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メールマガジン2017年2月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2017年2月 Vol.97

1.人事・総務ニュース

雇用保険料率、29年度は引き下げへ


  労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)は1月6日、「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」 について、おおむね妥当とする答申をしました。

 労働保険料徴収法の改正では、平成29年度は失業等給付に係る雇用保険料率を引き下げる予定である ことが盛り込まれました。予定通り実施されれば、一般の事業では現行の1000分の8から1000分の6に引き 下げられることになります。

  雇用保険法の改正では、現行で最大1歳6ヵ月までとされている育児休業給付の支給を、今年10月から は、一定の場合に最大2歳まで延長するとしています。

 答申を受けて厚労省は、通常国会に関連の改正法案を提出する予定です。



賃不払い残業の是正結果


  厚生労働省はこのほど、平成27年度における賃不払残業に係る是正結果をまとめました。

 全国の労働基準監督署が、1年間に賃不払残業に関する労働者からの申告や各種情報に基づき企業 への監督指導を行った結果、不払の割増賃が各労働者に支払われたもののうち、その支払額が1企業で 合計100万円以上となった企業数は1,348社(前年度比19企業増加)、支払われた割増賃の合計額は99 億9,423万円(同42億5,153万円減少)となりました。支払われた割増賃の平均額は、1企業当たり741万 円、労働者1人当たり11万円で、1企業での最高支払額は1億3,739万円(融業)となっています。また、監 督指導により賃不払残業が解消された事例も公表されています。



「過労死等ゼロ」緊急対策を実施


 厚生労働省は12月26日、違法な長時間労働に対する是正指導の段階で企業名を公表することなど、長時 間労働の監督指導や取り締まりの強化に向けた緊急対策を平成29年から実施することを決定しました。

 今回の緊急対策は、「過労死等ゼロ」を表題に掲げていて、違法な長時間労働などが原因とみられる社員の 自殺で、昨年、労基法違反の疑いで書類送検された電通の事案を重く見た同省が、企業に対して、さらなる 警鐘を鳴らすとする方針の下で実施に踏み切ったものです。

 具体的には、新しいガイドラインを定め、実際の労働時間と自己申告した労働時間に乖離がある場合、使用 者が実態調査を行うことを明確にし、労働時間の適正把握の徹底を推進するとしています。

 また、違法な長時間労働等を複数の事業場で行うなどの企業に対して全社的な是正指導を行うこと、1つの 企業(大企業が対象)で一定要件を満たす事業場が2事業場生じた場合、是正指導の段階で企業名公表の 対象とすること、三六協定が締結されていない事業場に対する監督指導を徹底することなどを挙げています。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(健康保険 退職後の傷病手当 )


資格喪失後の継続給付


 健康保険の傷病手当は、被保険者が業務外の病気やケガの療養のため働くことができない期間に給 与(報酬)が受けられない場合、または給与の支払額が手当より少ない場合に受けることができます。

  傷病手当が受けられる期間は、支給が始まった日から最長で1年6ヵ月です。

 この間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やケガにより仕事に就けなくなった場合でも、仕事 に就いた期間は1年6ヵ月に算入されます。

  傷病手当は、退職などで健康保険の被保険者資格を喪失した後でも受けられる場合があります。資格 喪失の日の前日(退職日など)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、資格喪失日の前日に、現に傷 病手当を受けているか、受けられる状態(支給要件を満たしている)であれば、資格喪失後も引き続き支 給を受けることができます。 この制度は「資格喪失後の継続給付」と呼ばれ、被保険者が出産のため休業 する期間を対象として支給される出産手当にも同じ制度があります。

 また、資格喪失後に任意継続被保険者となった場合は、資格喪失後の継続給付に該当すれば、任意継 続被保険者であっても傷病手当を受けることができますが、任意継続被保険者になった後に病気やケガ の療養のため働くことができなくなったときは、傷病手当を受けることはできません。



傷病手当が支給停止される場合

 傷病手当の資格喪失後の継続給付は、資格喪失した人が老齢年または退職年を受けている場 合、または資格喪失後に年を受けることになる場合は、原則として支給されません。ただし、老齢(退職) 年の額の360分の1が傷病手当の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。

  また、傷病手当の支給調整ではありませんが、退職後に、失業したときに支給される雇用保険の基本 手当を受けようとしても、傷病手当を受けていれば基本手当を同時に受けることはできません。

