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メールマガジン2014年09月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2014年09月 Vol.68

1.人事・総務ニュース

地域別最低賃金額改定の目安を表示 ~ 全国平均で16円引き上げ ~

 平成26年度の地域別最低賃金額改定について、中央最低賃金審議会は7月29日、引上げ額の目安を示す答申を取りまとめました。

 各都道府県をA~Dの4つのランクに区分けし、地域別最低賃金の引上げ額の目安は、Aランク19円、Bランク15円、Cランク14円、Dランク13円とされ、全国加重平均は16円(昨年度は14円)。目安額どおりに最低賃金が改定されれば、生活保護水準が最低賃金を上回っている5道都県(北海道、宮城、東京、兵庫、広島)の「逆転現象」は解消される見込みだということです。

 今後は、各地方最低賃金審議会がこれを参考に審議を行い、各都道府県労働局長が最終的な改定額と発効日を決定することになっています。


厚労省が緊急対策を実施へ ~ 労災死亡者数が2割増加 ~

 厚生労働省がこのほど公表した平成26年1月~6月の労働災害発生状況(速報値)によると、全産業における死亡者数は437人で前年同期に比べて71人、19.4%増加しました。また、休業4日以上の死傷者数は4万7,288人で、同1,625人(3.6%)の増加となっています。

 業種ごとの労働災害発生状況をみると、製造業では機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」、建設業では屋根、足場、はしご・脚立などからの「墜落・転落」と建設機械などに「はさまれ・巻き込まれ」がいずれも大幅に増加。また、第三次産業(小売業、社会福祉施設、飲食店)では、転倒や無理な動作による腰痛などが多発しています。

 同省では、こうした状況を受け、労働災害のない職場づくりに向けた緊急対策を実施。業界団体などに対して、企業の安全衛生活動の総点検と、労使・関係者が一体となった労働災害防止活動の実施を要請するとしています。


監督指導の結果を発表 ~ 最低賃金の違反率が10%こえる ~

 厚生労働省が平成26年1月から3月にかけて実施した最低賃金の履行確保を主眼とする監督指導の結果によると、対象とした全国1万3,975事業場のうち、最低賃金額以上の賃金を支払っていないのは1,491事業場となっており、法違反率は10.7%で、前年(9.6%)を1.1ポイント上回ったことがわかりました。

 また、法違反事業場の認識状況をみると、「金額は知らないが、最低賃金が適用されることを知っている」が51.5%と最も多く、次いで「適用される最低賃金の額を知っている」が39.6%、「最低賃金が適用されることを知らなかった」が8.9%となっています。


2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(教育訓練給付の拡充)


「専門実践教育訓練」の新設

 一定の要件を満たす雇用保険の一般被保険者または一般被保険者であった人が、厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合に、受講に支払った費用の一部を受けることができます。これを「教育訓練給付金」といいます。

 法改正により、平成26年10月1日から、中長期的なキャリアアップを支援するため、専門的・実践的な教育訓練として指定された講座(専門実践教育訓練)を受講した場合には、教育訓練給付金の給付割合の引上げや追加支給が行われるようになります。


拡充対象となる講座は

 新しい制度の対象となるのは、次の(1)~(3)の教育訓練のうち、資格試験の受験率および合格率、就職・在職率などの基準を満たすもので、厚生労働大臣が指定した講座です。

 (1)業務独占資格・名称独占資格の取得を訓練目標とする養成施設の課程
看護師や調理師の養成施設の課程など、国や他方公共団体の指定などを受けて実施されるもの

(2)専門学校の職業実践専門課程
専修学校の専門課程のうち、企業などとの連携により、最新の実務知識などを身に付けられるよう 教育課程を編成したものとして文部科学大臣が認定したもの

 (3)専門職大学院
高度専門職業人の養成を目的とした課程


新制度の支給要件

 専門実践教育訓練に対する教育訓練給付金の支給対象となるのは、以下の①または②に該当する人です。

 ①10月1日以降に初めて受給する場合
受講開始日前までに通算して2年以上の雇用保険の被保険者期間を有している人(10月1日前に教育訓練給付を受給した場合は、その受給に係る訓練の受講開始日から今回の受講開始日前までに、通算して2年以上の被保険者期間が必要です。)

