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メールマガジン2015年04月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
205年04月 Vol.75

1.人事・総務ニュース

4月分(5月納付分)から ~ 協会けんぽの保険料率改定 ~

 全国健康保険協会は、都道府県ごとに設定される健康保険の保険料率(労使折半、介護保険分を除く)を、平成27年4月分(5月納付分)から改定する決定をしました。今回改定が行われるのは39の道府県で、8都県は据え置きとなっています。

 また、全国一律で設定されている介護保険料率(労使折半)については、今年4月分から1.58%(現行は1.72%)に引き下げられます。


平成27年度から改定  ~ 23業種で労災保険率を引き下げへ ~

 平成27年度からの労災保険率について、全54業種平均で1000分の4.7となり、1000分の0.1引き下げられます。全業種中、引下げとなるのが「建築事業」など23業種、引上げとなるのが「木材又は木製品製造業」など8業種となっています。

 また、海外派遣者の特別加入に係る「第3種特別加入保険料率」は、1000分の4から1000分の3に引き下げられます。


最高裁が逆転判決 ~警告なくてもセクハラ懲戒処分は有効~

 女性派遣社員に対して、言葉によるセクハラ行為を繰り返したことで懲戒処分を受けた大阪市の水族館に勤務する男性2名が処分の無効を求めた訴訟で、最高裁は2月26日、処分は有効とする判決を言い渡しました。

 訴訟で男性側は、事前の警告なく解雇に次ぐ重い処分の出勤停止(その後降格)としたのは行きすぎだと主張。一審(大阪地裁)は処分を妥当として請求を棄却。二審(大阪高裁)は、女性側が明確に拒否しなかったことなどから、処分は重すぎるとして男性側の主張を認め処分を無効としました。

 最高裁判決で裁判長は、管理職としてセクハラ防止を指導すべき立場だったのに、みだらな発言を繰り返したのは極めて不適切であると指摘。会社から処分事案に係る個別直接的な警告・注意等を受けていなかったとしても斟酌する事情があったとはいえないとして、懲戒処分は妥当と判断しました。


改正法案を国会提出 ~健康保険、標準報酬月額の上限を引き上げ~

 「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案」が3月3日、国会に提出されました。

 健康保険法の一部改正案では、保険料などの算定の基礎となる標準報酬月額について、上限額を現在の「121万円」から「139万円」に引き上げ、等級区分を「127万円」「133万円」とあわせて3つの区分を追加することや、傷病手当金および出産手当金の給付額について、現在は支給開始日の属する月の標準報酬月額を基礎としていますが、これを直近12ヵ月間の各月の標準報酬月額の平均額を基礎とすることに改めるなどとしています。(施行期日は平成28年4月1日)



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(短時間勤務で減額となったときの標準報酬月額の改定)


標準報酬月額の随時改定

 健康保険・厚生年金保険の保険料などの算定の基礎になる「標準報酬月額」については、被保険者の受ける報酬(給与)が、昇給や降給により固定的賃金に変動があったときで、従前の標準報酬月額と改定後の標準報酬月額に2等級以上の差が生じたなど一定の要件を満たすときは、報酬月額変更届を提出することになっています。

 毎年4月から6月の3ヵ月間の報酬額に基づいて標準報酬月額が決まる「定時決定」とは別に、どの時期においても要件に該当するときに標準報酬月額の改定が行われるので、これを「随時改定」といいます。

 随時改定の要件でいう固定的賃金とは、基本給、諸手当などの支給額、または歩合給などの単価や支給率が決まっているものをいいますが、月給制から日給制になるなど、給与体系の変更も固定的賃金の変動にあたるものとされています。


短時間勤務の適用

 随時改定の要因となる固定的賃金の変動については、一時的ではなく継続的性質のものであることが必要とされます。家族の介護や傷病などにより、一時的とはいえ短時間勤務となり、それまで受けていた報酬よりも少ない報酬を受けることになった場合は、従来の報酬額をベースとした保険料は被保険者にとっては負担が重くなります。

 このような場合、就業規則や給与規定に「短時間勤務制度」を設けていたり、短時間勤務者として新たに労働契約を結びなおしたりしたときは、その規定や契約による給与(固定的賃金または給与体系)の変更が生じ、継続的性質を有するものとみなされるので、随時改定の対象となります。
たとえば、短時間勤務の場合に月給制から時給制に変更となるときや、月給制のまま勤務時間を短縮し、短縮した分の基本給を一定額減ずるときなどがこれに該当します。

