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メールマガジン2016年10月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2016年10月 Vol.93

1.人事・総務ニュース

賃引き上げで助成を拡充  ~ 28年度第二次補正予算案を閣議決定 ~


 厚生労働省はこのほど、8月24日に閣議決定された平成28年度第二次補正予算案に基づき、最 低賃等の引上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援を拡充することを公表しました。

  「業務改善助成」では、支給対象を事業場内最低賃が800円未満の事業場から1,000円未満の 事業場に拡充するほか、事業場内最低賃の引上げ額に応じた助成コースを追加し、一部助成率 も引き上げられます。

 また、「キャリアアップ助成」(処遇改善コース)では、8月24日以降に有期契約労働者等の基 本給の賃規定等を3%以上増額改定し、昇給した場合に通常の助成額に一定の額が上乗せされます。



東京高裁が「労災」と認定   ~ コンビニ店長は過労自殺 ~


 東京都内のコンビニ店で店長を務めていた男性(当時31歳)が自殺したのは過重労働が原因だと して、男性の遺族が、労災と認めなかった労働基準監督署の処分を取り消すよう求めた訴訟(第 二審)で、東京高裁は9月1日、自殺を労災と認める判決を行いました。

 判決では、過去1年間の長時間労働は相当過酷であったなど、仕事が原因でうつ病を発症し、 自殺につながったものだと認定しました。

 一審の東京地裁判決は、仕事の負荷について、自殺するほどではなかったと判断していまし た。



「無期転換ポータルサイト」を開設  ~ 無期転換を円滑にサポート ~


 厚生労働省は8月31日、「有期契約労働者の無期転換ポールサイト」を開設しました。

 労働契約法の改正により、同一の使用者との間で、有期労働契約が反復更新されて5年を超えた 場合は、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約に転換することが定められています。 (無期転換ルール)

  対象となるのは平成25年4月1日以後に開始された有期労働契約ですが、このルールが本格的に運用されると見込まれる平成30年4月まで残り2年を切ったことを踏まえ、このポールサイトを通じて、企業での無期転換制度導入に当たってのポイントや具体的な事例紹介、公的な支援策など関連情報を提供するとしています。



地域別最低賃改定の答申状況  ~ 全国平均で25円の引き上げ ~


  平成28年度地域別最低賃の改定につい て、8月23日までに、各都道府県の地方最 低賃審議会の答申が行われました。

  全国加重平均額は昨年度より25円高い 823円で、最低賃額が時給のみで示され るようになった平成14年度以降、最大の引 き上げ幅となっています。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(被扶養者の認定基準の一部見直し )


被扶養者の認定


  健康保険の被扶養者になるためには、主として被保険者により生計を維持されていると認められ ることが必要となります。

 「生計を維持されている」とは、収入が一定基準以下であることのほかに、被保険者との親族関係 によっては、被保険者と同一世帯に属すること(同居)が要件とされる場合もあります。

 被保険者と同居していることが必要な親族とは、三親等以内の親族で、被保険者の直系尊属、配 偶者(事実上の婚姻関係にある者を含む)、子、孫および弟妹以外の者などとされています。このた め、従来、被保険者の弟妹は同居要件がなく、兄姉は同居が必要となっていました。

 これは、「兄姉等年長の者については、自活することが本来」といった考えが元にあることから要 件に差が設けられていたようです。

 しかし、家族関係や家督の相続意識など家族の状況は変化し、現在は弟妹と兄姉の場合で要件に 差を設ける合理性や必要性は乏しいと指摘されてきたことから、この基準が見直され、平成28年10 月1日からは、兄姉についての同居要件が廃止され、収入要件のみで認定されることになりました。(下表参照)




収入要件は変更なし

  一方、被扶養者となるための収入要件については従来どおりとなっています。年間の収入見込み 額が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は、年間収入180万円未満)であって、原則として、 同居の場合は収入が被保険者の収入の半分未満、別居の場合は収入が被保険者からの仕送り額未満 であることが必要とされています。

