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メールマガジン2015年05月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2015年05月 Vol.76

1.人事・総務ニュース

改正安衛法関係の省令案要綱を答申  ~ ストレスチェック制度の実施規定を整備 ~

 労働政策審議会は3月24日、今年12月から導入される労働者のストレスチェック制度(※)の具体的な実施方法などを定めた改正労働安全衛生法関連の省令案要綱について、妥当と認める答申を行いました。

 それによると、事業者に対して、検査の結果を勘案して、必要に応じて心理的な負担を軽減するための適切な措置を講ずるよう努めること、面接指導の結果の記録を作成し5年間保存すること、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、検査と面接指導の実施状況などを所轄労働基準監督署長に報告すること、などが盛り込まれています。

 (*)ストレスチェック制度 常時使用する労働者に対して、1年ごとに1回、心理的な負担の程度を把握するための検査の実施を事業者に義務づけるもの(労働者50人未満の事業場については当分の間努力義務)


障害者雇用で2つの指針  ~ 募集・採用での障害者差別を禁止 ~

 厚生労働省は3月25日、改正障害者雇用促進法に基づいて、「障害者差別禁止指針」および「合理的配慮指針」を告示しました。

 障害者差別禁止指針では、募集・採用において、障害者であることを理由として、障害者を募集または採用の対象から排除すること、障害者に対してのみ不利な条件を付すこと、採用の基準を満たす人の中から障害者でない人を優先して採用することを禁止しています。

 一方、合理的配慮指針では、募集・採用時に、視覚障害者に対しては募集内容について音声などで提供すること、聴覚・言語障害者に対しては面接を筆談などにより行うこと、採用後では、知的障害者に対して本人の習熟度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと、などが示されています。

 いずれの指針も、すべての事業主が対象となっています。


製造業務派遣は大幅増加 ~派遣労働者数 1.4%減少~

 厚生労働省はこのほど、事業者から提出された労働者派遣事業報告書の集計結果をまとめました。

 平成26年6月1日時点の派遣労働者数は約126万人で、前年と比べて1.4%減少しています。
このうち、製造業務に従事した派遣労働者は約27万人で前年比14.1%の増加となりましたが、政令で定める専門的業務に従事した派遣労働者は約49万人で8.2%減少しました。その他の業務(一般事務、営業、販売等)は約49万人で1.1%減っています。

 派遣期間の上限がない専門的業務と上限を3年とするその他の業務との区分をなくし、業務単位での派遣期間の上限を廃止することなどを柱とする改正労働者派遣法案が今の通常国会に再度提出されていて、成立すれば、今年9月1日から施行される予定です。


平成28年4月から施行へ ~改正労基法案を国会提出~

 労働者の年5日以上の年次有給休暇取得を使用者に義務づけることや、時間外・休日・深夜の割増賃金の適用を除外する「高度プロフェッショナル制度」の創設などを柱とする改正労働基準法案が4月3日、国会に提出されました。

 今の国会で成立すれば、平成28年4月から施行されることになっています。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(65歳以降に退職した時の給付(雇用保険))


高年齢継続被保険者

 雇用保険の被保険者には、一般被保険者、高年齢継続被保険者、日雇労働被保険者などの区分が あります。このうち高年齢継続被保険者とは、被保険者として65歳に達する日の前から雇用されて いた同一の事業主に、65歳に達した日以降の日においても引き続き雇用されている人のことを言い ます。一般被保険者である人が65歳以降も引き続き雇用される場合、届出の手続きなどもなく、いわば自動的に高年齢継続被保険者に区分が切り替わることになっています。


高年齢求職者給付

 離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヵ月以上ある高年齢継続被保険者が退職し、失業
状態にあるときは、ハローワークに求職の申し込みをすることにより「高年齢求職者給付」の支給
を受けることができます。

 この高年齢求職者給付は、一般被保険者であった人が失業状態にある場合に受けられる「一般求
職者給付」と異なる点がいくつかあります。


実務上のポイント

 65歳以上の定年制や最長65歳までの継続雇用制度を設けている場合、雇用保険に加入している人
が制度の適用を受けて65歳以降に退職し、雇用保険の被保険者離職票の交付の申し出があったとき
は、一般被保険者と同じように離職証明書を作成して管轄のハローワークに提出します。高年齢継
続被保険者に区分が切り替わっているので、それに伴い給付の内容も変わることを、対象となる人
にはあらかじめ説明しておくとよいでしょう。



