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メールマガジン2017年10月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2017年09月 Vol.105

1.人事・総務ニュース

全都道府県で22円~26円の引き上げ ~平成29年度の地域別最低賃金が出揃う~


  平成29年度の地域別最低賃金が右表のとおり改定されました。

 各都道府県において、時間額が22円から26円の間で引き上げられ、全 国加重平均額は昨年度より25円高い848円となっています。

  改定された時間額は、9月30日から10月中旬までに順次発効されます。



労基法改正案を修正、臨時国会提出へ ~労働政策審議会に諮問~


 厚生労働省は9月8日、労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)に 改正労働基準法等の要綱を諮問しました。

  労働基準法の労働時間規制を外す「高度プロフェッショナル制度」や 裁量労働制を適用する業務の拡大について、それまでの審議会では、労 働組合側の委員から「健康確保のための措置が不十分で、長時間労働を 助長しかねない」などと反対意見が相次いでいました。

 このため同省は、健康確保措置を強化することで改正案を修正。別に 議論されていた時間外労働の新たな上限規制を盛り込んだ内容で一本化 し、臨時国会に提出する方向でさらに議論を進めるとしています。



初めて「80時間超え」で社名を公表  ~愛知労働局が運送会社の長時間労働を是正指導~


 愛知労働局は9月4日、トラック運転手84人に1ヵ月80時間を超える違法な時間外労働をさせたとして県内の運 送会社を是正指導し、社名を公表しました。社名の公表は、今年1月に公表基準が従来の100時間超から80時間超 に見直されて以降、初めてとなります。

 運送業界では慢性的な人手不足から運転手の確保が難しいこともあり、違法残業や過労による重大事故など、 長時間労働の実態が次々と明らかになっています。このため厚生労働省は、行政指導の段階における社名公表に よって、今後も長時間労働の抑制強化を図るとしています。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール ~被扶養者の収入増加で健康保険からいつ外れる?~


「被扶養者」の定義


 健康保険の被扶養者とは、主として被保険者の収入により生計を維持している人をいい、被保険者の直系尊 属、配偶者(事実婚を含む)、子、孫、弟妹、兄姉および被保険者と同居している三親等以内の親族や事実婚 の配偶者の父母、子が被扶養者になることができます。

 生計を維持しているとは、被保険者の収入により生活ができていることで、その基準としては、年間収入が 130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)であることが必要です。さらに、別居世帯の場合は、被 保険者からの仕送り額より収入が少ないことも必要となります。

 被扶養者になるためには、保険者(協会けんぽや健康保険組合など)の認定を受けなければなりませんので、 「被扶養者(異動)届」により被扶養者となる人の職業、年収見込み額、同居か別居かなどの事項も届け出る ことが必要です。また、被扶養者ではなくなったとき(削除)には、その理由なども届け出ることになります。



「配偶者控除」の改正の影響

 所得税法の改正によって、平成30年分の所得から配偶者控除額が引き上げられることになりました。これに より、給与所得だけの配偶者の場合、従来は年収が「103万円」まで配偶者控除が適用されていたのが、原則 として「150万円」までに拡大されることになります。

 こうしたことから、健康保険の被扶養者でパートで働く収入がある配偶者にとっては、税法改正のメリット を受けるため、働く時間を増やして自分の収入を増やそうとすることも考えられます。

 しかし健康保険上は被扶養者の収入要件の変更はありませんので、年収が130万円以上となると、その要件 を満たさなくなってしまいます。また、働く時間が増えれば、その事業所で新しく健康保険や厚生年金の被保 険者となることにもなります。



被扶養者を外れるのはいつか

 その場合、いつ被扶養者でなくなったことになるのか確認しておくことが必要となります。税法上の配偶者 控除対象者は1月から12月までの1年間の所得額をみますが、健康保険の被扶養者の認定は、今後1年間の収入 額の見込みで判断されます。したがって、パートやアルバイトの給与収入のみであれば、過去1年間の給与の 合計が130万円以上となった時点で被扶養者でなくなるのではなく、これから1年間で130万円以上見込まれる ようになった時点で被扶養者でなくなることになります。また、ここでいう給与収入は、非課税の通勤交通費 も含む金額をいいます。

