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メールマガジン2015年10月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2015年10月 Vol.81

1.人事・総務ニュース

マタハラで事業所名等を始めて公表 ~ 妊娠を理由として解雇 ~

 厚生労働省は9月4日、妊娠を理由とした女性従業員の解雇を撤回しなかった医療法人(茨城県牛久市)の医院の名称、理事長の実名などを公表しました。

 男女雇用機会均等法では、妊娠・出産などを理由とする解雇などの不利益な取扱いを禁止していますが、同医療法人は今年3月以降、茨城労働局長による助言、指導、勧告のいずれにも従わなかったため、7月に厚生労働大臣による勧告を受けていました。

 同法では、大臣による勧告にも従わない場合、その旨を公表できる制度が設けられていますが、今回の公表が初めての事案だということです。


改正労働者派遣法が成立 ~ 9月30日施行 ~

 企業の派遣受入れ期間の制限を見直す改正労働者派遣法が9月11日、衆院本会議で可決、成立しました。施行日は9月30日となっています。


全国平均で18円の引き上げ ~ 地域別最低賃金改定の答申状況 ~

 平成27年度地域別最低賃金の改定について、8月24日までに、各都道府県の地方最低賃金審議会の答申状況がまとまりました。

 全国加重平均額は798円で昨年度より18円上昇し、最低賃金額が時給のみで示されるようになった平成14年度以降、最大の引上げ輻となっています。


マイナンバー、金融分野等に利用拡大  ~ 改正マイナンバー法が成立 ~

 マイナンバーの利用範囲を金融や医療などの分野に広げることを目的とした改正マイナンバ一法が、9月3日の衆院本会議で可決、成立しました。

 改正法では、金融機関などに預金情報をマイナンバーにより検索できる管理システムを義務づけ、預金保険機構などによるペイオフ(金融機関が破綻した場合の預金者保護)のための預貯金の合算や、税務調査などで預貯金情報を効率的に利用できるようにするとしています。

 また、健康保険組合などが行う特定健康診査の結果をマイナンバーと結びつけて管理することで、転居や退職しても市区町村や健康保険組合などの間で情報を共有できるようにすることなども盛り込まれました。

 このほか、日本年金機構から情報が流出した問題を受けて、マイナンバーと基礎年金番号を結びつける時期を遅らせることになりました。


2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(マイナンバーの安全管理措置)


安全管理措置の基本的な考え方

 マイナンバー制度では、事業者は、マイナンバーを取り扱う際は、その漏えい、滅失、き損を防止するなど、マイナンバーの適切な管理のために必要な措置(安全管理措置)を講じなければならないとされています。

 安全管理措置の検討にあたっては、ガイドラインに沿って、次のような手順で行う必要があります。

Aマイナンバーを取り扱う事務の範囲の明確化
B特定個人情報等の範囲の明確化
C特定個人情報等を取り扱う「事務取扱担当者」の明確化
D特定個人情報等の安全管理措置に関する基本方針の策定
E取扱規程等の策定


取扱事務、情報等の範囲の明確化

 マイナンバーを取り扱う事務とは、具体的には、事業者が法令に基づいて、従業員などのマイナンバーを用いて給与所得の源泉徴収票や支払調書、雇用保険や健康保険・厚生年金保険関係の届出書類の作成、提出などを行う事務をいいます。

 したがって、マイナンバーを取り扱う事務は、「源泉徴収票作成事務」、「健康保険・厚生年金保険届出事務」のように特定することで明確になります。

 また、事業者は、明確化した事務において取り扱う特定個人情報などの範囲を明確にしておかなければなりません。具体的には、事務において使用されるマイナンバーのほか、マイナンバーと関連づけて管理される個人情報(氏名、生年月日など)の範囲を明確にします。

 さらに、安全管理のためには、マイナンバーを取り扱う事務を誰が行うのかを明確にしておく必要があります。したがって、事務取扱担当者のほか、責任者を指名して任務にあたらせることが重要です。


