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メールマガジン2014年04月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2014年04月 Vol.63

1.人事・総務ニュース

3月のできごと

標準報酬月額の平均、5年ぶりに増加 ~ 協会けんぽの24年度事業報告 ~

 全国健康保険協会は4月8日、平成24年度の事業年報を公表しました。

 制度別の標準報酬月額の平均は、平成24年度末時点で、協会けんぽは前年度に比べて0.5%増の27万 6,414円、組合健保は0.7%増の36万5,773円となっています。増加に転じたのは、協会けんぽが5年ぶ り、組合健保が2年ぶりです。

 また、制度別の加入者1人当たりの医療費をみると、協会けんぽは前年度に比べて1.2%増の16万 1,306円、組合健保は1.3%増の14万3,778円となっています。


昨年の年末賞与0.3%アップ ~ 毎月勤労統計調査 ~

 厚生労働省がこのほど公表した毎月勤労統計調査 によると、平成25年の年末賞与(5人以上の事業所 の1人平均支給額)は前年に比べて0.3%増の36万 6,865円となりました。同年の夏季賞与(0.3%増) に続く増加で、年末賞与が増えるのは5年ぶりで す。

 産業別では、「製造業」が2.5%増の47万6,860 円、震災復興や東京五輪に向けて労働力不足が懸念 される「建設業」は8.7%増の35万6,130円となって います。


育児休業給付を4月1日から拡充 ~ 改正雇用保険法が成立 ~

 「改正雇用保険法」が、3月28日の参議院本会議で可決、成立しました。

 育児休業給付について、今年4月1日以降に休業を開始する場合、開始してから180日目までは、休業開始前の賃金に対する支給率が50%から67%に引き上げられました。


厚労省が求人ホットラインを開設 ~ 求人票と異なる労働条件への対策を強化 ~

 このほど厚生労働省は、ハローワークで公開している求人票の記載内容と実際の労働条件が異なる場合に、仕事を紹介された人から電話でその申し出を受け付けるための「ハローワーク求人ホットライン」を開設しました。

 平成24年度に、全国のハローワークに求人票の記載内容と実際の労働条件が違うという申し出が7,000件以上寄せられた状況を踏まえて、申し出を全国一元的に受け付け、労働基準監督署や日本年金機構などと連携を図りながら、該当する企業などに対して事実確認と必要な是正指導を行うといった対策を強化するとしています。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(労災保険の転院手続きと通院費の請求)


病院等を変更するとき

 業務災害や通勤災害によって傷病を負った場合で、急いで処置や治療を受けなければならないときは、災害発生場所からできるだけ近い医療機関を受診することが必要となります。

 治療などを受けたのが労災指定医療機関等であれば、速やかに「療養(補償)給付たる療養の給付請求書」(業務災害用または通勤災害用)を医療機関や保険薬局を経由して所轄の労働基準監督署長に提出することによって、費用を自己負担せずに必要な治療や投薬などを受けることができます。

 また、最初にかかった労災指定医療機関等が自宅から遠いなどの理由により、指定医療機関等を変更することもできます。変更する場合は、変更後の労災指定医療機関等を経由して、所轄の労働基準監督署長に「療養(補償)給付たる療養の給付を受ける指定病院等(変更)届」(業務災害用または通勤災害用)を提出することが必要です。


通院にかかった費用の請求

 労災保険の給付の種類には、傷病を負った労働者の移送などの費用を対象とするものもあり、医療機関等への通院のための費用(通院費)もこれに準じて給付の対象となります。ただし、必ずしも給付が受けられるわけではなく、原則として、以下の基準に照らして労働基準監督署長が認めた場合に、請求に基づいて通院費を受けることができます。

  1. 住居地または勤務地と同一の市区町村内の診療に適した労災指定医療機関等へ通院したとき
  2. 住居地または勤務地と同一の市区町村内に診療に適した労災指定医療機関等がないため、隣接する市区町村内の診療に適した労災指定医療機関等へ通院したとき(住居地または勤務地と同一の市区町村内に診療に適した労災指定医療機関等があっても、隣接する市区町村内の労災指定医療機関等の方が通院しやすいとき等も含まれます)
  3. 住居地または勤務地と同一の市区町村内および隣接する市区町村内に診療に適した労災指定医療機関等がないため、それらの市区町村を越えた最寄りの診療に適した労災指定医療機関等へ通院したとき

