向期間中の労働条件に配慮した基本的事項をできるだけ詳細に定め、明らかにしておくことなどが求められるでしょう。
5.助成金(3年以内既卒者奨励金の実施期間 延長)
学校卒業後3年以内で安定した仕事に就いていない若者を雇い入れた事業主に対して支給される奨励金制度について、震災や円高の影響により、今後も厳しい就職環境が継続する可能性が高いことから、当初は平成23年度末までであった実施期間が延長されました。 延長の対象となった奨励金と延長措置の内容は次のとおりです。

*1 大学等とは、大学、大学院、短大、高専および専修学校などをいいます。
*2 「震災特例専用求人」とは、被災した卒業後3年以内の既卒者(震災特例対象者)に限定した奨励金対象求人をいいます。
*3 平成21年3月1日から平成22年2月28日までに卒業した人は、平成24年3月末までにハローワークから紹介を受け、平成24年7月末までに雇用開始した労働者が支給対象となります。

6.参考資料(H23パートタイム労働者総合実態調査)
このほど厚生労働省が発表した「平成23年パートタイム労働者総合実態調査」によると、昨年6月1日現在、正社員以外の労働者の割合が34.4%を占めていますが、そのうち、パートの割合が27.0%と、5年前の前回調査より1.3ポイント上昇したことが分かりました。(東日本大震災の被災3県(岩手、宮城、福島)を除く)
*「パート」とは…正社員以外の労働者で、パートタイマー、アルバイト、嘱託、契約社員、臨時社員などの名称にかかわらず、週の所定労働時間が正社員よりも短い労働者をいいます。
「パート」の就業状況・雇用理由
《「パート」を雇用している事業所割合》
平成23年6月1日現在で、パートを雇用している事業所の割合は66.1%(平成18年調査61.0%)と5.1ポイント上昇しています。
《「パート」を雇用している理由》
雇用理由(複数回答)をみると、「人件費が割安なため(労務コストの効率化)」が48.6% (前回71.7%)で最も高く、次いで「仕事内容が簡単なため」36.5% (同36.5%)、「1日の忙しい時間帯に対処するため」35.4%(同38.5%)となっています。
「パート」の雇用管理の状況
《雇用期間》
パートの労働契約に「雇用期間の定めがある」事業所割合は51.4%で、1回当たりの雇用期間をみると、「1年」が58.4%で最も高く、次いで「6ヵ月」が26.6%で、平均雇用期間は9.4ヵ月となっています。
また、パートの労働契約の更新方法については、「個々の労働者ごとに更新するかどうかを判断する」事業所割合が64.6%で最も高く、次いで「パートから終了を申し出なければ、自動的に更新する」が26.9%となっています。
《賃金を決定する際に考慮した内容》
パートの賃金を決定する際に考慮した内容(複数回答)をみると、「能力、経験」が52.5%で最も高く、次いで「職務の内容(業務の内容及び責任の重さ)」48.7%、「地域での賃金相場」37.3%となっています。
9.ACROSEEDからのお知らせ(株式会社ウィッシュ 東京本部 のご紹介)
通勤事故への備え ~急増する自転車の事故~
エコブームや健康を意識して、都市部を中心に自転車通勤を始める人が増えています。この流れに対応して自転車通勤を奨励するケースも増えており、例えば名古屋市役所では、2001年3月に通勤手当の改定を行い、片道5km未満については自転車通勤の場合4,000円を支給しています。
このように自転車通勤をする人が増加していますが、それに伴い、自転車通勤によるリスクも高まっています。
1.自転車事故の発生状況
警察庁によると、自転車が当事者となった交通事故件数は、6年連続で前年より減少し、15万1,626件と10年前(平成12年)の0.87倍となっています。しかし、対自動車(二輪車含む)の件数が減少している中で、対自動車以外は10年前の1.37倍となっています。
原因は、自転車の普及台数の増加だけでなく、携帯電話の普及、運転者の交通マナーの悪化もあると言われています。
2.自転車事故で問われる責任
道路交通法上、自転車は車両の一種(軽車両)です。法律違反をして事故を起こすと、自転車利用者は刑事上の責任が問われます。また相手にケガを負わせた場合、民事上の損害賠償責任も発生します。
賠償額 |
事故の概要 |
5,438万円 |
成人男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入し、青信号で横断歩道を横断中の女性と衝突。女性(55歳)は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。(東京地方裁判所、平成19年4月11日判決) |
3,124万円 |
男子中学生が夜間、無灯火で自転車を走行中、対面歩行の女性(75歳)と衝突。女性には重大な障害(後遺障害2級)が残った。(名古屋地方裁判所、平成14年9月27日判決) |
3.方法の明確化とルール整備
自転車通勤については従業員が加害者となり、他人にケガを負わせることもあることから、その場合の損害賠償についても考えておく必要があります。この損害賠償については、基本的には従業員がその責任を負うことになりますが、それが果たせない場合には雇用主である会社が責任を追及されることがあります。
そのため、会社として自転車通勤を認めるか否かの方針を決め、認める場合は早急に自転車通勤についてのルールを整備していくことが望まれます。
また、万が一の事故に備え、従業員に民間保険への加入義務を課すなどの対策を講じておく必要があるでしょう。
4.損害賠償保険
自動車事故と異なり被害者救済のための強制保険(自賠責保険)はありませんが、任意の損害賠償保険があります。詳しくは下記までお問い合わせください。
| 【生命保険分野】
福利厚生、退職金、事業承継等の事業保険分野
【損害保険分野】 企業火災保険、賠償責任保険、傷害保険、貨物保険、旅行保険 株式会社ウィッシュ 東京本部 〒101-0043 東京都千代田区神田富山町22番地 オフィス22ビル HP:http://wish-jp.com/ 担当者名:伊藤 TEL:03-3254-1201 FAX:03-3254-1205 メールアドレス:ito-y@wish-jp.com |









