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メールマガジン2017年09月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2017年09月 Vol.104

1.人事・総務ニュース

監督指導した事業場の43%が違法残業 ~長時間労働が疑われる事業場の監督指導結果~


  厚生労働省はこのほど、平成28年度に実施した長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果をまと めました。

 これは、月80時間を超える残業が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死などに関する労災 請求があった事業場を対象とするもので、監督指導を行った事業場(2万3,915事業場)の43%に違法な時間外・ 休日労働が認められました。

  36協定の締結、届出をしていない、または同協定の限度時間などを超える違法な時間外・休日労働があった 事業場に対して、是正・改善に向けた勧告や指導などを行ったということです。

【公表された監督指導実施の例(水産食料品製造業)】

 全労働者の約半数に当たる16名の労働者について、36協定で定める上限時間(特別条項:月78時間)を超え る違法な時間外労働(最長:月170時間)が認められたことから、①労働基準法違反を是正勧告、②月80時間 以内への削減について指導、③過重労働による健康障害防止について指導を行いました。



最低賃金、全国平均で25円引き上げへ ~中央最低賃金審議会が答申~


 中央最低賃金審議会は7月27日、平成29年度の地域別最低賃金額改定について、引上げ額の目安を示す答申を 取りまとめました。

  各都道府県の経済実態に応じてA~Dの4ランクに区分し、引上げ額の目安はAランク26円、Bランク25円、C ランク24円、Dランク22円で、全国加重平均は25円(昨年度は24円)となっています。目安どおりに決定され れば、最低賃金が時給で決まるようになった平成14年度以降で最高額の引上げとなります。

 今後は、各地方最低賃金審議会がこれを参考に審議を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定 することになります。



ストレスチェックの実施率、8割超える  ~改正法施行後初めて実施状況をまとめる~


 厚生労働省は7月26日、改正労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の実施状況を発表。それに よると、ストレスチェックの実施義務がある規模50人以上の事業場における実施率は82.9%となっています。

 ストレスチェックを実施した事業場の労働者のうち、ストレスチェックを受けた人は78.0%で、このうち、 医師による面接指導を受けた人は0.6%。また、実施した事業場の78.3%では、職場ごとのストレス状況の把 握を目的とする集団分析を行っています。



育児休業給付等の上限額を引き上げ ~8月1日から~


 8月1日から,雇用保険の育児休業給付と介護休業給付の上限となる支給限度額が引き上げられています。変 更内容は次のとおりです。

●育児休業給付
(支給率67%の場合) 284,415円 → 299,691円
(支給率50%の場合) 212,250円 → 223,650円

●介護休業給付  312,555円 → 329,841円

 *いずれも,初日が平成29年8月1日以後である支給対象期間から変更となります。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール ~育休給付金の2歳までの支給期間延長(29年10月実施)~


改正育児・介護休業法の10月施行


 育児・介護休業法では、育児休業期間は、原則として子が1歳に達するまでで、保育所などにおける保育の実施 が行われないなどの理由があれば、例外的に子が1歳6ヵ月に達するまで延長できるとしています。

 法改正によって、この延長できる期間については、今年10月1日から、1歳6ヵ月に達した時点でもなお保育所 などにおける保育の実施が行われないなどの状況であれば、再度延長を事業主に申し出ることにより、最長で 2歳まで延長ができることになりました。



育児休業給付金の支給期間の再延長

 雇用保険の育児休業給付についても、従来は、上記の理由により子が1歳6ヵ月に達する日の前日まで育児休 業給付金の支給対象期間が延長されていますが、10月1日からは、改正育児・介護休業法にあわせて、上記の理 由により子が1歳6ヵ月に達する日後の期間に育児休業を取得する場合には、最長で子が2歳に達する日の前日 まで支給対象期間が延長されるようになります。



再延長の対象者と具体的な手続き

 今回の改正は、子が1歳6ヵ月に達する日の翌日が平成29年10月 1日以降となる人が対象となります。したがって、育児休業にか かる子の誕生日が平成28年3月31日以降の場合に対象となります。

 すでに育児休業給付を受けている人であって、支給対象期間延長後、子が1歳6ヵ月に達したことで支給が終了 している人は、10月1日の時点で子が2歳に達していなくても再延長はできないことになります。

