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メールマガジン2016年07月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2016年07月 Vol.90

1.人事・総務ニュース

労基法改正案は再度継続審議に ~ 通常国会が閉幕 ~


 年次有給休暇の時季指定による取得促進の義務化、高度専門業務に就く労働者の労働時間規制の適用除外などを主な内容とする「労働基準法等の一部を改正する法律案」は、6月1日に閉会した通常国会で会期末処理により継続審議となりました。

  同法律案は、昨年4月3日に通常国会に提出されましたが、審議は行われず会期末を迎えて継続審議扱いとなり、さらに先の通常国会においても審議が行われないまま、再び次の国会へ審議が先送りされることになりました。



労働条件虚偽の求人に罰則適用へ   ~ 有識者検討会で報告書 ~


 雇用仲介事業のあり方を議論している厚生労働省の有識者検討会は6月3日、ハローワークや民間の職業紹介事業者に、賃金などの労働条件を偽った求人を出した求人者(事業主)に対して、懲役や罰金を含む罰則を適用することなどを内容とする職業安定法の見直しに関する報告書をまとめました。

 現行の職業安定法は、労働条件の明示を求人者に義務付けており、ハローワークなどに虚偽の求人を出した場合、是正を求める行政指導はできますが罰則はありません。こうしたことから、求職者とのトラブルが相次いでいるため、指導監督の強化と法に基づく罰則の適用が必要だとする指摘がありました。

 報告書ではこのほか、固定残業代を支払う場合の明示などについて、指針を充実させることなどが示されました。

 厚労省では、検討会の報告を受けて法改正に向けた素案づくりを行う方針です。



労災死亡者数が初めて1,000人を下回る  ~ 平成27年の労働災害発生状況 ~


 厚生労働省がまとめた平成27年の労働災害発生状況によると、昨年1年間の労働災害による死亡 者数は972人で、この統計を取り始めて以来、初めて1,000人を下回ったことが分かりました。

 死亡者数は前年の1,057人と比べ85人(8.0%)減少し、業種別にみると、最も多いのは「建設 業」の327人(全体の33.6%)、次いで、「第三次産業」248人(同25.5%)、「製造業」160人(同 16.5%)、陸上貨物運送事業125人(同12.9%)の順となっています。

 休業4日以上の死傷災害では、死傷者数は11万6,311人で、前年の11万9,535人と比べ3,224人 (2.7%)の減少となっています。


高校生バイト、6割が条件書面の交付なし   ~ 厚労省の調査結果 ~


 厚生労働省はこのほど、「高校生に対するアルバイトに関する意識等調査」の結果を発表しまし た。

 調査結果は、アルバイトの経験がある1,854人の高校生から得た回答をまとめたもので、事業主 からの労働条件の明示に関しては、「口頭だけで知らされた」(26.2%)、「働く前に具体的な説明 はなかった」(18.0%)、「書面を見せられたが持ち帰ることはできなかった」(15.8%)をあわせる と、労働条件を示した書面を交付されていないものが60.0%ありました。

  また、全体の32.6%の高校生が、労働条件等で何らかのトラブルがあったと回答しています。


2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(8月から給付率が引き上がる介護休業給付 )


介護休業給付の概要


  雇用保険の介護休業給付は、被保険者が要介護状態になった家族を介護するために休業し、休業 期間中に休業開始前の賃金の8割以上の賃金が支払われていないなどの一定の要件を満たしている 場合に受けることができます。

 象となる家族は、配偶者、父母、子、配偶者の父母などで、負傷、疾病または身体上もしくは 精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護(歩行、排泄、食事等の日常生活)を必要とす る状態であることが条件になります。

 受けられるのは、対象家族の同一の要介護状態につき1回(※)の介護休業期間(最長3ヵ月)に ついてですが、同一の対象家族について要介護状態が異なることにより再び取得した介護休業につ いても対象となります。ただし、この場合は、同一家族について受給した介護休業給付金の支給日 数は通算して93日が限度となります。

