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メールマガジン2016年11月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2016年11月 Vol.94

1.人事・総務ニュース

年受給資格期間を10年に短縮   ~ 年機能強化法改正案を閣議決定 ~


 政府は9月26日、公的年(老齢給付)の受給資格期間を現在の25年から10年に短縮することを 盛り込んだ「年機能強化法改正案」を閣議決定しました。

 受給資格期間の短縮については、平成24年8月に成立した同法により、消費税率が10%に引き上 げられる時期に合わせて実施されることになっていました。しかし、税率の引き上げが見送られ たため、短縮措置を先行して実施するための改正案がまとめられ、臨時国会での成立を目指すこ とになったものです。

 短縮措置の実施は平成29年9月の予定で、これにより、新たに約40万人が老齢基礎年の受給 権を得るものとみられています。



別業務での再雇用を法に反すると認める   ~ 名古屋高裁が賠償命令 ~


 トヨ自動車で事務職として働いていた男性(63歳)が、60歳定年後の再雇用を希望した際に清 掃業務を提示されたのは不当であるとして、会社に対し地位確認と賃支払いを求めていた訴訟 の控訴審で、名古屋高裁は9月28日、会社に約120万円の賠償を命じました。

 男性は従来の事務職を希望しましたが、会社は能力が同職種として再雇用される基準に達して いないとして、清掃業務で1年契約のパート勤務を提示しました。

 判決で裁判長は、どのような労働条件を提示するかは企業に一定の裁量があると認めたうえ で、定年前とまったく異なる職種の提示は「継続雇用の実質を欠き、通常解雇と新規採用に当た る」と判断。「適格性を欠くなどの事情がない限り、別の業務の提示は高年齢者雇用安定法に反 する」と指摘しました。

 一審の名古屋地裁は会社側の主張を認め、男性の請求を退けていました。



育児休業期間の延長、29年度実現へ  ~ 労働政策審議会で検討開始 ~


 労働政策審議会(厚労大臣の諮問機関)の分科会は10月6日、政府が平成29年度の労働政策の重点 事項に挙げた「女性の活躍推進」を受けて、育児休業期間の延長を含めた両立支援策について検討を 開始しました。

 保育所の整備を進めつつ、雇用の継続のため特に必要と認められる場合の育児休業の延長に関し て、延長が想定されるケ一ス、延長が想定される場合の期間およびその留意点について必要な検討 を経て改正法案を策定。 29年度において実現を目指すとしています。



「過労死白書」を初めて公表  ~ 現状や防止対策の実施状況 ~

  厚生労働省は10月7日、過労死等の現状や防止に講じた施策の状況をまとめた「(平成28年版)過労 死等防止対策白書」を初めて公表しました。

 同白書は、平成26年に成立・施行された過労死等防止対策推進法に基づき、国会に毎年報告を行 う年次報告書で、過労死等の実態を解明するため、労働者の労働時間だけでなく、生活時間の状 況、労災認定事案のデーベース構築といった調査研究などを中心に、過労死等防止に取り組む民 間団体の活動もコラムとして紹介しています。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(65歳以上への雇用保険の適用拡大 (平成29年1月1日開始) )


「高年齢被保険者」を新たに創設


  高年齢者の雇用保険の適用については、65歳になる前から雇用され、引き続き65歳以降も同一の 事業主に雇用されている人は、「高年齢継続被保険者」として被保険者資格を引き続き有しています が、65歳以上の人については新たに雇用保険の被保険者となることはできませんでした。

 しかし、雇用保険法の改正により、平成29年1月1日以降、65歳以上の人は新たに「高年齢被保険 者」として雇用保険の適用対象とされることになりました。

 これにより、65歳以上の人で、雇用保険の被保険者となる要件(1週間の所定労働時間が20時間以 上、かつ31日以上雇用する見込みがある)を満たしている人を雇用する場合は、次のとおり、ハ ローワークに被保険者資格取得の届出をすることになります。

