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メールマガジン2017年06月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2017年06月 Vol.101

1.人事・総務ニュース

更なる適用拡大を31年9月までに検討~短時間労働者の被用者保険適用でロードマップ示す~


  社会保障審議会の医療保険部会は4月26日、政府の「働き方改革」の実行計画に基づき、保険分野での具体 的な施策およびそのロードマップ(工程表)の案を示しました。

  健康保険など被用者保険制度に関しては、短時間労働者の処遇改善のため、平成31年9月までに更なる適用 拡大について必要な検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしています。

  また、複数の事業所で働く人は、合わせて労働時間が週20時間以上になっても雇用保険や社会保険の被保険 者とならないといった現状を受けてその保護や、副業・兼業の普及促進のため、雇用保険や社会保険の公平な 制度の在り方や、労働時間管理および健康管理の在り方について、検討を進めるとしています。



受動喫煙対策、小規模店は表示のみで可能に ~自民党が妥協案を示す~


 自民党は5月8日、受動喫煙対策を強化する法案をめぐり、飲食店の取り扱いについて、床面積が一定以下の 小規模店は、「喫煙」や「分煙」の表示があれば喫煙を認める案をまとめました。

  飲食店について、厚生労働省案では屋内禁煙を原則としていますが、関係団体からの反発が強くなることを 受け、自民党内で妥協案を模索していました。それによると、大規模店は原則禁煙としたうえで喫煙ブースな どを設置すれば喫煙を認める一方、小規模店は店ごとに対応を選べる形とし、「喫煙」や「分煙」といった区 分の表示を義務づけるとしています。小規模店の大きさは、床面積を基準にすることを想定しており、今後、 原則どおり屋内禁煙とする厚労省案に対して、どこまで妥協できるか詰める方針です。



人材確保が理由での賃上げ実施が増加 ~財務省の賃金動向調査~


 財務省はこのほど、平成29年の春闘結果等を踏まえた賃金引上げ状況等の調査結果を公表しました。

 対象となったのは、各財務局の管轄内にある大企業、中小企業あわせて1,388社で、29年度に賃金引上げを行 う企業の割合は92.8%(態度未定を除く)と4年連続で9割を超えて高い水準で推移しており、賃金引上げの流 れが続いています。

 賃金引上げを行う理由(複数回答)は、「社員のモチベーションの向上、待遇改善」(82.8%)が最も多く、 次いで「人材の確保」(38.2%)となっていますが、「人材の確保」は前年と比べ6.6ポイント増加しています。



労基監督業務の一部を民間委託へ ~規制改革会議で提言~


 政府の規制改革推進会議の作業部会は5月8日、長時間労働の監督強化に向け、労働基準監督業務の一部を民 間委託することを盛り込んだ提言を取りまとめました。

 具体的には、入札で決まった民間事業者が、労使協定(36協定)を届け出ていない企業を対象に、調査票の送付や回答の取りまとめを行い、指導が必要と思われる事業場や回答のない事業場について、同意を得られた場合に、労務関係書類等の確認および相談指導を実施します。

 また、これらに応じなかったり確認により問題があった事業場には、労働基準監督官が必要な監督指導を実施するとしています。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(労使合意に基づく社会保険の適用拡大)


「適用拡大」とは


 厚生年金保険および健康保険では、従来、厚生労働省の取り扱いとして、1日または1週間の所定労働時間 数、および1ヵ月の所定労働日数が通常の就労者のおおむね4分の3以上の短時間労働者は、被保険者資格を 有するものとされていました。

 これに関して、平成28年10月1日からは、この「4分の3」の基準が法律において明確になり、また、従来は 資格を有しないとされたパート労働者などについても、被保険者数が501人以上の企業に勤める人は、以下① ~④の要件をすべて満たす場合は、被保険者資格を有することになりました。これは一般的に短時間労働者 への「適用拡大」と呼ばれています。

①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
②1ヵ月の所定内賃金が月額88,000円以上であること(残業代、通勤手当等は含まない)
③雇用期間が1年以上見込まれること
④学生(夜間、通信、定時制は除く)でないこと



500人以下の企業への適用拡大

 平成29年4月1日からは、被保険者数が500人以下の企業に勤務するパート労働者なども「適用拡大」の対象 となり、上記①~④の要件をすべて満たす人については、厚生年金保険および健康保険の被保険者となるこ とができるようになりました。