 ただし、収入が被保険者の収入の半分以上の場合であっても、被保険者の年間収入を上回らない ときで、日本年機構がその世帯の生計の状況を総合的に勘案して、被保険者がその世帯の生計維 持の中心的役割を果たしていると認めるときは、被扶養者となることがあります。

 なお、被扶養者の収入には、給与だけではなく、雇用保険の失業等給付や公的年も含まれま す。



3.参考資料 (国民生活に関する世論調査 6割超が「社会保障の整備」を要望 )

 このほど内閣府が発表した平成28年度の「国民生活に関する世論調査」(今年6月23日~7月10日に 全国の18歳以上の男女1万人を対象に個別面接方式で実施)によると、今後、政府に力を入れて欲し い政策の最上位として、64.4%の人が「医療・年等の社会保障の整備」を挙げていることが分かりま した。

現在の生活について


《去年と比べた生活の向上感》

 生活は、去年の今頃と比べてどうか聞いたところ、「向上している」と答えた人の割合は5.5%、「同 じようなもの」は76.7%、「低下している」は17.5%となっています。 従業上の地位別に見ると、「同じようなもの」と答えた人の割合は雇用者で、「低下している」は自 営業主で、それぞれ高くなっています。

《現在の生活に対する満足度》

 現在の生活について、「満足」とする人の割合は70.1% (「満足」10.7%+「まあ満足」59.4%)、「不満」は 28.5%(「やや不満」22.6%+「不満」5.9%)となっています。

《所得・収入に対する満足度》

 満足度を項目別に見ると、所得・収入について、「満足」とする人の割合は48.1%(「満足」7.4%+「まあ 満足」40.7%)、「不満」は49.6%(「やや不満」35.3%+「不満」14.3%)となっています。職業別に見ると、 「満足」とする人の割合は管理・専門技術・事務職で、「不満」は販売・サービス・保安職、生産・輸送・建 設・労務職で、それぞれ高くなっています。

《日常生活での悩みや不安》

  日ごろの生活の中で、「悩みや不安を 感じている」と答えた人の割合は65.7%、 「悩みや不安を感じていない」は33.4%と なっています。 悩みや不安の内容(複数回答)として は、「老後の生活設計」を挙げた人の割合 が54.0%と最も高く、以下、「自分の健 康」(51.6%)、「家族の健康」(42.8%)、 「今後の収入や資産の見通し」(39.5%)、 「現在の収入や資産」(34.8%)などの順と なっています。(右図参照)

《生活の程度》

  生活の程度は、世間一般から見てどう か聞いたところ、「上」と答えた人の割合 は1.3%、「中の上」は12.3%、「中の中」は 56.6%、「中の下」は23.2%、「下」は4.8%と なっています。



今後の生活について


《今後の生活の力点》

  今後の生活において、特にどのような面に力を入れたいか聞いたところ(複数回答)、「レジャー・余 暇生活」を挙げた人の割合が35.5%と最も高く、以下、「所得・収入」(31.4%)、「資産・貯蓄」(30.4%)な どの順となっています。

《老後は誰とどのように暮らすのがよいか》

 老後は誰とどのように暮らすのがよいと思うか聞いたところ、「息子(夫婦)と同居」と答えた人の 割合は11.8%、「息子(夫婦)の近くに住む」は7.5%、「娘(夫婦)と同居」は5.6%、「娘(夫婦)の近くに住 む」は6.8%、「どの子(夫婦)でもよいから同居」は6.0%、「どの子(夫婦)でもよいから近くに住む」は 17.3%、「子どもたちとは別に暮らす」は36.0%となっています。



生き方、考え方について


《働く目的は何か》

 働く目的について、「おを得るため」と答えた人の割合は53.2%、「生きがいをみつけるため」は 19.9%、「社会の一員として、務めを果たすため」は14.4%、「自分の才能や能力を発揮するため」は 8.4%となっています。職業別に見ると、「おを得るため」と答えた人の割合は販売・サービス・保安 職、生産・輸送・建設・労務職で、「社会の一員として、務めを果たすため」は管理・専門技術・事務職 で、それぞれ高くなっています。