 従来、最長1歳6ヵ月に達する日の前日までの支給対象期間の延長申し出の際には、子が1歳に達する日の翌日 において保育所などにおける保育の実施が行われないなどの理由に該当することを確認できる書類の提出が必要 となっています。

 今回の改正により、最長2歳に達する日の前日まで支給対象期間を延長する場合には、改めて延長を申し出る ことが必要です。また、その際には、子が1歳6ヵ月に達する日の翌日においても延長の要件に該当することが確 認できる書類を改めて提出する必要がありますので、怠りなく準備をすることが大切でしょう。



3.参考資料 (男性の育休取得率、最高を更新 ~平成28年度雇用均等基本調査(確報版)~)

 このほど厚生労働省が発表した「平成28年度雇用均等基本調査(確報版)」(昨年10月1日現在の状況) によると、男性の育児休業取得率は3.16%で、前年度調査を0.51ポイント上回って過去最高を更新したこ とが分かりました。

 なお、この調査のうち「企業調査」は常用労働者10人以上の5,952企業、「事業所調査」は同5人以上 の6,092事業所を対象に行われました。


企業調査


《セクハラ防止のための取組》

 セクハラを防止するための対策に「取り組んでいる」 企業は58.2%でした。

 その取組内容(複数回答)をみると、「就業規則、労 働協約等の書面でセクハラについての方針を明確化し周 知」が39.7%で最も高く、次いで「相談・苦情対応窓口 の設置」が25.5%、「セクハラについての方針を定めた マニュアル等の作成や、ミーティング時などを利用して 説明するなどして周知」が14.7%となりました。 (下図参照)

《妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント防止のための取組》

 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントを防止するための対策に「取り組んでいる」企業は52.8%で す。

 その取組内容(複数回答)をみると、「就業規則、労働協約等の書面で妊娠・出産・育児休業等に関するハ ラスメントについての方針を明確化し周知」が28.8%で最も高く、次いで「相談・苦情対応窓口の設置」が 17.9%、「業務体制の整備など、事業主や妊娠した労働者その他労働者の実情に応じた必要な措置の実施」 が16.9%となりました。



事業所調査


《育児休業制度の規定状況等》

 育児休業制度の規定がある事業所は、規模15人以上で76.6%(前回平成27年度73.1%)、規模30人以上で 95.3%(同91.9%)となっており、前回よりそれぞれ3.5ポイント、3.4ポイント上昇しました。

 また、子が何歳になるまで育児休業を取得できるかをみると、「1歳6ヵ月(法廷どおり)」が86.3%(同 84.8%)で最も高く、次いで「2歳~3歳未満」が7.8%(同9.2%)、「1歳6ヵ月を超え2歳未満」が4.2 %(同4.0%)となった。


《育児休業取得者の割合》

 平成26年10月1日から27年9月30日までの1年間に 在職中に出産した人または配偶者が出産した人の うち、平成28年10月1日までに育児休業を開始した 人(育児休業の申出をしている人を含む)の割合 をみると、女性は81.8%で前回(平成27年度81.5 %)より0.3ポイント上昇し、男性は3.16%で前回 (同2.65%)より0.51ポイント上昇しました。 (下図参照)


《育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度の導入状況》

 育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度がある事業所は65.6%で、前回(平成27年度61.3%)より4.3ポ イント上昇しました。

 また、各種制度の導入状況(複数回答)をみると、多い順に「短時間勤務制度」が60.8%(同57.8%)、「所定 外労働の制限」が55.9%(同53.2%)、「始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ」が33.6%(同30.4%)となりま した。


《介護休業制度の規定状況》

 介護休業制度の規定がある事業所は、規模5人以上で72.6%(前回平成26年度66.7%)、規模30人以上で91.8% (同88.0%)となっており、前回よりそれぞれ5.9ポイント、3.8ポイント上昇しました。


《介護の問題を抱えている従業員の把握》

 介護の問題を抱えている従業員がいるかどうかの実態を把握している事業所は59.6%で、前回(平成25年度51.7 %)より7.9ポイント上昇しました。

 その把握方法(複数回答)をみると、「自己申告制度等で把握」が59.4%(同60.7%)で最も高く、次いで「直属 の上司等による面談で把握」が53.8%(同50.2%)となりました。