 501人以上の企業の場合と異なるのは、500人以下の企業では適用(被保険者となること)が義務なのではな く、労使間の合意があれば、適用が可能になるというものです。

 ここでいう労使合意とは、具体的には、事業主の同意に加えて、同意対象者(厚生年金保険の被保険者、70 歳以上の被用者および適用拡大の対象となる短時間労働者)の過半数で組織する労働組合がある場合は、その 労働組合の同意があること。労働組合がない場合は、同意対象者の過半数を代表する者の同意、または同意対 象者の2分の1以上の同意があることをいいます。

 こうして、事業主と同意対象者側の双方の同意が得られたときは、同意を得たことを証する書類(同意書) を添えて、本店または主たる事業所の事業主を通じて、管轄の年金事務所(健康保険組合に加入している企業 については、健康保険組合)に、「任意特定適用事業所申出書/取消申出書」を提出します。

 これにより、年金事務所が事業主からの申出書を受理した日に、前記①~④の要件を満たす短時間労働者は、 全員が被保険者資格を取得することになります。

 以上のように、500人以下の企業は、当面は短時間労働者の適用拡大は任意での申出となりますが、パート労 働者などが厚生年金保険・健康保険の加入を希望していることを把握した場合には、改正法の趣旨を踏まえ、適 用に向けて労使の協議が適切に行われるための環境整備に努めることが求められています。



3.参考資料 (パワハラの判断に7割が苦慮 ~職場のパワーハラスメントに関する実態調査~)

 このほど厚生労働省が発表した「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年 間に32.5%の人が職場でパワーハラスメント(パワハラ)を受けていたことが判明。その一方、回答企 業の70%以上で、パワハラかどうかの判断が難しいという点が、取組を進める上での大きなネックとな っていることがわかりました。
 この調査は昨年7~10月に実施。従業員30人以上の企業4,587社が回答した企業調査と、民間企業に勤 務する20~64歳の男女1万人にインターネットを通じて回答を求めた従業員調査が行われました。

パワハラの発生状況


  過去3年間にパワハラを受けた経験があると回答した人は32.5%(およそ3人に1人)と、前回平成24年度 の調査の25.3%(およそ4人に1人)よりも増加している。

 パワハラを受けたことによる心身への影響として、何度も繰り返しパワハラを経験した人の36.1%は眠れ なくなったり、通院や服薬をした人も20.9%いた。

パワハラに関する相談内容と対応

 過去3年間に、1件以上パワハラに該当する相談を受けた企業は36.3%となっている。

 パワハラに関する相談内容(複数回答)として、「精神的な攻撃」が73.5%で最も多く、「人間関係から の切り離し」(26.5%)、「過大な要求」(21.2%)と続いている。

 また、加害者に対する対応(同)として、「口頭指導」が72.8%で最も多く、「配置転換」(44.8%)、 「書面による指導」(25.6%)、「減給など、解雇以外の懲戒処分」(22.2%)、「被害者への謝罪」 (20.7%)となっている。

パワハラが発生している職場


  パワハラに関する相談があった職場に当てはまる特徴(複数回答)として、「上司と部下のコミュニケー ションが少ない職場」が45.8%で最も多く、「失敗が許されない/失敗への許容度が低い職場」(22.0%)、 「残業が多い/休みが取り難い職場」(21.0%)、「正社員や正社員以外(パート、派遣社員等)など様々な 立場の従業員が一緒に働いている職場」(19.5%)が続いている。

パワハラに関する相談件数増加の理由


 3年前と比ベパワハラに関する相談件数が「増加した」企業は28.8%。その理由(複数回答)として、「パ ワハラに対する関心が高まった」が42.5%と最も多く、「職務上のストレスが増加している」(41.1%)、 「パワハラについて相談しやすくなった」(40.9%)、「業務の負担が増加している」(38.5%)が続いて いる。

パワハラの予防・解決のための取組状況


 パワハラの予防・解決に向けた取組を「実施している」企業は52.2%と半数を超える一方で、「特に取組を 考えていない」企業は25.3%あった。

 従業員規模別にみると、1,000人以上の企業では88.4%が実施しているが、規模が小さくなるほど比率が低 くなり、99人以下では26.0%だったが、前回平成24年度の調査と比較すると、どの規模でも実施率が高くなっ ている。