 これは、基本手当の受給要件の一つとして、「いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くこ とができない状態にあること」があるためです。したがって、傷病手当を受けていれば、病気やケガのため すぐには就職できないことになりますので、基本手当は受けられないことになっています。(ただし、申請をす れば基本手当の受給期間を延長することはできます。)

 このように、退職後に傷病手当の継続給付を受ける場合には、制限されることがありますので、注意が 必要となるでしょう。



3.参考資料 (小規模事業所の賃、2.3%増 )

 このほど厚生労働省は、常用労働者1~4人の小規模事業所における昨年7月末現在の賃、労働時間お よび雇用の状況をまとめた「平成28年毎月勤労統計調査特別調査」の結果を発表しました。 それによると、きまって支給する現給与額は195,701円で、前年に比べて2.3%増加しています。

賃金


 きまって支給する現給与額

  平成28年7月におけるきまって支給する現給与額は195,701円で、前年比2.3%増となりました。 (下表参照)

  性別にみると、男性は266,871円で2.3%増、女性は141,931円で1.7%増でした。 主な産業では、「建設業」が252,866円で最も高く、次いで「製造業」221,339円、「卸売業、小売業」196,918 円などとなりました。

 特別に支払われた現給与額

  平成27年8月1日から28年7月31日までの1年間に、賞与など特別に支払われた現給与額は227,206 円で、前年比4.7%増となりました。

 性別にみると、男性は332,437円で3.6%増、女性は145,200円で5.5%増でした。

 主な産業では、「医療、福祉」が237,302円で最も高く、次いで「卸売業、小売業」229,421円、「製造業」 226,340円、「建設業」224,891円などとなりました。



出勤日数と労働時間


 平成28年7月における出勤日数は20.2日で、前年より0.2日減少しました。また、通常日1日の実労働時間は7.0時間で、前年と同水準となりました。



雇 用


 常用労働者の構成割合を主 な産業についてみると、「卸売 業、小売業」が26.8%で最も高 く、次いで「建設業」10.8%、 「宿泊業、飲食サービス業」お よび「生活関連サービス業、娯 楽業」9.7%、「医療、福祉」 9.0%などとなりました。

 また、常用労働者に占める 短時間労働者(通常日1日の 実労働時聞が6時間以下の 者)の割合は28.9%で、前年よ り0.1ポイント低下しました。





4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 パートの休日出勤と割増賃の考え方は ?
Q .当社はパートタイマーを数名雇用しています。年末業務が忙しくなり休日出勤をさせたので、労働時間分の 休日手当を支給しましたが、パートの1人から割増しがついていないと指摘されました。1日8時間は超えないの ですが、割増賃は必要でしょうか。また、パートタイマーに休日出勤をさせるのは無理なのでしょうか?

パートの時間外労働等の割増賃

 労働基準法では、使用者は労働者に、原則として1日8時間、1週40時間を超えて労働させてはならないと 定めていて、法定労働時間を超えて労働をさせる場合や、原則1週1日の休日(法定休日)に労働をさせる場 合には、時間外労働・休日労働に関する労使間の協定(通称「三六協定」)の締結・届出がなされていること と、割増賃の支払いが必要となります。時間外労働をさせた場合は、原則として通常の賃額の2割5分以 上(*)、休日労働をさせた場合は3割5分以上の割増賃を支払わなければならないとしています。

 (*)1ヵ月60時間を超える場合、超えた時間に対しては5割以上。ただし、一定規模以下の中小企業は、当分 の間60時間を超える割増率については適用除外とされている。

  パートタイマーであっても、労基法の時間外労働・休日労働の定めが適用されます。一般にパートタイマーは 通常の労働者よりも短い労働時間で雇用されますが、すべての残業や休日出勤が法定の時間外労働や休 日労働にあたるかというと、そうではありません。

 たとえば、1日6時間、週5日勤務のパートタイマーに、2時間の残業を命じたとしても、1日8時間の法定労働 時間の範囲ですので、その2時間分は通常の賃を支払えばよく、三六協定の締結や割増賃の支払いが なくても違反とはなりません。

 休日出勤をさせた場合でも、1日8時間を超えず、その週の労働時間が40時間を超えない範囲での休日出 勤であって、その週に1日以上の休日が確保されていれば、基本的には時間外労働や法定休日労働の割増 賃を支払う義務はありません。 /p>

 ただし、パートタイマーの就業規則や雇用契約書などに残業や休日出勤をしたときの割増賃を定めている 場合は、それに従うことが必要です。また、パートタイマーに休日出勤をさせた場合で、その週の労働時間が 40時間を超えていれば、超えた時間については割増賃の支払いが必要となります。


