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メールマガジン2015年03月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
205年03月 Vol.74

1.人事・総務ニュース

平成27年度改訂 ~ 年金額0.9%引き上げ ~

 平成27年度の年金額が、26年度より0.9%引き上げられることが決まりました。年金額改定の目安として用いられる「名目手取り賃金変動率」は2.3%上昇していますが、「マクロ経済スライド(賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整するしくみ)」による調整(マイナス0.9%)と、平成12年度から14年度にかけて、マイナスの物価スライドを行わず年金額を据え置いた「特例水準」の段階的な解消に伴う調整(マイナス0.5%)を加味した結果、0.9%の引き上げにとどまりました。

 国民年金(老齢基礎年金)は満額の場合、月額64,400円が65,008円と608円の引き上げ、厚生年金は夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な額で、月額219,066円が221,507円と2,441円の引き上げとなります。


均等法等の解釈通達を改正  ~ 妊娠・出産などを契機とした不利益扱いも禁止 ~

 厚生労働省は1月23日、妊娠・出産や育児休業などを理由とする不利益取扱いに関する解釈通達を改正し、都道府県労働局長あてに発出しました。

 今回出された通達は、妊娠・出産などを理由とする不利益取扱い禁止を定めた男女雇用機会均等法第9条第3項の適用に関して最高裁判所の判決があったことなどを踏まえたもので、妊娠・出産や育児休業などを「契機として」なされた不利益取扱いは、原則として法が禁止する妊娠・出産や育児休業などを「理由として」行った不利益取扱いと解されるということを明確にするものです。

 たとえば、定期的に人事考課・昇給などが行われている場合においては、育児時間の請求後から取得した後の直近の人事考課・昇給などの機会までの間に不利益な評価が行われた場合は、「契機として」行われたものと判断することとしています。


無機契約転換申込権の除外者 ~高度専門職、年収1,075万円を基準~

 労働政策審議会は2月9日、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法施行規則案要綱」などについて、妥当とする答申を行いました。

 要綱の主なポイントとして、高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者の年収基準額を1,075万円とすることや、その具体的な範囲を定める基準として、博士の学位を有する者、公認会計士、医師、弁護士、税理士、社会保険労務士など、一定の資格を有する者が挙げられています。

 なお、特別措置法(平成27年4月1日施行)では、5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務に従事する高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者は、有期労働契約が通算で5年を超えた場合でも、無期労働契約への転換申込みの権利が発生しないとしています。(上限は10年)




2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(整骨院等での治療と健康保険)


保険医療機関以外の療養給付

 健康保険に加入している人が病気やけがをしたとき、病院や診療所の窓口に被保険者証を提出すれば、基本的には医療費の自己負担分だけを支払い、診察や治療などを受けることができますが、このような方法で健康保険を使える病院や診療所は、事前に厚生労働省に届出をして、「保険医療機関」の認定を受けています。

 一方で、はり・きゅうを行う鍼灸院やマッサージなどを施す整骨院・接骨院は、鍼灸師や柔道整復師による治療(施術)であって、保険医療機関ではありません。したがって、健康保険で治療を受けられる病気やけがの種類は限られており、受けられる場合の医療費の支払いは、原則的には、いったん医療費を全額自己負担して、あとで保険者に請求することにより、支払った医療費の一部が払い戻される「療養費」の制度を利用することになります。


柔道整復師(整骨院・接骨院)にかかる場合

 整骨院などで柔道整復師にかかる場合、健康保険の対象となるのは、急性などの外傷性の打撲・捻挫および挫傷(肉離れなど)、骨折・脱臼(緊急の場合を除き医師の同意が必要)です。

 単なる肩こりや筋肉疲労に対するあんま・マッサージ、病気(神経痛・リウマチ・五十肩・関節炎・ヘルニアなど)からくる痛み・凝りを和らげたり解消したりする処置については、健康保険の対象とはなりませんので、全額自己負担となります。

 また、整骨院などで治療を受けているときに、病院や診療所で同一のけがの治療を受けている場合は、整骨院などでの治療は健康保険の対象にはなりません。

 健康保険の対象となる場合の費用負担は、前記のような療養費による払い戻し方式が原則ですが、柔道整復師については、例外的に、自己負担分だけを柔道整復師に支払い、柔道整復師が患者に代わって残りの費用を保険者に請求する「受領委任」という方法が認められています。

