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メールマガジン2012年7月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2012年7月 Vol.42

1.人事・総務ニュース

6月のできごと

23年度個別労働紛争制度の利用状況   ~「いじめ・嫌がらせ」の相談が増加 ~

 厚生労働省はこのほど、平成23年度における個別労働紛争解決制度の利用状況をまとめました。 全国の総合労働相談コーナーに寄せられた相談件数は約111万件で、前年度より2万件あまり減少していますが、このうち解雇や労働条件の引下げなどといった民事上の個別労働紛争に関するものは25万6,343件で、前年度に比べて9,436件(3.8%)増加し、過去最高を更新しています(第1図参照)。

 相談の内訳は、「解雇」が57,785件の18.9%で最も多いものの前年度(21.2%)より減っているのに対し、それに続く「いじめ・嫌がらせ」が45,939件の15.1%(同13.9%)と過去10年間で最も多くなっています(下図参照)。

改正派遣法の政省令・告示検討案 ~高齢者等の派遣を新規制の対象外に~

 労働政策審議会は6月5日、今年3月に成立した「改正労働者派遣法」についての政省令及び告示等に関する検討事項(案)をまとめました。

 今回の改正の柱である日雇派遣の原則禁止について、例外と認められる場合として、「高齢者(60歳以上)」「昼間学生」のほか、一定の条件で「副業として従事する者」「主たる生計者でない者」も示しています。

 グループ企業内派遣を8割以下とする規制についても、関係派遣先への派遣割合の算定から除外される定年退職者の範囲を60歳以上とすることとしています。

 また、離職した労働者の離職後1年以内の派遣労働者としての受入禁止の例外となる者として、60歳以上の定年退職者を挙げていて、新しい規制が高齢者の就労の妨げにならないような配慮が検討されることになります。

 なお、改正法の施行期日は政令で定められる予定ですが、平成24年10月1日が有力となっています。

民間企業は2.0%に ~障害者雇用率を引き上げへ~

  障害者雇用促進法に基づく民間企業の障害者雇用率を、平成25年4月1日から、現行の1.8%から2.0%に引き上げることなどを内容とした改正案について、労働政策審議会は5月23日、これを妥当とする答申を行いました。

  民間企業の障害者雇用率が2.0%に改正されると、除外率などを考慮しない単純計算で、現行では「常用労働者数56人につき1人」が、「50人に1人」の割合で障害者の雇用が義務づけられることになります。

  なお、障害者雇用給付金、障害者雇用調整金及び奨励金の額については、それぞれ現行どおりとすることとされています。

国年保険料の強制徴収業務 ~2015年前後に国税庁に移管~

 政府は、悪質な滞納者から国民年金保険料を強制徴収する業務を、日本年金機構から国税庁に移管する考えであることを明らかにしました。

 移管時期は2015年前後の見通しで、徴収業務を国税庁に統合することにより保険料を集めやすくすることがねらいのようです。

国の規制に合理性認める/横浜アスベスト訴訟判決 

 アスベスト(石綿)を吸い込み健康被害があった建設労働者ら87人の損害賠償請求を退けた25日の横浜地裁判決は、日本で発がん性の認識が高まった時期を国際労働機関(ILO)などが明言した1972年と認定し、国の規制措置について「当時の知見などに照らすと著しく合理性を欠くものだったと認めることはできない」と判断しました。

 建材メーカー44社の責任も「建材と被害との因果関係を認められない」として、原告の訴えを退けました。 一方で江口とし子裁判長は判決で「石綿被害に関する法律の充実、補償制度の創設について再度検証の必要がある」と指摘、国に被害対策の再考を求めました。

 原告らは閉廷後に記者会見し「被害実態を受け止めていない不当判決だ」と控訴する意向を示しました。

 原告87人は主に60年以降、約20~40年にわたり建設現場で石綿を吸い込み、肺がんなどを発症した大工や配管工らとその遺族。患者は75人で訴訟中も含め47人が亡くなっています。

2.社会保険ワンポイント・ゼミナール

 出産前に退職しても手当金は受給できる?(健康保険の出産手当金)

 このほど産休に入る予定の女性社員(勤続3年)が、今後は夫の被扶養配偶者になりたいので産休に入ってから出産予定日の前に退職したいと申し出ました。 本人は出産前に退職しても健康保険の出産手当金を貰えると言っているのですが、本当なのでしょうか?

