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メールマガジン2016年05月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2016年05月 Vol.88

1.人事・総務ニュース

雇用促進税制を2年間延長 ~ 平成29年度まで ~


 事業年度中に雇用者(雇用保険の一般被保険者)数を5人以上(中小企業は2人以上)かつ10%以上増加させるなど、一定の要件を満たした事業主に対する税制上の優遇制度(雇用促進税制)が、平成29年度まで2年間延長されました。

 これにより、平成30年3月31日までの期間に始まる各事業年度が対象とされることになります。なお、個人事業主の場合は、平成29年1月1日から平成30年12月31日までの各年が対象となります。



オフィスと同じ仕事が7割  ~ 終日在宅勤務者(週1回以上)の仕事内容 ~


 国土交通省は3月29日、「平成27年度テレワーク人口実態調査」の結果を公表しました。
サンプル調査に基づいた全労働者数に占める週1日以上終日在宅で就業する「雇用型在宅型テレワーカー」の割合は2.7%となっています。

 在宅勤務時の仕事内容は、「普段勤務しているオフィスでの仕事と同じ内容の仕事」と回答した人が最も多く、特に終日在宅勤務を「週1回以上」と回答した人では69.4%、「月1回以上週1回未満」では57.7%。「在宅勤務用に切り出した、持ち出し可能な仕事」と回答した人は、「週1回以上」では29.2%、「月1回以上週1回未満」では46.7%で、仕事の内容を工夫して在宅勤務を行っている状況が伺えます。

 また、終日在宅勤務により削減できた通勤時間を活用した内容では、「趣味・娯楽・遊び等」、「睡眠」、「食事・入浴・家事等」、「家族との時間」の順に回答が多くなっています。



「36協定」の指導を強化へ ~ 長時間労働の是正で首相が表明 ~


 安倍総理大臣は、3月25日に開催された「一億総活躍国民会議」で、長時間労働の是正や女性の就業促進について見解を表明しました。

 長時間労働の是正については、時間外労働を労使で合意する「36協定」において、「健康確保に望ましくない長い労働時間を設定した事業者に対しては指導強化を図る」とし、関係省庁の協力のもとで強化の具体策を早急に取りまとめるよう、厚生労働大臣に要請しました。

 また、女性の就業促進などについては、「ニッポン一億総活躍プラン」の策定に向けた具体的なロードマップの作成を進めることとし、産業界に対しては、子育てなどで一度退職した人に復職する道が一層開かれるよう検討を行うことを求めました。



冬のボーナス、0.3%ダウン ~ 毎月勤労統計調査 ~


 厚生労働省が4月5日に発表した毎月勤労統計調査によると、従業員5人以上の事業所で支給された平成27年の年末賞与は1人平均37万367円で、前年に比べて0.3%減少したことが分かりました。

 主な産業についてみると、製造業が49万7,696円(前年比1.1%増)、卸売業・小売業が31万3,313円(同5.2%増)、医療、福祉が30万2,892円(同5.2%減)などとなっています。


2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(出向者の労災保険の適用と労働保険 )


出向者の労災保険の適用


 労働保険料の年度更新において、もとの事業所に在籍したままで別の事業所に出向し勤務している人(出向者)について、どのように扱うのか迷うことがあります。

 基本的には、出向者が出向先の事業組織に組み入れられ、出向先の事業主の指揮監督を受けている場合には、たとえ、その出向者が出向元から賃金を受けている場合であっても、労災保険関係においては、出向先の労災保険の適用を受けることになっています。

 この場合、労災事故が発生し保険給付の基礎となる平均賃金を算定する必要が生じたときは、出向元と出向先との契約などにより出向元が出向者に対して支払う賃金があれば、これを出向先が支払った賃金とみなします。

 このように、出向元で出向者に対して支払った賃金があれば、それらを合算したうえで平均賃金を算定することとされています。また、出向先と出向元で賃金締切日が異なる場合には、それぞれ別々に計算し、双方の賃金額の合計額をもって平均賃金額とします。したがって、給付関係の請求書を提出する際には、両者の合算額の内訳も分かるように、両者の賃金台帳を添付することが求められます。



