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メールマガジン2015年11月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2015年11月 Vol.82

1.人事・総務ニュース

本人交付の源泉徴収票への個人番号記載は不要 ~ 所得税法施行規則等を改正 ~

 10月から通知が行われているマイナンバー(個人番号)について、10月2日に所得税法施行規則
等の改正が行われ、平成28年1月以降も、給与などの支払いを受ける人に交付する源泉徴収票な
どへの個人番号の記載は行わないこととされました。

 改正前は、個人番号を記載して交付しなければならないこととされていましたが、交付の際に
漏えいや滅失などの防止の措置を講ずる必要が生じ、従来より負担がかかるといった要望に配慮
されました。

 なお、税務署に提出する源泉徴収票などには個人番号の記載が必要となっています。


監督を実施した事業場の6割が違法残業  ~ 厚労省が監督指導の結果を公表 ~

 厚生労働省はこのほど、今年4月から6月までに実施した長時間労働が疑われる事業場に対する監
督指導の結果をまとめました。

 対象となったのは1ヵ月当たり100時間を超える時間外労働が行われていた事業場や、長時間労
働による過労死などに関する労災請求があった事業場で、監督を行った2,362事業場のうち、違法
な時間外労働があったものが1,479事業場と全体の62.6%となっています。

 集計結果とあわせて、三六協定で定めた限度時間を超えて1ヵ月約120時間の違法な時間外労働
を行わせるとともに、同協定で休日労働に関して定めることなく違法な休日労働を月に3日行わせ
ていたなど、いくつかの事例が公表されています。


全国平均で18円の引き上げ ~ 地域別最低賃金改定の答申状況 ~

 平成27年度地域別最低賃金の改定について、8月24日までに、各都道府県の地方最低賃金審議会の答申状況がまとまりました。

 全国加重平均額は798円で昨年度より18円上昇し、最低賃金額が時給のみで示されるようになった平成14年度以降、最大の引上げ輻となっています。


年金の生涯給付額、世代間格差が拡大 ~ 厚生労働省が試算 ~

 厚生労働省はこのほど、納めた公的年金の保険料に対し、生涯でどれだけの給付を受けられるか
の試算を公表しました。

 試算は世代ごとに行われ、厚生年金では、夫がサラリーマン、妻が専業主婦というモデルで、今
年70歳(1945年生まれ)になる世代では、負担した保険料の5.2倍の給付を受け取れる見込みで、5
年前の試算の4.7倍を上回りました。

 一方、30歳(1985年生まれ)以下の世代は、前回と同じ2.3倍にとどまり、世代間での格差が拡大
しています。



労働基準法改正案は継続審議に

 9月27日に閉会した通常国会に提出されていた「改正労働基準法案」は、質疑などが行われない
まま会期末となり、継続審議の扱いとなりました。

 同法律案は、一定日数の年次有給休暇について時季を指定しての付与を事業主に義務づけるこ
と、中小企業における月60時間超の時間外労働への割増賃金率の適用猶予を改正法の施行日(平成
28年4月1日)から3年後に廃止すること、一定額以上の年収がある高度な専門的知識を必要とする
業務に就く労働者について、本人の同意などを要件として、労働時間、休日、深夜の規制を適用除
外とすることなどが主な内容となっています。


2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(マイナンバーの安全管理措置の内容)


安全管理措置の具体的内容

 マイナンバー制度では、特定個人情報等の保護のために必要な安全管理措置についての具体的な
手法の例示や、中小規模事業者における対応方法がガイドラインで示されています。

 それによると、安全管理措置の内容には、主に次の4つがあります。

(1)組織的安全管理措置

 取扱いの責任者および事務取扱担当者を設置して、その役割や責任を明確化するとともに、情報 漏えい事案の発生やその兆候を把握した場合の報告連絡方法等の組織体制を整備したうえで、取扱 規程等に基づく運用状況等を確認、把握します。

 取扱規程等の策定義務がない中小規模事業者においては、①特定個人情報等の取扱状況の分かる
記録を保存する、②情報漏えい等の事案の発生等に備え、従業者から責任ある立場の者に対する報
告連絡方法等をあらかじめ確認しておく、③責任ある立場の者が、特定個人情報の取扱状況につい
て定期的に点検を行う、などの対応が重要だとしています。

