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メールマガジン2014年12月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2014年12月 Vol.71

1.人事・総務ニュース

マイカー通勤者などが対象 ~ 通勤手当の非課税限度額を引き上げ ~

 国税庁はこのほど、政令改正により、給与所得者に支給する通勤予当の非課税限度額を引き上げたと発表しました。

 引上げの対象となるのは、通勤のため自動車などの交通用具を使用している人に対する通勤手当で、片道の通勤距離に応じた各区分で改定。最も長い距離の45km以上については、従来の24,500円(1ヵ月あたり)を28,000円に引き上げ、さらに55km以上については31,600円とする区分が新たに設けられました。

 この改正は平成26年10月20日に施行され、平成26年4月1日以後に支払われるべき通勤手当について適用されますが、すでに支払われた通勤手当については、改正後の非課税規定を適用した場合に過納となった税額を、今年分の年末調整の際に精算することになります。


マタハラ訴訟で最高裁 ~ 妊娠後の降格を認めた二審判決を差し戻し ~

 広島市の病院に勤務していた理学療法士の女性が、妊娠後に降格されたのは不当だとして、病院側に損害賠償などを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁(第1小法廷)は10月23日、降格を認めた二審判決を破棄し、審理を広島高裁に差し戻しました。

 女性は、平成16年にリハビリ部門の副主任に任命されましたが、第2子を妊娠した20年に軽い業務への転換を求めたところ、副主任を外され、翌年に育児休業から復職した後も元の役職には戻れず、管理職手当も支給されませんでした。

 判決で裁判長は、「降格は、本人の請求に基づく軽易業務への転換期間中の一時的な措置ではなく、復職後も副主任への復職を予定していない措置としてされたものとみるのが相当」であり、「(女性の)意向に反するものであったというべきもの」とし、原審で審理を尽くすことが必要だという判断を示しました。


標準報酬月額の上限引上げを提案

 社会保障審議会の医療保険部会は、医療保険制度改革の一環として、会社員などの保険料や給付の基準となる「標準報酬月額」の上限を引き上げるなどの見直し案を提示しました。

 高所得者層の保険料負担の増加を図るため、上位の区分を4つ追加し、上限を現在の「121万円(47等級)」から「145万円(51等級)」に引き上げる案としています。実施されれば、約19万人が見直し後の最高等級に該当し、約700億円の増収が見込まれるということです。

 厚労省は、医療制度改革関連法案を来年の通常国会に提出する方針です。


配偶者の年収の「壁」解消へ

 社会保障審議会(厚生労働大臣の諮問機関)の年金部会は11月4日、女性の就労促進に向けた、働き方に中立的な社会保障制度などへの改革について検討を始めました。

 同部会の議論では、年収が一定基準以上になると健康保険の被扶養配偶者や国民年金の第3号被保険者でなくなり、新たな保険料負担が生ずるいわゆる「130万円の壁」について、「先送りのできない課題である」として、改革は早急に実行するべきという考えを明確にしています。

 また、税制において、配偶者の年間給与収入が「103万円」以下の場合に適用される配偶者控除や、民間企業で支給される家族手当などの多くが、健康保険法上の被扶養者や税制上の配偶者控除が適用される者を支給の基準としていることが、女性の働く意欲を阻害している「壁」となっているとの指摘があります。

 こうしたことを受けて、年収の壁を解消するための見直しの方向性と、具体的な取り組みの案が示されました。

 社会保険料については、第3号被保険者の給与所得水準や働き方に応じて段階的に保険料負担が変わることで、世帯の可処分所得が大きく増減しないようにする案があげられ、配偶者控除については、配偶者の給与所得の有無に関わらず、夫婦に対しては一定額の控除ができる制度を導入するなど、考え方について整理し、今後も議論を進めるべきとしています。


2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(資格取得時の本人確認事務の変更等)


資格取得時の本人確認

 平成26年10月1日より、日本年金機構に厚生年金被保険者資格取得の届出をする際、本人確認の事務の取扱いが一部変更になりました。

 これは、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の導入により、平成28年1月から公的年金などの社会保障分野や税分野で、「マイナンバー(個人番号)」の利用が順次開始されることに向けた取り組みとして行われるものです。