《どのような仕事が理想的だと思うか

 どのような仕事が理想的だと思うか聞いたところ(複数回答)、「収入が安定している仕事」を挙げ た人の割合が60.9%と最も高く、以下、「自分にとって楽しい仕事」(57.6%)、「自分の専門知識や能 力がいかせる仕事」(39.4%)、「健康を損なう心配がない仕事」(32.0%)、「世の中のためになる仕事」 (28.7%)、「失業の心配がない仕事」(26.8%)などの順となっています。



政府に対する要望

 今後、政府はどのようなことに力を入れるべ きだと思うか聞いたところ(複数回答)、「医療・ 年等の社会保障の整備」を挙げた人の割合が 64.4%と最も高く、以下、「景気対策」(56.2%) 「高齢社会対策」(51.9%)、「雇用・労働問題への 対応」(37.0%)、「少子化対策」(34.9%)、「物価対 策」(33.8%)などの順となっています。 (右図参照)






4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 病気休職中の社員の定年後再雇用はどうなる?
Q . 当社には現在、病気療養のため休職している社員がいて、その社員がまもなく定年(60歳)を迎え ることになりますが、定年前に復帰できる見込みはありません。就業規則に基づいて、定年退職と なる者が希望すれば再雇用していますが、休職している者は初めてですので、この場合はどのよう な扱いがよいのでしょうか?

定年と継続雇用制度

  一般的に、定年とは、労働者が一定の年齢に達したときに労働契約が終了することをいいます が、定年による退職を定める場合は就業規則などに明記しておかなければなりません。一方、「高 年齢者雇用安定法」(第9条)では、65歳未満の定年を定める事業主は、その雇用する高年齢者の65歳 までの安定した雇用を確保するため、①定年の引上げ、②継続雇用制度の導入、③定年の定めの廃 止のいずれかの措置を講じなければならないとされています。このうち、②は定年退職後の再雇用 制度も含まれますが、原則として希望者全員を制度の対象とすることが必要です。

 しかし、同法の指針において、心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状 況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たし得ないことなど、就業規則に定める解雇事 由または退職事由(年齢に係るものを除く)に該当する場合には、継続雇用しないことができるとさ れています。ただし、継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上 相当であることが求められることに留意する必要があります。


休職中の場合の定年後再雇用


 休職とは、労働者が傷病などで相当期間働けない状況となった場合に、労働契約関係を維持した まま、一定期間就労を免除することをいいます。このように休職は労働契約が維持されていること が前提ですので、質問のケ-スのように、休職中に労働契約の終了となる定年に達した場合、特段 の定めをしていないときにどのような扱いをすればよいか、という問題に直面します。

 前記のとおり、高年齢者雇用安定法では、定年後の継続雇用制度を導入している場合は原則とし て希望者全員を対象としていなければなりませんので、休職中であっても定年後の継続雇用(再雇 用)の希望の有無を本人に聴く必要はあるでしょう。

 また、希望があった場合に、休職中の労働者が「心身の故障のため業務に堪えられないと認めら れる」などの解雇事由に該当するといえるかどうか、確認、検討の余地は残りますが、病気休職中 であることだけをもって直ちに継続雇用(再雇用)はできないと結論づけるのは、合理性や社会通念 上からみて問題が生じる可能性はあります。

 休職中の労働者が実際にどのような健康状態にあるのか、再雇用後に予定されている業務に従事 する場合にどの程度まで回復していることが必要なのか、さらには、完全に回復しなくても従事で きる負担が少ない他の業務への配置が可能かどうかなど、十分に検討したうえで判断しなければな らないでしょう。



5.参考資料 (産業用ロボットと安全対策 )


産業用ロボットとは


 今回は労働安全衛生法の規制の対象となる産業用ロボットについて見ていきたいと思います。 産業用ロボットは、現在、自動車などの溶接・塗装、電気製品の組立、部品の搬送などの用途 で、工場の自動化ライン等で使用されています。また、産業用ロボットは、大企業だけではなく、 中小企業でも導入され、重量物の運搬や危険で有害な物質を扱う作業を人の代わりにやってくれる ことから産業の現場ではとても重宝され、機械に名前まで付けて親しんでいるところもあります。

