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メールマガジン2016年01月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2016年01月 Vol.84

1.人事・総務ニュース

65歳以上の新規雇用者も加入可能に ~ 雇用保険の適用を見直し ~

 労働政策審議会の分科会は12月8日、失業者のセーフティネット強化の観点から、65歳以降に 新たに雇用される人についても雇用保険への新規加入を認めることなど、雇用保険制度の適用見 直しの検討に入りました。

 現在の制度では、65歳前から同じ事業主に雇用されていれば、65歳以降も引き続いて加入でき る「高年齡継続被保険者」のしくみがありますが、65歳以降新しく雇用された場合は、これとは 別の被保険者類型を設定するという案があがっています。

 一方で、64歳以上の雇用保険料の徴収免除については廃止し、経過期間を設けて原則どおり徴 収することなども検討されています。

 厚労省は通常国会に雇用保険法の改正案を提出し、平成28年度中の施行を目指しています。



上司・同僚による「マタハラ」防止を義務化へ  ~ 均等法見直しで労政審が提案 ~

 妊娠や出産、育児を理由に職場で不利益な扱いをするマタニティー・ハラスメント(マタハラ)
について、労働政策審議会の分科会は12月7日、企業に防止策を講ずることを義務付けるなど、男
女雇用機会均等法関連の見直し案(たたき台)を示しました。

 現行法では、事業主に対して、解雇や降格、減給などの不利益な扱いをするマタハラを禁止し
ていますが、近年は禁止の対象とはされていない上司や同僚による嫌がらせなどのマタハラ被害
が多くなっています。

 これを踏まえて、見直し案では、上司・同僚からの行為を防止するための措置について、セク
ハラ防止のために事業主に義務付けられている措置を参考に、社内にマタハラ相談窓囗を設けた
り、上司らに研修を受けさせたりするなどの措置を義務付けるとしています。


大卒・高卒の初任給、ともに増加 ~ 賃金構造基本統計調査の結果 ~

 厚生労働省がまとめた賃金構造基本統計調査(初任給)の結果によると、新規学卒者の平成27年初任給は、大学卒(男女計)で20万2,000円(前年比1,600円、0.8%増)、高校卒(同)で16万900円(同2,100円、1.3%増)といずれも前年を上回りました。

 規模別にみると、従業員数10~99人の「小企業」で、大学卒の男性が前年より0.4%増の19万8,100円、女性が0.6%増の19万1,500円と小幅な上昇でしたが、高校卒の男性は2.7%増の16万6,100円で大幅に伸びています。高校卒の女性は前年と同額の15万1,800円でした。



「実施プログラム」をネットで配布 ~ ストレスチェック ~

 厚生労働省はこのほど、労働安全衛生法に基づき、12月1日から労働者数50人以上の事業者にストレスチェックが義務付けられたことを受けて、事業者向けに「実施プログラム」の配布を始めました。

 プログラムは、事業者がストレスチェック制度を円滑に導入・実施できるよう、ストレスチェックの受検、結果の出力などが簡単にできるようになっていて、同省の専用サイト(http://stresscheck.mhlw.go.jp/)から無料でダウンロードすることができます。


2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(健康保険証の失効)


資格喪失日以降は使えない

 健康保険に加入している人(被保険者)が退職する場合や、家族が収入の増加などで被扶養者でなくなった場合には、健康保険の被保険者などの資格を失い、退職日の翌日または被扶養者でなくなった日をもって健康保険被保険者証(以下「健康保険証」と表記)は失効となり、その日以降は使用できないことになっています。資格を失ったあとに誤って健康保険証を医療機関等で使用した場合は、後日、健康保険で支払われた医療費の返還請求が保険者(協会けんぽまたは健康保険組合)から被保険者であった人に対して直接行われます。

 誤って健康保険証を使用してしまうケ-スでは、「月単位で保険料を支払っているので月末まで使用できると思っていた」、「健康保険証が使用できなくなることを扶養家族に伝えていなかった」、「新しい保険証ができるまで使用してよいものと思っていた」など、主に知識不足や勘違いによるものが多いとみられています。

 したがって、退職などの場合には、その際に会社へ返却するリストなどを整えてあらかじめ渡したり、家族が扶養から外れる連絡を受けた際には早めに健康保険証の返却を求めておくなど、出来るだけ早めに手配しておくことが、誤使用を防ぐためには必要なことだと言えるでしょう。