 マイナンバーは、住民票コードを基礎にして作成され、平成27年10月以降に市区町村から住民票の住所に送られる「通知カード」で通知される予定となっています。そのため、厚生年金の資格取得の際に、基礎年金番号を持っていない人や不明である人の場合には、従来どおり、運転免許証などで本人確認を行うことに加えて、届け出る本人の住所についても、原則として住民票上の住所であることが必要となりました。

 基本的には、日本国内に住所がある20歳以上の人は基礎年金番号を持っていますが、20歳未満や外国人のように基礎年金番号を持っていない人、年金手帳を紛失したなどで基礎年金番号が分からない人については、運転免許証、住民基本台帳カード(写真付きのもの)、旅券(有効期限内のパスポート)、在留カード、国または地方公共団体の機関が発行した資格証明書(写真付きのもの)などで、本人であることを確認する必要があります。

 また、住民票上の住所以外に本人宛に郵便物が届く住所がある場合は、資格取得届の住所欄に「郵便物が届く住所」を記入し、備考欄に「住民票上の住所」を記入することになりました。
日本年金機構では、届出があった住民票上の住所をもとに住民基本台帳ネットワークシステムへ本人照会をし、確認をするとしていますが、本人確認ができなかった場合は、資格取得届などをいったん返すとしています。

 このようなことから、本人確認と住民票上の住所の確認を、今まで以上にしっかりと行うことが必要となりました。


「ローマ字氏名届」の提出

 外国籍の人の年金記録を適正に管理していくため、平成26年10月より、外国籍の人の厚生年金被保険者資格取得届などを提出する際に、ローマ字表記の氏名を持つ人については、「ローマ字氏名届」もあわせて提出することになりました。

 届出書には、在留カード、住民票の写しなどに記載のあるローマ字の氏名とふりがなを記入し、住民票上で漢字の氏名や通称の氏名を持つ人は、それもあわせて記入することになっています。
なお、すでに被保険者である外国籍の人についても、ローマ宇氏名届の受付が行われています。



3.参考資料 (「夫は外、妻は家庭」 5割が反対)

 このほど内閣府が発表した「女性の活躍推進に関する世論調査」によると、49.4%の人が「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という考え方に「反対」と回答し、2年前の前回調査と賛否が逆転したことが分かりました。平成4年の同調査開始から、回を重ねるごとに反対が増え続けていましたが、平成24年の前回調査では、賛成が反対を上回っていました。
 なお、この調査は今年の8月から9月にかけて、全国の成人男女5,000人を対象に行われました。

「夫は外で働き、妻は家庭を守る」


 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきだ」という考え方に「賛成」する人は44.6%、「反対」する人は49.4%。前回調査と比較すると、「賛成」が7.0ポイント低下し、「反対」が4.3ポイント上昇しました。

 「賛成」と答えた人の理由としては、「妻が家庭を守った方が、子どもの成長などにとって良いから」が59.4%と最も高く、以下、「家事・育児・介護と両立しながら、妻が働き続けることは大変だから」(37.3%)、「夫が外で働いた方が、多くの収入を得られるから」(27.0%)などの順となりました。

 また、「反対」と答えた人の理由としては、「固定的な夫と妻の役割分担の意識を押し付けるべきではないから」が48.5%と最も高く、以下、「妻が働いて能力を発揮した方が、個人や社会にとって良いから」(42.6%)、「夫も妻も働いた方が、多くの収入が得られるから(42.3%)などの順となりました。(複数回答)

女性の活躍が進んだ時の社会の姿


 政治・経済などの各分野で、女性の参加が進み、女性のリーダーが増えるとどのような影響があると思うか聞いたところ、


●「男女問わず優秀な人材が活躍できるようになる」が65.0%と最も高く、以下、「女性の声が反映されやすくなる」(55.9%)

●「多様な視点が加わることにより、新たな価値や商品・サービスが創造される」(42.8%)

などの順となりました。


女性の活躍を進めるに際しての障害


 政治・経済などの各分野で女性のリーダーを増やすときに障害となることは何だと思うか聞いたところ、「保育・介護・家事などにおける夫など家族の支援が十分ではないこと」が50.1%と最も高く、以下、「保育・介護の支援などの公的サービスが十分ではないこと」(42.3%)、「長時間労働の改善が十分ではないこと」(38.8%)、「上司・同僚・部下となる男性や顧客が女性のリーダーを希望しないこと」(31.1%)などの順となりました。(複数回答)


