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メールマガジン2016年09月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2016年09月 Vol.92

1.人事・総務ニュース

地域別最低賃改定の目安を提示  ~ 全国平均で24円引き上げへ ~


 平成28年度の地域別最低賃額改定について、中央最低賃審議会は7月28日、引上げ額の目 安を示す答申を取りまとめました。

  各都道府県をA~Dの4つのランクに区分けし、地域別最低賃の引上げ額の目安は、Aランク25 円、Bランク24円、Cランク22円、Dランク21円で、昨年度と比べてA~Cランクが6円、Dランクが5 円高い引上げ幅となっています。

 これにより、引上げ額の全国加重平均は24円(昨年度は18円)、引上げ率は3.0%(同2.3%)と なり、目安どおりに決定されれば、最低賃が時給で決まるようになった平成14年度以降で最大 の引上げとなります。



障害年の認定の地域差を改善   ~ 等級判定イドラインを策定、実施 ~


 厚生労働省は、国民年・厚生年の障害年に関して、精神の障害に係る等級判定ガイドラ インを策定し、今年9月1日から実施することとしました。

 障害基礎年や障害厚生年の給付額を決める障害等級は、障害認定基準に基づいて認定され ていますが、精神障害及び知的障害の認定においては、地域によりその傾向に違いが生じている ことが確認されていました。これを受けて、厚労省の専門検討会での議論をもとに、認定の地域 差による不公平が生じないようにするため、等級判定の標準的な考え方を示したガイドラインが 新たに策定されたものです。

 同ガイドラインには、診断書の記載事項を踏まえた「等級の目安」や、総合的に等級判定する 際の「考慮すべき要素」の例示などが盛り込まれています。



厚労省・文科省が業界団体に要請  ~ 高校生アルバイトの適正な労働条件確保を ~


 このほど厚生労働省と文部科学省は連携して、アルバイトの多い業界団体に対し、高校生や高等専修学校生のアルバイトに関して、労働契約の締結の際の労働条件の明示、賃の適正な支払い、 休憩時間の付与などの労働基準関係法令を遵守することや、学業とアルバイトの適切な両立のた め、シフト設定などの課題へ配慮することを要請しました。

 今回の要請は、先ごろ実施した「高校生に対するアルバイトに関する意識等調査」の調査結果を踏 まえ、アルバイトの適正な労働条件の確保に向けた取組みの一環として行ったもので、このほか に、労働条件に関する自主点検表を提示して確実な実施を求めています。


雇用継続給付の支給限度額等引下げ



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(パートタイマー等の雇用保険加入の基準は? )


パートなどが被保険者となる場合


 雇用保険では、パートイマーやアルバイトなど、正社員以外の勤務形態である人については、 次の2つの要件をいずれも満たしていれば被保険者となります。(雇用保険法上の日雇労働被保険者 に該当する場合を除く)

 (1)1週間の所定労働時間が20時間以上である
(2)31日以上雇用されることが見込まれる

 「1週間の所定労働時間」とは、就業規則や雇用契約書などにより、その人が通常の週に勤務する とされている時間をいいます。

 業務の性質により、1週間の所定労働時間が短期的、周期的に変動して、通常の週の所定労働時 間が一つに定まらないときは、1週間の所定労働時間は、それらの平均により算定された時間とし ます。また、所定労働時間が1ヵ月の単位で定められている場合には、その時間を52で除して12を 乗じた時間を1週間の所定労働時間とします。

 また、1週間の所定労働時間が20時間未満である人が労働条件の変更により20時間以上となった 場合には、その事実のあった日以降において、31日以上雇用されることが見込まれることとなった 日から被保険者資格を取得することになります。

 一方、「31日以上雇用されることが見込まれる」とは、次の場合をいいます。
①期間の定めがなく雇用される場合
②雇用契約書などに定めた雇用期間が31日以上である場合
③雇用契約書などに定めた雇用期間が31日未満であっても、契約の更新などにより31日以上 雇用されることが見込まれる場合