産業用ロボットで発生する災害

 このように現在では便利で役に立つことで普及している産業用ロボットですが、便利な面だけで はなく、使い方によっては事故が起こり、死亡災害となることもあります。

  産業用ロボットに起因する労働災害の発生状況(平成15年~24年の10年間)では、休業4日以上の死 傷者数は372人で、そのうち死亡者数は26人となっています。そして、この死亡災害の多くは、産 業用ロボットの稼働中に、柵、囲いの中に立ち入り、挟まれたことが原因となっています。


安衛法で規制される産業用ロボット


 このように危険な面もあることから、国は昭和58年7月に労働安全衛生規則を改正して産業用ロ ボットを規制しています。規制対象とされた産業用ロボットは、「記憶装置の情報に基づき、マニ プレーの伸縮、屈伸、上下・左右移動、旋回の動作を自動的に行うことができる機械」と定義され ています。このマニプレーというのは、人間の腕に相当するアームが機械本体の外部に取り付け られて、アームの先端部(人間でいえば手)で物をつかんだり、道具を持って作業するもので、これ が産業用ロボットの大きな特徴と言えます。

産業用ロボットの安全対策


 前記のとおり、産業用ロボットの可動範囲で作業を行うと、作業者が産業用ロボットに挟まれる 危険があるため、安全確保の観点から以下の対策を取ることになっています。

1.柵、囲いの中での作業時の安全対策

 柵、囲いの中に入り、機械の近くで、機械の動作の教示(ティーチング)等を行う場合には、以下 の措置が必要となります。

ア作業を行う労働者に対する安全教育

イ誤操作の防止、異常時の対応 ・マニュアルの作成
・遵守(操作方法などについて)
・異常時に運転を停止することができる措置(すぐに停止できるスイッチなど)
・ランプの点灯などにより、他の労働者による操作を防止する措置

ウ異常作動を防止する措置 ・作業開始前の異常の点検など

2.通常運転時の安全対策

 労働者に危険が生ずるおそれのあるときは、柵、囲いを設けるなどの措置が必要となります。



6.参考資料 (「従業員引き留めの必要性」が賃上げ理由のトップ )

 経済産業省は9月1日、中小企業・小規模事業者における賃上げ状況等を把握するために行った「中 小企業の雇用状況に関する調査」の結果を発表しました。
 それによると、平成28年度に賞与・一時の増額等何らかの賃上げ(常用労働者1人当たり平均賃 の引上げ)を「行ったまたは行う予定」とする企業の賃上げの理由は「人材の採用・従業員の引き留 めの必要性」が47.6%で最も多く、中小企業の人手不足感がうかがえる結果となっています。

1人当たり平均賃の引き上げ状況


 平成28年度に常用労働者1人当たり平均賃を「引き上げる/引き上げた」とする企業は63.9%で、 27年度61.4%)を2.5ポイント上回りました。

賃の引き上げ方法について

 常用労働者1人当たり平均賃を「引き上げる/引き上げた」と回答した企業の引上げ方法(複数回 答)として最も多かったのは「月例給与の引上げ」で96.3%、以下、「賞与・一時の増額」(48.9%)、「諸 手当の増額」(19.7%)、「初任給の引上げ」(16.6%)となっています。



賃引き上げの理由

  常用労働者1人当たり平均賃を「引き上げ る/引き上げた」と回答した企業の理由(複数 回答)として最も多かったのは「人材の採用・従 業員の引き留めの必要性」で47.6%、以下、「業 績回復・向上」(32.6%)、「他社の賃動向」 (16.0%)などとなっています。



賃を引き上げない理由


 常用労働者1人当たり平均賃を「引き上げな い/引き上げていない」と回答した企業の理由 (複数回答)として最も多かったのは「業績回復・ 向上が不十分」で88.3%、以下、「賃より従業 員の雇用維持を優先」(25.6%)、「他社製品・サー ビスとの競争激化」(13.6%)などとなっていま す。




7.参考資料  (日本年機構からのお知らせ )