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メールマガジン2015年06月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2015年06月 Vol.77

1.人事・総務ニュース

夏の生活スタイル変革へ取組み  ~ 朝型勤務の推進を企業団体に要請 ~

 厚生労働副大臣は4月27日、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会に、朝型勤務の推進など「夏の生活スタイル変革」に向けた取組みを要請しました。

 4月20日には厚労相から経団連に対しても要請しており、大企業、中小企業の規模にかかわらず、明るい時間が長い夏の間は、朝早くから働き始め、夕方には家族などと過ごせるよう、朝型勤務やフレックスタイム制を活用して、可能な範囲で生活スタイル変革への取組みを行うことを求めています。

 なお、国家公務員については、目標を設定するなど、率先して朝型勤務の推進を図ることとしています。


キャリアアップ助成金などを拡充 ~ 「多様な正社員コース」を新設 ~

 27年度予算の成立を受けて、このほど、キャリアアップ助成金および中小企業両立支援助成金の制度改正が行われました。

 キャリアアップ助成金では、従来の「短時間正社員コース」を「多様な正社員コース」に改称。「勤務地・職務限定正社員制度」を新規導入・適用した場合に、1事業所当たり40万円(大企業は30万円)を支給するとしています。

 また、有期契約労働者等を、勤務地限定・職務限定正社員等に転換または直接雇用した場合に、1人当たり30万円(同25万円)を支給。派遣労働者を多様な正社員として直接雇用した場合には、1人当たり15万円が加算されます。

 一方、中小企業両立支援助成金では、育児休業を取得する従業員について代替要員を確保したうえで、原職等に復帰させてから6ヵ月月以上雇用した場合に助成する[代替要員確保コース]の支給額を増額。原職等への復帰日から起算して6ヵ月を経過する日が、平成27年4月10日以降の場合には、休業取得者1人当たり15万円を30万円に引き上げ、休業取得者が期間雇用者の場合には、さらに10万円が加算されます。


中小企業・小規模事業向け ~「最賃引上げ支援マニュアル」を改訂~

 経済産業省はこのほど、「最低賃金引上げに伴う中小企業・小規模事業者への支援施策紹介マニュアル」を改訂しました。

 同マニュアルは、中小企業等が最低賃金の引上げに対応するために、厚生労働省や中小企業庁の支援措置の活用に関して、その内容や関連する相談窓口を紹介するものです。

 今回の改訂では、賃上げに伴い設備・機器の導入等に係る経費の一部を助成する補助金(業務改善助成金)や、給与等の支給額を一定割合以上増加させた場合に税額控除を受けられる所得拡大促進税制などの追加、改訂が行われています。


今年の12月施行のストレスチェック制度 ~実施マニュアルとQ&Aを公開~

 厚生労働省は5月7日、今年12月から始まるストレスチェック制度について、実施マニュアルと「Q&A」を公開しました。

 マニュアルでは、実施方法、実施頻度と対象者、結果の通知と通知後の対応など、主な項目別に具体的な対応方法が記載され、「Q&A」では、費用を負担するのは事業者か労働者か、といった実務的な内容についての質問と回答が掲載されています。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(雇用保険の給付金が2年以内なら申請可能に(雇用保険))


雇用保険の給付金の申請期限

 雇用保険は、主に労働者の失業、雇用の継続が困難な状況、職業訓練の受講、就職の促進など様々な場面で、生活や雇用の安定などのために、労働者に給付金を支給する機能をもった制度です。

 各給付金は、申請に基づいて支給されるもので、迅速な給付を行うために、雇用保険法施行規則で定められた申請期限が厳格に運用されており、期限を超えて申請が行われた場合には、原則として給付金が支給されないことになっていました。


申請期限の取扱いの変更

 この取扱いについて、申請期限までに申請するという原則には変わりがありませんが、このほど、申請期限が過ぎた場合であっても、時効が完成するまでの期間(2年間)について申請が可能となりました。時効の起算点は給付金によって異なりますが、起算日から2年を経過する日が時効の終点(権利の消滅する日)です。今回の取扱いの変更により、必ずしも申請期限が単純に2年に延長されたことにはならないので注意が必要です。

