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メールマガジン2013年7月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2013年7月 Vol.54

1.人事・総務ニュース

6月のできごと

グローバル人財の採用・育成・活用  ~経済同友会が政策提言~

 経済同友会(代表幹事・長谷川閑史武田薬品工業社長)は13日、「経済成長に向けた『人財の採用・育成・活用の真のダイバーシティを目指す経営者の行動宣言』」~世界中で“優秀な人財を魅きつける”企業になるために~と題する政策提言を発表しました。グローバル経営における組織・人財マネジメントの課題および競争力強化に向けた企業の主体的なアクションプランについて報告しています。そのうえで、経営者自らの決断によりグローバル・リーダーとして変革できるかが問われているとしています。

 この提言は人財育成・活用委員会(委員長・橘・フクシマ・咲江G&S Global Advisors Inc. 社長)がとりまとめたもので、提言ではまず、日本の経済成長に欠かせない企業のグローバル競争力向上のために、外国籍人財に留まらず、日本人も含めたグローバル人財の獲得・育成・活用とグローバル人財市場の構築に向けた企業の主体的アクションが必要だと強調しています。こうしたグローバル経営の加速に向けて、多様な人財を束ね、イノベーションを牽引する「グローバル経営人財(グローバル・リーダー)」、グローバルな環境できちんと仕事が出来る「グローバル人財」、グローバルで成果を出す意識を持ちながらローカル経営を担う「ローカル経営人財」、各地域で活躍する「ローカル人財」と4つの人財タイプを定義し、各段階で必要な人財のポートフォリオが変化するとしています。

 そのうえで、「グローバル化にしか自社の成長はない」と踏み切り、自らがグローバル・リーダーとして変革できるか、経営者の決断が何よりも重要と結んでいます。


平成24年度個別労働紛争解決制度実施状況 ~「いじめ・嫌がらせ」の相談が過去最高~

 厚生労働省が5月31日に公表した個別労働紛争解決制度の施行状況によると、平成24年度に全国の総合労働相談コーナーに寄せられた相談件数は106万7,210件で、前年度より3.8%減少したことが分かりました。

 このうち、民事上の個別労働紛争に関するものは25万4,719件で、同0.6%減少しています。相談内容のトップは「いじめ・嫌がらせ」(パワハラを含む)で5万1,670件。前年度より12. 5%増加し、過去最多となりました。

 一方、これまで一番多かった「解雇」は5万1,515件で、同10.9%減少しています。


平成28年1月からスタート ~「マイナンバー法」が成立~

 国民一人ひとりに番号を割り振って、所得や納税実績、社会保障に関する個人情報を一元的に管理する「マイナンバー制度」に関する法律が、5月24日の参院本会議で可決、成立しました。

 マイナンバー制度が導入されると、年金などの社会保障給付の手続きで、住民票や納税証明書といった書類を添付する必要がなくなり、手続きの際の負担を軽減することができます。

 また、税金の確定申告では、社会保険料控除の対象となる保険料や税務署が把握している所得の情報などがマイナンバーを通じて自宅のパソコンなどで確認できるようになるので、より簡単、正確な申告ができるようになります。

 一方で、個人情報の漏洩や番号の不正取得による悪用を防止するため、情報の取り扱いを監視する第三者委員会を設置することなども盛り込まれています。 マイナンバーの利用は、平成28年1月から開始されることになっています。


都道府県労働局雇用均等室への相談 ~育児・介護休業法関連が1万件増加~

 厚生労働省は5月30日、平成24年度に都道府県労働局雇用均等室で取り扱った男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法に関する相談や紛争解決の援助に関する状況について発表しました。

 相談件数は11万5,496件で、前年度より約7,000件増加しました。このうち、育児・介護休業法に関するものが最も多い8万7,334件で、約1万件増えています。

 育児・介護休業法に関する相談者の内訳をみると、事業主からの相談が全体の71.0%を占めていて、労働者からは11.9%、「その他」が17.1%となっています。

 これは、平成24年7月に改正育児・介護休業法が全面施行されたことに関連して、事業主からの相談が大幅に増加したことによるものです。


平成24年人口動態統計   ~「出生率」が1.41に上昇~

 厚生労働省が6月5日に発表した平成24年の人口動態統計によると、1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計値(合計特殊出生率)が1.41となり、前年より0.02ポイント上昇しました。