出向者にかかる労働保険料


 このように、出向者の労災保険の関係が出向先との間で成立しますので、出向者の労災保険にかかる保険料の負担および納付義務も出向先が負うことになります。

 出向期間中の賃金について、出向先がすべて支払う場合は、それのみを出向先の労働者の労災保険分の賃金総額に含めて労働保険料を算出します。出向者の賃金の全部または一部が出向元から支払われている場合は、出向先は出向元が負担する賃金と自社が負担する賃金を合算した賃金額を労災保険分の賃金総額に含めて労働保険料を算出し、申告・納付します。

 一方、雇用保険については、出向元での雇用関係を維持したまま出向する人は、同時に2つ以上の雇用関係にある労働者に該当するので、原則として、その人が生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている方の雇用関係についてのみ被保険者となります。

 したがって、この考え方に基づいて出向元で被保険者資格が継続している場合には、出向先ではなく、出向元において雇用保険分の対象労働者の賃金総額に含めて保険料を算出します。


役員として出向する場合


 出向者が出向先で役員となる場合、生計を維持するのに必要な主たる賃金(報酬)を出向先で受ける場合でも、一定の要件に該当する兼務役員の場合を除いて、出向先では雇用保険の被保険者資格は取得できません。

 また、役員の場合、中小事業主等の特別加入をする場合を除いて、出向先で労災保険の適用は受けませんので、注意が必要となるでしょう。


3.参考資料 (教育訓練は「労働者全体」を重視)

 このほど厚生労働省が発表した「平成27年度能力開発基本調査」(常用労働者30人以上の企業・事業所が対象)によると、従業員の教育訓練について、「選抜した労働者」よりも「労働者全体」の能力を高めることを重視する企業の割合が、正社員、非正社員ともに高い傾向にあることが分かりました。

企業調査

(教育訓練費)

 企業が教育訓練に支出した費用の労働者1人当たり平均額をみると,OFF-JT17,000円(平成26年度調査(以下「前回」という)14,000円)、自己啓発支援は6,000円(同6,000円)となっています。

(能力開発の考え方)

 正社員に対する教育訓練について、「労働者全体の能力を高める教育訓練」を重視する企業は58.6%(前回59.6%)、「選抜した労働者の能力を高める教育訓練」は40.8%(同39.4%)でした。

 一方、非正社員に対しては、「労働者全体の能力を高める教育訓練」を重視する企業は53.2%(前回53.7%)、「選抜した労働者の能力を高める教育訓練」は45.1% (同44.1%)でした。

(“外部委託・アウトソーシングか社内か”)

 正社員に対する教育訓練の実施方法について、「社内」を重視する企業は61.0%(前回63.9%)、「外部委託・アウトソーシング」は38.2%(同35.0%)でした。一方、非正社員に対しては、「社内」を重視する企業は74.4%(前回75.8%)、「外部委託・アウトソーシング」は23.7%(同21.6%)でした。

(能力開発の実績・見込み)

 正社員に対する過去3年間(平成24年度~26年度)のOFF-JTに支出した費用の実績は、『増減なし』とする企業が35.4%、『増加した』24.8%でした。

 一方、非正社員に対する過去3年間(同)のOFF-JTに支出した費用の実績は、『増減なし』とする企業が32.7%、『増加した』が9.6%でした。「今後3年間」の見込みとして、『増加予定』とする企業が、正社員では35.4%、非正社員では20.5%となっています。



事業所調査


(教育訓練の実施状況)

 正社員に対して、平成26年度にOFF-JTを実施した事業所は72.0%(前回72.4%)で、産業別では複合サービス事業(96.1%)、金融業、保険業(94.3%)で高く、生活関連サービス業、娯楽業(53.9%)、宿泊業、飲食サービス業(65.0%)で低くなっています。一方、非正社員に対してOFF-JTを実施した事業所は36.6%(前回34.0%)で、産業別では複合サービス事業(81.1%)、金融業、保険業(69.7%)で高く、製造業(26.2%)、生活関連サービス業、娯楽業(30.1%)で低くなっています。