女性の活躍を進めるに際しての障害


 女性が出産後も離職せず同じ職場で働き続けるために、家庭・社会・職場で必要なことは何だと思うか聞いたところ、「保育所や学童クラブなど、子どもを預けられる環境の整備」が71.6%と最も高く、以下、「女性が働き続けることへの周囲の理解・意識改革」(49.6%)、「男性の家事参加への理解・意識改革」(48,6%)、「家事・育児支援サービスの充実」(47.1%)、「職場における育児・介護との両立支援制度の充実」(44.4%)などの順となりました。(下図参照)


家庭・社会・職場で必要なこと


 出産などでいったん離職した女性が、再び社会で活躍する仕方として、いいと思うものは何か聞いたところ、「これまでの知識・経験を生かして働けることを重視し、正社員として再就職」が55.4%と最も高く、以下、「仕事と家事・育児・介護との両立のしやすさなどを重視し、正社員として再就職」(53.1%)、「これまでの知識・経験を生かして働けることと、働く時間や場所の両方を重視して、パート・アルバイトなどで再就職」(37.7%)、「働く時間や場所を最も重視して、パート・アルバイトなどで再就職」(27.7%)などの順となりました。(複数回答)


若年労働者の定義について


 男性が家事・育児を行うことについて、どのようなイメージをもっているか聞いたところ、「子どもにいい影響を与える」が56.5%と最も高く、以下、「男性も家事・育児を行うことは当然」(52.1%)、「家事・育児を行う男性は時間の使い方が効率的で、仕事もできる」(31.3%)、「男性自身も充実感が得られる」(26.1%)、「仕事と両立させることは、現実として難しい」(24.7%)などの順となりました。(複数回答)



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 試用期間を有期契約にすることはできるか
 当社は、採用した正社員に3ヵ月の試用期間を設けていますが、本来の試用期間の代わりに当初は有期契約にして、期間満了の際には、無期契約に変更することを原則に、不適格と判断した場合には、解雇ではなく期間満了での退職扱いができることにしたいのですが、この方法は問題があるでしょうか?

試用期間の性格

 企業が正社員などを採用する場合、採用後に一定の試用期間を設定することは多くみられます。試用期間に関して労働基準法では、「試の使用期間」であって雇い入れ後14日以内の解雇であれば、解雇予告の定めが適用されない規定はありますが、一般的な意味で試用期間とは、従業員としての能力や適格性を評価・判断するために設けられた期間であるとされています。

 一方、判例などにおいては、試用期間中は、基本的に「解約権留保付労働契約」が成立していると解されています。これは、採用した従業員に能力や適格性がないと判断した場合には、試用期間満了時などに企業が留保していた解約権を行使できる、というものです。

 ただし、ここでいう解約とは、法的には労働契約の解約、つまり解雇にあたるので、労働契約法の定めにより、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、権利の濫用として解雇が無効となります。したがって、試用期間中といえども、解雇は慎重に見極めたうえで行うことが求められます。


有期労働契約としての試用期間

 質問のケースのように、試用期間の代わりに採用当初は有期労働契約にすることは、労働契約は使用者と労働者の合意の上で成り立つという原則からすれば、契約を結ぶこと自体には法的な規制もなく、問題は無いものといえます。

 ただし、有期労働契約であれば、契約期間の途中での契約の解除はやむを得ない事由がある場合に限られていて、期間の定めがない契約の解除よりも条件が厳しいとされています。

 さらに、更新の可能性を含んだ有期労働契約であって、使用者側からの申し出で期間満了により労働契約関係を終了させることは、場合によっては、いわゆる「雇止め法理」により、解雇と同様の客観的な合理性と社会的相当性が認められなければならない、という制約があることにも留意しなければなりません。

 また、判例によれば、有期労働契約が従業員の能力や適格性を評価・判断する目的で設けられた場合には、期間の満了により労働契約が当然に終了する旨の明確な合意が成立しているといった事情がない限り、その期間は試用期間の性質をもつものと解されています。

 したがって、たとえ形式上は有期労働契約を締結していたとしても、法的にみれば期間の定めのない契約を締結していて、その期間は試用期間であるとみなされることになります。

