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メールマガジン2017年07月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2017年07月 Vol.102

1.人事・総務ニュース

障害者雇用率、30年4月に引き上げへ ~民間企業は当面2.2%に~


  労働政策審議会は5月30日、平成30年4月から障害者雇用率を引き上げることを主な内容とする政令改正案に ついて、妥当と認める答申を取りまとめました。

  障害者雇用率の引き上げは、障害者雇用促進法により、平成30年4月1日から精神障害者の雇用が義務化され、 算定式に精神障害者を追加することなどを踏まえたものです。

  改正案では、民間企業は2.3%(現行2.0%)とされていますが、経過措置として、当分の間は2.2%とし、障害 者の雇用環境の整備状況などを踏まえて、政令が施行されてから3年を経過する日より前に2.3%にするとして います。



時間外労働の上限規制は罰則付きで強化 ~労働政策審議会が建議~


 労働政策審議会は6月5日、36協定における時間外労働の上限について、現行の限度基準の告示を法律に格上 げした上で、罰則による強制力を持たせることが適当であるとするなど、時間外労働の上限規制等に関する建 議を厚生労働大臣に行いました。

  建議では、時間外労働の上限は原則として月45時間、年360時間とし、臨時的な特別の事情がある場合の特例 として、年の上限は720時間としています。

  また、年720時間以内において、一時的に業務量が増加する場合でも最低限上回ることができない上限として、 ①休日労働を含み、2ヵ月ないし6ヵ月平均で月80時間以内、②休日労働を含み、単月で100時間未満、③原則 (月45時間)を上回る回数は年6回まで、とすることが適当だとしています。

  建議を受け、厚生労働省では労働基準法関連の改正案の策定に着手し、秋の臨時国会に提出する構えです。



「攻めのIT経営」の中小企業40社を選定 ~経済産業省が発表~


 経済産業省はこのほど、ITの効果的な活用に積極的に取り組み、成果を上げている中小企業40社を選定した と発表しました。

 これは、IT活用に焦点を当てた「攻めのIT経営中小企業百選」における第3回目の選定で、今回で100社が出 揃いました。

 国内企業では、IT投資は社内の業務効率化やコスト削減を中心とした「守り」に主眼が置かれていますが、 選定された中小企業はITの活用による企業の製品・サービス開発強化やITを活用したビジネスモデル変革を通 じて、新たな価値の創出やそれを通じた競争力の強化を目指す、いわゆる「攻めのIT投資」を積極的に行う企 業。各企業の取組内容は、同省ホームページの「攻めのIT経営中小企業百選」に掲載されています。



障害者の就職件数が過去最高 ~障害者の職業紹介状況~


 厚生労働省が6月2日に公表した平成28年度における障害者の職業紹介状況によると、ハローワークを通じた 障害者の就職件数は、前年度と比べ3.4%増の9万3,229件となり、過去最高を更新したことが分かりました。

 産業別の就職件数では、「医療、福祉」が最も多く3万5,386件(全体の38.0%)、次いで、「製造業」1万 2,268件(同13.2%)、「卸売業、小売業」1万1,547件(同12.4%)の順となっています。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(腰痛の労災認定)


業務上の災害とは


 労災保険の給付対象となる業務上の災害とは、労働者の業務と傷病との間に一定の因果関係があるものを いいます。

 業務上と認められるためには、業務が原因であるほかに、その前提条件として「業務遂行性」が認められ なければなりません。たとえば、事業主の支配・管理下で業務に従事している場合や休憩時間に事業場構内 で休んでいる場合、出張や社用での外出など、事業主の支配下にはあるが、管理下を離れて業務に従事して いる場合などが、業務遂行性があるとされます。



腰痛に関する行政の認定基準

 腰痛は、業務中であって、いつ起きたかが明確な出来事(災害)により負傷したことで発症したのであれ ば、業務起因性や業務遂行性があると認められ易いのですが、明確な出来事がなく、相当な時間の経過によ る疲労などの蓄積で発症した場合も多く、業務との因果関係があるのかどうか判断するのが難しいものとさ れています。

