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メールマガジン2015年07月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2015年07月 Vol.7
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1.人事・総務ニュース

日本年金機構に不正アクセス  ~ 基礎年金番号などの情報が流出 ~

 日本年金機構は5月28日、外部からのウイルスメールによる不正アクセスにより、職員のパソコンから基礎年金番号や住所などの年金に関わる個人情報が流失していたことを公表しました。同日時点で、約125万件が流出したことが判明しています。機構では、即日、専用電話窓口を設置したほか、個人情報が流出した人へは個別にお知らせ文書を郵送するとしています。

 こうした通知に関しては、機構側から電話による連絡は一切せず、登録されている住所への郵送で行うとしています。もし、自宅や職場などに、機構や機構の職員などを名乗る不審な電話がかかってきたら、迷わずに機構の専用電話窓口(電話番号0120-818211)または警察相談専用電話(#9110)に電話をしてください。


厚生労働省が方針示す ~ マタハラ企業、厳格に是正措置 ~

 厚生労働省は、職場で妊娠や出産を理由に女性労働者に退職を迫るなど、不利益を与えるマタニティー・ハラスメント(マタハラ)について、5月29日までに、是正指導や勧告に従わない企業名を公表することなどを徹底する方針を全国の労働局に指示しました。

 厚労省は今年3月に、マタハラの判断基準について、「原則として妊娠・出産などから1年以内に女性が不利益な取り扱いを受けた場合は直ちに違法と判断すること」を明確に示しており、今回の指示は、企業名の公表も含めて、この判断基準に基づく指導などを徹底することで、マタハラの防止を図るのがねらいです。


最高裁が労災療養中の解雇は可能と判断 ~ 国の労災給付も「療養費」と認める ~

 労災と認定され療養のため休職している間に解雇された大学職員が、大学に対して解雇は無効などと訴えた裁判で、最高裁(第2小法廷)は6月8日、国の労災保険は使用者による災害補償に代わり保険給付を行う制度であるとして、使用者が療養費を負担していない場合でも、使用者が打切補償を支払えば解雇制限が除外される労働基準法の規定が適用されるという判断を示し、解雇を無効とした東京高裁に審理を差し戻しました。

 労基法では、労働者が業務上のけがや病気の療養のため休業している間およびその後30日間は、その労働者を解雇できないと定めていますが、例外として、使用者が療養費を負担して療養開始後3年を経過しても治らない場合には、使用者は平均賃金の1200日分の打切補償を支払うことで、解雇制限の適用が除外されると定めています。

 今回の判断は、国の労災保険の給付金が療養費の代わりになることを示したものです。



パワハラの対策マニュアルを公開 ~ 実施マニュアルとQ&Aを公開 ~

 厚生労働省が運営するポータルサイト「あかるい職場応援団」で、このほど、企業がパワーハラスメント(パワハラ)対策に取り組む際の参考となるマニュアルが公開されました。

 マニュアルでは、パワハラ対策の基本的枠組みの構築手順や取組みの実施方法のほか、管理職向けと従業員向けの研修のための資料などが盛り込まれています。 同マニュアルは、下記のアドレスのサイトからダウンロードできます。

 http://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/download.html



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(複数の適用事業所から報酬を受けるとき (健康保険・厚生年金))


新たに資格取得届を提出

 健康保険・厚生年金保険の被保険者が、複数(2ヵ所以上)の適用事業所から報酬を受けることになったときで、その適用事業所においても被保険者となるべき人であれば、資格取得届の提出が必要となります。

 被保険者となるべき人は、一般的には報酬を受ける役員または常時使用関係にある従業員(正社員など)で、パートタイマーであれば、原則的に労働時間と労働日数がそれぞれ正社員の概ね4分の3以上の場合です。したがって、新たに資格取得届の提出が必要なのは、通常のケ-スでは、他の適用事業所においても報酬を受ける役員に就任した場合などが考えられます。


被保険者所属選択・二以上事業所勤務届

 複数の適用事業所で被保険者の資格を取得した場合、管轄する年金事務所または健康保険組合などの「保険者」に「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出します。

 これは、被保険者が複数の事業所で適用を受けると保険給付や年金加入記録など事務取扱いの関係で支障をきたすことにもなるので、被保険者自らがどの年金事務所または健康保険組合で主として適用を受けるかを選択する必要があるために届け出るものです。