 ②10月1日以降に2回目以降として受給する場合
前回の受講開始日から次の専門実践教育訓練の受講開始日前までに、通算して10年以上の雇用保険の被保険者期間を有している人


給付の内容

 専門実践教育訓練を受講した場合に受けられる給付金は、受講者が支払った訓練経費の40%(通常の訓練は20%)に相当する額となります。

 さらに、受講修了目の翌日から1年以内に、あらかじめ定められた資格を取得等し、一般被保険者として雇用された人、またはすでに雇用されている人に対しては、訓練経費の20%に相当する額が追加支給されます。

 ただし、専門実践教育訓練の給付額は1年間で32万円が上限とされ、20%の追加支給を受ける場合は合計で48万円が上限となります。(通常の訓練は10万円が上限)

 給付を受けられる期間は、原則として2年間ですが、資格の取得につながる場合は最長3年間となっています。



3.参考資料 (男女雇用機会均等法施行規則等の見直し)

 平成26年7月1日から、改正「男女雇用機会均等法施行規則」等が施行されており、改正の主な内容をお知らせします。

【「間接差別」となるおそれがあるものとして禁止される措置の例】

  • 労働者の募集に当たって、長期間にわたり、転居を伴う転勤の実態がないにもかかわらず、全国転勤
    ができることを要件としている。
  • 部長への昇進に当たり、広域にわたり展開する支店、支社などがないにもかかわらず、全国転勤が
    できることを要件としている。




4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 最低賃金に引き上げるのはいつから?
 当社では、アルバイトは最低賃金の時間給で雇用しています。毎年10月頃に地域別の最低賃金が改定されていますが、発表された発効日が、いつも当社の給与計算期間の途中となります。
 当社では、給与計算期間の途中で最低賃金が改定される場合は、計算処理の便宜上、次の計算期間から最低賃金に応じた時間給に引き上げていましたが、この方法で問題はあるでしょうか?
 問題があるとすれば、改定される当月の計算期間の給与について、差額を別に支給することでよろしいでしょうか?

最低賃金とその発効日

 最低賃金法(第4条)では、使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金以上の賃金を支払わなければならないと定められています。現在の最低賃金は時間額のみで示されますので、日給や月給の場合、1日の所定労働時間や1ヵ月の所定労働時間で除した金額と最低賃金の時間額を比較することになります。地域別最低賃金は、地方最低賃金審議会での地域の実情を踏まえた審議・答申を経た後、都道府県労働局長が決定、公示することにより確定し、その効力が生ずる日(発効日)は、各都道府県によってまちまちとなっています。

発行日が給与計算期間の途中にある場合

 改定後の最低賃金は、公示された発効日から施行されることになるので、発効日が賃金計算期間の途中にある場合であっても、発効日以降の労働日に対する賃金が、最低賃金を下回るのであれば違反となります。

 質問のケースのように、アルバイトに最低賃金での時間給を適用している場合、計算期間の途中で時間給を上げることが必要となりますが、実際には事務処理が煩雑になり、思わぬ負担がかかることもあります。

 このようなときに、煩雑さを避けるため当月の賃金計算期間から、前倒しで時間給を引き上げるといった対応でも良いのですが、それが無理であれば、当月の賃金計算期間の時間給は据え置きにして、改定後の最低賃金との差額を別に計算して支給する方法も考えられます。


注意点は

 最低賃金法の施行規則では、臨時に支払われる賃金や時間外労働等の割増賃金等は最低賃金の算定から除外されるものとして定められています。

 したがって、差額を別に計算して支給する場合には、それが臨時に支払われる賃金とみなされないよう、計算上の時間給と改定後の最低賃金との差額であることが分かるように明示して支払うことが必要となるでしょう。そのうえで、翌月の賃金計算期間からは、時間給を改定後の最低賃金以上に引き上げるようにします。

 また、発効日以降の割増賃金計算の基礎となる時間給についても、改定後の最低賃金を下回ることはできませんので、注意しましょう。



5.参考資料 (経営トップによる安全衛生方針の表明)