①平成29年1月1日以降に新たに65歳以上の人を雇用した場合

⇒被保険者となった日の属する月の翌月10日までに届け出ます。

②平成28年12月末までに65歳以上の人を雇用し、平成29年1月1日以降も継続して雇用している場合

⇒平成29年1月1日より被保険者となります。届出は、特例として平成29年3月31日までに行えば よいとされています。なお、平成28年12月末時点で「高年齢継続被保険者」である人については、自 動的に「高年齢被保険者」に区分が変更されますので、届出は不要です。とくに②に該当する人の届 出が漏れてしまうおそれがありますので、65歳以上の人を雇用している事業所では、対象者がいな いかどうか早めにチェックする必要があるでしょう。

 また、現在雇用している65歳以上の人で雇用保険の被保険者となる要件を満たしていなかった人 が、平成29年1月1日以降に所定労働時間の変更などにより要件を満たすこととなった場合は、新た に届出をすることが必要となります。




保険料と保険給付

 雇用保険料に関しては、現在、当年度の4月1日時点で64歳以上である被保険者は当年度以降の保 険料は徴収されませんが、高年齢被保険者の雇用保険料についても、平成31年度(平成32年3月)ま では徴収が免除されることになっています。

 また、保険給付に関しては、高年齢被保険者として離職した場合で、一定の受給資格を満たせ ば、「高年齢求職者給付」を受けることができます。このほか、通常の被保険者と同様に、要件を 満たせば、介護休業給付、育児休業給付、教育訓練給付の支給対象者にもなります。



3.参考資料 (「平均給与」3年連続の増加 )

 このほど国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」によると、民間企業に平成27年1年間を通じ て勤務した給与所得者(パート・アルバイト等の非正規労働者を含む)が得た平均給与(*)は420万 4,000円と前年を5万4,000円(1.3%)上回り、3年連続で増えたことが分かりました。 しかし、平均給与を雇用形態別にみると、正規労働者は1.5%増の484万9,000円、非正規労働者は 0.5%増の170万5,000円。その差額は314万4,000円で、前年の308万円からさらに格差が拡大してい ます。
*「平均給与」とは、給与支給総額を給与所得者数で除したもの。

給与所得者数及び給与総額


 1年を通じて勤務した給与所得者数は4,794万人(男性2,831万人、女性1,963万人)で、前年に比べ 38万人(0.8%)増加しています。

 また、1年を通じて勤務した給与所得者に支払われた給与の総額は201兆5,347億円(対前年比2.1% 増)で、これを男女別にみると、男性147兆3,750億円(同2.1%増)、女性54兆1,597億円(同2.0%増)と なっています。


平均給与


 1年を通じて勤務した給与所得者1人当た りの平均給与は420万4,000円で、前年に比 べ5万4,000円(1.3%)の増加。これを男女別 にみると、男性520万5,000円、女性276万 円となり、男性は6万1,000円(1.2%)、女性 は3万8,000円(1.4%)それぞれ増加していま す。

 また、1年を通じて勤務した給与所得者 の平均年齢は45.6歳(男性45.4歳、女性 45.8歳)で、平均勤続年数は11.9年(男性 13.3年、女性9.8年)となっています。

  次に、平均給与を雇用形態別にみると、 正規は484万9,000円(男性538万5,000円、 女性367万2,000円)で前年に比べ7万2,000 円(1.5%)、非正規は170万5,000円(男性225 万8,000円、女性147万2,000円)で8,000円 (0.5%)それぞれ増加しています。 給



事業所規模別の平均給与


 10人未満の事業所では337万2,000円(男性418万8,000円、女性241万1,000円)で、5,000人以上の 事業所では503万2,000円(男性676万6,000円、女性270万3,000円)となっています。