資格喪失後の継続給付

 健康保険のさまざまな給付は、現に被保険者の資格がある人に対して行われるのを原則としていますが、退職などにより被保険者でなくなった後でも、給付が行われる場合があります。傷病手当金と出産手当金は、次のいずれの要件も満たす場合に資格喪失後でも継続して給付が受けられます。

  1. 被保険者の資格を喪失する日の前日(=退職日)までに継続して1年以上被保険者であること
  2. 資格を喪失した際に傷病手当金や出産手当金の支給を受けていること

 出産手当金は、出産日以前は42日(多胎妊娠の場合は98日、以下同じ)、産後は56日分で、この間に労務に服さなかった期間が支給対象となりますので、上記2の要件を満たすには、資格を喪失した日が出産日以前の42日以内にあることが必要です。

 たとえば、出産予定日の42日前から産前休暇を開始し、休暇に入ってから退職するような場合は、「資格を喪失した際に出産手当金の支給を受けている」ということに該当します。

 退職後であっても受けられる出産手当金は、被保険者として受けることができるはずであった期間、継続して受けることができるので、出産前後合わせて原則として98日分が受けられます。

 また、給付の額はその人の資格喪失時の標準報酬月額をもとに計算されます。

ワンポイントチェック

 健康保険の「出産育児一時金」についても、資格を喪失する日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人が資格喪失の日後、6ヶ月以内に出産したときは受けることができます。
 ただし、資格喪失後に夫の健康保険の被扶養者となって出産した場合は、夫が「家族出産育児一時金」としての支給を受ける権利も発生しますが、重複しては受けられませんので、どちらか一方を選択することになります。

3.参考資料 (海外進出に対する企業の意識調査)

 海外進出、今後3年内で2011年度比1.4倍の見込み

 国内市場が伸び悩むなか、企業の海外展開に対する意欲が高まっています。また、政府は新成長戦略や産業構造ビジョンにおいて、中小企業の海外展開を重要な政策課題と位置づけるなど、中小企業の海外進出支援を強化しています。
 帝国データバンクでは、海外進出に対する企業の意識について調査を実施し公表しました(調査期間は2012年5月21日~31日。調査対象は全国2万2,955社で、有効回答企業数は1万467社。(回答率45.6%))。

調査結果のポイント

・今後2~3年で海外進出を見込む企業が2011年度比1.4倍

 2011年度に海外進出した企業は9.8%。一方、今後2~3年の間で予定・検討している企業は13.7%。 製造業やサービス業で多く、特に「精密機械、医療機械・器具製造」では約3割で全51業種中1位。

・海外進出を決めるポイント、「良質で安価な労動力の確保」が最多

 海外進出を決定する際には「良質で安価な労働力の確保」を挙げる企業が35.0%で最多。 一方、海外進出の意向がある企業では、進出先や近隣国需要の拡大とともに日系企業の進出実績も重視。

・海外進出のきっかけ、「国内市場の縮小」が45.1%で最多

 自社が海外進出するきっかけについて、国内市場が縮小すると見込まれることと同時に、新たな事業の展開を図るために進出するという前向きなきっかけも高く、両者が海外進出の二大理由。

・海外事業の障害・課題、「文化・商習慣」「法規制・制度」の違いが3割超

 自社が海外事業を行ううえでの障害・課題として、「文化・商習慣の違い」や「法規制・制度の違い」を挙げる企業がいずれも3割超。

・行政に期待する支援サービス、「法規制・制度調査支援」が最多

 行政には「法規制・制度調査支援」が34.2%で最多。 海外進出の意向がある企業では半数近くに達し、行政の支援に対する期待は大きい。

海外進出のきっかけ

 自社の海外進出について、「国内市場の縮小」が1万467社中4,723社、構成比45.1% (複数回答、以下同)で最多となったほか、「新たな事業展開」(同40.4%、4,232社)も4割超の企業が挙げました。

 国内市場が縮小すると見込まれるために海外へ進出するという必要に迫られたきっかけと同時に、新たな事業の展開を図るために進出するという前向きなきっかけがともに高い結果となっています。

 次いで、 「取引先の海外進出」(同22.5%、2,350社)、「労働力の確保・利用」(同14.8%、1,552社)が続きました。

海外進出を決めるポイント

 自社が海外進出を決定した(決定する)際のポイントは、「良質で安価な労働力が確保できる」が1万467社中3,659社、構成比35.0% で最多となり、3社に1社が挙げました。

 次いで、「現地の製品・サービス需要が拡大」(同19.9%、2,084社)、「納入先を含む他の日系企業の進出実績がある」(同18.8%、1,973社)、「品質・価格面で、日本への逆輸入が可能」(17.8%、1,860社)、「現地政府の産業育成、保護政策」(同17.7%、1,857社)などが続きました。

 実際に海外進出の予定があったり検討している企業では、進出先や近隣国需要の拡大とともに日系企業の進出実績を重視している様子がうかがえます。さらに能力の高い労働者の確保も同時に海外進出の決め手として考えています。