 これを年齢(5歳ごとの階級)別にみると、15~29歳の各階級で低下、30~49歳では上昇していて、最も高いのは30~34歳となっています。


定年退職後の再雇用者の雇止め ~業績不振理由とする本件雇止めは解雇権濫用~

 60歳定年で退職し、就業規則により1年の有期雇用契約により再雇用された労働者が、同規則で再雇用の上限年齢が64歳とされているところ、契約更新されることなく、業績不振を理由に雇止めされたことについて、当該労働者は、再雇用の基準を満たす者として再雇用されたのであるから、64歳に達するまで雇用が継続されるとの合理的期待があったものということでき、このような雇用契約を使用者が有効に終了させるためには、解雇理由に該当することのほか、それが解雇権の濫用に当たらないことが必要である。

 会社は、当該労働者の雇止めの理由とし「業績不振」を挙げているので、本件雇止めが整理解雇の要件を満たすかどうかを検討すると、会社における今後の売上高の上昇が期待できる見込みに乏しく、人員を削減すべき必要性を認めることができるが、解雇回避努力については、本件雇止め以前にそれを回避すべき努力義務を尽くしたということはできない。また、選定基準の合理性の点についても、会社の主張は、必ずしも説得力のある理由とはいい難い。

 以上から、本件雇止めは、整理解雇の要件を満たしていると認めることはできず、解雇権の濫用に当たり無効である。

 [エフプロダクト地位確認等請求事件 平成22年11月26日 京都地裁判決]


3年とされた雇用契約の雇止め  ~雇用継続への期待に合理性なし~

 駅の旅客整理業務に従事してきた鉄道会社のパートタイマー(ホーム整理員アルバイト)が、2ヶ月ないし6ヶ月の有期雇用契約について10回にわたり更新を繰り返してきたが、雇用されて3年経過する10回目の契約更新満了日以降について更新が行われず、雇止めとなったことについて、①会社は、同人と同様のホーム整理員アルバイトについて、原則として、更新の限度を最長3年間と定めて運用してきており、これを超えて更新をするのは例外的な措置であり、本件雇止めは会社の原則的な運用に沿うものであること、②本件契約において、契約更新の限度は本件期間満了日までと明示されていたこと、③会社は、同人に対し、本件期間満了日に先立つ直近の更新時において、本件期間満了日以降を更新しない旨明示していたことなどからすると、同人が本件契約による雇用継続の期待を有することが合理的であったものとは認められない。

 したがって、本件契約は、本件期間満了日の経過をもって、本件雇止めによる期間満了によって終了したものと認めるのが相当である。

 [東京地下鉄地位確認等請求事件 平成22年3月26日 東京地裁判決]

2.社会保険ワンポイント・ゼミナール

 住宅費用は報酬月額に含める?(健康保険・厚生年金保険関係)
 当社は4月から遠距離通勤の社員に対して、会社近くの住宅を借り上げて単身赴任させ、通勤手当の支給を打ち切りました。
 今回、社会保険の報酬月額算定基礎届を提出するにあたり、会社が負担する4月以降の住宅費用は報酬月額に含めなければならないのでしょうか?

「報酬」の定義

 健康保険や厚生年金保険でいう「報酬」とは、賃金、給料、手当などその名称にかかわらず、被保険者が事業主から労働の対償として受けるものをいいます。ただし、賞与など3ヶ月を超える期間ごとに受けるもの、見舞金のような恩恵的に受けるもの、出張旅費など実費弁償的に受けるものなどは除かれることとされています。

 また、報酬は通貨で支払われるものだけではなく、食事、住宅、通勤定期券など現物で支給されるものも、労働の対償として受けた場合は「報酬」となります。

 このような現物で支払われるもののうち、食事と住宅については、厚生労働大臣が都道府県ごとに告示で定めた標準となる価額に基づいて、通貨に換算したうえで報酬に算入することになっています(健康保険組合では、現物給与の価額について、規約により別段の定めをしている場合があります)。


住宅が提供される場台の価額

 現物給与として住宅が提供されている場合の価額は、1ヶ月あたりで1畳を単位として設定されています。その算出にあたっては、居間や寝室、食事室など居住用の部屋のみを対象とします。玄関、台所(炊事場)、トイレ、浴室、バルコニーや廊下など、居住用以外の部分は含めません。