基本方針、取扱規定等の策定

 ガイドラインでは、事業者は、このようにして明確化された事務や特定個人情報などの具体的な取扱いを定める取扱規程等を策定しなければならないとしています。規程には、特定個人情報などの取得、利用、保存、提供、削除・廃棄の段階ごとに、その具体的な取扱方法や責任者および事務取扱担当者などについて定めることが考えられます。

 なお、中小規模事業者(従業員数が100人以下)については、事務で取り扱うマイナンバーの数が少なく、また、事務を取り扱う従業者が限定的であることなどから、取扱規程等の策定に代わる特例的な対応方法も認められています。具体的には、取扱事務や情報の範囲および取扱担当者を明確にしたうえで、事務取扱担当者が変更となった場合、確実な引継ぎを行い、責任ある立場の者が確認することなどが示されています。

 また、マイナンバーの適切な取扱いの確保に組織として取り組むためには、基本方針を策定することが重要であるとされています。基本方針には、関係法令およびガイドラインの遵守、安全管理措置に関する基本的な事項、質問および苦情処理の窓口などを定めることが望ましいとされています。

3.参考資料 (6割が「老後の所得補償の充実」を希望 )

 このほど厚生労働省が発表した「平成25年社会保障制度改革に関する意識等調査」によると、今後充実させる必要があると考える年金や医療などの社会保障の分野(複数回答)として、64%の人が「老後の所得保障(年金)」を挙げていることがわかりました。なお、この調査は20歳以上の男女10,138人の有効回答を集計したものです。

社会保障制度改革についての意識


《今後、充実させるべき社会保障の分野》

 今後、充実させる必要があると考える社会保障の分野(複数回答)は、「老後の所得保障(年金)」が最も多く64.5%、次いで「高齢者医療や介護」が51.7%、「医療保険・医療供給体制など」が40.6%などとなっています。

《税や社会保険料の負担水準の感じ方》

 現在の税や社会保険料の負担水準については、「生活にはあまり影響しないが負担感がある」が最も多く50.5%、次いで「生活が苦しくなるほど重い」が39.1%、「特に負担感はない」が6.8%などとなっています。

 世帯の所得階層別にみると、400万円未満では「生活が苦しくなるほど重い」が最も多く、400万円以上では「生活にはあまり影響しないが負担感がある」が最も多くなっています。


《社会保障制度を維持するための財源》

 今後の社会保障制度を維持するための財源として、税と社会保険料のどちらを中心にすべきだと考えるかについては、「どちらかと言えば税で賄うべき」が最も多く38.4%、次いで「どちらかと言えば社会保険料で賄うべき」が23.1%、「税で賄うべき」が21.1%、「社会保険料で賄うべき」が7.4%などとなっています。

 世帯の生活意識別にみると、苦しいと感じている世帯層では、他の世帯層に比べ、「税で賄うべき」と考える人の割合が多く、ゆとりがあると感じている世帯層では、他の世帯層に比べ、「どちらかと言えば社会保険料で賄うべき」または「社会保険料で賄うべき」と考える人の割合が多くなっています。


《給付の水準についての考え方》

 今後の社会保障の給付水準については、「給付水準は維持すべき」が最も多く48.2%、次いで「給付水準はある程度引き上げるべき」が29.4%、「給付水準はある程度引き下げるべき」が7.7%などとなっています。

《負担の水準についての考え方》

 今後の社会保障の負担の水準については、「現状程度の負担とすべき」が最も多く43.6%、次いで「ある程度負担は減らすべき」が21.8%、「ある程度の負担増はやむを得ない」が20.7%などとなっています。

《給付と負担の水準についての考え方》

 今後の社会保障の給付と負担の水準について、それぞれどのようにあるべきだと思うかについての組合せをみると、「給付水準は維持すべき」と「現状程度の負担とすべき」の組合せを選択した人の割合が最も多く30.0%、次いで「給付水準はある程度引き上げるべき」と「現状程度の負担とすべき」の組合せが10.4%、「給付水準はある程度引き上げるべき」と「ある程度の負担増はやむを得ない」の組合せが9.9%などとなっています。