紛失・再発行の場合は


 健康保険証を失くしてしまった場合は、すぐに滅失・再発行の届出をすることが必要です。再発行されると、従来の健康保険証は失効扱いとなり、あとで見つかったとしても使用できなくなりますので、手元に置かないで保険者に返却することになっています。


任意継続被保険者となる場合は

 被保険者資格を喪失したあとに健康保険の任意継続被保険者になる場合も、従来の健康保険証は失効となり、新しく任意継続被保険者用(または被扶養者用)の健康保険証が発行されます。

 「継続」という意味を取り違えて、従来の健康保険証はそのまま使用できると思っている人もいるかもしれませんので、任意継続被保険者を希望している人には、健康保険証が切り替わることもしっかりと伝えておくとよいでしょう。


返却できないときは

 被保険者の資格喪失や被扶養者の削除の届出の際には、原則、使用できなくなった対象者の健康保険証を添える必要があります。

 しかし、退職した人と連絡が取れなくなるなどの理由から健康保険証を返してもらえない場合も考えられます。その場合には、健康保険証が回収不能であることの届出書(所定様式)を保険者に提出しなければなりません。また、この届出をしていても、その後回収できた場合は、保険者に返却することが必要となります。


3.参考資料 (傷病手当金)

 近年では、精神疾患の罹患等により長期休業を余儀なくされるケースが多く、会社の定める休職制度を利用する従業員が年々増えてきています。
そのような中、休職期間中の所得補償として活用されているのが傷病手当金です。


4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 年少者に時間外労働をさせられるか?
 食料品を扱う会社を経営していますが、年の暮れの忙しい時期に、18歳未満の男子をアルバイトで使うことにしました。18歳未満の者を使用する場合は法律に規制があることは何となく知ってはいますが、忙しいときには時間外労働をさせてもよいのでしょうか。そのほか注意するべき点があれば教えてください。

原則、時間外労働は不可


 労働基準法では、満18歳に満たない者(年少者)の労働時間について、原則として時間外・休日労働、変形労働時間制は適用されません。したがって1日8時間、1週40時間の法定労働時間の範囲で労働させることが必要となります。

 例外的に、災害その他避けることのできない事由により臨時の必要がある場合には、時間外労働、休日労働は認められますが、単に忙しいからという理由だけでは、「臨時の必要がある」とは認められないので、1日8時間を超える時間外労働をさせることはできません。

 1週間の労働時間が法定労働時間を超えない範囲内で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合において、他の日の労働時間を10時間まで延長して労働させることができる。

 このように、1週間のなかで日によって異なる労働時間を設定すれば、時間外労働に対する割増賃金は必要ですが、特定の日に法定労働時間を超えて10時間まで労働させることはできます。しかし、年少のアルバイトに長時間労働をさせるのはあまり好ましいことではありませんので、あくまで原則どおりとして、こうした例外的な労働時間の設定はできれば避けたいものです。



深夜労働も原則禁止


 午後10時から午前5時までの深夜労働についても、満18歳未満の者は原則として禁止されています。例外的に、満16歳以上の男性を交替制によって使用する場合や災害等による臨時の必要がある場合、農林・水産業や保健衛生の事業など、一定の場合に限り、深夜労働が認められています。


その他の注意事項


 労基法では、年少労働者の安全衛生の観点から、満18歳未満の労働者には危険が及ばないように、厚生労働省令で定める危険な業務や重量物を扱う業務、および有害な原材料などを扱う業務に就かせることは禁止されています。

 また、満18歳未満の労働者について、その年齢を証明する戸籍証明書(住民票記載事項証明書等)を事業場に備え付けなければならないことになっています。

 最近のアルバイト学生を対象とした調査結果では、労働条件を書面などで明確に伝えていないケースが半数以上にもなるという状況です。アルバイトであっても、労働条件を文書でしっかり伝えておくことが重要となるでしょう。


5.参考資料 (厚生労働省発表 平成27年の初任給と対前年増減率)



6.参考資料 (「賃金不払い残業」等への相談多数)

