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メールマガジン2014年08月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2014年08月 Vol.67

1.人事・総務ニュース

平成25年度労災補償状況 ~脳・心臓疾患の労災認定、3年ぶり減少~

 厚生労働省がまとめた平成25年度の労災補償状況によると、「過労死」などの脳・心臓疾患に関する労災認定件数は306件で、前年度に比べ32件減少。認定件数が減ったのは3年ぶりとなっています。

 一方、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害に関する労災請求件数は1,409件で、前年度に比べ152件増加して過去最多となりましたが、労災認定件数は436件で同39件減少しています。


過労死防止法が成立 ~11月を「過労死等防止啓発月間」に~

 過労死や過労自殺の防止などの対策実施を国の責務とする「過労死等防止対策推進法」が6月20日、 参議院本会議で可決、成立しました。

 国や自治体による具体的な対策として、実態の調査研究や広報活動、医療提供体制の整備、過労死などのおそれがある人や親族への支援などを定めるとともに、勤労感謝の日がある11月を「過労死等防止 啓発月間」として設定。厚生労働省は今年からの実施を目指し、11月までに法律が施行されるように調整を進めることにしています。


通常国会が閉会 ~労働者派遣法の改正案は廃案に~

 通常国会に提出されていた「改正労働者派遣事業法案」は、6月22日に国会が閉会したことにより廃案となりました。同法案は、派遣可能期間の規制を改めることなどが柱となっていました。

 一方、専門的知識を有する有期雇用労働者などについて、労働契約法に基づく無期転換ルールの特例を設けることを内容とした「有期雇用労働者特措法案」は、手続きを経て次の国会での継続審議扱いとなっています。


25年度雇用均等基本調査結果速報 ~女性の育休取得率、7.3ポイント低下~

 厚生労働省はこのほど、「平成25年度雇用均等基本調査」の結果の速報版(事業所調査)をまとめました。5人以上規模の5,862事業所を対象として昨年10月1日現在の状況を調べたもので、女性の育児休業取得者の割合は76.3%となっており、前年度(83.6%)に比べ7.3ポイント低下しています。

 一方、男性の育児休業取得者は2.03%で、前年度(1.89%)に比ベプラス0.14ポイントと、わずかながら上昇しました。


社会保障審議会(部会)で了承 ~出産一時金、「42万円」を維持へ~

 社会保障審議会(厚生労働大臣の諮問機関)の部会は7月7日、公的な医療保険から受ける出産育児一時金を、現行の42万円で据え置くことを了承しました。

 平成27年1月に施行予定の産科医療補償制度の見直しでは、掛金が3万円から1万6,000円に引き下げられることになります。しかし、平成24年度における全国の平均的な出産費用(医療外費用を除く)は41万7,000円となっており、原則としている39万円に、掛金の3万円が加算された現行の一時金の扱いについて、加算額を縮小することで本人の実質的な負担増となることを避けるため、総額42万円を維持することにしたものです。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(海外勤務者の報酬の取り扱い)


報酬とは

 健康保険や厚生年金保険の制度において、保険料や給付の算定のもとになる報酬とは、労働者が、労働の対償として受けるものをいい、金銭(通貨)に限らず、現物で支給される通勤定期券、食事や住宅についても、一定の基準で報酬に含まれます。ただし、年3回まで支給される賞与は、報酬の範囲ではなく、「標準賞与額」の対象となります。

 一方で、法律に基づく休業補償や解雇予告手当のような労働の対償ではないもの、出張旅費のように実費弁償的なものは報酬には含まれず、見舞金や祝金のように事業主が恩恵的に支給するものも、原則として報酬には該当しません。


海外勤務者に支払われる給与

 日本国内にある適用事業所で健康保険・厚生年金保険の被保険者資格を有したまま、出向などにより海外で勤務する人に、海外の事業所から給与が支払われる場合であっても、その給与が国内の事業所の給与規定や出向規定に基づいたもので、実質的にみて国内の適用事業所から支給されていることが確認できる場合、それは健康保険・厚生年金保険制度における「報酬」とされます。