 また、実務上では、応募の際に試用期間を有期労働契約とすることを条件に加えなければならないことや、採用予定者に対して十分に説明して理解と合意を得ておく必要もあるでしょう。



5.参考資料 (パートタイム労働法の改正)

 改正パートタイム労働法が来年4月1日から施行されます。
「平成26年版労働経済白書」によれば、2013年の非正規労働者の割合は36.7%で、10年前と比較して6%増え、人数で見ると約400万人増加しています。
 非正規労働者の増加に伴い、正社員との労働条件の差異等について不公平感を感じるパートタイマーと事業主の間でトラブルとなるケースが増えており、パートタイム労働法が改正された大きな理由の1つはこの問題を解消するためです。
 今回の改正により、事業主は、パートタイマーの雇入れ時や契約更新時に義務となる事項が追加されます。

労働条件に関する説明を義務化

 改正により、事業主は、パートタイマーの雇入れ時や契約更新時に労働条件(賃金の決定方法、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用、正社員転換等の措置内容等)について説明する義務を負うこととなります。

 パートタイマーを同時に複数雇い入れたりする場合には、個々に説明する方法ではなく対象労働者を集めて説明会を開催する等の方法によって説明することも認められますが、労働条件は文書等(電子メールやFAXでも可)によって交付しなければならず、これに違反した場合は10万円以下の過料に処せられます。


労働条件通知書の変更

 今般、厚生労働省が示すモデル労働条件通知書の様式が法改正に合わせて変更となり、同省のパンフレット「パートタイム労働法のあらまし」に掲載されています。
具体的には、新たに「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」を記載するスペースが設けられました。

 この「相談窓口」は、改正法により、パートタイマーからの相談に対応するための体制整備が事業主の義務とされたため、パートタイマーを雇い入れているすべての事業主が対応にあたる担当者または担当部署を決定して、整備しておかなければなりません。



6.参考資料 (日本年金機構からのお知らせ)

 

7.参考資料 (高齢者の雇用状況 98.1%が雇用確保措置を実施)

 このほど厚生労働省は、高年齢者を65歳まで雇用するための高年齢者雇用確保措置(以下「雇用確保措置」という)の実施状況などをまとめた平成26年「高年齢者の雇用状況」の集計結果を公表。今年6月1日現在、従業員31人以上の企業145,902社のうち、雇用確保措置を実施済みの企業割合は98.1%(143,179社)で、前年より5.8ポイント上昇したことが分かりました。

●雇用確保措置の実施状況

 雇用確保措置の実施済企業は98.1%で、前年比5.8ポイント上昇。企業規模別にみると、大企業(301人以上規模)では99.5%(同3.9ポイント上昇)、中小企業(31~300人規模)では98.0%(同6.1ポイント上昇)となりました。(産業別に関しては下表参照)


●雇用確保措置の内訳

 「継続雇用制度の導入」により雇用確保措置を講じている企業は81.7%、「定年の引上げ」は15.6%、「定年制の廃止」は2.7%とりました。


●継続雇用制度の内訳

 ①希望者全員を対象とする65歳以上の継続雇用制度を導入している企業は66.2%、②高年齢者雇用安定法一部改正法の経過措置に基づく継続雇用制度の対象者を限定する基準がある継続雇用制度を導入している企業は33.8%となりました。

●継続雇用先の内訳

 「継続雇用制度の導入」により雇用確保措置を講じている企業の継続雇用先について、自社のみである企業は93,1%、自社以外の継続雇用先(親会社・子会社等)のある企業は6.9%となりました。


●希望者全員が65歳以上まで働ける企業の状況

 希望者全員が65歳以上まで働ける企業は71.0%で、前年比4.5ポイント上昇。企業規模別にみると、大企業では51.9%(同3.0ポイント上昇)、中小企業では73.2%(同4.7ポイント上昇)となりました。

●経過措置に基づく継続雇用制度の対象者を限定する基準の適用状況

 過去1年間に、経過措置に基づく対象者を限定する基準がある企業において、基準を適用できる年齢(61歳)に到達した人(87,190人)のうち、基準に該当し引き続き継続雇用された人は78,820人(90.4%)、継続雇用の更新を希望しなかった人は7,068人(8.1%)、継続雇用を希望したが基準に該当せずに継続雇用が終了した人は1,302人(1.5%)となりました。