 対象となる給付金のうち、主なものは下表の通りです。


 今回の取扱いの変更により、以前に給付金の支給申請を行ったにもかかわらず、申請期限が過ぎたことで支給されなかった人についても、時効の完成前に再度申請して、各給付金の要件を満たしていれば給付金が支給されます。

 なお、今回の取扱いの変更は労働者に対する給付金についてですので、事業主に支給される助成金、奨励金などについては、引き続き、定められた申請期限までに支給申請することが必要です。



3.参考資料 (4割の中小企業が人材不足)

 このほど政府が閣議決定した2015年版の「中小企業白書」によると、必要な人材を確保できていない企業が4割近くに上る一方で、「人材の応募はあっても、よい人材がいない」という声も強く、中小企業が質・量両面での「人材不足」に直面している現状が浮き彫りになっています。
 また同白書では、新卒者の4割以上が3年以内に会社を辞めるなど、高い離職率も中小企業における人材不足の要因と分析し、採用した社員の定着率を高める必要性にも言及しています。

中小企業・小規模企業の動向


 2013年以降、円安方向への動きを背景に国内石油製品価格は上昇。これに伴い中小企業・小規模事業者の原材料・仕入単価は上昇し、この間、売上単価も緩やかに上昇していたものの、原材料・仕入単価の上昇が利益を下押ししました。

 2014年秋以降は、原油価格の下落に伴い、国内石油製品価格も下落。他方、中小企業・小規模事業者の採算は依然として厳しい状況であり、仕入単価の上昇を販売価格に転嫁できるよう、引き続き対策を講じていくことが重要です。


販路開拓の取り組みと売上


 中小企業・小規模事業者の販路開拓の取組状況を、「既存市場」と「新規市場」に分けて見ると、製造業と卸売業は、新規市場の販路開拓に取り組んでいる企業の割合が他業種に比べて高いといえます。

 売上目標を達成した企業の割合を見ると、新規市場は既存市場と比較して、総じて売上目標の達成状況は低く、中小企業・小規模事業者における新規市場開拓の難しさをうかがわせます。

 他方で、市場のニーズ、商圏、市場の規模を把握している企業は、把握していない企業に比べて、目標の達成度合いが高いといえます。


販路開拓の課題


 売上目標を達成することができなかった企業が抱える、新規市場開拓時の課題を見ると、「人材」に関する課題が最も多く、次いで、情報収集・分析等の「マーケティング」に関する課題が多くなっています。

 また、人材が不足している企業の半数以上で、外部人材の獲得が実現できていない。その理由として、「コストに見合う効果が期待できない」という企業が最も多く、次いで、「必要な資金がない」、「獲得方法が分からない」と続いています。


これからの販路開拓


 これからは「よいもの」をつくるという発想から、「売れるもの」をつくるという発想への転換が必要。市場のニーズを取り入れたり、デザインを活用するなど、ブランドを構築することで、新たな販路開拓の可能性が広がります。

 国内市場のみならず、海外市場を取り込んでいくことも重要。販路開拓に当たっては、海外での展示会に出展していくほか、直接海外の消費者にインターネット販売を行う方法もあります。


人材の確保


 中小企業・小規模事業者の従業員の不足感は、全国的に高まっています。

 アンケート調査でも、人材の確保状況について、「十分確保できている」や「十分ではないが確保できている」という回答は5割に満たず、逆に「確保できていない」が4割近くになるなど、中小企業・中小規模事業者は人材を十分確保できていない状況となっています。

 その理由を見ると、「人材の応募がないため」が6割弱を占める一方で、「人材の応募はあるが、よい人材がいないため」という回答も4割あり、質・量両面での「人材不足」に直面していることがうかがわれます。