業種別の平均給与


 最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の715万円、次いで「融業、保険業」の639万円で、最 も低いのは「宿泊業、飲食サービス業」の236万円となっています。


給与階層別分布


 1年を通じて勤務した給与所得者4,794万人について、給与階層別分布をみると、300万円超 400万円以下が838万人(17.5%)で最も多く、次いで200万円超300万円以下が780万人(16.3%)と なっています。

 これを男女別にみると、男性は300万円超400万円以下が519万人(18.3%)で最も多く、次いで 400万円超500万円以下が497万人(17.5%)となっています。

 女性は100万円超200万円以下が513万人(26.1%)で最も多く、次いで200万円超300万円以下が 420万人(21.4%)となっています。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 身元保証人への損害賠償請求はどこまでできるか?
Q .当社では、社員を採用した際に身元保証書を提出させています。今まで身元保証人に損害賠償を 請求することはありませんでしたが、実際に必要な事態が生じたときに、身元保証人に対してどこ まで損害賠償を請求できるものなのでしょうか?

身元保証とは

  正規労働者を採用するときには、他の提出物とともに、親族などを保証人とする身元保証書を提 出させる企業も多いことでしょう。身元保証とは、一般的に労働者の身元保証人と使用者との間に おいて、労働者の行為により使用者が損害を受けた場合に、身元保証人が連帯して損害を賠償する ことを承諾する内容の契約のことをいいます。


身元保証に関する法定事項


 身元保証については、身元保証人の責任を適正な範囲に制限するため、「身元保証二関スル法律」 に次の事項が定められています。

1.身元保証期間
 身元保証の契約期間を定める場合は、5年を超えることはできません。期間を定めなかった場合 は、有効な期間は原則として3年とされます。また、更新する場合は、更新時より5年を超えること はできません。したがって、更新は自動更新ではなく、改めて身元保証書を取りつける必要がある ものだと解されています。

2.保証責任の限度
  裁判所は、身元保証人の損害賠償責任に関しては、労働者の監督責任がある使用者の過失の有 無、身元保証を引き受けるに至った事由、身元保証人ができる注意の程度、労働者の任務や身上の 変化など、一切の事情を考慮するものとしています。

 これらの規定に反して身元保証人にとって不利な特約をしても、その特約は無効とされます。


損害賠償責任と請求

 身元保証人に対する損害賠償請求は、使用者が労働者に対して損害賠償を請求できることが前提 となります。労働者の業務上の行為により損害が生じた場合でも、労働者に故意または重大な過失 が認められないような場合には、使用者による損害賠償請求が棄却されるケースもあり、その場合 には、損害賠償責任を身元保証人に転嫁することはできないことになります。

  また、裁判所が身元保証人に対する損害賠償請求を認めたケースでも、請求額の全額を認めた ケースはまれであるとされています。通常は前記のとおり一切の事情が勘案されることにより賠償 責任が軽減され、とくに使用者が必要な通知や十分な説明を怠っていた場合や、会社側の管理体制 に不備が認められる場合などは、請求額をかなり下回る額で決定されることもあります。



5.参考資料 (募集に6割超が「公的機関」を利用 )

 このほど厚生労働省が発表した「平成27年転職者実態調査」(昨年10月1日現在の状況)によると、 転職者の募集方法として、「ハローワーク等の公的機関」を挙げた事業所割合が65.7%で最も高く なっています。
 この調査は、常用労働者5人以上の約1万7,000事業所を対象に行われました。

転職者がいる事業所の割合


  平成27年10月1日現在で、「一般労働者(フルイム労働者)がいる事業所」のうち、「転職者がいる 事業所」の割合は35.7%で、そのうち、「雇用期間の定めが無い転職者がいる事業所」は30.4%、「1年 以上の雇用期間の定めが有る転職者がいる事業所」は9.5%となっています。

 産業別にみると、「転職者がいる事業所」の割合は、「情報通信業」が48.7%で最も高く、次いで「運 輸業、郵便業」が48.5%、「医療、福祉」が45.3%となっています。