 こうした形態をとらず、たとえば、遅刻、早退と同様に、単に勤務していない時間分の額について給与から控除されているにすぎないときは、固定的賃金の変動とはみなされませんので、随時改定の対象にはなりません。


産前産後休業・育児休業終了後

 随時改定とは別に、産前産後休業や育児休業を終了した被保険者が、休業終了後に短時間勤務などにより受ける報酬に変動があった場合は、被保険者の申し出により標準報酬月額の改定が行われます。

 要件についても、随時改定とは異なり、固定的賃金の変動は必要ではなく、休業終了後の3ヵ月間に受けた報酬の平均額(支払基礎日数が17日未満の月を除く)をもとに、従前の標準報酬月額と改定後の標準報酬月額に1等級でも差が生じたときには改定されます。



3.参考資料 (男女間の賃金格差 過去最少に)

 このほど厚生労働省が発表した「賃金構造基本統計調査」によると、昨年のフルタイムで働く一般労働者の賃金(6月分の平均所定内給与額)は、前年に比べて1.3%増の29万9,600円と2年ぶりの増加。このうち、女性の賃金は同2.3%増の23万8,000円で、男女間の賃金格差が過去最小となったことが分かりました。
なお、この調査は常用労働者10人以上の約5万事業所を対象に行われました。

一般労働者の賃金


[賃金、前年比]

 平成26年の賃金は、男女計29万9,600円(平均42.1歳、勤続12.1年)で、前年比1.3%増となっています。

 性別では、男性が32万9,600円(平均42.9歳、勤続13.5年)で前年比1.1%増、女性が23万8,000円(同40.6歳、同9.3年)で同2.3%増となっている。また、男性の賃金を100とすると、女性の賃金は72.2(前年71.3)で、男女間の賃金格差は比較可能な昭和51年の調査以来、過去最小となっています。

[学歴別にみた賃金]

 男性は大学・大学院卒39万6,400円(前年比0.3%増),高専・短大卒30万4,000円(同1.7%増)、高校卒28万6,800円(同1.3%増)、女性は大学・大学院卒28万4,700円(前年比1.2%増)、高専・短大卒24万9,100円(同1.8%増)、高校卒20万5,700円(同2.4%増)となっており、男女ともにすべての学歴で前年を上回っています。


[産業別にみた賃金]

 男性は金融業、保険業(46万5,500円)、教育、学習支援業(43万6,000円)が高く、宿泊業、飲食サービス業(27万2,300円)が低くなっています。

 女性は電気・ガス・熱供給・水道業(32万8,300円)、教育、学習支援業(31万2,400円)が高く、宿泊業、飲食サービス業(19万5,400円)が低くなっています。


[企業規模別にみた賃金]

 男性は大企業38万1,900円(前年比0. 9%増)、中企業31万2,100円(同0.9%増)、小企業28万5,900円(同0.1%増)、女性は大企業26万5,200円(前年比2.2%増)、中企業23万3,800円(同1.8%増)、小企業21万4,600円(同1.3%増)となっており、男女ともにすべての企業規模で前年を上回っています。

 また、大企業の賃金を100とすると、中企業は男性82、女性88、小企業は男性75、女性81となっています。


[雇用形態別にみた賃金]

 男女計で、正社員31万7,700円(前年比1.0%増)、非正社員20万300円(同2.6%増)となっています。

 性別では、男性が正社員34万3,200円(前年比0.8%増)、非正社員22万2, 200円(同2.4%増)、女性が正社員25万6,600円(前年比1.9%増)、非正社員17万9,200円(同3.0%増)となっています。

 また、正社員の賃金を100とすると、非正社員は男性65、女性70にとどまっています。


短時間労働者の賃金


  1時間当たりの賃金は、男性が1,120円(前年比25円増)、女性が1,012円(同5円増)となっています。

 これを産業別にみると、男性は学術研究、専門・技術サービス業(1,773円)が高く、宿泊業、飲食サービス業(941円)が低くなっています。女性は教育、学習支援業(1,298円)が高く、宿泊業、飲食サービス業(912円)が低くなっています。


4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 給与明細書に労働時間数を記載しなければならないか?
 当社は、正社員に手渡す毎月の給与明細書に労働時間数を記載していません。残業手当などのもとになる時間数は別に集計して計算し、給与計算ソフトに金額を入力していますので問題はないと思いますが、正社員から労働時間数を載せるべきだ、という意見が出ました。
 当社では給与明細書だけではなく賃金台帳にも労働時間数を載せていませんが、やはりこうした扱いは問題があるのでしょうか?