パワハラの予防・解決のための取組の効果


 企業がパワハラの予防・解決に向けた取組を積極的に実施すると、従業員にとっては相談がしやすくなると ともに、企業にとってもその実態が把握しやすくなる。

 また、勤務先のパワハラの予防・解決のための取組の実施状況別に、過去3年間にパワハラを受けたと感 じた経験の比率をみると、「経験しなかった」比率は、「積極的に取り組んでいる」が77.5%に対し、「全 く取り組んでいない」は70.5%と、積極的に取り組んでいるほど「経験しなかった」比率が高まる傾向があ る。

 次に、パワハラの予防に向けて実施している取組(複数回答)として、「相談窓口を設置した」が82.9% で最も多く、次いで「管理職を対象に講演や研修会を実施した」(63.4%)、「就業規則などの社内規定に 盛り込んだ」(61.1%)となっている。

 そのうち、実際にパワハラの予防に効果を実感できた取組(同)として、「管理職を対象に講演や研修会 を実施した」が74.2%で最も多く、「一般社員等を対象に講演や研修会を実施した」(69.6%)、「相談窓 口を設置した」(60.6%)が続いている。


パワハラの予防・解決のための取組を進める上での課題


 最も多いのは「パワハラかどうかの判断が難し い」で70.9%と、次に多い「発生状況を把握する ことが困難」(35.6%)の約2倍となっている。 (下図参照)

 次に、取組を進めることで懸念される問題(複 数回答)として、「権利ばかり主張する者が増え る」が56.9%と最も多く、「パワハラに該当する と思えないような訴え・相談が増える」(48.9%) 「管理職が弱腰になる」(43.6%)が続いている。

また、自分の勤める企業が取組を実施していることを把握している従業員の比率が低いため、従業員に周知 することにも留意する必要がある。




4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 健康診断の受診は労働時間になるのか?
Q .当社は、毎年6月に社員に定期健康診断を受けさせていますが、今回は業務の都合で、一部の社員 が所定休日に受けることになりました。この場合、所定休日での受診は労働時間として、賃金を支払 うべきなのでしょうか。
 また、健診費用や健診機関までの交通費についても、会社の全額負担を見直す検討をしていますが、 問題はないでしょうか?

健康診断の種類

 労働安全衛生法(第66条)では、使用者は労働者に対し健康診断を実施することが義務づけられています。 このうち、1年以内ごとに1回実施しなければならないのが定期健康診断(同法規則第44条)といわれるもの です。定期健康診断と雇入時の健康診断(同第43条)等をあわせて、「一般健康診断」といいます。

 また、これとは別に、有害物質を取り扱う業務の従事者に対して実施が義務づけられる「特殊健康診断」 があります。



受診時間と労働時間の関係


 健康診断の受診時間が労働時間にあたるかどうかは、その間、労働者が使用者の指揮命令下にあるかどう かが判断のポイントとなります。

 一般的に、特殊健康診断は、事業の遂行にからんで実施されなければならないもので、所定労働時間内に 行われることを原則とするとされています。

 一方で、一般健康診断は、使用者が労働者の一般的な健康の確保を図ることを目的として実施を義務づけ たもので、業務遂行との関連において行われるものではないと考えられています。このことから、特殊健康 診断の受診時間については、業務関連性からみて使用者の指揮命令下に置かれた労働時間であり、一般健康 診断は必ずしも使用者の指揮命令下にある労働時間であるとはいえないことになります。

  実務上では一般健康診断は、所定労働時間内に実施すれば賃金を支払うのが通常だとされますが、業務の 都合などで所定労働時間外や所定休日に受診させなければならない場合などは、賃金に関して、支払い義務 はなくても、受診者の負担を考慮するのが望ましいといえるでしょう。



健康診断の費用負担


 健康診断の費用については、労働安全衛生法には触れられてはいませんが、通達では、「事業者に健康診 断の実施の義務を課している以上、当然、事業者が負担すべきものである」としています。また、労働者が 健康診断受診のために指定された医療機関に出向くための交通費などは、健康診断に要する費用となると解 されています。