 このようなことから、腰痛については、通達により認定基準が示されていて、これに基づいて業務災害か 否か判断が行われています。

 認定基準では、労災補償の対象となる腰痛は、「災害性の原因によるもの」と、「災害性の原因によらな いもの」があるとして、業務上か否かの判断が困難な「災害性の原因によらないもの」については、次の①、 ②に区分して判断されます。

 ①腰部に過度の負担のかかる業務に比較的短期間(おおむね3ヵ月から数年以内)従事したことにより発 症した腰痛

 ここでいう腰部に負担のかかる業務とは、次のような業務をいいます。

 ●おおむね20kg程度以上の重量物または重量の異なる物品を繰り返し中腰で取り扱う業務
●腰部にとって極めて不自然な姿勢で毎日数時間程度行う業務
●長時間にわたって腰を伸ばすことができない同じ姿勢を持続して行う業務
●腰部に著しく大きな振動を受ける作業を継続して行う業務

 ②重量物を取り扱う業務または腰部に過度の負担のかかる作業態様の業務に相当長期間(おおむね10年 以上)にわたって継続して従事したことにより発症した慢性的な腰痛

 ここでいう重量物を取り扱う業務とは、おおむね30kg以上の重量物を労働時間の3分の1程度以上取り扱 う業務、またはおおむね20kg以上の重量物を労働時間の半分程度以上取り扱う業務をいいます。

 このように、災害性の原因によらない腰痛は、日々の業務による腰部への負担が徐々に作用して発症し たものをいいますので、その対象となる業務は、荷役作業や運転など限定的となる傾向があります。

 腰痛の労災申請をするにあたっては、業務と発症との関連を確認して、まずは専門の医師に相談したり、 労働基準監督署に問い合わせをするのがよいでしょう。



3.参考資料 (従業員を熱中症から守りましょう ~職場における熱中症予防対策~)

 このほど厚生労働省が発表した「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、猛暑だ った平成22年以降、職場での熱中症による死亡者数及び4日以上休業した業務上疾病者数(以下、合わせ て「死傷者数」という)は、毎年400~500人台で高止まりの状態にあります。

 また、今年の夏は全国的に気温が平年並みか、平年より高くなることが見込まれ、熱中症による労働 災害が多く発生することが懸念されています。

 そこで今号では、前述の厚生労働省の発表を参考にしながら、職場における熱中症予防のためのポイ ントをご紹介します。対策をしっかり講じて、暑い夏を乗り切りましょう。

 ※熱中症とは、高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機 能が破綻するなどして発症する障害の総称。めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分 の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感、意識障害・痙攣・手足の運動障害、高体温などの症状が現れる。


職場における熱中症による死傷者数


  過去10年間(平成19~28年)の職場での熱中症による「死傷者数」 は、平成22年に656人と最多で、その後も400~500人台で推移。平成 28年の死亡者数は12人と前年に比べ17人減少したものの、死傷者数 は462人で、依然として高止まりの状態にある。



業種別発生状況

 過去5年間(平成24~28年)の業種別の熱中症による死傷者数をみると、建設業が最も多く、次いで製 造業で多く発生しており、全体の約5割がこれらの業種で発生している。



時間帯別発生状況

 過去5年間(同)の時間帯別の熱中症による死傷者数をみると、14~16時台に多く発生している。なお、 日中の作業終了後に帰宅してから体調が悪化して病院へ搬送されるケースも散見される。



作業開始からの日数別発生状況

 過去5年間(同)の作業開始から熱中症発生日までの作業日数別の死亡者数をみると、全体の5割が「高温多 湿作業場所」で作業を開始した日から7日以内に発生している。

職場における熱中症の死亡事例


 平成28年の熱中症による死亡者数は12名で、その発生状況の概要は、
①災害発生場所でWBGT値*の測定を行っていなかった。
②計画的な熱への順化期間が設定されていなかった。
③事業者による水分及び塩分の準備がなされていなかった。
④健康診断が行われていなかった。
*WBGT値とは、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑 熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数。