 (※)平成29年1月からは、対象家族について同一の要介護状態であっても3回まで分けて介護休業 ができるようになります。


給付率の引き上げ


 最近では、家族の介護により離職する人が増加傾向にあるため、その対策として、雇用保険法の 改正により介護休業給付の拡充が行われます。

  介護休業給付の給付率は、現在は休業1日につき休業開始時の賃金日額の40%ですが、平成28年8 月1日から、給付率が67%に引き上げられます。

 実際の支給額は、1ヵ月ごとに区切られた支給対象期間で算定されますが、各支給対象期間中の 賃金の額と賃金日額の40%で算定される給付額との合計額が休業開始時の賃金月額の80%を超えなけ れば全額が支給され、80%を超えるときには、その超えた額が減額されて支給されます。

 8月1日からは給付率が67%になりますので、休業期間中に賃金が支払われる場合には、賃金と賃 金日額の67%で算定される給付額との合計額が休業開始時の賃金月額の80%を超えてしまい、実際に 支払われる給付金が減額されることもあります。


賃金日額の上限の変更


  給付金の算定に使われる「賃金日額」は、原則として介護休業を開始する前6ヵ月の賃金を180で除 して算出した額です。離職後に受ける失業給付などにかかる賃金日額には、年齢区分に応じた上限 額が設けられていますが、介護休業給付にかかる賃金日額は、この年齢区分に応じた上限額のう ち、「30歳以上45歳未満」の額(現在は14,210円)がすべての年齢の被保険者に適用されていま す。平成28年8月1日からは「45歳以上60歳未満」の額(現在は15,620円)が適用されます。

 なお、この賃金日額の上限額は、毎年8月1日に「毎月勤労統計調査」の平均定期給与額の増減に 基づき見直しが行われていますので、今回も8月1日に改定される予定です。


3.参考資料 (「正社員数」8年ぶりに増加)

 このほど総務省が発表した「労働力調査年報(詳細集計)」によると、2015年平均の「正規の職 員・従業員数」が3,304万人と前年より26万人増えて8年ぶりに増加。また、完全失業者数も222万 人と同14万人減って6年連続で減少するなど、雇用情勢の改善が一段と鮮明になっています。

雇用形態別にみた雇用者


 15年平均の役員を除く雇用者は前年に比べ44万人増の5,284万人。このうち、正規の職員・従業員 は26万人増(8年ぶりの増加)の3,304万人、パート・アルバイト、派遣社員などの非正規の職員・従 業員は18万人増(6年連続の増加)の1,980万人となりました。

  性別にみると、男性は正規の職員・従業員が2万人増の2,261万人で、非正規の職員・従業員が4万 人増の634万人。女性は正規の職員・従業員が23万人増の1,042万人で、非正規の職員・従業員が13 万人増の1,345万人となりました。

 また、非正規の職員・従業員を雇用形態別にみると、パート・アルバイトが18万人増の1,365万 人、派遣社員が7万人増の126万人などとなりました。


仕事からの収入


 仕事からの年間収入をみると、男性の正規の職員・従業員は15年平均で500~699万円が22.0%と最 も高く、次いで300~399万円が20.5%などとなりました。

 一方、非正規の職員・従業員は100~199万円が30.8%と最も高く、次いで100万円未満が26.6%など となりました。

 女性の正規の職員・従業員は200~299万円が28.2%と最も高く、次いで300~399万円が22.0%など となりました。一方、非正規の職員・従業員は100万円未満が45.0%と最も高く、次いで100~199万 円が39.6%などとなりました。


失業期間別完全失業者


 15年平均の完全失業者は前年に比べ14万人減の222万人(男性134万人、女性88万人)と6年連続 で減少しました。

 失業期間別にみると、「3ヵ月未満」は1万人減の73万人、「3~6ヵ月未満」は1万人減の32万 人、「6ヵ月~1年未満」は1万人減の32万人、「1年以上」は12万人減の77万人となりました。


完全失業者の仕事につけない理由


  完全失業者を仕事につけない理由別にみ ると、「希望する種類・内容の仕事がな い」とする人は前年に比べ8万人減の60万 人、「求人の年齢と自分の年齢とがあわな い」は5万人減の32万人、「勤務時間・休日 などが希望とあわない」は1万人減の26万 人、「自分の技術や技能が求人要件に満た ない」は前年と同数の18万人、「賃金・給 料が希望とあわない」は前年と同数の17万 人、「条件にこだわらないが仕事がない」 は1万人減の16万人などとなりました。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 無期転換ルールの特例を利用するには ?
 当社では、60歳定年後の再雇用制度を導入していますが、人材確保の必要性から、最長65歳まで としていた雇用年齢を段階的に68歳まで延ばすことを検討しています。
 再雇用後は1年ごとの契約期間を設けていますが、最近の法改正で有期契約を繰り返す場合に無 期契約へ転換させなければならないしくみができて、さらに高齢者にはこれが適用されない特例が 設けられたと聞いています。このしくみについて教えてください。また、当社の再雇用制度では特 例を利用できるのでしょうか?