 昨今、経営トップによる安全衛生方針の表明がクローズアップされています。各企業自ら進んで経営トップにより表明された方針を公表したり、また、行政等の指導により各企業が表明した方針を、その企業の同意を得て公表したりしています。

経営トップによる安全衛生方針の表明の必要性

 全国安全週間の実施要領や「職場における腰痛予防対策指針」等において、それぞれの趣旨に応じてトップとして対策に取り組む方針を表明することが必要とされています。

 また、労働安全衛生法では、一定規模以上の事業場ごとに事業の実施を実質的に統括管理する権限と責任をもつ総括安全衛生管理者の選任が必要とされていますが、この総括安全衛生管理者の職務の中にも「安全衛生に関する方針の表明に関すること」が入っています。


 このように経営トップによる安全や衛生に係る方針の表明が必要とされるのは、経営権や人事権等強力な力を有している経営トップ自らが安全衛生管理の最高責任者として、労働者の安全と健康確保が最優先である旨を宣言することが、労働災害防止対策や健康確保対策を推進するためには重要であると考えられているからです。このような宣言により、関係者全員が一丸となって安全衛生活動を実行し、職場から危険有害要因をなくす対策を推進していく力が加わることになると考えられているからです。


経営トップによる安全衛生方針の内容

 経営トップによる安全衛生方針の内容ですが、まさに経営トップ自らの安全衛生に関する基本的な考え方を示すことになるため、企業の規模、事業態様、企業文化、今までの安全衛生活動の実績、安全衛生水準、労働災害の発生状況等を踏まえることが重要です。


 関係者全員の理解と協力を得る必要があるのですから、実態とかけ離れた場合は、現場の従業員の心に届かず実効性をそぐ結果になってしまうからです。


安全衛生方針の文書化

 せっかく経営トップが基本理念を踏まえた安全衛生方針を示すのですから、文書で具体的に示すことが必要です。そして、経営トップが署名することで、自らの責任により意思表明したことを示すのも必要です。


安全衛生方針の周知

 さらに、経営トップの安全衛生方針について、従業員に周知することが必要です。経営トップがどんなに素晴らしい方針を表明したとしても、従業員が実行に移さない限り、絵に描いた餅になってしまうからです。実行に移すまで浸透させるためには、従業員が経営トップの安全衛生方針を知っていて、その内容を説明できるというところまで周知していくことが必要となります。


6.参考資料 (7割超が「健康」を実感)

 このほど厚生労働省が民間企業に委託して実施した「健康意識に関する調査」(20歳以上の男女5, 000人が対象)によると、ふだんの健康状態について、73.7%の人が「自分は非常に健康または健康な方」と考えていることが分かりました。

幸福感・健康意識等


◆現在の幸福感を10点(とても幸せ)から0点(とても不幸)で点数化したところ、「7点」19.9%が最も多く、次いで「8点」19.0%などとなっており、平均は「6.38点」でした。また、その幸福感を判断する際に重視した事項(複数回答)としては「健康状況」54.6%が最も多く、次いで「家計の状況(所得・消費)」47.2%、「家族関係」46.8%となっています。

◆ふだんの健康状態については「健康な方だと思う」66.4%が最も多く、次いで「あまり健康ではない」21.7%、[非常に健康だと思う]7.3%、「健康ではない」4.6%となっています。 また、その健康状態を判断する際に重視した事項(複数回答)としては「病気がないこと」63.8%が最も多く、次いで「美味しく飲食できること」40.6%、「からだが丈夫なこと」40.3%、「ぐっすり眠れること」27.6%となっています。

◆健康に関する情報源として、いつも接しているのは「インターネット」32.5%が最も多く、次いで「テレビ・ラジオ」31.9%、「新聞」23.7%となっています。

◆健康に関して必要だと思う情報(複数回答)を聞いたところ、「からだについて」50.9%が最も多く、次いで「医療・医療施設について」46.7%、「食事・栄養について」35.7%となっています。


健康行動


◆月に自身の健康のために出費してもよいと考える金額(ここでは健康食品の購入費などのことで、医療費・薬剤費は含めていない)は平均3,908円で、実際の出費額は平均3,049円でした。