 なお、健康保険組合を選択した場合、厚生年金保険の事務は年金事務所が行うことになります。


保険料の扱い

 保険料の算定の基礎となる標準報酬月額については、それぞれの事業所から受ける報酬額を合算して決定することになります。そして、この標準報酬月額により算出された保険料額を、事業所ごとの報酬額に応じ按分して額が決まり、それぞれの事業所に通知が行われて納付することになっています。

 標準報酬月額が一つの事業所だけの報酬ですでに上限となっている場合でも、この届出は必要で、届出に基づき複数の事業所で按分された保険料額を、それぞれの事業所で納付します。


随時改定の扱い

 報酬額が大きく変動した場合の標準報酬月額の随時改定は少し複雑ですが、基本的には、それぞれの事業所において受ける報酬が随時改定の要件に該当するかどうかで判断することになっています。

 たとえば、A事業所(選択事業所)、B事業所での報酬月額がいずれも70万円で、B事業所の報酬月額が50万円に下がって3ヵ月間経過した場合、3ヵ月平均の合算額では140万円から120万円になり、標準報酬月額の等級(健保…121万円、厚年…62万円)は変わりませんが、B事業所での等級が2等級以上(健保…71万円から50万円、厚年…62万円から50万円)下がります。

 したがって、選択したほうのA事業所の管轄年金事務所(または健保組合)に「報酬月額変更届」を提出します。この場合、合算額においては等級の変更はありませんが、それぞれの事業所が納める保険料は、按分割合が変更されることになります。



3.参考資料 (男性の育児制度の認知度、低水準)

 このほど厚生労働省は、「改正育児・介護休業法」の施行から5年が経過するのにあわせ、仕事と家庭の両立に関する実態を把握するため、民間の調査会社に委託して実施したアンケート調査の結果を発表しました。
 今号ではその中から、育児休業制度等が労働者側(子供を持つ20~40代の男女会社員)にどの程度認知・利用されているか取り上げてみました。

産前産後休業の取得率


 産前産後休業の取得率は、女性・正社員が77.1%、女性・非正社員が27.5%。産前産後休業を利用しなかったと回答した女性・非正社員のうち、29.3%は利用希望があったにもかかわらず利用できていません。


育児休業の取得率


 育児休業の取得率をみると、男性・正社員が5.4%、女性・正社員が71.7%、女性・非正社員が22.8%となりました。育児休業を利用しなかったと回答した女性・非正社員のうち、33.3%は利用希望があったにもかかわらず利用できていません。また、産前産後休業を取った人のうち育児休業を取得した割合は、女性・正社員が93%、女性・非正社員が83%でした。


育児休業を取得しなかった理由


 育児休業を取得しなかった理由として、男性・正社員は「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だったから」が26.6%で最も高く、女性・正社員、女性・非正社員はともに「会社で育児休業制度が整備されていなかったから」がそれぞれ33.6%、41.4%で最も高くなりました。


利用できることを知っていたか

   産前産後休業制度、育児休業制度に関して、会社に制度が整備されていなくても、法律上、制度の対象であれば利用できるということについて、女性・正社員は51.8%が知っていたが、男性・正社員の67.9%と女性・非正社員の66.4%は「利用できることを知らなかった」と回答しました。

男性の育児を目的とした休業の取得状況


男性で育児を目的に何らかの休業を取得した人のうち、80.7%は出産後8週間以内に休暇を取得している。そのうち、再度取得したのは32.4%、利用を希望していたが利用できなかったのは29.4%でした。


男性の育児休業制度に関する認知度


 育児休業に関する制度について、「いずれも知らない」と回答した男性・正社員は62.6%に及びます。この認知度の低さが、「パパ・ママ育休プラス」の男性・正社員の利用率が0.3%という利用水準の低さにつながっているとも考えられます。


子の看護のために取得した休暇日数

 この1年間に、子の看護のために何らかの休暇や制度等を利用した平均日数は、最も多い女性・正社員で11.2日、女性・非正社員では6.8日、男性・正社員は4.1日でした。また、子の看護休暇は、一番多い女性・正社員でも年間平均で1.8日の利用に留まります。男女ともに正社員で最も多く利用されているのは「年次有給休暇」(男性1.9日、女性4.9日)で、女性・非正社員では「通常保育以外の預かりサービス」(2.1日)となりました。