人材の採用


 中小企業・小規模事業者において、経営中核となる人材の不足感が強いくみられます。

 販路開拓(営業)のための人材にとどまらず、研究開発・製造、IT関連、経営等、多岐にわたる中核人材の不足感も強いようです。

 中小企業における中途人材の採用手段としては、「ハローワーク」や「知人・友人の紹介」が多く利用されています。採用実現率(採用実績/利用実績)を見ると、「知人・友人の紹介」や「取引先・銀行の紹介」で高くなっている一方、「自社ホームページ」が最も低く、人材採用における顔が見える採用手段の重要性が確認できます。

 また、中核人材の採用を見ると、中途採用と似た結果となっており、中小企業の「中核人材」の採用手段や供給源は、極めて限られていることがうかがわれます。


人材の定着・育成

   中小企業・小規模事業者における就業者の離職率(3年目)は、中途採用で約3割、新卒探用では4割を超えています。その中でも、小規模事業者においては、新卒採用の過半数が3年以内に離職しており、会社の将来を担う人材の育成の前提として、採用した社員の定着率を高める必要があります。

 また、経営の中核となる人材の育成の面でも、中小企業・小規模事業者は様々な課題を抱えており、とりわけ「指導・育成を行う能力がある人材の不足」が顕著となっています。


4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 精勤手当は割増賃金の計算基礎に入れるべきか?
 当社は、シフト勤務制のパート従業員に対して、基本給(時間給)のほかに、1ヵ月のシフトを自分の都合で変更することなく勤務した場合には、1ヵ月4,000円の精勤手当を支給しています。
 このほど、あるパート従業員より、いつも精勤手当がついているが、深夜勤務の割増分(25%)に精勤手当は入らないのか、という質問を受けました。精勤手当は支給しない場合もあるので、支給した場合でも深夜勤務の時間給には入れていませんが、問題はありますか?

割増賃金の計算に算入するべき賃金


 労働基準法(第37条)では、使用者に対して、時間外労働、休日労働および深夜労働については、通常の労働時間または労働日の賃金(通常の賃金)に一定率を乗じた額の割増賃金の支払いを義務づけています。

 また、割増賃金の計算の基礎から除外できる賃金として、労基法および同法施行規則(第21条)において、次のとおり定められています。

①家族手当、②通勤手当、③別居手当、④子女教育手当、⑤住宅手当、⑥臨時に支払われた賃金、⑦1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金

 これら7種類の賃金は、限定列挙されているものですので、通常の賃金であって、これら以外の賃金は割増賃金の計算の基礎となります。また、これらの賃金はその名称にかかわらず、実質によって判断され取り扱われるものとされています。


精勤手当はどう扱うか


 精勤手当は、勤務に関する要件を満たしたときに支給されるものだとしても、基本的には毎月支払われるものであれば、「臨時に支払われた賃金」や「1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」のいずれにも該当しないと考えられるので、割増賃金の計算の基礎に算入するべき賃金といえます。

 割増賃金を計算する際は、時間によって定められた賃金については、その金額を基礎に、月によって定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1ヵ月平均の所定労働時間数)で除した金額を基礎として割増率を乗ずると定められています。このほか、日給や週給、出来高制などについても計算の方法が定められています。(労基法施行規則第19条)

 質問のケースでは、シフトどおりに勤務することが通常であるという前提でみれば、精勤手当は月単位で金額が決められているので、実際に支給されるときは、これを「月によって定められた賃金」として割増賃金の計算の基礎に入れる必要があります。

 したがって、精勤手当が支払われた月に深夜勤務の割増賃金を支払うときは、精勤手当の1時間あたりの額を前記の方法で算出して、これを通常の時間給に加算することにより、1時間あたりの割増賃金の基礎額(割増率を乗ずる前の金額)を算出することになります。



5.参考資料 (外国人労働者と安全衛生)

外国人労働者問題啓発月間


 毎年6月は、「外国人労働者問題啓発月間」とされています。これは、外国人労働者の雇用や労働条件、また企業側の受け入れ環境の不整備等の問題があることから、厚生労働省が、これらの問題解決に向けて事業主団体などの協力のもと、事業主や国民を対象とした集中的な周知・啓発活動を行うものです。