◆ふだんから健康のために心がけていることを聞いたところ、「健康のために生活習慣には気をつけるようにしている」36.7%が最も多く、次いで「病気にならないよう気をつけているが、特に何かをやっているわけではない」32.5%となっています。

 また、今後健康のために気をつけたいこと(複数回答)は「食事・栄養に気を配りたい」56.5%が最も多く、次いで「過労に注意し、睡眠、休養を十分とるよう心がけたい」55.5%、「運動やスポーツをするようにしたい」51.4%、「定期健診を受けるようにしたい」39.0%となっています。


食生活

 自身の健康のために食生活に「気をつけている」と回答した人は68.8%で、具体的に気をつけていること(複数回答)としては「朝昼晩と1日3回規則正しく食べている」66.7%が最も多く、次いで「栄養のバランスを考えて、色々な食品をとる」51.6%、「ホウレン草、ニンジンなど緑や黄色の濃い野菜を食べている」47.5%、「魚・肉・卵を食べている」47.2%となっています。



7.参考資料失業給付の支給額引下げ)

 離職者に支給される雇用保険の失業手当の額は、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減によって毎年8月1日にその額が変更されますが、2014年度は、2013年度の平均定期給与額が前年比で約0.2%減少したことから、全体に若干の引下げとなりました。

失業手当


 失業手当の日額は年齢に応じて上限額が定められており、下限額は全年齢共通で定められています。
上限額は、29歳以下の方は6,390円(15円減額)、30~44歳の方は7,100円(15円減額)、45~59歳の方は7,805円(25円減額)、60~64歳の方は6,709円(14円減額)となっています。

 下限額は、1,840円(8円減額)です。

 なお、実際に支給される日額は、離職時の賃金日額に45~80%の給付率を掛けて算出されます。
失業手当は、失業認定期間(28日)中に自己の労働による収入がある場合、収入を得た日については減額支給されることとなりますが、この控除額も1,286円(3円減額)と、引き下げられています。


就業促進手当


 再就職手当・常用就職支度手当の算定における失業手当の日額の上限額は、59歳以下の方は5,825円(15円減額)、60~64歳の方は4,720円(9円減額)となります。

 就業手当の1日当たり支給額の上限額は、59歳以下の方は1,747円(5円減額)、60~64歳の方は1,416円(2円減額)となります。


高年齢雇用継続給付


 高年齢雇用継続給付の支給額は、60歳以上65歳未満の各月の賃金が60歳時点の賃金の61%以下に低下した場合は各月の賃金の15%相当額、60歳時点の賃金の61%超75%未満に低下した場合は、その低下率に応じて各月の賃金の15%相当額未満の額となり、支給限度額を超えて賃金が支給された場合には支給されません。

 この支給限度額が、340,761円(781円減額)となっています。



8.参考資料(改正パート労働法施行規則を公布)

パートの相談窓口明示を義務付け  

 平成27年4月1日に施行される「改正パートタイム労働法」の施行規則が、7月24日に公布されました。

 改正施行規則では、事業主がパート労働者を雇い入れたときに文書の交付等により明示しなければならない事項に、パート労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口(相談担当者等)を新たに追加するとしています。


 また、通常の労働者との均衡確保の努力義務の対象外となる賃金として挙げられている通勤手当について、職務の内容に密接に関連して支払われる場合は、均衡確保の努力義務の対象にすることとしています。

 これにより、事業主は、通勤手当を距離や実際にかかる経費に関係なく、職務に密接に関連する賃金としてパート労働者(通常の労働者と同視すべきパート労働者以外)に対して支給する場合には、職務の内容、成果、意欲、能力または経験等に応じて支給基準や金額を決定するよう努めることが必要となります。

 このほか、改正パート労働法では、パート労働者を雇い入れた際、事業主による雇用管理の改善措置の内容についての説明義務が新たに設けられていますが、これに伴い指針では、事業主は、待遇の決定に当たって考慮した事項の説明をパート労働者が求めたことを理由として不利益な取扱いをしてはならないこと、およびパート労働者が不利益な取扱いを恐れて、こうした説明を求めることができないことがないようにすることとしています。

 改正施行規則は、改正パート労働法にあわせて、平成27年4月1日から施行されることになっています。