31日未満の雇用期間を定めて雇用する場合の扱い


  前述の③「雇用期間が31日未満…」の場合の扱いについては、具体的には、次のパーンで被保険 者とするかしないか判断するとされています。

 (1)雇用契約書などで、更新する旨が明らかに示されている

 たとえば、当初の雇用期間を「1ヵ月」と定めている場合、暦の月によって、「31日」ある月は前述の ②「31日以上」の基準に該当するので、当然に被保険者となりますが、「30日」の月であれば、雇用契 約の更新があることが明らかになっていれば、被保険者となります。

  (2)雇用契約書などで、更新する旨が示されていない

  原則としては、31日以上の雇用見込みがないことにはなりますが、その事業所において、同様の 雇用契約に基づき雇用されている他の人について更新などにより31日以上雇用された実績があれ ば、31日以上の雇用見込みがあると判断され、被保険者となります。

 また、雇入れの当初は31日以上雇用されることが見込まれない場合であっても、その後、雇入れ 時から31日以上引き続き雇用されることが見込まれることとなった場合には、その事実(契約延長 の合意など)が発生した日から被保険者資格を得ることになります。



3.参考資料 (短時間労働者に対する厚生年保険・健康保険の適用基準の見直し)

 平成28年10月1日から、パートイマー等の被保険者資格取得の基準の明確化や適用拡大などの 改正が行われますので、今号ではその概要をお知らせします。

被保険者の取扱いにかかる留意事項


1.短時間労働者(4分の3未満)の標準報酬月額の算定にかかる支払基礎日数の取扱い
短時間労働者の算定基礎届・月額変更届等における支払基礎日数は、各月11日以上の勤務日数が あるかどうかで判断します。

2.被保険者資格取得の基準変更
被保険者資格取得の基準(4分の3基準)が明確になります。


標準報酬月額の下限に新たな等級が追加


 平成28年10月1日より、厚生年の現在の標準報酬月額の等級表に新たな等級(第1等級:88,000 円)が追加されます。



短時間労働者に対する適用拡大


 平成28年10月1日から、特定適用事業所に勤務する短時間労働者は、新たに厚生年保険等の適用 対象となります。



特定適用事業所の要件

  同一事業主の適用事業所※注の厚生年保険の被保険者数の合計が、1年で6ヵ月以上、500人を 超えることが見込まれる場合は、特定適用事業所として短時間労働者の適用拡大の対象となりま す。

※注:同一事業主の適用事業所 次に該当する適用事業所の単位となります。
・法人事業所……………法人番号が同じ適用事業所を指します。
・個人事業所……………現在の適用事業所を指します。
・地方公共団体…………法人番号が同じ適用事業所を指します。



短時間労働者の要件

 勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3未満で、以下の①~④の全てに該当する人が適用拡大の 対象となります。

①週の所定労働時間が20時間以上であること

 週の「所定労働時間」とは、就業規則、雇用契約書等により、その者が通常の週に勤務すべき時 間をいいます。(雇用保険の取扱いと同様)

【「所定労働時間」が週単位で定まっていない場合の算定方法】
・1ヵ月単位で定められている場合→1ヵ月の所定労働時間を12分の52で除して算定します。
※注 (特定の月の所定労働時間に例外的な長短がある場合は特定の月を除いて算定します)
・1年単位で定められている場合→1年間の所定労働時間を52で除して算定します。
・1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合→平均により算定します。
※注:1年間の月数を「12」、週数を「52」として週単位の労働時間に換算するものです。

②雇用期間が1年以上見込まれること

○期間の定めがなく雇用される場合
○雇用期間が1年以上である場合
○雇用期間が1年未満であり、次のいずれかに該当する場合 ・雇用契約書に契約が更新される旨または更新される可能性がある旨が明示されている場合
・同様の雇用契約により雇用された者について更新等により1年以上雇用された実績がある場合

③賃の月額が88,000円以上であること

週給、日給、時間給を月額に換算したものに、各諸手当等を含めた所定内賃の額が、88,000円 以上である場合となります。

④学生でないこと

生徒または学生は適用対象外となります。(雇用保険の取扱いと同様)



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 届出が遅れた家族手当の支給をさかのぼらなくてもよいか ?
Q .当社では扶養する家族がいる従業員に対して、届出により毎月一定額の家族手当を支給していま すが、このほど、再婚した男性従業員から、婚姻日から3ヵ月を過ぎて届出がありました。
 家族手当をさかのぼって支給してもよいのですが、扶養家族の異動については速やかに届け出る ことを義務とする就業規則の定めもあります。家族手当の支給、変更の時期については規則に定め ていませんので、この場合、さかのぼって支給せず、申出があった月から支給することでも問題は ありませんか?