海外事業の障害・課題

 自社が海外事業を行ううえでの障害や課題について尋ねたところ、「文化・商習慣の違い」が1万467社中3,538社、構成比33.8%(複数回答3つまで、以下同)で最多となり3社に1社が挙げました。また、「法規制・制度の違い」(同30.5%、3,192社)も3割を超えていました。

 次いで、「言語の違い」(同27.1%、2,837社)、「現地情報の収集」(同18.5%、1,941社)、「海外事業展開の戦略立案」(同16.8%、1,762社)が続きました。

 今後2~3年での海外進出を考えている企業でも、「法規制・制度の違い」(同38.4%、549社)や「文化・商習慣の違い」(同32.2%、461社)が高い結果となりました。「提携先・パートナーの発掘」は同23.3% (333社)と4社に1社が挙げており、海外事業を行ううえでのパートナー探しを課題と考えている企業も多いようです

“外国人雇用”が増加している理由

 近年、急速に日本国内において“外国人雇用”が注目されている背景には、今回の調査結果からもわかるように海外事業を行ううえでの障害や課題が「文化・商文化の違い」「法規制・制度の違い」などといった海外現地に関する事由が大半を占めていることが大きな要因となっています。

 海外事業を行うにあたっては、「百聞は一見に如かず」というように、現地の外国人を雇用したほうがリアルな文化や商習慣を体感することができ、海外の現地の法規制や制度の情報が断然入手しやすくなります。そこでまず、海外事業を行う前に現地の外国人を雇用する動きにつながっていることがわかります。

4.労務管理 (トラブル回避の対応術)

計画年休は新入社員を除外できるか

  当社では、夏休みは原則として一斉に取ることになっていますが、今年は電力事情に配慮するため、休みを2日増やし、その分は就業規則に基づいて年次有給休暇の計画的付与で対応することを検討しています。
 計画的付与に関する協定書を作成するにあたって、4月入社の新入社員はまだ年次有給休暇がないので、計画的付与の対象から外すことはできますか?
 また外せる場合は、2日間は外部研修を受けさせようと考えていますが、研修を受けさせないで休ませた場合、その日の賃金を控除することはできるでしょうか?
  

計画的付与の導入要件

 年次有給休暇(年休)の計画的付与の制度を導入するためには、あらかじめ労使協定を締結することが必要で、就業規則の作成・届出義務がある事業場(常時10人以上の労働者を雇用)は、就業規則に計画的付与について定めて、労働者に周知させておかなければなりません。

 これにより、年次有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの日数を計画的付与の対象とすることができます。 計画的付与の方式には、下記の3つがあります。

  1. 一斉付与方式
  2. 班別の交替制による付与方式
  3. 個人別付与方式

 個人別付与方式は、付与日数の範囲で労働者の意向を踏まえて年休の取得日を決めることができるので、比較的無理なく導入ができますが、一斉付与方式や班別付与方式は、付与する日が労働者の希望どおりではないことがあり、また、年休がまだ発生していない労働者や年休の残りの日数が5日以下となっている労働者に対する扱いで問題が起きる場合もあります。

一斉付与方式では特別の扱いが必要

 年休の計画的付与に関する協定では、対象となる労働者、または対象としない労働者を定めることになりますが、今回のケースのように一斉付与方式では、対象になる、ならないにかかわらず、通常は全ての労働者を休ませることになりますので、行使できる年休の日数が足りない人や、年休がまだ発生していない人も計画的付与の対象とする場合は、特別に付与日数を増やすなどの措置が必要となります。

 また、これらの人を対象から外したとしても、結果的に一斉付与日に対象者と一緒に休ませることとなった場合、賃金を支払わないような扱いをすることはできません。その場合は特別に有給休暇を付与するか、または事業主都合による休業扱いとして、平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります。

 このように、年休の計画的付与を導入するにあたっては、どのような方式によるにしても、事前に十分に話し合い、年休が足りない人などをどのように扱うかを明確に定めておくことが重要となるでしょう。

5.助成金(創業支援関連)

~受給資格者創業支援助成金~

 失業手当を受給している方が創業して、1年以内に雇用保険の適用事業の事業主となった場合に、その事業主に対して創業に要した費用の一部について助成します。

 一般的に飲食店や美容院など、創業してすぐに店舗や機器、従業員が必要になる場合に多く活用されています。

助成金の要件

  1. 創業前であること
    ・法人等設立日の前日までにハローワークに必ず「法人等設立事前届」を提出
  2. 過去5年以上雇用保険に加入しており、ハローワークで失業給付の受給手続を行い、自らが創業すること
    ・基本手当の算定基礎期間が5年以上必要
    ・法人の場合は、自ら出資して代表者であること
  3. 創業後1年以内に従業員を雇い入れ
    ・雇用保険の一般被保険者として1名以上、2名以上雇用なら上乗せ
  4. 創業後に3ヵ月以上継続して事業を行う。

