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メールマガジン2017年08月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2017年08月 Vol.103

1.人事・総務ニュース

協会けんぽ、黒字幅が過去最大に ~平成28年度決算見込みを公表~


  全国健康保険協会(協会けんぽ)は7月7日、平成28年度の決算見込み(医療分)を公表しました。

 それによると、収入(総額)が前年度より3,802億円多い9兆6,220億円、支出(総額)が1,268億円多い9兆 1,233億円となった結果、収支は4,987億円の黒字となりました。黒字幅は、比較ができる平成4年以降では最 大となっています。

  同協会によると、保険料を負担する被保険者の数が3.5%増加したこと、および被保険者の賃金(標準報酬 月額)が1.1%増加したことにより、保険料収入が増えたことが要因だとしています。

  なお、賃金の上昇については、標準報酬月額の上限を引上げた制度改正の影響の分が含まれています。



高年齢継続給付の支給限度額を大幅引き上げ ~8月1日から~


 8月1日から、高年齢雇用継続給付の支給限度額が大幅に引き上げられます。

  今回の変更は、法改正により、失業給付の基本手当の算定基礎となる「賃金日額」の上・下限額が引き上 げられたことと、平成28年度の平均給与額が27年度と比べて約0.41%上昇したことに伴うものです。変更内 容は次のとおりです。

  ●高年齢雇用継続給付

  339,560円→357,864円(+18,304円)

  *育児休業給付、介護休業給付の支給限度額変更については、決まり次第お知らせいたします。



求人票への苦情件数、約9,300件 ~記載内容と実際の労働条件が相違~


 厚生労働省のまとめによると、ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件が相違している など、求職者からの苦情や申出の件数が、平成28年度には9,299件あったことがわかりました。

 その内容をみると、「賃金に関すること」が2,636件(全体の28%)で最も多く、次いで、「就業時間に関 すること」1,921件(同21%)、「職種・仕事の内容に関すること」1,311件(同14%)、「選考方法・応募書 類に関すること」1,065件(同11%)、「休日に関すること」936件(同10%)などの順となっています。

 また、具体的な要因として、「求人票の内容が実際と異なる」という申出の件数は3,608件(同39%)で、 同省では、こうした相違に係る相談を受けた場合、ハローワークにおいて迅速な事実確認や、必要な是正指 導などの対応を行っています。



平成30年の配偶者控除改正で情報提供 ~国税庁がパンフレットを公表~


 国税庁は、税制改正により平成30年から所得税における配偶者控除および配偶者特別控除の見直しが行われ ることに伴い、源泉徴収義務者である事業者などの誤解や混乱を避けるため、ホームページ上での情報提供を 始めました。

 事業者、給与所得者それぞれに、分かりやすく解説した制度改正についてのパンフレットが掲載されてい ます。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール(直接支払制度と受取代理制度 ~出産育児一時金~)


出産育児一時金の請求方法


 健康保険には、被保険者や被扶養者の出産に関して、出産育児一時金の制度があります。

 出産育児一時金の請求方法は、大きく分けて2通りあり、自分で出産費用を産院などに全額支払ったうえ で、あとで保険者(協会けんぽや健康保険組合など)に申請をして一時金を受け取る方式と、出産費用のう ち一時金で賄える額までの支払いの負担をせずに、一時金の額を超えた分だけを産院などに支払う方式があ ります。

 どちらが有利、不利ということはありませんが、50万円前後もする出産費用を準備しなくても済む後者の 方法を選択する場合がかなり多くなっています。



直接支払制度と受取代理制度

 一時金の額を超えた分だけを窓口で支払う方式には、①直接支払制度と、②受取代理制度があります。産 院などによってどちらの方法を採用しているかは異なりますので、前もって確認しておくことが必要でしょう。

 直接支払制度は、一時金の請求と受け取りを、出産する本人や家族などに代わって医療機関側が行う制度 で、一時金が医療機関などへ直接払い込まれます。

 この制度を希望する場合は、出産前に制度を利用したい意志を産院などに伝え、所定の契約文書を取り交わ します。

 基本的にはこの手続きだけで済んでしまいますが、もし、出産費用が一時金の額(原則として1児につき42 万円)を下回った場合は、その差額については、別途に保険者に請求しないと支払われませんので、注意が必 要となるでしょう。