子の看護休暇の取得率

 「子の看護休暇」の取得率は、男性・正社員が10.9%、女性・正社員が29.3%、女性・非正社員が17.5%となりました。

 また、子の看護休暇を利用しない理由として、男性・正社員、女性・非正社員ともに「制度があることを知らなかった」がそれぞれ23.5%、32.8%で最も高く、女性・正社員は「年次有給休暇の取得で対応した」が29.8%で最も高くなりました。


短時間勤務制度等の利用状況

 「短時間勤務制度」の利用状況をみると、男性・正社員が0.5%、女性・正社員が29.2%、女性・非正社員が8.6%となりました。また、「所定外労働の免除」は、男性・正社員が1.7%、女性・正社員が7.7%、女性・非正社員が2.4%となりました。


育児休業を取得した有期契約労働者

 育児休業が取得できた女性・非正社員は、「契約期間3年以上」が57.0%、「週30時間以上労働」が62.7%、「契約更新3回以上」が37.4%でした。長期の契約実績があり、週あたりの労働時間が長い場合に、育児休業を取得する割合が高まります。


4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 育児短時間勤務の時間帯を指定できるか?
 雇用する職員が約20名の医療機関ですが、法に基づいて、3歳に満たない子を養育する職員が希望すれば、育児短時間勤務を適用しています。ただし、夕方の時間帯は必要な人員を確保しなければならないので、勤務時間を終業時刻から遡って6時間とするように指定しています。職員の中から、「帰りの時間が早くならなければ使いづらいのでは?」という声も聞いていますが、このような扱いで問題はあるでしょうか?
 また、対象者本人が夕方勤務を望まなければ、対象から除外することができるでしょうか?

育児短時間勤務制度の対象となる労働者


 育児・介護休業法(第23条)では、事業主は、3歳に満たない子を養育し、育児休業をしていない労働者(1日の所定労働時間か短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く。)が申し出た場合には、所定労働時間を短縮する措置(育児短時間勤務)を講じなければならないと定めています。また、労使協定により以下の労働者を適用除外とすることができます。

①雇用された期間が1年に満たない労働者
②1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
③業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤務制度を講ずることが困難と認められる
業務に従事する労働者

 このうち、③については、指針に例示があって、労働者数が少ない事業所において、その業務に従事しうる労働者数が著しく少ない業務のほか、流れ作業方式や交替制勤務による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務、などが挙げられています。


育児短時間勤務の考え方


 育児短時間勤務については、厚生労働省令により、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含む必要があるとされています。

 この「原則として6時間」とは、対象となる労働者が、1日の所定労働時間を6時間とする措置を実質的に選択できる状態となっていることが必要です。また、例えば、1日の所定労働時間を7時間とする措置や、隔日勤務等の所定労働日数を短縮する措置などを、1日の所定労働時間を6時間とする措置とあわせて選択できるようにすることも可能です。

 質問のケ-スについて、「6時間」をどの時間帯に設定するかに関しては法令に定めはありませんが、指針では、事業主はその措置の内容が、労働者が就業しつつ、その子を養育することが実質的に容易になるような配慮をする必要があると示されています。したがって、基本的には、対象となる人の希望を十分に踏まえて決めることが求められるでしょう。

 また、労使協定を締結することで職員を育児短時間勤務の対象から除外することは、指針の例示に照らして職員数の少ないことを理由としたとしても、合意に至らない可能性があり、難しいといえるでしょう。したがって、短時間勤務のあり方について、業務分担などの工夫により、できる限り仕事と育児の両立が実現可能なものにすることが望ましいでしょう。



5.参考資料 (台車と安全)

台車と災害


 台車(手押し台車)は、物を運ぶのに便利な器具です。荷物の運搬を専門にする運送業に限らず、台車を備えている会社は多いと思います。ただ、運搬中台車のヘリを自分や他人の足首にぶつけたり、足が荷台下に入りアキレス腱やすねを傷つけたり、荷崩れにより自分や他人に積み荷があたったり、周囲が見えなくなるまで荷物を積み上げて壁等に衝突し荷物を落下させたり、時には人と接触してケガをさせたりする事故が発生しています。