《介護保険などの満足度》

 現在、自分または自分の配偶者の親に対して手助けや見守りを行っている人を対象に、公的なサービス(介護保険など)について満足しているかをみると、「やや満足」が最も多く39.6%、次いで「やや不満」が26.1%、「不満」が13.2%、「満足」が10.6%などとなっています。



制度に関する情報についての意識


《社会保障制度に関する情報に接する度合い》

 社会保障制度に関する情報をどのような方法(複数回答)で入手することが多いかについては、「テレビ」が最も多く69.7%、次いで「新聞」が54.2%、「政府機関や地方自治体のパンフレットなどの刊行物」が25.5%などとなっています。

《社会保障制度に関する情報の入手先》

 今後の社会保障の給付と負担の水準について、それぞれどのようにあるべきだと思うかについての組合せをみると、「給付水準は維持すべき」と「現状程度の負担とすべき」の組合せを選択した人の割合が最も多く30.0%、次いで「給付水準はある程度引き上げるべき」と「現状程度の負担とすべき」の組合せが10.4%、「給付水準はある程度引き上げるべき」と「ある程度の負担増はやむを得ない」の組合せが9.9%などとなっています。

《取得した情報の内容に対する満足度》

 社会保障制度に関して普段得ている情報の内容については、「やや満足」が36.0%、「やや不満」が35.9%とほぼ同じ割合を占め、次いで「不満」が18.6%、「満足」が2.7%などとなっています。
また、不満である理由(複数回答)をみると、「得られる情報がわかりづらい」が最も多く66.8%、次いで「得られる情報の量が少ない」が31.8%、「どのように情報を手に入れればよいかがわからない」が27.8%などとなっています。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 協定締結や就業規則は事業場ごとに必要か?
 当社では、このたび本社以外の営業拠点を初めて設けることになりました。従業員は5名を配置し、勤怠管理などは本社で一括して行いますが、勤務時間と休日は本社とは別に設定しています。
この場合、その拠点においては、すでにある三六協定や就業規則は本社のものでカバーできるのでしょうか。それとも新しく協定を締結し、就業規則も作成しなければならないでしょうか?

事業場ごとに適用


 労働基準法では、就業規則や三六協定(時間外労働・休日労働に関する協定)などの労使協定には、その事業場において労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴くことや協定締結が必要ですので、適用の単位は、原則として事業場ごとであるとされています。

 ただし、営業所や出張所などで規模が著しく小さく、組織的な関連や事務処理の能力などを勘案して一つの事業という程度の独立性がないものについては、直近上位の機構(本社など)と一括して取り扱うことができます。

 規模などについて、どこまでが上位の機構と一括して扱える事業場なのかは、所属人数、業務内容、責任者の配置の有無、労務管理の能力といったことを基礎にして、個別に判断されることになります。


就業規則の作成・届出


 労基法では、常時10人以上の労働者を使用する使用者に就業規則の作成・届出が義務づけられています。人数についても事業場単位でカウントしますので、一つの事業場に常時10人以上の労働者がいる場合は作成・届出しなければなりませんが、10人未満の場合はその義務はありません。

 しかし、質問のケースのように本社と勤務時間や休日が異なる場合には、働く上でのルールを明確にする意味において、就業規則を本社とは別に作成することが望ましいといえます。


三六協定の締結


 三六協定は、時間外労働をさせる必要のある具体的な事由や業務の種類、1日のほか一定期間に延長することができる時間数、また、休日労働させる場合は、その必要のある具体的な事由や業務の種類、労働させることのできる休日(法定休日、休日労働の始業及び終業の時刻などについての定めを締結します。