 具体的には、あくまでも目安ですが、1ヵ月の収入額が10万8,334円(130万円÷12ヵ月)を常に超えるくら いであれば、それがはっきりした時点で被扶養者異動届(削除)の提出手続きが必要となるでしょう。

 また、雇用契約の変更などによって勤務日数や時間数が増加して年収見込みが130万円以上となる場合は、 新しい雇用契約の開始日が「被扶養者でなくなった日」になります。契約変更により新しく健康保険や厚生年 金の被保険者となる場合は、その資格を取得した日と一致させることになります。



3.参考資料 (51%が「所得・収入」に満足 ~国民生活に関する世論調査~)

 このほど内閣府が発表した平成29年度の「国民生活に関する世論調査」(今年6月15日~7月2日に全国 の18歳以上の男女1万人を対象に個別面接方式で実施)によると、現在の所得や収入に「満足している」 「まあ満足している」と答えた人は、昨年の調査結果と比べて3.2ポイント増えて計51.3%となり、21年 ぶりに、「満足」が「不満」を上回ったことが分かりました。


現在の生活について


《現在の生活に対する満足度》

 現在の生活について、「満足」とする人の割合 は73.9%(「満足」12.2%+「まあ満足」61.7%) 、「不満」は25.0%(「やや不満」19.9%+「不 満」5.1%)となっています。

 昨年の調査結果と比較してみると、「満足」と する人の割合が3.8ポイント上昇し、「不満」が 3.5ポイント低下しています。

《所得・収入に対する満足度》

 所得・収入について、「満足」とする人の割合は51.3%(「満足」7.9%十「まあ満足」43.4%)、「不満」 は46.9%(「やや不満」34.1%十「不満」12.8%)となっています。(上図参照)

 昨年の調査結果と比較してみると、「満足」とする人の割合が3.2ポイント上昇し、「不満」が2.7ポイント 低下しています。

 職業別にみると、「満足」とする人の割合は管理・専門技術・事務職で、「不満」は販売・サービス・保安職、 生産・輸送・建設・労務職で、それぞれ高くなっています。

《日常生活での悩みや不安》

 日頃の生活の中で、「悩みや不安を感じている」と答えた人の割合は63.1%、「悩みや不安を感じていな い」は36.4%となっています。

 悩みや不安の内容(複数回答)としては、「老後の生活設計」を挙げた人の割合が53.5%と最も高く、以下、 「自分の健康」(52.1%)、「家族の健康」(42.1%)、「今後の収入や資産の見通し」(39.7%)、「現在 の収入や資産」(32.0%)などの順となっています。

《生活の程度》

 生活の程度は、世間一般からみてどうか聞いたところ、「上」と答えた人の割合は1.1%、「中の上」は 14.2%、「中の中」は56.5%、「中の下」は21.7%、「下」は5.0%となっています。



今後の生活について


《今後の生活の見通し》

 生活は、これから先、どうなっていくと思うか聞いたところ、「良くなっていく」と答えた人の割合は9.4%、 「同じようなもの」は65.2%、「悪くなっていく」は23.1%となっています。

《今後の生活の力点》

 今後の生活において、特にどのような面に力を入れたいか聞いたところ(複数回答)、「レジャー・余暇生活」 を挙げた人の割合が35.0%と最も高く、以下、「資産・貯蓄」(30.3%)、「食生活」(29.6%)、「所得・収入」 (29.2%)などの順となっています。


生き方、考え方について


《働く目的は何か》

 働く目的は何か聞いたところ、「お金を得るため」と答えた人の割合は53.4%、「生きがいをみつけるため」は 18.4%、「社会の一員として、務めを果たすため」は14.2%、「自分の才能や能力を発揮するため」は9.0%とな っています。