(2)人的安全管理措置

 特定個人情報が取扱規程等に基づき適正に取り扱われるよう、事務取扱担当者に対して周知徹底
するとともに、適切な監督および教育を行います。

 具体的には、定期的な研修を行うことや、秘密保持に関する事項を就業規則に盛り込むことが挙
げられています。

(3)物理的安全管理措置

 特定個人情報の漏えいを防止するために、特定個人情報ファイルを管理する区域(管理区域)お
よび取扱事務を実施する区域(取扱区域)を明確にします。

 その手法には、会社の規模や業種によって幅があると考えられますが、管理区域については、IC
カード、ナンバーキー等による入退室管理システムの設置や、管理区域へ持ち込む機器の制限等が考えられ、取扱区域については、壁や間仕切りの設置、座席配置の工夫等が示されています。

 また、特定個人情報を取り扱う機器や電子媒体、書類等の盗難や紛失を防止するため、それらを
施錠できるキャビネットや書庫に保管するなど、安全な対策を講ずる必要があります。

(4)技術的安全管理措置

 情報システムを使用して事務を行う場合、事務取扱担当者や特定個人情報ファイルの範囲を限定
するために、適切なアクセス制御を行います。その手法として、ユーザーIDおよびパスワード、磁
気やICカードに付与されたアクセス権により、情報システムを使用できる者を事務取扱担当者に限
定するとしています。

 また、外部からの不正アクセス防止のため、外部ネットワークとの接続箇所にファイアウォール
等を設置し、不正アクセスを遮断するとともに、情報システムおよび機器に、常に最新状態となる
ウイルス対策ソフトウェアを導入しておくことが重要です。

 前記のように、マイナンバーを含めた情報の漏えい、滅失等の防止のための措置を実施すること
がすべての事業者に求められています。


個人情報の保護

 (ポイント)
個人情報保護の規定を、特定個人情報等も含む形に変更します。

第●条 (個人情報及び特定個人情報の保護)

1 労働者は、会社及び取引先等に関する情報、個人情報及び特定個人情報等の管理に十分注意を
払うとともに、自らの業務に関係のない情報を不当に取得してはならない。

2 労働者は、職場又は職種を異動あるいは退職するに際して、自らが管理していた会社及び取引
先等の情報、個人情報及び特定個人情報等に関するデータ・情報書類等を速やかに返却しなけれ
ばならない。

3 会社における、特定個人情報等の取り扱いの詳細については、特定個人情報等取扱規程に定め
る。


教育訓練

(ポイント)
特定個人情報等の適正な取扱いに関する教育訓練の受講指示と受講義務について規定します。

第●条 (教育訓練)

1 会社は、業務に必要な知識、技能を高め、資質の向上を図るため、労働者に対し、必要な教育
訓練を行う。

2 会社は、個人情報及び特定個人情報等の保護管理を徹底するため労働者に対し個人情報及び特
定個人情報等の適正な管理に関する教育訓練を行う。また、個人情報及び特定個人情報等の管理
責任者並びに個人情報及び特定個人情報等を取り扱う事務取扱担当者に対して、別に、教育訓練
を指示することがある。

3 労働者は、会社から教育訓練を受講するよう指示された場合には、特段の事由がない限り教育
訓練を受けなければならない。



懲戒の事由

(ポイント)
特定個人情報等の保護に関する規定違反に該当する行為に対して、懲戒対象とすることができる
よう規定します。

第●条 (懲戒事由)

1 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情
状によっては、第○条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。
(1) 重要な経歴を詐称して雇用されたとき。
(2) 正当な理由なく無断欠勤が14日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき。
(中略)
(10) 第●条(個人情報及び特定個人情報等の保護)に違反し、その情状が悪質と認められると
き。
(中略)
(15) その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき。



3.参考資料 (「平均給与」2年連続プラス 国税庁の「民間給与実態統計調査」)

 このほど国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」によると、民間企業に平成26年1年間を通じ
て勤務した給与所得者(パート・アルバイト等の非正規労働者を含む)が受け取った平均給与は415
万円と前年を1万4,000円(0.3%)上回り、2年連続で増えたことが分かりました。
*「平均給与」とは、給与支給総額を給与所得者数で除したもの。

平均給与


 1年を通じて勤務した給与所 得者数は4,756万人(男性2,805 万人、女性1,951 万人)で、前 年に比べ111万人(2.4%)増加 しています。

 また、給与所得者1人当たり の平均給与は415万円で、前年 に比べ1 万4,000 円(0.3%)増 加。これを男女別にみると、男 性514 万4,000 円、女性272 万 2,000円で、男性は3万1,000円 (0.6%)、女性は7,000 円 (0.3%)それぞれ増加していま す。