 今回は、この月間に寄せて外国人労働者と安全衛生について見ていきたいと思います。


外国人指針


 外国人労働者の安全衛生については、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」(以下「外国人指針」という)の中に記載があります。なお、この外国人労働者には技能実習生も含まれます。


外国人労働者の安全衛生


 外国人指針で示されている事業主が行うべき安全衛生の確保についてのポイントは、以下のとおりです。

①安全衛生教育の実施
 外国人労働者に対し安全衛生教育を実施するに当たっては、当該外国人労働者がその内容を理解できる方法により行う。特に、外国人労働者に使用させる機械設備、安全装置又は保護具の使用方法等が確実に理解されるよう留意する。

②労働災害防止のための日本語教育等の実施
 外国人労働者が労働災害防止のための指示等を理解することができるようにするため、必要な日本語及び基本的な合図等を習得させるよう努める。

③労働災害防止に関する標識、掲示等
 事業場内における労働災害防止に関する標識、掲示等について、図解等の方法を用いるなど、外国人労働者がその内容を理解できる方法により行うよう努める。

④健康診断の実施等
 労働安全衛生法等の定めるところにより、外国人労働者に対して健康診断を実施する。また健康診断の結果に基づく事後措置を実施するときは、健診結果及び事後措置の必要性と内容を当該外国人労働者が理解できる方法により説明するよう努める。

⑤健康指導及び健康相談の実施
 産業医、衛生管理者等を活用して、外国人労働者に対して健康指導及び健康相談を行うよう努める。

⑥労働安全衛生法等関係法令の周知
 労働安全衛生法等関係法令の定めるところにより、その内容についてその周知を行う。その際には、分かりやすい説明書を用いるなど、外国人労働者の理解を促進するため必要な配慮をするよう努める。



6.参考資料 (日本年金機構からのお知らせ)

7.参考資料  平成26年の労働災害発生状況 (死亡・死傷・重大災害共に増加)

 厚生労働省が4月28日に公表した平成26年の労働災害発生状況によると、死亡災害(前年比27人増)、死傷災害(同1,378人増)、重大災害(同48件増)がいずれも前年を上回ったことが分かりました。

概 要


 平成26年の労働災害による被災者数は、死亡災害が前年比27人(2.6%)増の1,057人、休業4日以上の死傷災害が同1,378人(1.2%)増の119,535人と、いずれも前年を上回りました。

 また、一度に3人以上の労働者が被災した重大災害も同48件(19.7%)増の292件となりました。

 平成26年の特徴として、死亡災害、死傷災害ともに1~3月期に件数が大きく増加したことが挙げられます。

 実質GDPが、消費増税前の駆け込み需要の影響もあってプラス成長となるなど、経済活動が前年同期より活発となったことや、2月の大雪による「転倒」の増加などがその要因とみられます。


死亡災害発生状況


 死亡者数は、建設業(377人、前年比35人増)および陸上貨物運送事業(132人、同25人増)で増加し、製造業(180人、同21入減)で減少しました。

 事故の型別では、建設用機械やトラック等への「はさまれ・巻き込まれ」、立木やフォークリフト等からの「激突され」等が増加し、屋根・はり等からの「墜落・転落」、「交通事故(道路)」、金属材料等の「飛来・落下」等が減少しました。


死傷災害発生状況


 死傷者数は、製造業(27,452人、前年比375人増)、陸上貨物運送事業(14,210人、同20人増)、小売業(13,365人、同557人増)、社会福祉施設(7,224人、同393人増)等で増加し、建設業(17,184人、同5人減)では4年ぶりに減少しました。

 事故の型別では、通路や作業床での「転倒」、階段、はしご等からの「墜落・転落」、「動作の反動・無理な動作」等が増加し、一般動力機械等による「はさまれ・巻き込まれ」、手工具等による「切れ・こすれ」、「交通事故(道路)」等が減少しました。


重大災害発生状況


 重大災害は、特に建設業(130件、前年比37件増)および製造業(59件、同25件増)で大きく増加。また、事故の型別では、「交通事故」、「中毒・薬傷」、「火災・高熱物」で大きく増加しました。