「無期転換ルール」とは


 平成25年4月に施行された改正労働契約法により、同一の使用者と労働者との間で、有期労働契 約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合に、労働者からの申込みがあれば、使用者はその 労働者を無期労働契約に転換させることが必要となりました。これが「無期転換ルール」と呼ばれ ているものです。

 通算される契約期間のカウントは、平成25年4月1日以後に開始する有期労働契約が対象です。通 算期間が5年を超えることとなる契約期間の初日から末日までの間に無期転換の申込みをすること ができますが、その期間中に申込みをしなかったときは、次の更新以降でも申込みができることに なっています。

 申込みがあれば、使用者がそれを承諾したものとみなされて無期労働契約がその時点で成立し、 無期に転換されるのは、申込み時の有期労働契約が終了する翌日からとなります。

 また、転換した無期労働契約の労働条件(職務内容、賃金、労働時間など)は、就業規則や個別 の労働契約などで別段に定めていない限り、直前の有期労働契約と同一となります。


継続雇用の高齢者の特例


 一方、平成27年4月から施行された「有期雇用特別措置法(通称)」では、次の①および②の労 働者に関しては、無期転換ルールの適用についての特例が設けられました。

①高度な専門的知識等を有する有期雇用労働者(高度専門職)
②定年後引き続き雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)

 これらの労働者がその能力を有効に発揮できるよう、事業主がその特性に応じた適切な雇用管理 を実施する場合には、無期転換申込権発生までの期間に関する特例が適用されることとなりまし た。

 特例が適用されるためには、事業主は、それぞれの特例の対象労働者に関して、能力が有効に発 揮されるような雇用管理に関する措置についての計画を作成し、都道府県労働局に提出したうえ で、計画が適切であるとの認定を受けなければなりません。

  ②の継続雇用の高齢者の場合、計画の認定を受ければ、その事業主に定年後引き続いて雇用され る期間は、無期転換を申し込む権利が発生しないことになります。ただし、有期労働契約の締結・ 更新の際に、無期転換ルールに関する特例が適用されていることを対象者に明示する必要がありま す。



5.参考資料 (夏季の労働災害防止と健康管理 )


今年の夏


 梅雨が明けると一気に暑い日が増え、最高気温が30℃以上の真夏日や、35℃以上となる猛暑日が 続くものと思われます。

 日本気象協会では今年の夏について、関東から東海でかなり暑く、近畿以西も普段より暑いと予 報しています。また、近年は上空を流れる偏西風の南側を中心に高温傾向となり、さらに、太平洋 赤道域の海面水温が高い影響で、大気全体の温度が高く、暑い夏になりやすいと言われています。

  そこで、今回はこの暑い夏における労働災害及び健康障害の防止の観点から、何に気を付ければ よいかを見ていきたいと思います。


夏季に起こる災害のメカニズムと健康管理


 暑くなると人は体調不良になりやすく、また、作業時における注意力が低下しがちになります。 このような状態においては、ヒューマンエラーが誘発されやすくなります。

 例えば、暑さのため睡眠不足になって大量の汗をかき疲れやすくなることで、注意散漫となり、 通常では行わないような行動をしたり、また、行わなければならない確認を怠ったりします。特に 屋外での作業を行う業種では直接暑さを体感しますので、集中力、注意力が低下するリスクが高い と言えます。

 また、熱中症による健康障害も考えなくてはなりません。熱中症は、高温多湿な環境下におい て、体内の水分及び塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして発症する障害 の総称です。症状は、めまい・筋肉痛・頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・意識障害・手足の運 動障害等が現れ、重症になると死に至ります。

 特に発症リスクが高いのは、高齢者や睡眠不足・前日の飲酒・肥満の人、糖尿病・高血圧・心臓 疾患・精神神経疾患等で治療中の人、下痢・脱水症状のある人などと言われています。このような人 が職場にいたら熱中症の発症リスクが高いので、気をつけることが必要です。