 厚生労働省はこのほど、過重労働や賃金不払残業の撲滅に向けた取組みの一環として行った「過重労働解消相談ダイヤル」と「労働条件相談ほっとライン」の相談結果をまとめました。
 それによると、11月7日に実施された「過重労働解消相談ダイヤル」への相談件数は488件、「労働条件相談ほっとライン」へは4月1日から11月7日までの約7ヵ月間に1万6,788件と、合計で1万7, 276件の相談が寄せられました。相談内容としては、長時間労働・過重労働(926件)、賃金不払残業(1,468件)、休日・休暇(1,406件)に関するものが多く、同省では、労働基準関係法令上、問題があると認められるケースについては、労働基準監督署に情報を提供し、監督指導を実施するなど、必要な対応を行うとしています。
今号では、今回公表された事例のうち、深刻と思われるものを紹介します。

長時間労働・過重労働


◆トラック運転手(50代)【運輸交通業】

 1ヵ月100時間以上の残業をしている。労働時間は運転日報で管理しているが、当該日報には、過少申告の記載をすることが当たり前となっており、実際の労働時開か適正に把握されていない。

◆コールセンターのオペレーター(30代)【その他の事業】

 業務拡大に伴う人員不足により、1ヵ月140時間程度の残業をしている。会社は、1ヵ月100時間を超える残業を行った者に対して、医師による面接指導制度を実施することとしているが、自ら申し出たにも関わらず、医師による面接指導を実施してもらえなかった。


賃金不払残業


◆証券会社の営業マネージャー(50代) 【金融・広告業】

 1ヵ月100時間を超える残業をしている。残業時間は自己申告制であるが、マネージャーというのは名前だけで、責任や権限が何もないにも関わらず、実際の残業時間数を申告しても、毎月役職手当として3万円支払われるだけで、残業手当が一切支払われない。

◆システムエンジニア(30代)【教育・研究業】

 所定労働時間は午前10時から午後7時であるが、入社当初より毎日午後11時くらいまで働いており、1ヵ月80時間を超える残業をしている。労働時間は管理されておらず、残業手当は一切支払われない。入社して間もないが、辞めようと思っている。


休日・休暇


◆工場の製造ライン(30代) 【製造業】

 10年間継続勤務している。上司から、準社員に年次有給休暇はないと言われ、取得を認めてもらえない。

◆現場監督(50代)【建設業】

 所定労働時間は午前8時から午後5時までであるが、実際は午前3時から午後10時まで働いており、1ヵ月200時間を超える残業をしている。また、数カ月間休日がなく、前に休んだのは4ヵ月前である。


7.参考資料  (年の初めの安全衛生宣言)

年の初めに


 年が改まり、年初の顔合わせや仕事はじめの際、安全衛生活動も新たな気持ちでスタートさせることが必要です。そのために、今回はトップダウンとボトムアップ双方の観点から、年初の安全衛生宣言についての取組みを紹介したいと思います。


トップの安全衛生重視の宣言


 その会社のトップは経営権や人事権等強力な力を有していることから、年の初めに労働者の安全と健康確保についてその重要性を宣言することは会社全体に影響を及ぼします。このような宣言により、関係者全員が一丸となって安全衛生活動を実行し、職場から危険有害要因をなくす対策を推進していく力が加わることになると考えられているからです。

 このトップの安全衛生宣言の内容ですが、その年の会社の具体的な安全衛生目標を入れることが重要です。トップが目標を宣言すれば、それに向かって進んでいこうとする力が職場に働きます。その設定する目標には、会社の規模、事業態様、今までの安全衛生活動の実績、安全衛生水準、労働災害の発生状況等を念頭におくことが必要です。実態とかけ離れると、社員の心に届かず実効性をそぐ結果になってしまうからです。

 宣言の際には、やはり目標達成に向かって突き進むといった情熱も必要です。トップが情熱をもって年の初めに宣言することは社員の心に響き、達成意欲もわいてくるからです。


一人一人の安全衛生宣言


 安全衛生を推進していく上では、職場の一人ひとりが安全衛生活動を実行することが重要です。そのためには、どうしたらそれができるかを考えて、その年に自分としては具体的に何をすべきかということを皆の前で宣言してもらうことも大切です。

 トップダウンばかりで動いていると、ともすると社員が自分で考えて自分で行動していく努力をしなくなる傾向が出てきます。そのような状態を避けるためにも、社員個人個人が自ら安全衛生について考えて、自分が安全衛生推進のために行うべき事項を皆の前で宣言していく機会を年初に設けたらどうでしょうか。

  宣言した本人は、その内容を守ろうと思うでしょうし、宣言することにより、自覚と責任も出てくると思います。