3.参考資料 (「能力開発費」は増加の見込み)

 このほど厚生労働省が発表した「平成26年度能力開発基本調査」(常用労働者30人以上の企業・事業所が対象、昨年10月から12月にかけて実施)によると、企業が従業員の能力開発のために支出する費用(ここではOFF-JT費用)について、「今後3年間」の見込みを前回平成25年度調査と比較すると、『増加傾向』とする企業の割合が正社員で6.9ポイント、非正社員で4.3ポイントそれぞれ上回ったことがわかりました

企業調査


[能力開発の実績・見込み]

 正社員に対する過去3年間(平成23~25年度)のOFF-JTに支出した費用の実績は、『増減なし』とする企業が32.6%、『増加傾向』が24.4%です。一方、非正社員に対する過去3年間(同)のOFF-JTに支出した費用の実績は、『増減なし』とする企業が29.0%、『増加傾向』が9.1%です。また、「今後3年間」の見込みとして、『増加傾向』とする企業が、正社員では37.3%、非正社員では19.5%となっています。

[教育訓練の費用]

 企業が教育訓練に支出した費用の労働者1人当たりの平均額をみると、OFF-JTは14,000円(平成25年度調査(以下「前回」という)13,000円),自己啓発支援は6,000円(同5,000円)となっています。


[能力開発の考え方]

《「全体重視」か「選抜重視」か》
 正社員に対する教育訓練について、「労働者全体の能力を高める教育訓練」を重視する企業は59.6%(前回58.0%)、「選抜した労働者の能力を高める教育訓練」は39.4%(同41.2%)です。
一方、非正社員に対しては、「労働者全体の能力を高める教育訓練」を重視する企業は53.7%(前回54.0%)、「選抜した労働者の能力を高める教育訓練」は44.1%(同43.3%)です。


《「外部委託・アウトソーシング」か「社内」か》
 正社員に対する教育訓練の実施方法について、「社内」を重視する企業は63.9%(前回62.7%)、「外部委託・アウトソーシング」は35.0%(同36.2%)です。
 一方、非正社員に対しては、「社内」を重視する企業は75.8%(前回75.8%)で、「外部委託・アウトソーシング」は21.6%(同21.4%)です。



事業所調査

[教育訓練の実施状況]

《OFF-JTの実施状況》
 正社員に対して、平成25年度にOFF-JTを実施した事業所は72.4%(前回69.9%)で、産業別では電気・ガス・熱供給・水道業(95.1%)、複合サービス事業(93.9%)で高く、生活関連サービス業、娯楽業(60.1%)、宿泊業、飲食サービス業(63.1%)で低くなっています。

 一方、非正社員に対してOFF-JTを実施した事業所は34.0%(前回34.1%)で、産業別では金融業、保険業(68.6%)、複合サービス事業(66.6%)で高く、情報通信業(17.0%)、製造業(23.3%)で低くなっています。


《計画的なOJTの実施状況》
 正社員に対して、平成25年度に計画的なOJTを実施した事業所は62.2%(前59.4%)で、産業別では複合サービス事業(93.0%)、金融業、保険業(86.2%)で高く、生活関連サービス業、娯楽業(46.8%)、サービス業(他に分類されないもの)(56.8%)で低くなっています。

 一方、非正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所は31.1%(前回28.6%)で、産業別では複合サービス事業(61.9%)、金融業、保険業(47.6%)で高く、情報通信業(13.6%)、建設業(17.1%)で低くなっています。


(人材育成に関する問題点)
能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は75.9%(前回70.7%)で、その内容(複数回答)としては、「指導する人材が不足している」(52.2%)が最も高く、以下、「人材育成を行う時間がない」(48.8%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(40.0%)などと続いています。

(技能継承の取り組み状況)
技能継承の取組みを行っている事業所は83.8%(前回80.0%)で、その内容(複数回答)としては、「退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、嘱託による再雇用を行い、指導者として活用している」(47.1%)が最も高く、以下、「中途採用を増やしている」(39.5%)、「新規学卒者の採用を増やしている」(29.0%)などと続いています。


4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 労働条件(給与額)はいつまでに通知すればよいか?
 当社は、中途採用の正社員の給与は経験や能力などをもとに決めていますが、募集時の条件には給与を見込み額で示しており、正式な給与額は初回の給与支払いの前に決めています。このほど、採用したばかりの社員から、自分の給与はいつ決まるのか、生活のこともあるので早く知らせてほしい、という申し出がありました。
 給与を含めた労働条件はいつまでに通知すればよいのでしょうか。また、見込み額での条件提示では問題があるのでしょうか?