 前記①~③のいずれも、住居地または勤務地から片道2キロメートル以上の通院に限られています。ただし、片道2キロメートル未満の通院であっても、症状からみて、交通機関を利用しなければ通院することが著しく困難であると認められる場合には、支給の対象となることがあります。

 また、労災指定医療機関等でない医療機関への通院についても、労災指定医療機関等に準じて取り扱われるとされています。


通院費の請求方法

 通院費を請求する場合には、「療養(補償)給付たる療養の費用請求書」(業務災害用または通勤災害用)を所轄の労働基準監督署長に提出することになります。

 その際には所定の欄に移動区間とその距離、金額などの必要事項を記入し、その金額にかかる領収書を添付します。ただし、交通機関の場合で、領収書がもらえないような場合は領収書の添付は省略できます。



3.参考資料 (日本的雇用・人事の変容に関する調査)

 正社員の解雇規制緩和、4割が肯定的
このほど公益財団法人日本生産性本部が発表した「日本的雇用・人事の変容に関する調査」によると、正社員の解雇規制に関する考え方※に対して、緩和に肯定的な企業が40.8%と、否定的意見の23.7%
を大きく上回ったことが分かりました。
 ※ここでは、「非正社員雇用者の増加の大きな要因の一つは、正社員に対する解雇規制であり、労働力の円滑な流動化促進のためには正社員の解雇規制の緩和が必要」との考え方に対する意見を聞いています。

正社員の雇用・活用について

《仕事と賃金がミスマッチしている年齢層》

 「業務内容や成果・貢献度に比べて賃金水準が見合っていない(賃金水準が高い)正社員」は、どの年齢層に多くみられるか尋ねたところ(2つまで回答)、「特定の年齢層にかたよっていない」という回答が最も多く44.9%、次いで「50歳代」が39.5%、「40歳代」が30. 5%となりました。

 また、そのような人たちは正社員のおよそ何割程度を占めるか聞いたところ、平均20.0%。つまり、正社員の約2割は仕事と賃金が合っていない(賃金水準が高い)と認識されていることになります。


《正社員の解雇規制緩和に対する意見》

 正社員の解雇規制に関する考え方に対する意見をみると、全体的に解雇規制の緩和に肯定的な意見が多く、「そう思う」は14.2%、「どちらかといえばそう思う」は26.6%で、合計40.8%が肯定的な意見となっています。



賃金制度の動向

《定昇制度の有無》

 定期昇給がある企業は67.6%(「一定年齢まで定昇あり」50.0%、「定年まで定昇あり17.6%)と約7割を占めています。

 産業別にみると、第3次産業で「特に年齢や勤続年数に応じた定期昇給はない」という企業が47.2%を占めていることが注目されます。

 また、「一定年齢まで定昇あり」という企業について、定期昇給停止年齢を尋ねたところ、平均は48.9歳となっています。


《今後の定昇制度維持についての考え》

 定昇制度がある企業について、今後も維持するかどうか尋ねたところ、「現状のまま維持する」という企業が72.3%と7割強を占めました。

 次いで、「定期昇給によって上がる水準を抑制したい」が2.5%、「一定年齢まではやむを得ないが、早めの年齢で止めたい」が8.9%、「定期昇給がない賃金制度に転換したい(定昇廃止)」が4.5%などとなっています。


《役割・職務給の導入・定着が進む》

 基本給を構成している賃金項目をみると、管理職層では、役割・職責あるいは職務の価値を反映している部分(役割・職務給)の導入率が76.3%、職務遂行能力の高さを反映している部分(職能給)の導入率が69.2%で、年齢や勤続年数を反映している部分(年齢・勤続給)は25.6%。非管理職層では、「職能給」が最も多く81.1%、次いで「年齢・勤続給」が62.3%、「役割・職務給」が58.0%となっています。