転職者の採用理由

 転職者の採用理由(複数回答)を職種ごとにみると、「管理的な仕事」及び「専門的・技術的な仕事」 では、「経験を活かし即戦力になるから」とする事業所割合がそれぞれ64.4%、64.8%で最も高く、次 いで「専門知識・能力があるから」がそれぞれ43.0%、55.0%となっています。

  一方、「事務的な仕事」、「販売の仕事」、「サービスの仕事」などでは、「離職者の補充のため」がそ れぞれ最も高くなっています。
このほど


転職者の募集方法


 転職者の募集方法(複数回答)をみると、「ハローワーク等の公的機関」とする事業所割合が65.7% で最も高く、次いで「求人情報専門誌、新聞、チラシ等」が38.5%、「縁故(知人、友人等)」が30.8%、 「自社のウェブサイト」が18.6%となっています。

転職者の処遇決定の際に考慮した要素


  転職者の処遇(賃、役職等)決定の際に考慮した要素(複数回答)をみると、「これまでの経験・能 力・知識」とする事業所割合が71.4%で最も高く、次いで「年齢」が46.3%、「免許・資格」が35.9%となっ ています。


転職者に対する教育訓練の実施状況


 転職者に対して「教育訓練を実施した」事業所割合は74.4%で、これを産業別にみると、「融業、 保険業」が92.8%で最も高く、次いで「複合サービス事業」が89.8%、「不動産業、物品賃貸業」が88.2% となっています。

 また、実施した教育訓練の種類(複数回答)をみると、「計画的なOJT」が80.1%、「OFF-JT」のうち 「入職時のガイダンス」が44.1%、「職務遂行に必要な能力・知識を付与する教育訓練」が34.2%となっ ています。



6.参考資料 (時間外労働の規制見直しが焦点に )


「働き方改革実現会議」がスタート


 政府は9月27日、安倍内閣が掲げる主要政策である「働き方改革」に向けて、関係閣僚や有識者をメ ンバーとする「働き方改革実現会議」の初会合を開きました。

 会議の具体的なテーマとしては、時間外労働の上限規制の見直しなど長時間労働の是正や、「同一 労働同一賃」など非正規雇用の処遇改善を柱に、柔軟な働き方ができる環境づくり、65歳以上の継 続雇用・定年延長に取り組む企業への支援なども挙げられています。

  長時間労働の是正をめぐっては、いわゆる「三六協定」における時間外労働にかかる「特別条項」に も上限時間を設けるなど、労基法の改正も視野に入れた規制強化について具体的な議論が行われる ことになります。

 また、労働者の十分な睡眠時間と生活時間の確保のため、「休息時間(勤務間インーバル)制度」の 法制化に向けた動きもあるとみられています。

 一方、「同一労働同一賃」については、正規と非正規との不合理な待遇格差をなくすことを重点 に議論が進むものとみられ、議論の結果を受けて厚生労働省は、どういう場合に不合理なのかを具 体的に示すガイドラインを、年内に策定するとしています。

  会合は、ほぼ月1回のペースで行われる予定で、内閣府に設置された「働き方改革実現推進室」で も、働き方改革の実現に向けて必要な政策を検討するため、担当大臣らによる民間企業や関係施設 の視察なども積極的に行うとしています。



11月は労働保険適用促進強化期間


 厚生労働省では、労働保険(雇用保険・労災保険)の加入を一層促進していくため、11月を「労働保 険適用促進強化期間」として設定し、全国的に労働保険の適用促進の広報活動や未加入事業場に対 する適用促進指導等の事業を広く展開しております。

ハローワーク(公共職業安定所) 労働基準監督署



7.参考資料  (日本年機構からのお知らせ )

  平成28年10月分(11月納付分)から、厚生年保険の標準報酬月額の下限が88千円となりました。