 一方、受取代理制度は、保険者に一時金の請求を行う際、出産する医療機関などにその受け取りを委任するこ とにより、医療機関などへ直接一時金が支給される制度です。

委任を受けた医療機関などが一時金の請求をしますが、本人または家族などが出産前に申請書類を作成し、 保険者に申請することが必要ですので、早めに準備をしておくとよいでしょう。

 また、出産費用が一時金の額を下回っても、事前に申請書類に記載した口座に振り込まれるので、差額を別 途に請求する必要はありません。

 最近では、手続きが最も簡単な直接支払制度を利用できる産院などがほとんどとなっている状況ですが、本 人や家族の出産に関しては、どの方式を利用するか前もって確認しておくことで、申請書類が必要となった場 合の備えをしておくことが大切となるでしょう。



3.参考資料 (「パワハラ」関係相談、5年連続トップに)

 このほど厚生労働省は、労働者と企業とのトラブルを、裁判に持ち込むことなく迅速に解決する「個 別労働紛争解決制度」の平成28年度の施行状況を公表しました。

 それによると、「民事上の個別労働紛争」に関する相談件数は25万5,460件で、前年度に比べて4.2% 増加。相談内容として、パワーハラスメント(以下「パワハラ」と表記)を含む「いじめ・嫌がらせ」が 同6.5%増の7万917件と、5年連続で最多となっています。


総合労働相談の状況


 労働問題に関するあらゆる相談にワンストップで 対応するため、都道府県労働局、労働基準監督署内 等に設置されている総合労働相談コーナーに平成28 年度1年間に寄せられた相談件数は、前年度比9.3% 増の113万741件であった。

 このなかで、労働関係法上の違反を伴わない「民事上の個別労働紛争」に関する相談件数は同4.2%増の25万 5,460件。このうち、労働者からが21万845件(82.5%)と大半を占め、事業主からは2万5,500件(10.0%)で あった。

【相談内容】

 民事上の個別労働紛争の相談内容は、「いじめ・嫌がらせ」に関するものが7万917件(22.8%)で最も多く、 次いで、「自己都合退職」が4万364件(13.0%)、「解雇」が3万6,760件(11.8%)、「労働条件の引下げ」 が2万7,723件(8.9%)と続いている。(下図参照)



都道府県労働局長による助言・指導

 労働局長に助言・指導を申し出た件数は前年度比0.6%増の8,976件。このうち、労働者からの申し出が 8,930件(99.5%)と大半を占め、事業主からは46件(0.5%)であった。

 【助言・指導の申し出の内容】

  助言・指導の申し出の内容は、「いじめ・嫌がらせ」に関するものが2,206件(22.3%)で最も多く、次い で、「解雇」が1,022件(10.3%)、「自己都合退職」が948件(9.6%)、「労働条件の引下げ」が877件 (8.9%)と続いている。

 【助言・指導の実施状況】

 助言・指導が実施されたものは8,539件(95.8%)、申し出が取り下げられたものは270件(3.0%)、処理が打 ち切られたものは86件(1.0%)となった。


《いじめ・嫌がらせ(上司からの暴言等)に係る助言一指導の例》

正社員として勤務しているが、上司から「ぼけ、アホ」、「のろま」、「お前は使いものにならん」等の 暴言を日常的に受けることに加え、後ろから腰を蹴られ転倒するという暴行を受けた。上司は、周りに気付 かれないようにこのような行為をしているため、会社に言ってもどうしようもない。このため、職場環境の 改善を求め、その上司とは別の部署に異動したいとして、助言・指導を申し出たケース。

→事業主に対し、上司の行為はパワハラの提言で示されている類型「身体的な攻撃及び精神的な攻撃」 に該当する可能性があり、会社の責任が問われる可能性があることから、パワハラの有無について 調査し必要な対応を行うこと、上司とは別の部署に異動したいという申出人の意向を踏まえた話し 合い等の対応をとるよう助言した。  その結果、申出人はその上司とは別の部署へ異動。また、社内でパワハラの有無について調査が進 められることになった。