(“計画的なOJTの実施状況”)

 正社員に対して、平成26年度に計画的なOJTを実施した事業所は58.9%(前回62.2%)で、産業別では電気・ガス・熱供給・水道業(89.7%)、複合サービス事業(88.3%)で高く、生活関連サービス業、娯楽業(45.2%)、教育、学習支援業(46.9%)で低くなっています。

 一方、非正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所は30.2% (前回31.1%)で、産業別では複合サービス事業(72.0%)、金融業、保険業(45.8%)で高く、建設業(15.1%)、情報通信業(19.5%)で低くなっています。


(人材育成に関する問題点)

 能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は71.6%(前回75.9%)で、問題点の内訳(複数回答)は、「指導する人材が不足している」(53.5%)が最も高く、以下、「人材育成を行う時間がない」(49.1%)、「人材を育成しても辞めてしまう」(44.5%)、「鍛えがいのある人材が集まらない」(29.1%)と続いている。


(技能継承の取り組み状況)

 技能継承の取組みを行っている事業所は83.1%(前回83.8%)で、その内容(複数回答)としては、「退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、嘱託による再雇用を行い、指導者として活用している」(48.3%)が最も高く、以下、「中途採用を増やしている」(38.3%)、「新規学卒者の採用を増やしている」(30.9%)、「特別な教育訓練により、若年・中堅層に対する技能・ノウハウ等を伝承している」(22.3%)と続いています。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 会社秘密をもらした社員を懲戒解雇できるか?
 当社は省エネ関連の製品開発事業を行っている会社ですが、このほど社員が当社の営業上の重要な秘密情報を、会社のパソコンを通じて外に漏らしていたことが判明しました。
 本人は故意ではないと言っていますが、通常の操作では漏れない対策をしていたことや、秘密情報ファイルに何度もアクセスしていた証拠などの状況から、本人が意図的に漏らしたと考えられます。

秘密保持の義務


 今日の企業活動では、様々な情報をコンピューター上でデータとして蓄積し、データのやり取りなどもインターネットを介して行うことが通常となりました。このようなことから、企業が扱う秘密情報が漏洩(ろうえい)するリスクも高まり、漏洩した場合には重大な影響を及ぼすことも考えられます。

 このため、多くの企業では、誓約書や就業規則などで企業秘密の保持を労働者に義務づけ、この秘密保持義務に違反したときには懲戒処分をすることができる旨を規定しています。

 労働者が保持するべき営業上の秘密に該当するのか否かについては、不正競争防止法が参考になります。同法では、「営業秘密」について、「秘密として管理されている」「生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって」「公然と知られていないもの」と定義づけられています。

 こうした営業秘密を不正に利益を得る目的や保有者に損害を加える目的で使用し、または開示する行為が不正競争だとされ、使用者はそのような開示・使用行為について、在職中および退職後でも、差止、損害賠償および信用回復措置の請求などを行えることが規定されています。


懲戒処分の相当性


 質問のケ-スは、秘密情報を漏洩した従業員を懲戒解雇にできるかについてですが、労働契約法(第15条)においては、「懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」という定めがあります。

 したがって、懲戒処分の検討をする場合には、まずは、秘密情報の内容、重要度、漏洩の動機や目的、漏洩によって被る被害の程度、さらには秘密情報の管理体制や注意喚起が十分であったかなども考慮することが重要となるでしょう。

 まして、懲戒解雇は最も重い処分ですので、漏洩した行為が就業規則上の懲戒解雇の事由にあたるかどうか、その行為が他の処分では不十分であって解雇処分に相当するものかどうかを慎重に判断し、懲戒解雇とする場合でも、本人に弁明の機会を与えるなど適正な手続きを経ていることも必要となるでしょう。


5.参考資料 (過重労働対策と「かとく」)