 そこで、今回はこの台車について、安全の観点から「物」への対策と「人」への対策を考えてみたいと思います。


モノへの対策


  1. ストッパー
    安全に作業するためには、まず、台車が止まることが必要です。この止める手段として「ストッパー」があります。足元のペダルを踏むとブレーキがかかるフットストッパーや、ハンドルから手を離すとブレーキがかかるハンドストッパーがあり、これを併用できる台車もあります。作業に応じて、その種類を選ぶ必要があります。
  2. 緩衝材
    台車のへりに自分や他人の足首をぶつけることを避けるためには、台車のへりにゴムなどの緩衝材を付けることが考えられます。
  3. 荷台下に入らない対策
    足が荷台下に入り、台車を押すときはすね部にあて、引いている時はアキレス腱にあてケガをすることがあります。このような対策としては、すね部またはアキレス腱部が入らないようにカバー板を取り付け、また、カバー板でケガをしないように角を丸める必要があります。

ヒトへの対策


 正しい台車の使い方について、作業方法を決めて、従業員に教育することが必要です。台車の安全な使い方のポイントは以下のとおりです。

  1. 台車は決められた場所に置く。使い終わった後は、放置しないで決められた場所に戻す。
  2. ストッパーを適切に使う。
  3. 積む荷の形や大きさに応じた台車を使う。台車は原則として押して使う。
  4. 荷崩れしないように積む。前が見えない高さまで積まない。最後に降ろす物から先に積む。
  5. 運搬中は、他の作業者や周囲の人に衝突しないように注意する。
  6. 曲がり角ではいったん停止し、左右の安全を確認する。
  7. 傾斜している場所で積み荷や荷卸しをしなければならない場合、ハンドルから手を離すと自然に台車が動き出す危険があります。ストッパー付きの台車であれば、必ずストッパーを使用すること、また、ストッパーが付いていない台車の場合は、2人で作業すること等の逸走防止対策が必要です。

両面からのアプローチを

 台車の安全対策については、以上のように「物」と「人」の両面から考えていくことが大事です。それには、まず、自社での荷はどのような物が多いのか把握して、それにあった対策を講じていくことが大事です。

6.参考資料 (日本年金機構からのお知らせ)

7.参考資料  労基法・最賃法違反による送検事例

 東京労働局から「平成26年度司法処理状況」が発表されましたが、これによると1年間(平成26年4月~平成27年3月)の間に、東京労働局と管下の18労働基準監督署・支署が東京地方検察庁へ送検した司法事件は54件(前年度比4件減少)だったそうです。
 業種別では、建設業(22件)、製造業(9件)、接客業(5件)が上位を占め、違反事項別では、賃金・退職金不払(17件)、死亡災害等を契機とした危険防止措置義務違反(12件)、労災かくしが(11件)が上位を占めました。

違反事例①


 託児所を営むA社は、労働者Bの平成24年1月分賃金(17,250円)および労働者Cの同年2月分賃金(80,690円)の合計97,940円を所定の各賃金支払期日である同年2月29日、同年4月4日に全額支払わず、もって法で定める最低賃金を支払わなかった。

 労働者14名が不払賃金(合計約221万6,000円)の行政指導による救済を求め労働基準監督署に申告に及んでいたが、 A社は労働基準監督署の行政指導に従わなかった。

 A社の代表者は再三の出頭要求に応じなかったことなどから、逮捕のうえ、送検された。


違反事例②


 パン製造販売業を営む会社のパートタイム労働者3名(時給900円~950円、1日の所定労働時間6時間)に対し、平成25年12月1日から同月31 日までの間、最長で月139 時間に達する時間外労働を行わせ、もって時間外労働協定の延長時間の限度を超える違法な時間外労働を行わせていた。

 また、同期間、本来支払うべき時間外労働に対する割増賃金のち3割程度しか支払っていなかった (1人当たり最大で約11 万円/月の時間外手当不払が発生していた)。


労働局の今後の方針


 労働局では、過重労働による健康障害を発生させた企業等であって違法な長時間労働を繰り返すなど「重大・悪質な労働基準法違反」の事案に対しては、積極的に捜査を行い、送検手続をとる方針とのことです。