受給額について

【助成対象となるもの】

・事務所・店舗の賃借料や改修工事費、事務所の備品、車両等の動産の購入費用、機器のリース料、経営コンサルタントへの相談経費

【助成対象とならないもの】

・税・地方税・収入印紙、人件費、社会保険料、水道光熱費、敷金・保証金など

主な対象外事業等

  1. 国、地方自治体、独立行政法人
  2. 風俗営業(マージャン、パチンコ、ゲームセンター、バー)
  3. 宗教法人など

6.参考資料(民間企業の旅費に関する実態調査)

 財務省は6月18日、民間企業の旅費に関する実態調査の結果を公表しました。

 旅費の支給方式は、国内・海外出張、国内・海外移転ともに「実費支給」が最も多く、特急(新幹線含む)および航空機の利用基準については、双方とも「定めていない」企業が5割台で最多となっています。

 見直しの内容として、「手続き、精算方法の簡素化」が最も多い一方で、「手続き、精算方法の厳格化」と回答している企業も多数あり、民間企業の「出張周辺業務の効率化を図りつつ、旅費総額を抑える」という意識がうかがえます。

 平成24年3月に発行された日本とブラジルおよびスイスとの社会保障協定について、それぞれ特徴的な部分をご説明します。



7.入社説明会 社会保険の概要 (第1回)

リスクに備える社会保障制度

  企業へ入社して会社員となると、これまでの国民健康保険から健康保険へ制度が移行したり、雇用保険に加入したりします。人事や総務などの管理部門の人は、これらの社会保険について理解していても、他の従業員にとってはたいへん理解しにくいのが実情です。 そこで本号から数回にわたり、入社説明会の資料としてご活用いただけるように社会保障制度の中心である社会保険を解説していきます。

社会保険は現在5つ

 会社員が加入する健康保険や雇用保険などは、社会保障制度の中心である『社会保険』といわれます。これら社会保険は、社会人として生活していくうえで一定のリスクに備えるための保険です。

 たとえば、健康保険は病気やケガ、雇用保険は失業というリスクです。この社会保険には、医療保険、介護保険、年金保険、雇用保険、労働者災害補償保険(労災保険)の5種類があります。

業務外の病気・怪我など 国民健康保険、健康保険などの医療保険
失業してしまったら 雇用保険
就業中の怪我や病気など 労働者災害補償保険
老齢・障害・死亡時の年金 国民年金、厚生年金保険
介護が必要なとき 介護保険

国民健康保険、健康保険などの医療保険

 現在日本では、会社員が加入する全国健康保険協会が管掌する健康保険や、組合が管掌する健康保険(大企業や同業種の企業が集まって設立したもの)、自営業者などが加入する国民健康保険、公務員が加入する共済組合により国民皆保険制度が成立しています。つまり、すべての国民が何らかの医療保険に加入しています(国民皆保険)。就業形態などにより加入すべき医療保険が異なります。

 国民健康保険は、市区町村が保険者となって運営しているものと、同業種が集まって設立した国民健康保険組合(建設業国保、医師国保など)があります。

 健康保険は、会社に勤務する従業員とその被扶養者が加入する医療保険制度で、被保険者の業務外の死傷病、分娩などにより臨時の出費を必要とするときなどに医療費や手当金が給付されるものです。また、その扶養家族にも保険給付があります。

8.ACROSEEDからのお知らせ(全事業所を対象に4年に1度、「定時決定時調査」が実施されます。)

 健康保険、厚生年金保険の「被保険者報酬月額算定基礎届」は、毎年7月1日現在在籍する従業員の報酬月額について、保険者が標準報酬月額を見直してその年の9月(保険料徴収は10月)以降の標準報酬月額を決定する手続きに使用するものです。

 この見直し時期が毎年7月1日現在の状況で決定されることから、「定時決定」ともいわれています。

 平成18年度の算定基礎届(定時決定)から届出が原則郵送となっていますが、昨年より年金事務所が指定した日時に賃金台帳や出勤簿の関係帳簿を持参して算定基礎届の提出を行う「定時決定時調査」が行われています。

 今年度からこの定時決定時調査は、全事業所を対象に4年に1度程度の頻度で実施されます。すなわち、全事業所が4年に1度は定時決定時調査の対象となります。下記は、実際に事業所へ郵送されてきた定時決定調査の通知です。











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