熱中症予防対策


【作業環境管理】

◆WBGT値(暑さ指数)の把握・低減

あらかじめ準備した、JISに準拠したWBGT値(暑さ指数)測定器を使用し、WBGT値を随時把握しましょう。WBGT値加基準値を超え、または超えるおそれのある場合には、WBGT値の低減、休憩時間の確保などの対策を徹底しましょう。

◆休憩場所の整備等

休憩場所には、氷、冷たいおしぼり、水風呂、シャワー等の身体を適度に冷やすことのできる物品及び 設備を設けましょう。また、水分及び塩分の補給を定期的かつ容易に行えるよう飲料水、スポーツドリン ク等の備付け等を行いましょう。

【作業管理】

7月には梅雨明けを迎える地域が多く、急激なWBGT値(暑さ指数)の上昇が想定されます。その場合、 労働者は熱に慣れていませんので、WBGT値に応じ、作業の中断、短縮、休憩時間の確保を徹底しましょう。 また、水分及び塩分を積極的に取りましょう。

【健康管理】

睡眠不足、体調不良、前日の飲みすぎがないか、当日は朝食をきちんと取ったか、作業開始前の確認を 徹底しましょう。

【労働衛生教育】

作業を管理する者や労働者に対して、あらかじめ、①熱中症の症状、②熱中症の予防方法、③緊急時の 救急処置、④熱中症の事例について、労働衛生教育を行いましょう。

【異常時の措置】

少しでも本人や周りが異変を感じたら、躊躇せず救急隊を要請する、病院に搬送するなどの措置を取り ましょう。急に容体が悪化し、死亡する事例が発生しています。




4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 非常時の賃金支払いは必要か?
Q .社員から当社の就業規則について質問がありました。非常時の場合の給与の前払いに関する定めが ないが、もし入院や災害などで急にお金が必要となった場合は支給日より前に支払ってもらえるのか、 という内容です。
 実際に社員がこうした事情になった場合は、給与を前倒しして支払うことが必要なのでしょうか。 必要だとすれば、どういう要件で支払い義務が生じ、支払うべき給与はどこまでの範囲をいうのでしょ うか?

賃金の非常時払いとは

 労働基準法(第25条)では、労働者が出産や疾病、災害などで急な出費を必要とする事情が生じた場合に、 労働者から請求されたときは、使用者は支払期日前であっても既往の労働に対する賃金を支払わなければな らない旨が定められています。

 これを賃金の「非常時払い」といい、「毎月1回以上、一定の期日を定めて支払う」という原則的な賃金 支払いの例外的な扱いとされ、違反には罰則があります。/p>

「非常時」の範囲


 どのような場合に非常時払いの必要があるかは、同法の施行規則(第9条)にも事由が定められていて、 労働者本人だけでなく、労働者の収入によって生計を維持する者も含まれます。まとめると、次の場合が非 常時払いの対象となります。

 ①出産し、疾病にかかり、または災害をうけた場合 ②結婚し、または死亡した場合 ③やむを得ない事由により1週間以上にわたって帰郷する場合



非常時払いの賃金の範囲


 労働者が非常時に支払いを請求できる「既往の労働に対する賃金」とは、通常は、賃金計算期間内のすで に労務の提供があった期間に対する賃金をいい、月給で決められている賃金で請求や支払いが計算期間の中 途である場合は、所定の方法によって日割計算して算定すべきであるとされます。ただし、請求が既往の労 働に対する賃金より少ない場合には、請求のあった金額を支払えばよいことになります。

 一方、非常時には、既往の労働に対する賃金では足りず、賃金の前借りを請求されるケースも考えられま す。この場合、使用者は、労務の提供がまだされていない期間の賃金の支払いに関しては、労働者の非常時 であっても請求に応じる義務はありません。

 また、非常時の賃金の支払時期については定めがありませんが、非常時払いという性質上、請求があれば できるだけ早く支払わなければならないものと解されています。

 実際に非常時払いを請求されることは稀でしょうが、就業規則や賃金規定に定めておき、不意の請求に対 しても適切な対応ができるように備えておくと良いでしょう。



5.参考資料 (外国人と共に働く職場 )