労働条件の明示義務


 職業安定法(第5条の3)では、求職者や応募してきた者に、従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないとしています。このことから、募集条件の中で賃金額を明示することが必要とされます。ただし、募集段階で雇い入れ後の確約された賃金を明示することは無理な場合も多いことから、必ずしも確約された賃金の明示まで義務づけるものではないとされています。

 一方、労働基準法(第15条)では、使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。したがって、労働条件は、遅くとも労働契約を締結するまでには明示する必要があるといえます。
以上のことから、応募時は見込み額での明示は認められるとしても、労働契約の締結時には、基本給などは確定した額の明示が必要ということになります。


労働契約の締結時


 では、労働契約の締結とはどの時点を指すのでしょうか。労働契約とは、労働者が労働力を提供し、使用者がこれに対する賃金を支払うという内容の契約です。契約書を作っていなくても、このような内容の合意があれば労働契約は成立しているとされるので、賃金などについて合意があった時点で労働契約が締結されたものと考えられます。

 通常は、一定の労働条件の合意の下で事実上の雇用関係が開始されるとき、つまり雇い入れ日までには労働契約が締結されていることになります。したがって、質問のケ-スのように、雇い入れ開始から一定期間経過後の賃金額の明示では遅いことになります。


見込額のまま採用ではトラブルの原因に


 労働契約が労働者と使用者の合意によって成立することから、その契約内容である賃金も合意によって決まるものです。また、求職者が就職先を選ぶにあたって、賃金が大きなウェイトを占めることを考えると、募集にあたって基本給などは見込み額を提示する場合には、トラブルにならないよう、これが見込み額にすぎないことが分かるように示すことが重要です。

 また、採用が決まった時点で賃金も見込み額どおりに決まれば問題はないのですが、もし見込み額を下回ることになるときは、できるだけ早く、採用者に確定した額を通知しておくことが必要となるでしょう。



5.参考資料 (日本年金機構からのお知らせ)




6.参考資料 (労災保険の料率変更)

7.参考資料 (勤務と死亡等との関連を追跡調査)

過労死等防止対策大綱の骨子案


 厚生労働省に設置された過労死等防止対策推進協議会は4月6日、労働者の勤務状況とその後の過労死や病気との関係について、長期的に追跡調査することなどを盛り込んだ「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の骨子案を示しました。

 骨子案では、過労死等の問題は、労働時間や職場環境だけではなく、企業の経営状態や様々な商取引上の慣行も含めた業界を取り巻く環境、労働者の属性も関係するなど、要因が複雑で多岐にわたっていることから、多角的、学術的な視点からも実態解明のための調査研究を進めていくことが重要だとしています。

 具体的なものとして、研究面では、過労死等のリスク要因と病気との関連性を明らかにするため、勤労者集団における個々の健康状態、勤務状況とその後の関連疾患の発生や過労死等の状況について、長期的に追跡調査を進めるとしています。

 一方、社会的な面では、過労死等に関するデータの整備を図るとともに、労働時間、労災補償、過労死等と関連性を有する統計について情報収集や分析を行うこと、各種統計により得ることのできないデータについては、企業や労働者に対する実態調査を実施するとしています。

 また、数値目標として、過労死等をゼロにすることを目指すとしたうえで、2020年までに週60時間以上働く労働者の割合を5%以下(2013年は8.8%)、年次有給休暇の取得率を70%以上(同48.8%)とすること、2017年までにメンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を80%以上(同60.7%)とすることを掲げました。

 このほか、過労死等を防止することの重要性について広く継続的に広報・啓発活動に取り組んでいくことや、大学生、高校生といった若年者を主な対象とする労働条件に関するセミナーにおいて、過重労働による健康障害防止に関する知識について説明なども行うとしています。
今後、協議会の議論を踏まえ、国は6月にも大綱をまとめる予定です。