 具体的な例を示しますと、国内の適用事業所(A事業所)に勤務する被保険者が海外の事業所(B業所)に出向して、A事業所およびB事業所双方から給与を受けている場合で、a事業所の給与規定や出向規定に基づいて、A事業所から40万円が支給され、B事業所からも30万円が支給されている場合は、その合計の70万円が報酬になります。


その他の注意点

 海外への赴任に伴う渡航費用については、国内の適用事業所から支払われる給与にその精算額が含まれている場合であっても、渡航費用が実費弁償を行ったものであることが確認できれば、報酬には含めません。

 また、海外勤務者に対して給与を外貨で支払う場合は、実際に支払われた外貨の金額を、支払日の外国為替換算率で日本円に換算した金額を報酬額とします。



3.労務管理(トラブル回避の対応術)

 残業時間の端数切捨ては問題か?
 当社では、社員の残業手当の計算にあたって、事務処理の理由から時間外労働の1か月の合計を30分単位で切り捨てて算定しています。たとえは、59分の端数が生じた場合には、29分を切り捨て「30分」としています。
 一方で、遅刻や早退時間は、端数を30分単位で切り上げています。こうした運用方法は何か問題があるでしょうか?

時間外労働等の割増賃金

 労働基準法(第24条)では、賃金は、原則として、その全額を労働者に支払わなければならないと定められています。(全額払いの原則)

 また、時間外労備、休日労働および深夜労働に対しては、一定の率以上の率で計算された割増賃金を支払わなければならないと定められています。(第37条)

 このことから、時間外労働時間の計算に当たっては、タイムカードや出勤簿などで記録された時間どおりに割増賃金を算定することが必要とされます。

 しかし、通達では、割増賃金の計算における端数処理について、次のような事務処理方法は、法違反としては取り扱われないとしています。

  1. 1ヵ月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数がある場合に、30分未満の端数を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること
  2. 1時間当たりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げること
  3. 1ヵ月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じた場合、(2)と同様に処理すること

 こうした方法は、いずれも常に労働者の不利になるものではなく、事務を簡略化することを目的としたものであり、便宜上必要な扱いと認められるので、問題はないとされています。


切り捨てだけで問題

 質問の場合の、時間外労働の合計時間を30分単位ですべて切り捨てていることについては、事務処理を簡略化するためであっても、切り捨てだけでは常に労働者の不利になってしまうので、適正な方法ではありません。したがって前述の(1)の端数処理方法に改める必要があります。


遅刻。早退時間の端数切り上げは

 また、遅刻、早退時間の賃金控除の計算において生じる端数処理について、実際に労働の提供がなかった時間を超えてのカット、例えば、5分の遅刻を30分の遅刻として賃金をカットすることは、実際に労働した25分をカットしたことになるので、基本的には、全額払いの原則に反して違法であるとされています。ただし、このような取扱いを就業規則に定める減給の制裁として、労働基準法(第91条)で定める制限(減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない)の範囲内で行う場合は、全額払いの原則には反しないものとされています。



4.参考資料 (メンタルヘルス支援会社の産業医紹介サービスが拡大中)


ストレスチェックの義務化

 先日、労働安全衛生法の改正案が成立し、医師、保健師などによるストレスチェックの実施が事業者に義務付けられることになりました(従業員50人未満の事業場については、当分の間努力義務)。 これにより、企業は社員が精神疾患を発症する前に対策をとることが求められます。


産業医の照会サービス

次のような企業のメンタルヘルス対策を支援するサービスが拡大中のようです。

  • 企業が求める診断能力を持つ産業医を紹介するサービス
  • グローバル化に対応し、英語版のストレスチェックを提供するサービス
  • 独自のストレスチェックテストで問題があった場合に産業医を派遣するサービス