過重労働対策


 長時間にわたる過重な労働は、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられ、さらには、脳・心臓疾患の発症との関連性が強いという医学的知見が得られています。働くことにより労働者が健康を損なうようなことはあってはならないものであり、この医学的知見を踏まえると、労働者が疲労を回復することができないような長時間にわたる過重労働を排除していくことが必要となります。

 特に、昨今は働き方の多様化が進む中で、長時間労働に伴う健康障害の増加など労働者の生命や生活にかかわる問題が深刻化してきていることから、「日本再興戦略」に「働き過ぎ防止のための取組強化」が盛り込まれたり、「過労死等防止対策推進法」が成立するような状況になっています。

 このような状況を踏まえて、平成26年9月30日、厚生労働大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」が厚生労働省内に設置され、様々な取組みが行われています。

 「かとく」もこの取組みの中の一つですが、対外的にもその動向が注目されています。そこで、今回はこの「かとく」についてみていきたいと思います。


「かとく」


 「かとく」とは、過重労働撲滅特別対策班の通称です。平成27年4月1日に、過重労働にかかる大規模事案、困難事案に対応するための専従対策班として東京労働局と大阪労働局に設置されました。

 その具体的業務については、「長時間にわたる過重な労働が行われ、労働基準関係法令に違反し、または、違反する疑いがある事案であって、①監督指導において事実関係の確認調査が広範囲にわたる事案、②司法事件で捜査対象が多岐にわたる事案、③被疑事実の立証等に高度な捜査技術を必要とする事案等について、積極的かつ効率的な処理を行う。」とされています。

 現在までに3件、「かとく」により送検されています。東京では、靴販売のチェーン店を営む会社、総合ディスカウントストア業を営む会社、大阪では、外食チェーン店を営む会社が、法定労働時間を超えて長時間労働となる違法な時間外労働をさせたもの等で送検されています。

 「かとく」は、マスコミにも取り上げられやすく国民の注目度も高いことから、厚生労働省の施策のアピールとしても大事な位置づけになっていると思います。東京労働局の送検後の記者会見においても塩崎厚生労働大臣は、『かとく』には更に頑張ってもらって、こういった事例を見つけ次第しっかりと調査をして、今回のようなことにつながるように頑張ってもらう」と発言しています。

 このようなことから、厚生労働省は今後も「かとく」について手を緩めることはせず、対象となる事案について積極的に取り組んでいくものと思われます。そこで、企業側は今までにも増して長時間労働対策についてしっかり取り組み、労働者の健康確保に努める必要があると思われます。



6.参考資料 (雇用保険関連改正法が成立)

 雇用保険の適用拡大や介護休業給付率の引き上げなどを盛り込んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律」が3月29日、参院本会議で可決、成立しました。

 改正法では、平成29年1月1日以降に新たに雇用される65歳以上の人を雇用保険の適用対象とするとともに 4月1日時点で64歳以上である人の当年度の雇用保険料の徴収免除制度を廃止して、平成32年度以降は原則どおり徴収するとしています。

 また、介護離職の防止を図るため、平成29年1月1日からは、介護休業の分割取得(3回まで、計93日)や介護休暇の半日単位取得もできるようになります。

 さらに、平成28年8月1日からは、介護休業給付の給付率が、現在の40%から67%へと引き上げられます。

 このほか、育児休業関連では、休業の対象となる子の範囲が広がるとともに、休業の申し出ができる有期契約労働者の要件が緩和されます。一方、厚生労働省は、同改正法に盛り込まれた失業等給付に係る保険料率の見直しに伴い、平成28年度は雇用保険料率を引き下げ、4月1日から適用しています。


7.参考資料  (4割が「後継者の育成に4~5年程度必要」と回答)

 「事業承継」は、経営者にとって避けて通れない重要な問題です。しかし、中小企業においては、
近年、経営者の高齢化が進行する一方で、後継者の確保が困難になっています。
 今号では、このほど大同生命保険株式会社が中小企業経営者約4,000人を対象に行ったアンケート
調査から、事業承継に対する考え方をご紹介します。