「賃金」としての家族手当の支払い義務

  一般的に家族手当は、就業規則や賃規程で支給基準や額を定めます。この場合、労働基準法 においては、家族手当も労働の対償として支払われる賃と位置づけられますので、支給基準を満 たせば、使用者には支払い義務が生ずることになります。

 家族手当の支給基準は、対象となる家族の続柄、同居・扶養の事実、さらには年齢の範囲などを 定めることが考えられますが、支給(または額の変更)の条件として、従業員本人が所定の届出を することを定めておくこともできます。本人の届出を条件として定めていなければ、一般的には支 給基準を満たせば当然に支払い義務が生ずることにはなります。


支給開始時期の問題


 ところが、質問のケ-スのように、届出を条件としていたとしても、届出が相当程度遅れた場合 に、基準を満たした日を起点として支給を開始するのか、または、届出があった日を起点として支 給を開始するのか、明確にされていない場合には疑義が生じてしまいます。

 就業規則などで扶養家族の異動の速やかな届出を義務づけているのであれば、届出が遅れたこと で、家族手当の支給も遅れるのは自己責任とする考え方もあるでしょう。

 一方で、支給基準を満たせば当然に手当を受ける権利が発生していて、届出は単に請求をする行 為に過ぎないという考え方もあります。なお、労働基準法(第115条)においては賃に関する請求 権は2年間の時効にかかると定められていますので、2年まではさかのぼって請求が可能であるとさ れています。


疑義を生じさせないために


 いずれにしても、質問のケ-スでは結論は出せませんが、少なくともこのような疑義が生じない ためには、就業規則などに、家族手当の取り扱いを支給の開始時期も含めて定めておくことが必要 で、今後は届出が遅れないように注意を喚起することなども大切だといえます。



5.参考資料 (治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン )


ガイドラインの必要性


 労働者が私傷病で、がん、糖尿病、脳卒中等になった場合、企業がその労働者の適正配置や雇用 管理等に苦慮する割合が90%にのぼっています。

 また、病気になった労働者にとっても、治療と職業生活の両立が重要な課題となっています。 そこで、事業場が参考にできるガイドラインが必要とされたことにより、本年2月に、厚生労働 省から「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」が示されました。 今回は、このガイドラインのポイントをみていきたいと思います。



ガイドラインのポイント

 1.治療と職業生活の両立支援を行うための環境整備

 ①労働者や管理職に対する研修等による意識啓発 各企業では、困っているもののどうすべきかといった意識化までには至っていないのではないか と思います。そこで、まずこのような問題があるということを意識してもらうことが必要です。

 ②労働者が安心して相談・申出を行える相談窓口の明確化

 ③短時間の治療が定期的に繰り返される場合などに対応するため、時間単位の休暇制度、時差出勤 制度などの検討・導入 きめ細やかで、利用しやすい制度ができれば、病気を克服しようとする労働者を後押しすること ができます。

 ④主治医に対して業務内容等を提供するための様式や、主治医から就業上の措置等に関する意見を 求めるための様式の整備 専門家の意見を伺うことは、企業が判断する上でとても重要なことです。

 ⑤事業場ごとの衛生委員会等における調査審議 組織的に検討することにより、会社の管理体制の中でどうするかといった視点が盛り込まれる ことになります。

 2.治療と職業生活の両立支援の進め方

 ①労働者が事業者へ申出
◆労働者から、主治医に対して、一定の書式を用いて自らの業務内容等を提供
◆それを参考に、主治医が一定の書式を用いて症状、就業の可否、時短等の望ましい就業上の 措置、配慮事項を記載した書面を作成
◆労働者が、主治医に作成してもらった書面を事業者に提出