紛争調整委員会によるあっせん

 労働問題の専門家である弁護士、大学教授等からなる紛争調整委員会にあっせんを申請した件数は前年度比7.3 %増の5,123件。このうち、労働者からの申請が5,034件(98.3%)と大半を占め、事業主からは80件(1.6%)、労使 双方からは9件(0.2%)であった。

 【あっせん申請の内容】

 あっせん申請の内容は、「いじめ・嫌がらせ」に関するものが1,643件(29.0%)で最も多く、次いで、「解雇」 が1,242件(21.9%)、「雇止め」が472件(8.3%)、「労働条件の引下げ」が445件(7.9%)と続いている。

 【あっせんの実施状況】

 合意が成立したものは2,003件(39.4%)、申請人の都合により取り下げられたものは222件(4.4%)、紛争当 事者の一方が不参加等の理由により、あっせんが打ち切られたものは2,847件(56.0%)となった。

《解雇に係るあっせんの例》

試用期間1ヵ月のパート労働者として勤務を開始したが、勤務開始当初から体調を崩し、数日間欠勤した ところ、勤務開始5日目に、体調管理ができていないとの理由で解雇された。復職はかなわないと考えてい るが、インフルエンザに罹患するなどやむを得ない事情により欠勤したものであり、補償金として8万円の 支払いを求めたいとしてあっせんを申請したケース。

→双方の主張を聞いたところ、会社側は、試用期間中であること等の理由により解雇の正当性を主張した。    これを受けて、会社側に対し、試用期間は1ヵ月間とされている以上、その期間を通じ労働者の適性を見極めるべきであり、その期間に満たない時期の解雇は裁判となった場合に問題視される可能性があること等を伝え、歩み寄りを促したところ、解決金として5万円を支払うことで合意が成立し、解決した。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 苦情・相談窓口は設けなければならない?

Q .社員からセクハラが起きたときの対応の担当者は決まっていないのか、という質問がありました。決 まっていないと答えると、法律で相談や苦情を受ける窓口となる人を決めておかなければならないはず だと言われました。
 当社は小規模なので、わざわざ窓口を設けるまでもないと考えますが、それでも設けなければいけな いのでしょうか?

男女雇用機会均等法のセクハラ対策義務

 男女雇用機会均等法およびそれに基づく指針では、職場における男女双方に対するセクシュアルハラスメ ント対策として、労働者からの相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備するなど、必要 な措置を講ずることを事業主に義務づけています。

 これは、会社の規模の大小を問わず講じなければならないとされていますので、相談や苦情に対応する担 当者をあらかじめ決めて、周知しておく必要があります。

 このほか、事業主は、セクハラ防止に向けての方針を明確にして、管理監督者を含むすべての労働者に対 してその方針を周知・啓発することや、実際に相談があった場合は、事実関係を迅速かつ正確に確認し、適 正に対処することとされています。

 また、相談者や行為者等のプライバシーを保護し、相談したことや事実関係の確認に協力したこと等を理 由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発することなども求められていま す。

 セクハラ対策は企業にとっては負担となる面も多いのですが、対策を講じていないと、やがて行政の是正 指導があり、それにも応じない場合は、企業名公表の対象となることがあります。

 こうしたことにならないよう、必要な対策は講じておくことが重要となります。どうしても社内で担当者 を選任できない場合は、外部の専門機関などを窓口とすることも一つの方策でしょう。



「マタハラ」への対策


 均等法では、職場における妊娠、出産等に関するハラスメント(マタニティハラスメント)についても、 セクハラと同様に、相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備や防止に向けての 方針などの明確化と、管理監督者を含む労働者への周知・啓発などを事業主に義務づけています。

 また、均等法と育児・介護休業法については、企業が法違反の是正を求める勧告に従わず公表された場合 に、厚生労働省はその企業のハローワークでの新卒求人を受理しない取り組みを行っています。今年1月か らは、マタハラに対する法律で義務づけた防止策を講じなかった企業に対しても指導が行われ、是正されてか ら一定期間経過するまで求人を受理しないこととするように制度を改めています。