 また、洋間などで畳を敷いていない居住用の部屋については、3.3平方メートルを2畳の割合で畳数に換算するほか、居住用と居住用以外が混在しているダイニング・キッチンなどは、居住用以外の空間を除いて算定することになっています。

 なお、被保険者から住宅費用の一部を徴収している場合は、算出された価額から徴収している金額を差し引いた額が報酬となります。


勤務地の価額が適用される

 本社と支店・営業所などを合わせて一元的に健康保険・厚生年金保険の適用事務所としている場合において、支店などに勤務する被保険者の現物給与は、これまでは本社がある都道府県の価額が適用されていました。しかし、現物給与の価額は、本来は実際に居住している場所での生活実態に合わせることが望ましいことから、平成25年4月1日以降は、対象の被保険者が実際に勤務する支店などがある都道府県の価額が適用されることになりました。


ワンポイントチェック

 現物給与を新たに支給した場合や、その価額が変更となった場合などは、固定的賃金の変動があったとみなされますので、「被保険者報酬月額変更届」の提出が必要となることがあります。

3.参考資料 (「所得拡大促進税制」創設)

 従業員の所得を一定以上拡大したときに法人税が減税されます。
 「所得拡大促進税制」とは、個人の所得水準を底上げする観点から、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に開始する各事業年度において、従業員への給与などの支給額を増加させた場合に税制上の優遇措置が受けられる制度です。

「所得拡大促進税制」の概要

【適用期間:3年間(平成27年度末まで)】

 以下の①、②及び③の要件を満たした場合、国内雇用者に対する給与等支給増加額について、10%の税額控除(法人税額10%(中小企業等は20%)を限度)が認められます。


「雇用促進税制」の拡充

 適用年度中※に雇用者(雇用保険一般被保険者)数を5人以上(中小企業は2人以上)かつ10%以上増加させるなど一定の要件を満たした事業主に対する税制優遇制度である「雇用促進税制」が拡充され、雇用者の増加1人当たりの税額控除額が20万円から40万円になりました。

 ※平成25年4月1日から平成26年3月31日までの期間内に始まる各事業年度。


「所得拡大促進税制」と「雇用促進税制」

 「所得拡大促進税制」は経済産業省が、「雇用促進税制」は厚生労働省が担当しています。詳細につきましてはそれぞれ担当省庁のホームページをご覧ください。 なお、これらの両税制は、どちらか一方の「選択適用」となります。

4.労務管理 (トラブル回避の対応術)

有期契約更新の条件は具体的に明示するべきか?

  このたび関係会社から当社に移籍してくる50歳代の者を、有期契約社員として雇用することにしました。雇用契約書を取り交わすにあたって、契約更新の可能性があるものとしますが、更新する場合の具体的な条件についても契約書に記載しなければならないのでしょうか?
  

労働条件の明示義務

 労働基準法第15条では、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と定めていて、このうち、賃金、労働時間に関する事項のほか、厚生労働省令の定めにより、労働契約期間、および契約を更新することがあり得るとする場合には、更新する場合の基準に関する事項についても明示しなければならないものとされています。

 更新する場合の基準の明示については、従来は厚生労働大臣の告示(「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」)を根拠としていましたが、平成25年4月1日に厚生労働省令(労働基準法施行規則第5条)の改正によって法律に基づくものになり、罰則も適用されるようになりました。

 また同時に、その明示の方法についても書面を交付することが必要となりました。


更新の基準の内容

 契約を更新することがあり得るとする場合に、書面の交付により明示しなければならないこととされる更新の基準の内容については、具体的な要件までは定められてはいませんが、有期労働契約を締結する労働者が、契約期間満了後の自らの雇用継続の可能性についてある程度は予見することができるものとされています。

 たとえば、次のような基準が考えられます。
a 契約期間満了時の業務量により判断する
b 労働者の勤務成績、態度により判断する
c 労働者の能力により判断する
d 会社の経営状況により判断する
e 従事している業務の進捗状況により判断する

 また、こうした更新の基準を使用者が変更する場合も、他の労働条件を変更する揚合と同様に、労働者の合意を得るなど適切な方法によって変更する必要があるとされています。

 有期契約労働者にとっては、更新の有無や更新の基準は関心の高い労働条件だと言えます。雇用契約書に明示することで雇止めの際の無用なトラブル防止になるだけではなく、労働者の不安を和らげ、仕事に前向きに取り組むことにつながることもあります。有期契約労働者を雇用する場合は、更新に関する事項について自社の実情に合わせて、できる限り明確かつ具体的に示しておくことが重要だと言えるでしょう。