 三六協定も、原則として事業場単位での締結が必要とされているため、その事業場で組織する過半数労働組合、それがない場合は過半数代表労働者との協定締結になります。営業所や出張所など小規模の事業場の場合、前述のとおり、一つの事業場としての独立性がないと判断されたものは、直近上位の機構と一括することはできます。

 しかし、独立性がなくても質問のケ-スのように本社と勤務時間や休日が異なるなど、三六協定に関しても一括して運用ができないような場合には、本社とは別に締結しなければならないことになります。

 なお、三六協定は労働基準監督署長へ届け出ることで効力が生じますので、各事業場ごとに締結された協定については、各事業場を管轄する労働基準監督署に届け出ることが必要です。

5.参考資料 (段取り八分と労働安全)


段取り八分とは


 段取り八分とは、仕事を進める上で、事前の準備がいかに重要かを表した言葉です。仕事の段取りをキッチリしておけば、その仕事は8割完了したのも同然であるという意味で使われています。また、この言葉の後に、「仕上げは二分」と続くこともあります。

 この段取り八分は、労働安全でも使うことがあります。安全に作業を行うためには、段取りをしっかりしておくことが重要だからです。今回は、安全を確保するための段取り八分について考えていきたいと思います。

 建設業では危険な作業も多く、重篤な結果となる事故も多いので、その施工にあたり事故を発生させないためにもしっかりした段取りが必要であるとされています。今回は建設業をモデルにしますが、考え方は他の業種にも応用できます。


事前調査


 安全な工事を進めるためには、工事を遂行するにあたって危険や有害なものがないかどうかの調査を行う必要があります。その際に、あらゆる角度からの情報収集が必要です。発注者や元請等も重要な情報を有している場合があります。この事前調査をしっかり行うことが、しっかりした計画の樹立につながります。


施工・作業計画の樹立


 事前調査で収集した情報により、準備作業から工事完了までの施工計画(元請)や作業計画(下請)を立てていきます。この計画段階では、危険な作業に従事する場合に必要な作業主任者等の資格、危険有害な作業を従業員に行わせる場合に必要な特別教育、測定器や保護具の確保等が計画に盛り込まれることが必要になります。

 重層関係が特徴の建設業では、この段階でそれぞれの立場に応じた計画を元請・下請の双方で十分連絡・調整して樹立することが必要です。

日常管理


 実際の工事は、樹立した計画に基づいて進められることになりますが、この時、施工計画や作業計画に基づいた手順が守られているかをチェックする必要があります。

 安全な作業を行うために立てた計画ですので、それを守って作業することが安全確保のためには必要だからです。ですので、作業がある日は、遵守状況を確認することが大事で、それに従わない場合は、是正や改善が必要になります。

段取りのマニュアル可


 事前調査・施工計画や作業計画の樹立までが、段取りといわれる段階です。そこがしっかりできていれば安全が確保できることになります。ただし、場合によっては実行段階で問題が発生する場合があります。そのような場合は、中身をチェックして改善していくことも必要となります。すなわち、P(計画)D(実行)C(チェック)A(改善)のサイクルを取り入れて全体を考えることが必要になります。

 このようにしてできた段取りはマニュアル化することによって、次からの工事の参考にもなり、より良いものとなっていきます。


6.参考資料 (日本年金機構からのお知らせ)

7.参考資料  (全国労働衛生週間)

スローガン
職場発! 心と体の健康チェック はじまる 広がる 健康職場



  今年で第66回を迎える全国労働衛生週間は、10月1日から7日までの1週間にわたって行われます。

 近年、職場におけるメンタルヘルス不調や過重労働、化学物質を原因とする健康障害防止対策が重要な課題となっています。こうした状況を踏まえ、平成26年6月に公布された改正労働安全衛生法では、ストレスチェック制度の導入や化学物質の適切な管理などを推進し、業務上疾病の発生を未然に防止するための仕組みを充実させることとしています。

 このような背景から、上記スローガンの下、事業場における労働衛生意識の高揚とともに、自主的な労働衛生管理活動の一層の促進を図ることとされています。