 ただし、使用者が指定した医師ではなく、労働者が自ら選択した他の医師による健康診断を受診する場合 には、その受診時間は使用者の指揮命令下にある時間とはいえないので、使用者は、その時間の賃金だけで はなく、費用についても当然に負担すべきことにはならないとされます。



5.参考資料 (健康経営 )

 健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。  企業が経営理念に基づき、従業員の健康維持増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や、組織としての価値向上へつながることが期待されます。
従業員の健康増進や労働衛生等への取り組みにかかる支出をコストととらえるのではなく、経営的な投資として前向きにとらえることが重要です。

健康経営への関心の高まり

 健康経営への関心が高まっている背景には、
・生産年齢人口の減少と、それに伴う人材不足
・従業員の高齢化に伴う体調問題の表面化
・健康経営の取り組みを社会的に評価する仕組みや、法制度の整備
があります。

明日から実践するために

 健康増進に取り組む企業を評価する仕組みは、厚生労働省の「健康寿命をのばそう!アワード」、経済産 業省の「健康経営銘柄」、日本政策投資銀行の「DBJ健康経営格付」等があります。

 健康経営を進めるためには、土台としての法令遵守・リスクマネジメントが行われていることを前提とし て、企業が独白の健康増進の制度や施策を実行することが求められています。

 また、法令に基づいて行ってきた健康診断や安全衛生の施策と切り離して考えるのではなく、延長線上で あるべきで、これまで行ってきた施策等の経験やデータを積極的に活用することが、健康経営の実践につな がるといえるのです。



取り組み事例

  • 健康診断受診率100%、有給取得率アップ等、数値目標を立てる
  • 職場における体操、ストレッチの実施
  • 自動販売機に会社負担でトクホの飲料を入れる
  • インフルエンザ予防接種の会社負担
  • 従業員の健康目標の設定、健康教室の実施

 以上のような取り組み例でわかったことは、社長自らが率先し、従業員が全員で参加できるような職場環境を作り、さらに産業医や主治医への報告や相談等の連携がうまく取れているということでした。



まとめ

 健康経営は福利厚生ではなく経営課題と位置付け、経営者自らが実践していくことが重要です。

 実践するためには、行政や関連団体が提供しているサービスを活用することで、予算や人手がなくても、明 日からでもスタートすることができると思います。

 各々の企業の実態に合わせて達成可能な独自のゴールを作り、そのゴールに向けてできるだけ多くの従業員 の健康に対する意識を変え、行動につなげて行くことが大切です。



6.参考資料(外国人社員と日本語教育について)

 外国人材を活用する際には様々な壁がありますが、その中でも“語学の壁” は一番苦労される部分ではないでしょうか。語学については、①外国人留学生 ⇒②日本国内での就労者⇒③海外からの呼び寄せの順番で雇用企業の対応が難 しくなっていきます。

 ③のケースは高度なスキルを持つエンジニアなどに多くみられ、日本での語 学サポートも含めて雇用企業が受入態勢を整えたうえで雇用するケースがほと んどです。当然、通訳者の確保、生活サポートなども必要となり、それなりの 会社規模でなければ戦力化は難しいようです。

 一方、①の外国人留学生の場合には最初から日本語を学習しており、日本の 生活習慣にも慣れているため、比較的採用が成功しやすいようです。

  とはいえ、社内がすべて英語対応している外資系企業などは別として、日本 で働く以上は日本語の習得は避けては通れない部分です。語学教師などで10年 以上も日本に滞在しながら全く日本語が話せない事例も見られますが、そのよ うな方の多くは「勉強しておけばよかった」と後悔されているようです。

 本人の職務内容に幅を持たせるためにも雇用企業としては積極的にサポートしていくことが求められますが、問題となるのはそのコストです。以前は日本 語学校に通学させるか、社内に講師を招くしか方法がありませんでしたが、最 近ではボランティアとして日本語を教える団体やインターネットを利用した配 信型の授業なども増えています。

  就労外国人の受入れサポートを行うACROSEEDとしても、入社後の日本語教育 でお役に立てる部分がないか模索中です。低コストで外国人社員の戦力化につ ながるようなサービスを提供できるように、地道な努力を続けていきたいと思 います。