《仕事と介護を両立しやすい職場環境整備の取組》

 仕事と介護の両立支援を目的とした職場環境の整備について、現在取り組んでいる事業所は60.8%で、前回(平 成25年度57.3%)より3.5ポイント上昇しました。

 その取組内容(複数回答)をみると「介護休業制度や介護休暇制度等に関する法定の制度を整えること」が80.0 %(同84.3%)で最も高く、次いで「制度を利用しやすい職場づくりを行うこと」が30.2%(同27.6%)、「介護 に直面した従業員を対象に、仕事と介護の両立に関する情報提供を行うこと」が27.4%(同22.9%)、「従業員の 仕事と介護の両立に関する実態把握やニーズ把握を行うこと」が25.7%(同23.6%)となりました。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 未払い残業代の付加金請求を断れるか?

Q .退職予定の社員から残業代の未払いについて請求がありましたので、よく調べてから未払いがあれば 支払うことにしました。
 未払い賃金の請求にかかる期間が2年ということは分かっていますが、この社員は過去2年間の未払い 金のほかに付加金も請求しています。付加金は断りたいのですが、法的には支払うべきものなのでしょ うか?

「付加金」とは

 労働基準法(第114条)では、使用者が同法の規定に定める賃金などを支払わなかったことで、労働者が 賃金などの請求権を行使する場合に、裁判所は、規定により使用者が支払わなければならない金額について の未払い金のほか、これと同一額の付加金の支払いを使用者に命ずることができることを定めています。

 付加金の対象となるのは、解雇予告手当、休業手当、時間外・休日・深夜労働の割増賃金、年次有給休暇 中の賃金で、その支払いがなかったため、労働者が使用者に未払い金を請求する場合です。

 したがって、未払い残業代の請求は、同法に基づく付加金の対象とはなりますが、本体の未払い金はとも かく、付加金については、労働者から使用者に対して請求があっても支払うべきものではなく、労働者の請 求申し立てにより裁判所がその支払いを命ずることによって、使用者の付加金支払い義務が発生するもので、 裁判所による付加金の支払い命令が出されなければ、支払わなくても問題はないことになります。

 また、裁判所への請求申し立ては、違反のあったときから2年以内にしなければならないとしています。



裁判所の判断は


 このように、労働者の請求に基づき裁判所が支払い命令を発することによって付加金の支払い義務が発生 するのですが、前記の手当、賃金に関する労基法の違反行為がなされたことで実質的な損害賠償額ともいえ る付加金をも支払う責任が生ずることについて、裁判所がどのように判断するかが、実際に支払い命令が出るかどうかのカギになります。

 裁判例においては、使用者側の違反の態様などを総合的に考慮し、違反とされる行為について付加金支払 いが相当であるか否かを判断する方法がとられています。たとえば、天災事変などの不可抗力のため支払う ことができなかった揚合などは、使用者の側に特別の事情があったために違法性が薄く、付加金の支払いを 命じられないものと解されています。

 また、解雇予告手当をめぐる判例では、すでに手当に相当する金額の支払いを完了し使用者の義務違反の 状況が消滅した後においては、労働者は付加金請求の申し立てをすることができないものと解すべきである とした判例があります。

 付加金の名目ではなく、未払いに対する損害賠償額などといった名目で未払い金とは別に請求があるケー スも考えられますが、労基法上では、裁判所の支払い命令による付加金でなければ支払い義務は生じません ので、実際に請求があった場合には確認をしておくことが重要となるでしょう。



5.参考資料 (賃金不払残業の解消のための取組事例)

 厚生労働省は8月9日、平成28年度に時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない企業への是正 指導の結果を公表しました。
 全国の労働基準監督署が、賃金不払残業に関する労働者からの申告などに基づき企業へ監督指導を行 った結果、その支払額が1企業で合計100万円以上となった企業数は1,349社で、支払われた割増賃金の合 計額は127億2,327万円、支払われた割増賃金の平均額は1企業当たり943万円、労働者1人当たりでは13万 円となっています。今号では、監督指導により賃金不払残業が解消された事例をいくつかご紹介します。