 この方法は現在多くの整骨院などで行われていて、病院や診療所にかかったときと同じように自己負担分のみを支払うことにより、必要な治療を受けることができます。

 この方法を利用する場合は、柔道整復師が患者に代わって保険請求を行うため、「柔道整復施術療養費支給申請書」に、患者が署名をする手続きが必要となります。

 なお、柔道整復師の保険請求が適正に行われることを目的として、保険者が患者本人に負傷の原因や治療内容などを問い合わせることがあるので、正確に回答するために、整骨院などから渡された治療の記録などの書類があれば、これを保管しておくことも大切となるでしょう。



3.参考資料 (5割の事業場で違法残業)

 このほど厚生労働省は、昨年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果を発表しました。
 これは、長時間の過重労働など労働基準関係法令の違反が疑われる4,561事業場に対して集中的に行われたもので、50.5%にあたる2,304事業場で、時間外労働に必要な36協定を結ばないなどの違法な残業をさせていたことが分かりました。
 厚生労働省では、今後も、是正をしていない事業場に対する確認を行うなど、引き続き監督指導を行っていくとしています。

重点監督実施状況


 平成26年度過重労働解消キャンペーンの間に、4,561事業場に対し重点監督が実施され、3,811事業場(全体の83.6%)で労働基準関係法令違反が認められました。

 主な法違反としては、違法な時間外労働があったものが2,304事業場、賃金不払残業があったものが955事業場、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが72事業場でした。

 なお、違法な時間外労働があった2,304事業場において、時間外・休日労働が最長の労働者を確認したところ、715事業場(31.0%)で1ヵ月100時間を超え、そのうちの35事業場では200時間を超えていました。



主な指導状況


【過重労働による健康障害防止のための指導状況】

 重点監督実施事業場のうち2,535事業場(55.6%)に対して、長時間労働を行った労働者に対し、医師による面接指導等を実施することなどの過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導が行われました。

 

【労働時間適正把握に係る指導状況】

 重点監督実施事業場のうち1,035事業場(22.7%)に対して、労働時間の管理が不適正であるため、厚生労働省で定める(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準(略)に適合するよう、労働時間を適正に把握することなどの指導が行われました。


指導監督事例

4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 派遣労働者への「直接雇用の申込み」はどのように行う?
 当社は2年前から一般事務の業務で派遣労働者を受け入れていますが、勤務状況や健康状態が良好なので、引き続き同じ部署で勤務してもらおうと考えています。
 この業務での派遣受け入れは法律で最大3年の制限があると聞いているので、やはり直接雇用の申込みをしなければならないのでしょうか。その場合、いつまでに申込みをし、また直接雇用後の労働条件は事前に示す必要があるのでしょうか?

派遣期間の制限


 労働者派遣法(第40条の2)では、派遣労働者による常用労働者の代替防止の確保を図るため、同一の業務について、派遣の受け入れができる期問を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならないと定められています。

 派遣の受け入れができる期間は、原則として1年ですが、あらかじめ、派遣先の事業所に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合に、それにあたる労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者に意見を聴くことで、最大3年まで派遣を受け入れることができます。

 ただし、専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務などとして政令で定める業務(いわゆる「政令26業務」)など一定の場合については、派遣受入期間の制限の定めは適用されません。


直接雇用の申込みの義務


 また、同法(第40条の4)においては、派遣先は、派遣受入期間の制限のある業務について、派遣元から派遣受入期間の制限に抵触する日以降は労働者派遣を行わない旨の通知を受けた場合においては、抵触日以降も派遣労働者を使用しようとするためには、抵触日の前日までに雇用契約の申込みをしなければならないと定められています。

 直接雇用の申込みの義務があるのは、その派遣労働者が派遣先に雇用されることを希望している場合ですので、雇用の申込みをする場合は、前もってその希望があるかどうかを確認しておくことも必要となります。


雇用契約申込みの際の労働条件提示


 雇用契約の申込みにあたって雇用後の労働条件を提示する義務については、派遣法では定められていませんが、派遣労働者に直接雇用の希望があれば、派遣先と派遣労働者を、求人者側と求職者側に見立てることもできます。