精神疾患による労災件数

 過労や職場でのいじめにより「うつ病」などの精神疾患を発症したとして労災申請をした人数は、2013年度には1,409人となり、過去最多を更新しました。また、実際に労災認定された人は2年連続で400 人を超えています。

 メンタルヘルス不全や精神疾患の発症を招かないためには、事前の対策が重要です。長時間労働や過重労働は、日ごろの労務管理で対応し、併せてこのようなサービスを利用することも検討すべきでしょう。



5.参考資料 (「受動喫煙防止対策助成金」のご案内)

  6月25日に公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」において、「事業者は、労働者の受動 喫煙を防止するため、適切な措置を講ずるよう努めるものとする」と定められるなど、職場での受動喫煙 防止対策の実施は、もはや避けて通れない課題と言えるでしょう。
 そこで今号では、喫煙室を設置して労働者の健康を守る事業主を支援するため、その費用の一部が支
給される「受動喫煙防止対策助成金」の概要をご紹介します。
※7月1日に交付要領などが改正され、宿泊業・飲食業に対する換気措置などの助成が開始されています。

対象となる事業主


  1. 労働者災害補償保険の適用事業主であること
  2. 次のいずれかに該当する中小企業事業主であること
  3. 一定の基準(喫煙室の入口において、喫煙室内に向かう風速が0. 2m/s以上)を満たす喫煙室を設置(改修も含む)すること
  4. 事業場内において、喫煙室以外を禁煙とすること

助成内容

 喫煙室の設置などにかかる経費のうち、工費、設備費、備品費、機械装置費などの経費の2分の1の 額が支給されます。

 支給は事業場単位とし、1事業場につき1回です。また、同じ事業場で複数の喫煙室を設置する場合 は、1件の申請として、まとめて行ってください。(申請の上限額は200万円)



6.日本年金機構からのお知らせ




7.参考資料

3Mによる安全チェック  

災害が発生するのを防止するためには、災害発生の要因となる芽をつぶしていくことが大切です。この災害の芽をつぶしていくチェック方法として、3Mによる安全チェックがあります。ここで、3Mとは、ムリ、ムラ、ムダのことを言います。  


3Mによるチェック


 まず、安全チェックをする必要のある「業務」を特定します。そして、この業務を以下の点からチェックしていきます。

  1. 人員にムリ・ムラ・ムダはないか
  2. 技能にムリ・ムラ・ムダはないか
  3. 方法にムリ・ムラ・ムダはないか
  4. 時間にムリ・ムラ・ムダはないか
  5. 設備にムリ・ムラ・ムダはないか
  6. 道具にムリ・ムラ・ムダはないか
  7. 資材にムリ・ムラ・ムダはないか
  8. 作業量にムリ・ムラ・ムダはないか
  9. 場所にムリ・ムラ・ムダはないか
  10. 考え方にムリ・ムラ・ムダはないか

チェックシートの作成と改善

 3Mによる安全チェックの実際の進め方としては、以上の3Mによるチェック項目を記載してあるシートを作成します。次に、検討している対象業務について、このうちのどれかに該当するか否かを、その業務の責任者を中心にして作業者とともにチェックしていきます。そして、どれかに該当することが分 かったら、それに対する改善策を皆で検討していきます。

 例えば、対象業務の時間について、やりきるのにムリがあれば、慌てて作業することにより事故が発生しやすくなりますし、ムラがあれば、作業リズムが狂いこれもまた事故を誘発する芽になります。さらにムダがあれば、作業効率が落ちて仕事が回らなくなり焦りが出て、この焦りが災害の引き金になることがあります。

 このように対象業務については、ムリ、ムラ、ムダのない適正な時間(改善策)を決めて、それにより業務を行うこととします。


改善策の実行

 このように3Mによる安全チェックを行い、改善策を決めた場合、大切なのは、皆がそれに従い、業務を行うことです。改善策を職場で実行に移すことにより、初めて災害の芽をつぶすことになるからで す。