 このように、近年は職場におけるさまざまなハラスメントに対して、企業側が義務や責任の一端を負うこ とが避けて通れなくなっています。セクハラだけではなく、その他のハラスメントの相談についても一体的 に相談窓口を設置し、苦情や相談も一元的に受け付ける体制の整備が望ましいといえるでしょう。



5.参考資料 (高年齢労働者の安全と健康)

 労働安全衛生法第62条は、「事業者は、中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たって特に 配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行うように努めなけれ ばならない」と定めています。
 特に高年齢労働者の労働災害を防止するには、設備面の対策だけでなく、加齢による身体機能の変化 への対策が必要です。

高年齢労働者の労働災害の状況

 平成28年の労働災害発生状況によると、休業4日以上の死傷者数のうち、50歳以上の占める割合は47.7%。 また、死亡者数のうち、50歳以上の占める割合は55.7%となっています。(下表参照)

加齢に伴う心身機能の変化

 1.労働と加齢・心身機能との関連
①生理的機能(特に感覚機能、平衡機能)は、早い時期から低下が始まります。
②筋力の低下は脚力で始まり、体の上方へ向かいます。
③訓練によって得た知識・技能は、長時間使用するほど維持できます。

 2.加齢に伴う心身機能の変化と労働災害
  高年齢者の労働災害防止対策を講じる場合、加齢に伴う心身機能の変化を十分に考慮する必要があります。
労働者本人が心身機能の変化を常には自覚していないため、無理な行動をしてしまうということもあります。



高年齢労働者の災害防止と健康確保

 1.直接的対策
 加齢に伴い低下した身体機能に配慮した作業方法・環境となっているか、調査・検討し改善を図る必要があり ます。
①墜落・転落防止対策
 昇降設備の改善、安全な作業床・手すりの設置、高所作業の地上作業への置き換え等

②転倒防止対策
 段差の除去、作業床のすべり防止対策等

③視聴覚機能の補助
全体照明・局所照明の改善、作業指示票・図面等の拡大・簡素化

 他には、重量物取扱い方法の改善、作業姿勢の改善が挙げられます。

2.間接的対策
 高年齢者対策を計画的に進めるために、管理体制を整備する必要があります。
 また、教育については、労働者本人に自身の機能を十分認識させながら、実施することが重要です。

①安全衛生管理組織、管理規程、作業手順書等の改善
 安全衛生管理規程等の改善、高年齢者向けの作業手順書の作成

②安全衛生教育の実施
 災害事例を使っての安全衛生教育等及び訓練の反復実施  他には、高年齢者の技能・知識を生かす職務への配置、過重労働による健康障害防止が挙げられます。



6.参考資料(日本のサービスについて)

 国によっても違いますが、海外に行くと日本とのサービスレベルの違いに驚 かされます。海外では道を尋ねても“指さす”だけの場合もありますが、日本 では“ここまで親切に教えてくれるのか?”と感動を覚えるぐらいです。しか し、日本の場合、どこかマニュアル的な匂いがして、突発的なことに対応する 人間力が弱くなってきている気がします。

 一方、海外で受けるサービスはムチャクチャで適当だけど、どこか人間的な 匂いがして“何とかこの人を喜ばせよう!“という気持ちがものすごく伝わっ てきます。単なる店員とお客様ではなく、そこには立場は違うがお互いの人間 同士の気遣いや優しさが存在する気がします。

 宅配便の時間指定などは素晴らしいサービスですが、私たちはドライバー側 の都合を少しでも考慮しているのでしょうか。せめて再配達をしないで済むた めにその時間には必ず帰宅するなど、お互いの配慮があって初めて成り立つサ ービスですが、最近ではこの配慮が欠けてしまっている気がします。その結果 として便利なサービスが維持できなくなり、結局、不便な思いをするのは私た ちです。

  生活が便利になる事は喜ばしいことですが、ハイレベルのサービスに慣れす ぎた日本人は、“してもらって当たり前“という感覚に浸りすぎてしまってい るのではないでしょうか。

 ”相手があって自分が存在する“という考えをしっかりと保持して日々の業 務に取り組んでいこうと思います。