《どのような仕事が理想的だと思うか》

 どのような仕事が理想的だと思うか聞いたところ(複数回答)、「自分にとって楽しい仕事」を挙げた人の割合 が60.1%と最も高く、以下、「収入が安定している仕事」(59.7%)、「自分の専門知識や能力がいかせる仕事」 (41.0%)、「健康を損なう心配がない仕事」(32.6%)、「世の中のためになる仕事」(29.2%)、「失業の 心配がない仕事」(23.9%)、「高い収入が得られる仕事」(17.7%)などの順となっています。


政府に対する要望


 今後、政府はどのようなことに力を入れるべきだ と思うか聞いたところ(複数回答)、「医療・年金 等の社会保障の整備」を挙げた人の割合が65.1%と 最も高く、以下、「景気対策」(51.1%)、「高齢 社会対策」(51.1%)、「雇用・労働問題への対応」 (37.3%)、「防衛・安全保障」(36.2%)などの 順となっています。(右図参照)

 昨年の調査結果と比較してみると、「景気対策」 を挙げた人の割合が5.1ポイント低下し、「防衛・ 安全保障」が4.3ポイント上昇しています。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 定時退社を実施した場合の「持ち帰り」は残業になる?

Q .当社では、長時間労働抑制のため、今後1ヵ月につき数日を指定して、残業は一切させず、全社員を定 時退社させることを表明しました。
 これについて、一部の社員から、顧客対応でやむを得ず仕事を自宅に持ち帰って行なった場合は残業 と認めるのかなどの質問が出ています。当社としては例外を設けないで実施したいので、この場合にも 残業の扱いにはしない方針ですが、問題はないでしょうか?

労働時間の意義

 労働基準法では、1日や1週の労働時間の上限を定め、これを超える場合は時間外労働の割増賃金の支払い が必要であるとしています。

 ここでいう労働時間は、休憩時間を除いた実労働時間のことですが、労働時間そのものの意義は同法では 定めがなく、判例などの解釈として、労働時間とは使用者の指揮命令の下にある時間だとされています。

 さらに、労働時間は、就業規則、労働協約または個別の労働契約などの定めの如何により決定されるべき ものではなく、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより、 客観的に定まるものであるとされています。

 したがって、残業については、上司の直接的な命令だけでなく、具体的に指示された仕事が、所定の労働 時間内ではできない程度の量である場合や、その日の業務の性質上、残業せざるを得ないような状況である 場合は、使用者の「暗黙の指示」がされていた残業であることとなります。

 つまり、就業規則などの規定や特別の社内ルールで、上司の承認がなければ残業を認めないなどと決めて いたとしても、個別かつ具体的に残業を中止させるような明確な指示命令がなければ、残業をさせていたこ とになってしまいます。そのためには、やはり終業時刻を過ぎたら強制的に退社させる以外に方法はないと いえるでしょう。



「持ち帰り」は残業になるか


 会社側が、ある一定時刻に強制退社させるとなると、労働者はその日に処理すべき仕事ができなくなった 場合、やむを得ず帰宅後の労働、いわゆる「持ち帰り残業」をすることがあるかもしれません。

 これについても労働時間にあたる使用者の指揮命令下にあるといえるのかどうか、判断が分かれるところ ではあります。上司から自宅に持ち帰ってでも仕事を終わらせるような指示、または直接ではなくとも、ノ ルマを課すような暗黙の指示がある状況であれば、自宅でも指揮命令下にある労働時間とみなされる可能性 は高くなります。

 しかし、仕事を自宅に持ち帰ることは、重要な書類や秘密にしておくべきデータを社外に持ち出すことに もなります。それを上司が容認または黙認することは情報の漏洩といったリスクを伴うので、それを認める ことは通常ではありえないことだと考えられます。

 長時間労働抑制のため強制的に退社させる措置を実施するには、こうした仕事の持ち帰りを厳格に禁止す ることも重要だといえるでしょう。



5.参考資料 (「仕事でストレスを感じる」が約6割)

厚生労働省が9月7日に発表した平成28年の「労働安全衛生調査」(昨年10月31日現在、常用労働者10 人以上の約1万4,000事業所と、約1万8,000人の労働者が対象)によると、メンタルヘルス対策に取り組 む事業所の割合は56.6%で、平成27年の前回調査を3.1ポイント下回った一方、仕事で強いストレスを抱 える労働者の割合は59.5%と同3.8ポイント増加したことが分かりました。