5.参考資料(キャリアアップ助成金)

有期契約労働者等の企業内でのキャリアアップに取組む事業主を支援
 非正規雇用問題に対する取り組みの一環として、有期契約労働者等※の企業内でのキャリアアップ等を支援する事業主に対する包括的な助成制度(有期契約労働者等の正規雇用への転換、人材育成、処遇改善等)が平成25年度から創設されました。
 有期契約労働者等のキャリアアップ等を促進することで、労働者の士気・能力の向上等を通じた企業の生産性の向上、優秀な人材の確保・定着が期待できます。
※有期契約労働者および正規雇用の労働者以外の無期雇用労働者をいいます(短時間労働者、派遣労働者を含みます)。


各助成コースの概要

 (本助成金は、次の6つのコースに分けられます。)


対象事業主

 「有期契約労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」に沿って、事業所ごとに①「キャリアアップ管理者」を配置した上で、②「キャリアアップ計画」を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主。なお、このほかに助成コースごとに支給要件があります。

「キャリアアップガイドライン」の主な内容

 「有期契約労働者等のキャリアアップに関するガイドライン」の主な内容は、以下のとおりです。

キャリアアップ計画とは

 有期契約労働者等のキャリアアップに向けた取り組みを計画的に進めるため、事業主の方々のおおまかな取り組みのイメージ(対象者、目標、期間、目標を達成するために事業主が講ずる措置等)をあらかじめ記載するものです。
※キャリアアップ計画は当初の予定を記載するものであり、随時変更ができます(要届出)。

活用事例


6.参考資料(「ハーグ条約」 国内手続法 成立)

「ハーグ条約」に加盟するための国内手続き法が成立しました。
 国際結婚が破綻した夫婦間の子の扱いを定めた「ハーグ条約」に加盟するための国内手続き法が12日午前、参院本会議で全会一致により可決、成立しました。条約自体は5月の参院本会議で承認されており、早ければ今年度内に加盟が実現します。主要8カ国(G8)では日本だけが未加盟で、欧米諸国から早期加盟を強く求められていました。

ハーグ条約の目的

 ハーグ条約とは、オランダのハーグで採択された、国家間の不法な児童連れ去り防止を目的とした多国間条約である「国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」の通称です。「国境を越えて子供を不法に連れ去る、あるいは留め置くことの悪影響から子供を守る」ことを目的としています。


ハーグ条約の概要

 親権・監護権(養育権)を持つ親のもとからその同意なくして他の親が16歳未満の子を、国境を越えて連れ去りまたは隠匿をしたとき、両国がこの条約に加盟していれば、子を奪われた親はその国の政府を通じて相手国に子の返還や面会を請求できます。

 両親の離婚などによって生じる「子どもの国境を越えた移動」そのものが子どもの利益に反するものであり、子どもを養育する「監護権」の手続きは奪取以前の常居所地であった国で行われるべきだとの考えに基づいて、子は移動以前の常居所地であった国へ帰還させるのが原則です。また、別れて暮らす親子が面会する権利の実現を目指すものでもあります。


国際結婚数と離婚数の推移



7.日本年金機構からのお知らせ

7月は社会保険の届出月 ~算定基礎届~

 厚生年金保険および健康保険では、被保険者が事業主から受ける報酬を、いくつかの等級に区分した仮の報酬にあてはめて、保険料や給付額の計算を行います。この仮の報酬を“標準報酬月額”といい、被保険者が受ける報酬の変動に対応するため、毎年7月に見直しを行います。
 これを「定時決定」といい、事業主はこの決定のために算定基礎届を提出します。 なお、数年に1度、年金事務所に来所し、賃金台帳等の関係帳簿を確認します。今年度、年金事務所へ来所が必要な事業所には、別途ご案内が送付されています。


定時決定の対象となる方

 平成25年5月31日までに被保険者の資格を取得した、7月1日現在のすべての被保険者(休職者を含む)が対象となります。 ただし、次に該当する方は、定時決定の対象から除外されます。


提出期限

 平成25年7月1日から7月10日まで


提出先



記載上の留意事項(支払基礎日数等)


8.参考資料(ACROSEEDからのお知らせ)

  外国人研修生・技能実習生の書籍が2013年5月に発行されました。