事例1(業種:電気通信工事業)

《賃金不払残業の状況》

◆インターネット上の求人情報等の監視情報*を受けて、労基署が立入調査を実施。
◆会社では、労働者が「申告書」に記入した超過勤務時間数により賃金計算を行っていたが、パソコンのログ 記録とのかい離、夜間の従業員駐車場の駐車状況、労働者のヒアリング調査結果などから、賃金不払残業の疑 いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。

 *厚生労働省は、平成27年度から委託事業により、インターネット上の賃金不払残業などの書き込み等の情報 を監視、収集する取組を実施している。労基署は、当該情報に基づき必要な調査等を行うこととしている。


《企業が実施した解消策》

◆会社は、パソコンのログ記録や警備システムの情報などを用いて調査を行い、不払いとなっていた割増賃金 を支払った。
◆賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。

  1. 代表者が「賃金不払残業撲滅宣言」を行うとともに、全店で説明会を開催した。
  2. 「申告書」とパソコンのログ記録に30分以上のかい離が認められた場合には、理由を明記させ、所属長の承 認を得ることとした。
  3. 総務部職員が定期的に、労働時間が適正に把握されているかについて実態調査を行い、必要な指導を行うこ ととした。


事例2(業種:木材・木製品製造業)

《賃金不払残業の状況》

◆タイムカード打刻後に作業を行うよう指示されているとの労働者からの情報に基づき、労基署が立入調査を 実施。
◆立入調査の際、労働者に対して無記名アンケートを実施したところ、大多数の労働者からタイムカード打刻 後に翌日の準備作業や清掃作業が行われ、また昼休憩時間中に会議が開催されているとの回答が得られ、賃金 不払残業の疑いが認められたため、労働時間の実態調査を行うよう指導。


《企業が実施した解消策》

◆会社は、労働時間の実態調査を行った上で、不払いとなっていたタイムカード打刻後の作業時間及び会議に 出席した時間について、割増賃金を支払った。
◆賃金不払残業の解消のために次の取組を実施した。

  1. 休憩時間中の会議を禁止した。
  2. 社内説明会を開催し、全ての作業が終わった後にタイムカードを打刻するなど、労働時間を適正に記録する ことについて全管理者及び労働者に徹底した。
  3. タイムカードが適正に打刻されているか否かを確認するため、代表者自らが社内巡視を行うこととした。


6.参考資料(「APEC・ビジネス・トラベル・カード」をご存知でしょうか?)

 海外出張の際、空港で入国審査の長蛇の列に並ぶのは誰でも嫌なものです。 特に団体客と一緒に「外国人レーン」に並ぶと1時間近くかかることも珍しく ありません。しかし、この状況で「あなただけ優先的に誰もいないレーンから 通してあげる」と言われたらどうでしょう。

 「APEC・ビジネス・トラベル・カード」(以下、ABTCと言います)を使えば、 そんなことが可能になります。

 便利な割には意外と使われていない「ABTC」とは、APEC域内を頻繁に出張す るビジネス関係者の移動を円滑にするために、制度参加国・地域の政府が自国 ・地域のビジネス関係者に発行する特別なカードです。

  本来は短期商用に限りビザなしで渡航できることが一番の特徴なのですが、 そもそも日本人はほとんどのケースでビザなしで渡航が可能です。そのため、 あまり脚光を浴びていなかった制度ですが、最近ではオマケ的な存在であった 「ABTC専用レーンの通行」を目的に日本人が取得するケースが増えています。

 ABTCを持っていれば、アジア全域、アメリカ、カナダなどのAPEC加盟国の主 要空港に設置されている専用レーンを通ることが可能となり、出入国時の列に 並ぶ労力と時間を節約できるからです。

 海外との貿易実績(金額は関係なし)がある会社の社員であれば申請が可能 です。ただし、申請からカード発行までに6か月以上かかる点がネックとなって います。

 お仕事で定期的に海外に行かれる方は、長期的な視点からABTCの取得を検討 されてはいかがでしょうか。

 弊社ではABTCの取得代行サービスを行っておりますのでご興味がございまし たら是非お声がけください。