メンタルヘルス対策

メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は56.6%(27年調査59.7%)で、取組内容(複数回答)をみ ると、「労働者のストレスの状況などについて調査票を用いて調査(ストレスチェック)」が62.3%(同 22.4%)と最も多く、次いで「労働者への教育研修・情報提供」が38.2%(同42.0%)、「事業所内での相談 体制の整備」が35.5%(同44.4%)となりました。

 また、メンタルヘルス対策の取組内容として最も多かった「ストレスチェック」について、その実施時期 (複数回答)をみると、「定期健康診断の機会」が26.1%、「定期健康診断以外の機会」が74.1%となりま した。

 ストレスチェックの種類は、「労働安全衛生法(27年12月施行)に基づくストレスチェック」が79.3%、 「事業所独自のストレスチェック」が6.4%となりました。


仕事や職業生活に関するストレス

現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレスを感じる労働者は59.5%(27年調査55.7%)で、そ の内容(複数回答)をみると、「仕事の質・量」が53.8%(同57.5%)と最も多く、次いで「仕事の失敗、 責任の発生等」が38.5%(同33.2%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」が30.5%(同36.4%) となりました。


受動喫煙防止対策

受動喫煙防止対策に取り組んでいる事業所は85.8%(27年調査87.6%)で、取組内容としては、「事業所 の建物内全体(会議室、食堂、休憩室等含む)を禁煙とし、屋外のみ喫煙可能」が39.3%(同38.1%)と最 も多く、次いで「事業所の内部に空間的に隔離された喫煙場所(喫煙室)を設け、それ以外は禁煙」が22.9 %(同25.9%)となりました。


職場における受動喫煙の状況

職場で喫煙する労働者は25.3%(27年調査25.1%)。職場で「受動喫煙」があるとする労働者は、「ほと んど毎日」の13.4%、「ときどき」の21.3%を合わせて34.7%(同32.8%)となりました。


熱中症予防対策

屋外作業がある事業所のうち、熱中症予防対策に取り組んでいる事業所は81.0%(25年調査77.0%)で、 取組内容(複数回答)をみると、「熱中症予防のための教育の実施」が60.0%(同54.4%)と最も多く、次 いで「涼しい休憩場所を確保し、おしぼり、飲料水等を備え付け」が49.9%(同49.0%)となりました。



6.参考資料(企業単独による技能実習生の受入れ)

 今月、トヨタ自動車は海外採用の外国人幹部候補者の国内研修を2倍に増やし、毎年継続的に300人以上を日本の生産工場で受け入れ、人材育成に力を注ぐと発表しています。日経新聞によれば、「海外生産拠点での人材確保、それに中長期的に人手不足に陥る国内で多様な人手を確保するための備え」ともされており、背景には世界的な人材獲得競争と国内での労働力不足という2つの影響が強くあるようです。

 ACROSEEDに寄せられるご相談でも、最近では企業が単独で行う技能実習生の受入れが増加しています。

 技能実習生の受入れには、①企業単独型と②団体管理型の2つがあり、よくニュースなどで問題とされるのは事業協同組合等が第一次受入れ団体となる後者の方です。一方、①企業単独型の場合は、受け入れ企業がすべてを独自に行うため、技能実習生の入国から帰国までをコントロールすることができ、問題となるケースはほとんどありません。

  技能実習生の滞在期間は最長5年間となり、受入れの人数枠は原則として日本の従業員50人に対して1人となっています。また、技能実習生は正式な労働者として研修に当たるため、毎年、継続的に受け入れることにより国内での労働力となり、帰国後は海外拠点でのリーダーとして活躍することが期待されます。

 新たな技能実習法で定められたルールをしっかりと守ることにより、日本企業と技能実習生の双方にメリットをもたらすことも可能となります。海外に生産拠点や取引先などをお持ちの企業様は、単独での技能実習生の受け入れを検討してみてはいかがでしょうか。