夏季の災害防止対策と健康管理


 夏季における労働災害の発生を防止するためには、社員一人ひとりが自己の体調管理を怠らな いようにし、また、管理者は社員の体調を把握し、ミーティングや巡視の回数を増やして不安全 行動に陥らないようチェックをすることが必要です。

 また、熱中症対策としては、労働衛生の3管理の徹底が必要です。作業環境管理としては、熱中 症指標計等によりWBGT(暑さ指数)測定を行い、水分や塩分を補給する物を備え付け、冷房 を備えたまたは日陰などの涼しい休憩場所を設けること、作業管理としては、作業休止時間や休 憩時間を確保し、作業の前後、作業中の定期的な水・塩分の摂取を指導すること、健康管理として は、発症リスクの高い人に注意し、労働者の健康状態等の確認を日頃より行うことなどです。

  今年の夏も暑くなることを覚悟しそれに備えた対策をしっかり講じて、暑い夏を乗り切ってい きましょう。



6.参考資料 (「いじめ・嫌がらせ」が4年連続トップ )

 厚生労働省の発表によると、労働者と企業とのトラブルを迅速に解決するための「個別労働紛争 解決制度」に基づく民事上の個別労働紛争に関する平成27年度の相談件数は24万5,125件で、前年 度に比べ2.6%増加。相談内容では「いじめ・嫌がらせ」が6万6,566件と、4年連続で最多となりま した。

相談受付状況


 労働問題に関する相談にワンストップで対応するための総合労働相談コーナーに、平成27年度1 年間に寄せられた相談件数は、前年度比0.2%増の103万4,936件でした。

 このうち、労働関係法上の違反を伴わない民事上の個別労働紛争に関するものが同2.6%増の24万 5,125件となっています。

 【個別労働紛争の相談内容】

 「いじめ・嫌がらせ」が6万6,566件(22.4%)で最も多く、「解雇」3万7,787件(12.7%)、「自己都合退 職」3万7,648件(12.7%)と続いています。

 助言・指導の申し出件数は8,925件で、前年度比5.8%の減少となっています。


都道府県労働局長による助言・指導


  助言・指導の申し出件数は8,925件で、前年度比5.8%の減少となっています。

 【助言・指導の申し出内容】

 「いじめ・嫌がらせ」が2,049件で最も多く、「解雇」1,180件、「自己都合退職」962件と続い ています。

 《いじめ・嫌がらせに係る助言・指導の例》

 先輩社員から、毎日、「のろい」「気が利かない」などと侮辱的な発言を受けていた。店長に窮 状を訴えたが、何の対応もしてくれなかったため、先輩社員とは別の部門に異動したいとして、助 言・指導を申し出たケース。

 ⇒ 先輩社員の行為がパワハラの提言で示されている類型②侮辱・ひどい暴言に該当する可能性 や、会社の責任が問われる可能性もあることを説明。先輩社員に必要な指導をするほか、本人の別 の部門に異動したい意向を踏まえて話し合うよう助言した結果、責任者から先輩社員に注意し、本 人の意向のとおり、別の部門に異動することが認められました。


紛争調整委員会によるあっせん


  労働問題の専門家である弁護士等からなる紛争調整委員会にあっせんを申請した件数は4,775件 で、前年度比4.7%の減少となっています。

 【あっせんの申請内容】

 「いじめ・嫌がらせ」が1,451件で最も多く、「解雇」1,318件、「雇止め」493件と続いています。

 《雇止めに係るあっせんの例》

  1ヵ月の有期労働契約を結んで働いていた。5ヵ月間は1ヵ月の有期契約が自動更新されるとのこ とでしたが、勤務成績不良などを理由に、最初の契約期間の満了をもって契約更新をしないとの 通告を受けました。理由に納得がいかないため、当初の契約通り、5ヵ月間勤務していたら受け 取っていたはずの賃金相当額約80万円と、慰謝料10万円の支払いを求めてあっせんを申請した ケ-ス。

 ⇒ 双方の主張を聞き、調整を行った結果、解決金として約20万円を支払うことで合意が成立 し、解決しました。

7.参考資料  (算定基礎届記載上の留意点)