 したがって、直接雇用した後のトラブルを防ぐためにも、募集・採用の場合と同様に、あらかじめ、従事すべき業務の内容、賃金、労働時間その他の労働条件を明示することが求められるでしょう。

 また、直接雇用後の労働条件については、派遣先と派遣労働者との合意に基づいて決定されるべきものですので、派遣就業中の労働条件や、雇入れに係る業務に従事している派遣先の他の労働者の労働条件などを勘案して決めることも重要となるでしょう



5.参考資料 (昨年の給与、4年ぶりにアップ)

 厚生労働省が2月4日に発表した「毎月勤労統計調査」(速報、常用労働者5人以上の事業所が対象)によると、平成26年のパートを含む労働者1人1ヵ月平均の現金給与総額は前年比0.8%増の31万6,694円となり、4年ぶりに増加したことが分かりました。なお、速報値は確報で改訂されることがあります。

賃 金


 1人平均の月間現金給与総額は、労働者5人以上の事業所(以下すべての項目で同規模)で前年比0.8%増の31万6,694円となりました。

 このうち、きまって支給する給与は0.3%増の26万1,047円(所定内給与が前年と同水準の24万1, 357円)、所定外給与が3.1%増の1万9,690円)で、ボーナスなどの特別に支払われた給与は3.5%増の5万5,647円となりました。

 また、現金給与総額を就業形態別にみると、一般労働者は1.3%増の40万9,860円,パートタイム労働者は0.4%増の9万6,979円となりました。


労働時間


  1人平均の月間総実労働時間は、前年比0.3%減の145.1時間と2年連続の減少となりました。このうち、所定内労働時間は0.6%減の134.1時間、所定外労働時間は3.8%増の11.0時間となりました。

 なお、月間の時間数を12倍して年換算すると、総実労働時間は1,741時間(所定内労働時間が1,609時間、所定外労働時間が132時間)でした。

 また、総実労働時間を就業形態別にみると、一般労働者は0.1%増の168.4時間、パートタイム労働者は0.8%減の90.3時間となりました。

雇 用


 常用労働者は、前年比1.5%増の4,680万7,000人と11年連続で増加しました。このうち、一般労働者は1.0%増の3,286万4,000人、パートタイム労働者は2.7%増の1,394万3,000人となりました。

 また、主な産業についてみると、製造業0.4%減、卸売業、小売業0.3%増、医療、福祉2.8%増となりました。



6.参考資料 (日本年金機構からのお知らせ)

 

7.参考資料 (年休5日消化を企業に義務づけへ)

 労働政策審議会(厚生労働大臣の詰問機関)は2月13日、年5日の年次有給休暇を労働者に消化させることを企業に義務づけるなど、今後の労働時間法制等の在り方について、厚生労働大臣に対し、建議を行いました。

 それによると、年次有給休暇をほとんど取得していない労働者については長時間労働者比率が高い実態にあることを踏まえ、年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に進むような仕組みを導入することが重要だと指摘しています。そのためには、年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者を対象に、有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季指定しなければならないことを労働基準法に規定することが適当であるとしています。ただし、労働者自らが時季指定した場合や、既存の制度による計画的付与がなされた場合は、その日数に応じて指定すべき日数が減じられ、または義務から解放されるとしています。

 また、月60時間を超える時間外労働に対する5割以上の割増賃金の支払い義務については、現在は中小企業への適用が猶予されていますが、中小企業の労働者の長時間労働を抑制し、その健康確保等を図る観点から、平成31年4月より猶予を解除し、中小企業にも適用することなども盛り込まれました。

 このほか、時間ではなく成果で評価される働き方として、特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)の創設を提起。時間外・休日労働協定の締結や、時間外・休日・深夜の割増賃金の支払い義務などの適用を除外するとしています。

 対象となる労働者は、「1年間に支払われることが確実に見込まれる賃金の額が、平均給与額の3倍を相当程度上回る」といった内容を法律で定めた上で、年収1,075万円を基準として省令で示すことが適当だとしています。また、対象業務についても、法案成立後に改めて審議会で検討の上、省令で示すとしています。

 今後、労働基準法等の改正案が取りまとめられ、平成28年4月からの施行を目指して、今の通常国会に提出される予定です。