 ②事業者が産業医等の意見を聴取
◆事業者は、労働者から提出された主治医からの情報を産業医等に提供し、就業上の措置、治療に 対する職場での配慮に関する意見を聴取


 ③事業者が就業上の措置等を決定一実施
◆事業者は、主治医、産業医等の意見を勘案し、労働者の意見も聴取した上で、就業の可否、 就業上の措置(作業の転換等)、治療に対する配慮(通院時間の確保等)の内容を決定・実施

 *ここでは、具体的な支援内容をまとめた「両立支援プラン」の作成が望ましいとされています。

6.参考資料 (男性の育休取得率、過去最高に )

 このほど厚生労働省が発表した「平成27年度雇用均等基本調査」(昨年10月1日現在の状況)による と、男性の育児休業取得率は2.65%で、前年度調査を0.35ポイント上回って過去最高となったこと が分かりました。 この調査は常用労働者5人以上の5,850事業所を対象に行われました。

育児休業制度の規定状況


 育児休業制度の規定がある事業所は、規模5人以上で73.1%(前回平成26年度74.7%、規模30人以上 で91.9%(同94.7%)となっており、前回よりそれぞれ1.6ポイント、2.8ポイント低下しました。



育児休業取得者の割合

 平成25年10月1日から26年9月30日までの1年間に在職中に出産した人または配偶者が出産した人の うち、平成27年10月1日までに育児休業を開始した人(育児休業の申出をしている人を含む)の割合を みると、女性は81.5%で前回(平成26年度86.6%)より5.1ポイント低下し、男性は2.65%で前回(同 2.30%)より0.35ポイント上昇しました。(下図参照)



育児休業終了後の復職状況

  平成26年4月1日から27年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、復職予定であった女性のう ち、実際に復職した人の割合は92.8%(前回平成24年度89.8%)、退職した人は7.2%(同10.2%)。男性は 復職した人の割合が99.9%(同99.6%)、退職した人は0.1%(同0.4%)でした。

 また、復職した女性の育児休業期間は、「10ヵ月~12ヵ月未満」が31.1%(前回平成24年度33.8%)で 最も高く、次いで「12ヵ月~18ヵ月末満」が27.6%(同22.4%)、「8ヵ月~10ヵ月未満」が12.7%(同 13.7%)。男性は「5日未満」が56.9%(同41.3%)で最も高く、次いで「5日~2週間未満」が17.8%(同 19.4%)となりました。



所定労働時間の短縮措置等の制度の導入状況


 育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度 がある事業所は61.3%で、前回(平成26年度)と同率 でした。

 また、各種制度の導入状況(複数回答)をみる と「短時間勤務制度」が57.8%(同57.9%)「所定外労 働の制限」が53.2%(同54.6%)、「始業・終業時刻の繰 上げ・繰下げ」が30.4%(同29.7%)などとなりました。

7.参考資料  (20年後の働き方を展望 ~働き方の未来2035~ )


 厚生労働省は8月2日、20年後を見据えた未来の働き方を検討してきた有識者懇談会の報告書を公 表しました。

 同報告書は、『「働き方の未来2035」~一人ひとりが輝くために~』と題されたもので、今後取り 組むべき労働政策について、長期的な政策全体の方向性や、多様な人材が個性を活かして働くこと ができる未来の働き方へ道筋を示したものとなっています。技術革新により働く場所に関する物理 的な制約がなくなり、多くの仕事がいつでもどこでもできるようになるため、必ずしも同時刻に作 業をしなくても、ネットワーク上に作業の記録を残しておくなど工夫をすることで、共同作業もで きる流れが20年後にはさらに進むとみています。

 一方で、自立した自由な働き方が増えることで、企業もそうした働き方に応じた柔軟な組織体に なることが求められるとしています。

 たとえば、企業のプロジェクト期間はその企業に所属するが、プロジェクトが終了するとともに 別の企業に所属するという形で柔軟に企業の内外を移動する結果、企業組織の内と外との垣根は曖 昧になり、企業組織が人を抱え込む「正社員」のようなスイルは変化を迫られるとしています。

 さらに、働く人と企業の関係については、一つの会社に頼り切る必要もなくなるため、働く人に どれだけのチャンスや自己実現の場を与えるかで企業が評価されるようになり、企業経営者は規模 を拡大させることよりも、企業の個性を磨き魅力を高め、働く個人から選ばれる企業を目指すこと が求められるようになると指摘しています。