パートに休日出勤をさせるためには


  パートタイム労働者であっても、業務上の都合によっては休日出勤を命じることも可能です。ただし、そのため には、雇用契約書や就業規則などに残業や休日出勤があることの定めが必要です。

 また、パートタイム労働者の場合には、家庭の事情などから短時間労働を選んでいる場合があります。その ため、使用者としては、採用の段階で残業や休日出勤が可能かどうかの確認をするとともに、どのような場合 にそれを命じることがあるのか具体的に説明するなど事前に理解を得ておくことや、負担を軽減できるように振 替休日を活用するなどの配慮も必要となるでしょう。



5.参考資料 (障害者雇用、13年連続過去最高 )

 平成28年6月1日現在、全国の民間企業(50人以上規模の企業89,359社)に雇用されている障害者の人 数が474,374.0人と、13年連続で過去最高になったことが厚生労働省の集計で分かりました。 中でも、雇用者のうち、精神障害者が前年に比べて21.3%増の約42,000人となったのが目立っています。

雇用されている障害者数、実雇用率


 50人以上規模の民間企業(法定雇用率2.0%)に雇用されている障害者数は474,374.0人で、前年より 4.7%(21,240.5人)増加し、過去最高となりました。

  雇用者のうち、身体障害者は327,600.0人(対前年比2.1%増)、知的障害者は104,746.0人(同7.2%増)、 精神障害者は42,028.0人(同21.3%増)と、いずれも前年より増加し、特に精神障害者の伸び率が大きく、 また、実雇用率は過去最高の1.92%(前年は1.88%)、法定雇用率達成企業の割合は48.8%(同47.2%)で した。


企業規模別の状況

  企業規模別にみると、雇用されている障害者数は、50~100人未満規模の企業で43,503.0人、100~ 300人未満で93,480.0人、300~500人未満で43,378.0人、500~1,000人未満で57,069.5人、1,000人 以上で236,943.5人と、すべての企業規模で前年より増加しました。

 また、実雇用率は、50~100人未満で1.55%、100~300人未満で1.74%、300~500人未満で1.82%、 500~1,000人未満で1.93%、1,000人以上で2.12%となりました。


産業別の状況


  産業別にみると、雇用されている障害者数は、「鉱業、採石業、利採取業」、「学術研究、専門・技術サー ビス業」以外のすべてで前年よりも増加しました。

  また、実雇用率は、「医療、福祉」(2.43%)、「農、林、漁業」(2.14%)、「生活関連サービス業、娯楽業」 (2.11%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(2.05%)、「運輸業、郵便業」(2.00%)が法定雇用率を上回りました。




6.参考資料 (災害時の備え、中小企業は不十分 )




7.参考資料  (「技能実習の職種追加」と「高度人材の永住権」 )


  「日本再興戦略(2014)」が閣議決定され、管理体制の強化や制度拡充など、技能実習制度の抜本的な 見直しを図ることが盛り込まれた外国人技能実習法案が提出されました。この法案では、技能実習の適正な 実施、技能実習生の保護、技能実習制度の拡充、の3点が大きなポイントとなっています。さらに、技能実習 の対象職種を随時追加していくほか、地域限定の職種・社内検定を活用した企業独自の職種、複数職種の 実習の措置が認められていく予定となっています。

  一方、1月19日に研究者や企業経営者など高度人材に該当する外国人が、本年3月から最短1年で永住 権が付与されることが報道されました。

  この2点から日本政府の外国人政策として読み取れることは、高度人材外国人には永住権を与え日本への 定着を促す一方で、労働力不足を補うための単純労働外国人には永住を許さないという方針です。

  貧しいアジア諸国から日本での単純労働に従事する人々が望むことは、安定した仕事と豊かな生活です。 日本人では成り手が集まらない“つらい仕事”“汚い仕事”に喜んで従事する彼らをないがしろにする一方、高 度人材だけを優遇する政策には、相手のことを考える“利他の心”がかけている気がしてなりません。

  日本がアジアのリーダーとしてその地位を確立するためには、調和と活力の ある“真の意味”でのグローバル化を目指すことが必要不可欠です。

  高度人材と同じ基準である必要はありませんが、豊かな生活を目指して日本で懸命に努力する外国人も幸せに生活できる道だけは残しておくべきではないでしょうか。弱者にもチャンスが与えられるもう少し寛容な政策であってほしいと願っています。