 平均給与415万円の内訳をみ ると、平均給料・手当は352 万 6,000 円(男性433 万6,000、女 性236万1,000円)で,平均賞与 は62万5,000円(男性80万8,000 円、女性36万1,000円)となっ ています。

 次に,平均給与を雇用形態別 にみると,正規は477万7,000円 (男性532万3,000円、女性359 万3,000 円)で前年に比べ4 万 7,000円(1.0%)、非正規は169万 7,000 円(男性222 万円、女性 147万5,000円)で同1万9,000円 (1.1%)それぞれ増加していま す。


事業所規模別の平均給与

 10人未満の事業所では330万6,000円(男性411万4,000円、女性236万9,000円)で5,000人以上の
事業所では507万8,000円(男性680万6,000円、女性267万7,000円)となっています。

業種別の平均給与

 最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の655万円、次いで「金融業、保険業」の610万円
で、最も低いのは「宿泊業、飲食サービス業」の237万円となっています。


給与階層別分布

 1年を通じて勤務した給与所得者4,756万人について、給与階層別分布をみると、300万円超400万 円以下が824万人(17.3%)で最も多く、次いで200万円超300万円以下が803万人(16.9%)となっていま す。

 これを男女別にみると、男性は300万円超400万円以下が514万人(18.3%)で最も多く、次いで400万円超500万円以下が488万人(17.4%)となっています。

 女性は100万円超200万円以下が512万人(26.2%)で最も多く、次いで200万円超300万円以下が432万人(22.1%)となっています。


納税者数および税額


 1年を通じて勤務した給与所得者4,756万人のうち,源泉徴収により所得税を納税したのは84.6%の 4,026万人で,その税額は8兆5,124億円と前年に比べ2,217億円(2.7%)増加しています。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 家賃の補助は割増賃金の計算から除外できるか?
 当社では、このたび本社移転に伴い、本社の近隣に転居する社員に対して、転居費用の補助およ
び転居後3年間は、家賃についても補助する制度を設けることになりました。
家賃の補助として、毎月一定額を給与とあわせて支給する方法の場合、これを割増賃金の計算の
基礎から除外しても問題はないでしょうか。このほか、注意するべきことはありますか?

計算から除外できる住宅手当とは


 労働基準法および同法施行規則では、割増賃金の基礎となる賃金には算入しないものとして、家
族手当、通勤手当のほか、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1ヵ月を
超える期間ごとに支払われる賃金が挙げられています。
ここでいう「住宅手当」とは、手当の名称に関わらず、住宅に要する費用に応じて算定される手
当をいいます。

 具体的には、賃貸住宅については、居住に必要な住宅の賃借のために必要な費用、持ち家につい
ては、居住に必要な住宅の購入、管理などのために必要な費用を対象として、費用に定率を乗じた
額とすることや、費用を段階的に区分し費用が増えるにしたがって額が多くなるように決められて
いるものをいいます。

 住宅に要する費用以外の費用に応じて算定される手当や、住宅に要する費用にかかわらず、一律
に定額で支給される手当は、割増賃金の基礎となる賃金から除外される住宅手当にはあたりませ
ん。


家賃補助の考え方


 質問のケースでは、「家賃補助」という名目で毎月の給与とあわせて支給するということです
が、実質的には、住宅の賃借のために必要な費用を支給するので、これも住宅手当と同様に考える
のが適当でしょう。

 一定額を家賃補助として支給する場合、前記のとおり、補助額が住宅に要する費用に応じて算定
されるものであれば、割増賃金の基礎としなくてもよいことになります。例えば、1ヵ月の家賃の
20%や、家賃が月額5~10万円の場合は2万円、10万円を超えるときは3万円を毎月補助するのであ
れば、費用に応じて算定されることになります。

 一方で、補助額を対象者全員一律にしている場合や、区分に応じて支給することとされていると
しても、例えば、扶養家族がある人には2万円、扶養家族がない人には1万円を補助するというよう
に、住宅以外の要素に応じて支給される場合には、割増賃金の基礎から除外することはできないこ
とになります。

 支給基準をどのように設定するかは、経営者の判断になるでしょうが、単に家賃の補助だといっ
ても、雇用する労働者に対して住宅の賃借のために必要な費用を支給するので、労基法上は賃金に
あたります。トラブルにならないためにも、就業規則や賃金規程に支給の要件や支給額などを定め
て、その取扱いを明確にしておくことが大切だといえるでしょう。