給与明細書の記載項目


 毎月支払う給与の明細書には、基本給や手当などの支給項目と、保険料や税金などの控除項目のほか、出勤日数や休暇日数、労働時間数などの勤怠項目を記載するのが一般的ですが、記載するべき項目については法令に定められてはいません。

 給与明細書の扱いに関して参考となるものに、賃金を口座振込みで支払う際の、使用者に対する行政の指導内容が示された労働基準法関連の行政通達があります。それによると、使用者は、所定の賃金支払日に次の(1)~(3)に掲げる金額等を記載した賃金の支払いに関する計算書を交付すること、とされています。

  1. 基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額
  2. 源泉徴収税額、労働者が負担すべき社会保険料額等賃金から控除した金額がある場合には、事項ごとにその金額
  3. 口座振込み等を行った金額

 これにおいても労働時間数には言及されていませんので、給与明細書に労働時間数の記載がないことについて、直接的には行政指導の対象にはならないことになります。

 しかし、就業規則などに残業代などの計算方法が示されていたとしても、集計された労働時間数を従業員自ら知ることができないと、計算方法にしたがって算出されたのかどうか確認できないので、無用なトラブルにつながってしまうおそれがあります。したがって、給与明細書に記載するか、記載しない場合でも、質問のケースのように別に労働時間数を集計したものがあれば、その結果を別の方法で通知するなどの扱いが望ましいでしょう。


賃金台帳の記載項目


 一方、賃金台帳に関しては、労基法第108条により、事業場ごとに調製しなければならないとされ、同法の施行規則で、労働日数、労働時間数(時間外、休日、深夜労働を含む)の勤怠項目も原則として記載することが定められています。

 賃金台帳は、労働者名簿や出勤簿などと同様に、労働関係に関する重要な書類として一定期間保存することが義務づけられています。また、労働基準監督署の調査などがあった際には、提示を求められることがあります。そのため、法令で定める項目を記載して、賃金台帳として不備がないようにしておかなければならないでしょう。




5.参考資料 (有期雇用特別措置法(継続雇用の高齢者の特例))

 平成25年4月から、労働契約法の改正により「無期転換ルール」が導入されています。これは、同一の使用者との有期労働契約が「5年」を超えて繰り返し更新された場合に、労働者の申込みにより、無期労働契約に転換するというものです。
 この「無期転換ルール」に関する特例を定めた有期雇用特別措置法が、平成27年4月1日から施行されますが、ようやく行政より詳細に関する発表が行われました。
特に継続雇用の高齢者に係る特例については、多くの企業で対応が必要になると予想されます。

有期雇用特別措置法の基本的仕組み


①特例の適用を受けるためには、事業主が雇用管理措置の計画を作成したうえで、都道府県労働局 長の認定を受けることが必要です。
※雇用管理措置(以下から1つ以上)
・高年齢者雇用推進者の選任
・職業能力の開発及び向上のための教育訓練の実施等
・作業施設、方法の改善
・健康管理、安全衛生の配慮
・職域の拡大
・知識、経験等を活用できる配置、処遇の推進
・賃金体系の見直し
・勤務時間制度の弾力化
②申請は、本社・本店管轄の都道府県労働局(労働基準監督署経由可)に行います。
③認定通知書は、原則 申請した都道府県労働局(労働基準監督署経由時は、労働基準監督署)から
交付されます。

特例に関する労働条件の明示


 事業主は、労働契約の締結・更新時に、特例の対象となる労働者に対して、定年後引続いて雇用されている期間が、それぞれ無期転換申込権が発生しない期間であることを書面で明示する必要があります。


申請書の作成


 特例の適用を希望する事業主は、下記「第二種計画認定・変更申請書」を作成し、提出、認定を受ける必要があります。



6.参考資料 (新入社員とメンタルヘルス)