 厚生労働省が公表した「外国人雇用状況」の届出状況のまとめによると、平成28年10月末現在、外国 人労働者数は約108万人(前年比19.4%の増加)で、平成19年の届出義務化以来、過去最高を更新しま した。事業所規模別にみると、30人未満の小規模事業所で働く外国人が最も多く、外国人労働者全体の 34%を占めています。
増加要因の一つは経済社会の国際化が進み外国人労働者に対して、企業ニーズが高まった影響と考え られます。今後、外国人労働者を雇用する機会はますます増えることが予想されます。一方、不法就労 や雇用条件面での問題も発生しており、その受け入れには適正な対応が求められています。

外国人雇用のメリット

 ①優秀な若い労働力の確保
 日本では採用が難しくなっている若い人材を即戦力として確保できる。
②高い語学力
 海外進出する際に相手国との架け橋になる。
③新しい発想の創出
 教育・文化の違いから日本人とは異なる新しい発想や考え方を持ち、商品開発に貢献。社内の活性化にもつながる。

外国人労働者を雇用する際の注意点

 ①在留資格の確認が必須。労働の可否だけでなく、就労可能な範囲も確認が必要。在留カードやパスポー トの提示を求めること。

 ②雇い入れ及び離職の際には、その氏名や在留資格等を管轄のハローワークへ届け出ることが義務付けられている。雇用保険被保険者資格取得届、喪失届、外国人雇用状況届出書(様式第3号)にて届出。



外国人労働者の雇用管理の改善

 外国人労働者が安心して働き、その能力を発揮できる就労環境の実現に向けて、事業主が行うべきポイ ントを以下にまとめました。

  1. 募集・採用時に、国籍による差別的取り扱いをしないよう十分留意する。留学生向けの募集採用を行う ことも効果的。
  2. 労働・社会保険関係法令は外国人にも適用。労働条件面での差別も禁止されている。分かりやすい内容を 書面で交付すること。
  3. 労災防止の観点から、必要な日本語及び基本的な合図等を習得させるように努めること。
  4. 外国人労働者が常時10人以上の場合は、雇用労務責任者を選任し、雇用管理を行うこと。

 わが国では少子高齢化に伴って若年労働者が減少しており、このままでは近い将来深刻な労働力不足に 直面すると考えられます。

 外国人雇用には特別な手続きが必要で、受け入れのためには様々な配慮も必要になりますが、労働力不 足の課題を解決できる可能性があります。雇用の際の準備と配慮を十分に理解した上で、外国人雇用を検 討してみてはいかがでしょうか。また、一緒に働く人々にとって、言語だけでなく、互いの文化を理解し 認め合うことが、外国人と共に働く職場づくりにはとても重要です。



6.参考資料(「技術・人文知識・国際業務」の社内異動について)

 最近、多く問い合わせをいただいている内容として、「技術・人文知識・国 際業務」で採用した人材を在留資格取得時とは違う部署に移動させたいという 要望です。

 従来は翻訳・通訳などの外国人社員の持つ特殊な能力に注目して採用を行う ことが多かったのですが、昨今では優秀な人材であれば国籍に関係なく採用す る企業が増えてきていることが原因かと思います。

 一般的に不法就労と言われるのは、在留資格の取得時にエンジニアとして申 請したが、その後の異動などにより工場内作業など「技術・人文知識・国際業 務」に該当しない業務に就かせる場合です。

  そのため、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務であれば異動させ ることは問題ありませんが、どの業務が該当するかどうかは、なかなか判断し づらいところかと思います。

 もし不安な場合には「就労資格証明書」の申請を行うことをお勧めします。 本来は中途採用した外国人社員が次回の在留資格更新時に許可されるか確認す るための申請ですが、現在の業務が在留資格に該当しているかどうかの確認に も利用できます。

  これを申請して入国管理局が許可を出しているのであれば、安心して異動さ せることができます。コンプライアンスが重要視される現在では必須の申請と なっています。