 経年の導入状況をみると、管理職層・非管理職層いずれも「役割・職務給」の導入が進んでいます。



短時間労働者の賃金

《60歳以降の雇用延長への対応》

 60歳以降の雇用延長への対応として、「定年年齢の引き上げ」という企業は3.5%にとどまり、依然として再雇用制度が主流で95.3%を占めます。

 また、再雇用制度で対応するという企業のうち、69.8%は「定年延長はしない」と回答しており、「定年延長については検討しているが未定」の24.1%を大きく引き離しています。


《高年法改正に伴う影響》

 平成25年施行の改正高年齢者雇用安定法(改正法)により、再雇用希望者が「かなり増加する」という企業は17.1%、「やや増加する」は35.4%で、合計すると過半数(52.5%)の企業は法改正により再雇用希望者が増加すると回答しています。

 また、改正法施行に伴い、60歳以上の雇用確保が、新卒採用に影響を及ぼさないか尋ねたところ、65.3%が「影響はない」と回答し、次いで28.2%が「ある程度考慮して採用数を抑制する」としています。


《再雇用者の賃金設定根拠》

 再雇用者の賃金設定根拠を尋ねたところ、現在は「再雇用前の賃金」という企業が最も多く34.2%、次いで「再雇用後に担当する役割(仕事内容・職務)」が29.8%となっています。

 また、今後については、逆に「再雇用後に担当する役割(仕事内容・職務)」が10ポイント増加して39.8%、「再雇用前の賃金」が25.5%となっています。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

複数の口座への給与振り込みを拒否できるか?
 当社は給与を社員が指定する金融機関の口座に振り込んでいます。このほど1人の社員から、毎月の給与を複数の口座に分けて振り込んで欲しいという申し出がありました。

 事務処理が増え、振込手数料もかかるので、1人1口座に限定しておきたいのですが、この申し出を拒否できるのでしょうか?

 また、申し出を認める場合、2番目の口座から振込手数料を差し引いて振り込むという条件を設けても問題はないでしょうか?



賃金の口座振り込みに関する要件

 労働基準法施行規則では、使用者は、労働者の同意を得た場合には、その労働者が指定する金融機関などに振り込むことで賃金を支払うことができると定めています。

 また、本人が自己名義の預貯金口座などを指定すれば、特段の事情のない限り同意が得られているものとされます。


1人1口座の限定

 賃金を振り込みで支給する場合、行政通達では、振込先の金融機関などに関して、「1行、1社に限定せず複数とする等、労働者の便宜に十分配慮して定めること」としています。

 これは、使用者が手数料や事務処理などの負担から振込先口座を設ける金融機関などを1つに指定してしまうと、労働者の希望に沿わないことに繋がるので好ましくないという趣旨であって、1人について複数の振込先口座を認めることを要請しているものではありません。

 したがって、使用者が振込先を特定の金融機関などに限るのではなく、単に「1人1口座」に限定することについては、問題ないといえるでしょう。


振込手数料の控除

 賃金には「全額払いの原則」があり、支払いの際に賃金の一部を控除できるのは、源泉所得税や社会保険料など法令に別段の定めがある場合や、労使協定を締結している場合に限られています。

 行政通達では、「購買代金、社宅、寮その他の福利、厚生施設の費用、組合費等、事理明白なものについてのみ」労使協定によって賃金から控除することを認める趣旨であるとしています。。

 つまり、労働者が負担するべき性質のものであることが明らかで、物事の道理にかなっているようなものは、例外的に賃金からの控除も認めるという解釈が成り立つものといえます。

 質問のように、複数口座を認める場合、その条件として2口座目からは振り込みにかかる手数料分を控除することは、見方によっては道理にかなっているとも考えられます。しかし一方では、振り込みはあくまでも例外的に労働者の同意を得た場合に限りできるものであるから、手数料は本来労働者が負担するべき性質のものではないという考えに基づき、手数料を控除せずに複数口座を認めるか、または1口座に限定することに理解を求めるか、いずれかの対応が望ましいでしょう。


5.参考資料 (育児休業給付金の支給率を引き上げ)

  