新入社員と会社の期待


 毎年4月には、新入社員が会社に入ってくることが多いと思います。今年は、人手不足ということで新規学卒者・高卒者の採用を確保することが難しかった会社もあるでしょう。そのため、せっかく苦労して採用した新入社員には早く会社に慣れてもらい、会社の一員として戦力になってほしいと期待しているのではないでしょうか。

 ところが、昨今、新入社員がストレスによりメンタルに不調をきたし、社会人の第一歩をスムーズに踏み出せないケースも認められます。今回は、このような新入社員のメンタルヘルスについて見ていきたいと思います。


新入社員とストレス


 新入社員にとって、会社に入社するということは、学費を払って勉強する学生から働いて給料をもらう社会人になるわけで、人生において大きな立場上の変化を経験することになります。彼らは、早く会社に慣れて一人前になりたいという気持ちをもちますが、ともするとなかなか周囲に溶け込めず、努力して何とかしようと焦れば焦るほど、かえって空回りする事態に陥ることがあります。そうなると、客観的に周囲が見えなくなり、このような状態が続くと、ストレスを抱え込むことになります。


ストレスを抱えた新入社員への理解


 このようなストレスを抱えた新入社員に対しては、周囲の理解が必要です。先輩社員もそのような経験をしているはずですが、年月が経つと大方の人は自分が大変であったことを忘れてしまいます。ストレスを抱えた新入社員には、上司や周囲の人が心の面での健康についても気を遣うことで、彼らの心の負担が違ってきます。

 具体的な手法として、あいさつや声かけを有効に行ってみてください。元気がないと感じられる新入社員には、一声かけてみてください。声をかけられれば、自分を気にしてくれているということが分かります。また、話しかけてなにげない会話をすることでも心を和まし、緊張をほぐすことができます。声かけや会話を通して、新入社員に周囲が支えているということを実感させるだけでよいと思います。

 このようにメンタルヘルス不調に至る初期の段階で周囲がうまくカバーすると、深刻な状態にならずに済むことが多いと言えます。


メンタルヘルス不調の新入社員には


 ただ、上司や周囲の人がいくら気遣いしても、新入社員の中には心身のバランスを崩してメンタル不調に陥る人もいます。このような新入社員に対しては、早期に産業医等専門家に相談して適切な対応を取ることが必要となります。

7.参考資料 (新卒募集企業に、定着促進取り組みの情報提供を義務化へ)

雇用促進を図る改正法案要綱を答申


 労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)は2月27日、諮問されていた「勤労青少年福祉法」などの法律の一部を改正する法案要綱について、これを妥当とする答申を行いました。

 勤労青少年福祉法の改正では、新卒者が適確に職業を選択できるための取組みを促進する仕組みを設け、新卒者の募集を行う企業に対して、企業規模を問わず、募集・採用に関する状況、職業能力の開発・向上に関する状況などの情報を提供するように努めるとともに、応募者から求められた場合には、これらの情報を提供しなければならないこととしています。また、同法の名称を「青少年の雇用の促進等に関する法律」に改めるとしています。

 職業安定法関連では、ハローワークは求人申込みをすべて受理しなければならないこととする規定について、一定の労働関係法令に違反する求人者からの新卒者の求人申込みを受理しないことができるとする特例が設けられました。また、青少年に係る雇用管理の状況が優良な中小企業について、厚生労働大臣による新たな認定制度が創設されます。

 職業能力開発促進法の改正では、ジョブカード(職務経歴等記録書)の普及・促進のため、職務の経歴、職業能力等を明らかにする書面の様式を定めるほか、キャリアコンサルタント(*)を新しく登録制として、試験に合格した者はキャリアコンサルタント名簿に氏名、事務所の所在地などを登録することや、キャリアコンサルタントの名称を使用して業が行えるようにするとともに、守秘義務を規定することなどが盛り込まれています。

 施行期日は、新卒者を募集する企業の情報提供、ハローワークでの求人不受理の特例については平成28年3月1日、中小企業の新たな認定制度創設については27年10月1日、キャリアコンサルタントの登録制の創設については28年4月1日となっています。厚労省は、この答申を踏まえ法律案を作成し、今の通常国会に提出することとしています。

 (*)キャリアコンサルタント
労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に助言及び指導を行う者。国の技能検定制度であるキャリアコンサルティング技能士のほか、民間の認定試験もある。