5.参考資料 (就業規則 マイナンバー関連規定)


採用時の提出書類


(ポイント)
採用時の提出書類の中に、あらかじめ本人確認に必要な書類を盛り込んでおき、それらの提出を
義務付けます。

第●条 (採用時の提出書類)
1 第○条○項に定める入社誓約を行った者は、会社が指定する期日までに次の書類を提出しなけ
ればならない。
(1) 履歴書
(2) 住民票記載事項証明書
(3) 自動車運転免許証の写し
(4) 資格証明書の写し
(5) 個人番号カード表裏面の写し又は通知カードの写し及び当該通知カードに記載された事項
がその者に係るものであることを証するものとして行政手続における特定の個人を識別するた
めの番号の利用等に関する法律施行規則で定める書類
(6) その他会社が指定するもの
2 前項の定めにより提出した書類の記載事項に変更を生じたときは、速やかに書面で会社に変更
事項を届け出なければならない。


個人番号利用目的の通知


(ポイント)
利用目的の通知に関しては、社内LANにおける通知、利用目的を記載した書類の提示、就業規則
への明記等の方法が考えられます。

第●条 (個人番号の利用目的)
1 会社は、第○条第1項第5号において取得した労働者及び労働者の扶養家族の個人番号は、以
下の目的で利用する。
(1) 雇用保険届出事務
(2) 健康保険・厚生年金保険届出事務
(3) 国民年金第3号被保険者届出事務
(4) 労働者災害補償保険法に基づく請求に関する事務
(5) 給与所得・退職所得の源泉徴収票作成事務
2 会社は、上記利用目的に変更がある場合には、速やかに、本人に通知する。


6.参考資料 (平成27年改正 労働者派遣法改正のポイント)

 先の通常国会で成立した改正労働者派遣法が、9月30日から施行されています。今号と次号の2回に
わたって、派遣先事業主が留意すべき点を取り上げます。

1.派遣労働者と派遣先社員の均衡待遇の推進


 派遣先は、派遣労働者と派遣先で同種の業務に従事する労働者の待遇の均衡を図るため、以下の点 で配慮義務が課され、具体的な行動を行う必要があります。

均衡待遇の実現に向けて配慮すべき事項
・派遣元事業主に対し、派遣先の労働者に関する賃金水準の情報提供等を行うこと
・派遣先の労働者に業務に密接に関連した教育訓練を実施する場合に、派遣労働者にも実施すること
・派遣労働者に対し、派遣先の労働者が利用する一定の福利厚生施設の利用の機会を与えること

2.期間制限のルールが変わりました


 従来の期間制限(いわゆる26業務以外の業務に対する労働者派遣について、派遣期間の上限を原則1
年(最長3年)とするもの)が見直されました。

 施行日以後に締結/更新される労働者派遣契約では、すべての業務に対して、派遣期間に次の2種類 の制限が適用されます。

 施行日時点てすでに締結されている労働者派遣契約については、その労働者派遣契約が終了するま
で、改正前の法律の期間制限が適用されます。

7.参考資料  (働く既婚女性の率が大幅に上昇)


 厚生労働省がこのほど公表した「平成26年版働く女性の実情」によると、女性の労働力率(15歳
以上人口に占める労働力人口の割合)は49.2%と、前年に比べて0.3ポイント上昇しています。

 労働力率を年齢階級別にみると、いわゆる「M字型カーブ」(グラフを参照)の底にあたる「35
~39歳」では70.8%で、前年より1.2ポイント上昇し、初めて7割を超えました。10年前と比べてみ
ても、各年齢階級でおおむね労働力率は上昇していますが、上昇輻が最も大きいのは「30~34歳」
で、平成16年から9.6ポイント上昇しています。

 配偶者関係別での労働力率は、未婚者が63.6%、配偶者のいる女性(有配偶者)が50.7%で、「30 ~34歳」の階級では、10年前に比べて、未婚者の上昇輻が0.2ポイントであるのに対して、有配偶 者については11.8ポイントと上昇幅が大きくなっています。

 また、「25~29歳」の有配偶者の労 働力率も10年前に比べて9.8ポイントの 上昇となるなど、近年、企業において 育児休業や育児短時間勤務制度などが 浸透し、出産や子育てのために離職す る女性が少なくなったことなどが要因 とみられています。