支給率が変わりました

 育児休業給付金は、平成26年4月1日以降に開始する育児休業※から、育児休業を開始してから180日目までは、休業開始前の賃金の67%となりました。(これまでは全期間について50%)

 ※平成26年3月31日までに開始された育児休業は、これまでどおり育児休業の全期間について休業開始前の賃金の50%が支給されます。


 育児休業開始から180日目までは休業開始前の賃金の67%が支給され、181日目からは、従来どおり休業開始前の賃金の50%が支給されます。

 ※母親の産後休業(出産日の翌日から8週間)は育児休業給付金の支給対象となる育児休業の期間に含まれません。


支給額は上限、下限があります

 支給の対象期間中に賃金の支払いがある場合、支払われたその賃金の額が休業開始時の賃金日額に支給日数をかけた額に対し、13%を超えるときは支給額が減額され、80%以上のときは給付金は支給されません。

 また、育児休業給付金には上限額と下限額があります。支給率が67%のときの支給単位期間1ヵ月分としての上限額は286,023円、下限額は46,431円です。(支給率が50%のときの支給単位期間1ヵ月分としての上限額は213,450円、下限額は34,650円です。)

※この金額は平成26年7月31日までの額です。


6.参考資料(雇用保険 特定受給資格者の判断基準変更)

特定受給資格者とは

 失業後に受け取る雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)は、被保険者期間、年齢、離職理由により給付制限の有無や所定給付日数が異なります。

 特に倒産・解雇等の理由により離職した者は、「特定受給資格者」として、所定給付日数が手厚くなる等の措置があります。

 「特定受給資格者」については、給付制限がなく、以下の区分に応じて給付を受ける事ができます。


特定受給資格者とは

 今回、4月1日より「特定受給資格者」の判断基準が一部改正されました。その中で労働時間に関する基準が以下の通り変更になっていますので、確認が必要です。赤線部分が新たに追加された部分です。


7.日本年金機構からのお知らせ





8.参考資料

「雇用指針」を発表、雇用ルールの理解に活用 (労働関係の裁判例を類型化)  

 厚生労働省は4月1日、同日施行された国家戦略特別区域法の規定に基づく「雇用指針」を発表しました。

 雇用指針は、新規開業直後の企業やグローバル企業などが、日本の雇用ルールを的確に理解し、労働関係の紛争を生じることなく事業展開することが容易となることを目的として策定されたもので、国家戦略特別区域に設置される「雇用労働相談センター」において、新規開業企業やグローバル企業、労働者からの要請に応じた雇用管理や労働契約事項に関する相談に当たって活用されます。

 同雇用指針は、日本企業にみられる「内部労働市場型」と外資系企業などにみられる「外部労働市場型」の人事労務管理の違いを分析した「総論」、および労働条件の変更、解雇など、紛争になりやすい事項を中心に、参考となる裁判例、雇用慣行、法制度といった関連事項をまとめた「各論」で構成されています。


総論より


 解雇について訴訟に至った場合には、解雇の有効・無効、すなわち労働契約上の権利を有する地位を確認する判断がなされる判決が下されるますが、実際には、判決に至る事案は少なく、多くは和解手続により金銭の支払いと引き替えに労働者が合意解約する等、柔軟な解決が図られています。

 なお、最終的に判決に至った事案では、認容判決と棄却・却下判決の割合は、ほぼ同程度です。


各論より


 「能力不足、成績不良、勤務態度不良、適格性欠如による解雇」

●裁判例では、長期雇用システムの下で勤務する労働者については、単に能力不足、成績不良、勤務態 度不良、適格性欠如というだけでなく、その程度が重大なものか、改善の機会を与えたか、改善の見込みが無いか等について慎重に判断し、容易に解雇を有効と認めない事例もある。

●成績不良、勤務態度不良にもかかわらず、反省せず改善が見られない等の場合に解雇を有効と認める事例もある。

●上級の管理者、技術者、営業社員などが高度の技術・能力を評価、期待されて特定の職務のために即戦力として中途採用されたが、期待した技術・能力を有しなかった場合については、比較的容易に解雇を有効と認める事例もある。