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メールマガジン2017年11月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2017年11月 Vol.106

1.人事・総務ニュース

労基法等の改正案は廃案に ~衆議院解散の影響受ける~


  先の通常国会で継続審議の扱いとなっていた「労働基準法等の一部を改正する法律案」は、9月28日に衆議院 が解散されたことによって、廃案となりました。

 同法案は、平成27年4月3日に閣議決定され、同日通常国会に提出されていましたが、同国会および継続審議と なったその後の国会でも質疑などは行われていませんでした。

  同法案には、一定額以上の年収がある高度な専門業務に従事する労働者について、本人の同意をもとに労働時 間の規制を適用除外とする「高度プロフェッショナル制度」の創設や、一定日数の年次有給休暇の使用者による 取得時季指定の義務化、月60時間を超える法定時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)の中小企業への適用猶 予の廃止などが主な内容となっていました。



安全衛生活動の総点検を緊急要請 ~厚労省が業界団体などに対して~


 厚生労働省は9月22日、平成29年の労働災害による死亡者数が前年と比べて増加していることを受け、労働災 害防止団体や業界団体に対して、職場における死亡災害撲滅に向けた安全衛生活動の総点検などの緊急要請を行 いました。

  要請の具体的な内容は、安全作業マニュアルの遵守状況の確認、安全管理者、安全衛生推進者等の選任と確実 な職務の遂行、雇入れ時教育の徹底など、労使・関係者が一体となって、基本的な安全管理の取組を徹底して行う こととしています。

 また、特に死亡者数が増加している業種(建設業、陸上貨物運送事業、林業、製造業)における労働災害防止 のための取組のポイントを明示しています。



電通の違法残業に50万円の罰金  ~社員の過労自殺で判決~


 社員が過労が原因で自殺した事件に端を発して、違法な残業が行われていたとして労働基準法違反の罪に問わ れた電通に対して、東京簡裁は10月6日、求刑通り罰金50万円の判決を言い渡しました。

 判決で裁判官は、「違法な長時間労働が常態化していた」「労働基準監督署から是正勧告を受けたのに、労働 者の増員や業務量の削減などの抜本的対策を講じず、サービス残業も横行していた」と、法人としての責任を厳 しく指摘しました。

 労基法違反については、軽微で争いのない事件は迅速に処理すべきとの要請から、通常は書面審理のみで罰金 刑を科す略式起訴で行われますが、今回は社会的な関心も高いことなどから異例の正式裁判となりました。



副業・兼業のガイドラインを策定へ  ~柔軟な働き方に関する検討会がスタート~


 厚生労働省に設置された有識者による検討会は10月3日、第1回目の会合を行いました。

 主要なテーマの一つには、政府が打ち出している柔軟な働き方として「副業・兼業」のあり方が取り上げられ、 多くの企業で従業員の副業・兼業が禁止されている一方で、副業・兼業を希望する労働者が増えている現状を踏ま えて、労働者、企業それぞれのメソッドや留意点は何か、どのような副業・兼業を推進すべきかなど具体的な議 論が行われました。

 同省では検討会での結論をもとに、副業・兼業に関する新しいガイドラインを策定する方針です。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール ~労災休業補償と死傷病報告~


「休業(補償)給付」とは


 労災保険の「休業(補償)給付」とは、労働者が業務上または通勤途上において、負傷または病気になり、 その療養のために働くことができず、その期間について賃金の支払を受けていない場合に支給されるものです。

 通勤途上の災害の場合には、事業主の補償義務はありませんので、「補償」の文字が入らず「休業給付」と 呼ばれています。

 業務上災害の場合、休業の最初の3日間は、労働基準法の規定により事業主が補償しなければならないことに なっていますので、労災保険の休業補償給付は休業4日目から支給対象となります。

 休業補償給付を請求するには、「休業補償給付支給請求書」(休業特別支給金支給申請書と兼用)に医師の証 明を受けてから、被災した労働者が所属する事業所を管轄する労働基準監督署へ提出します。



「労働者死傷病報告」とは

 一方、労働安全衛生法では、労働者が業務中や、事業場内や付属する建設物・敷地内などにおいて負傷し、ま たは中毒や疾病にかかったことにより、死亡もしくは休業することが必要となった場合、事業主に対して、 「労働者死傷病報告」を所轄の労働基準監督署に提出することを義務づけています。

 労働者死傷病報告は、労働災害の原因分析や同種の労働災害の再発防止など、労働者の安全衛生対策の検討 に生かされています。内容が虚偽であったり故意に提出を怠つた場合、「労災かくし」として処罰されること もあるため、報告義務についてきちんと把握しておくことが重要といえます。



報告の提出時期

 被災した労働者が死亡または休業が4日以上の場合の労働者死傷病報告は、遅滞なく提出することが求められ ています。

 また、前述の休業補償給付支給請求書には、1回目の請求に限りこの労働者死傷病報告を提出した日を記載し なければなりませんので、請求にあたってはこの報告書をいつ提出したか確認しておくことも必要です。

 被災した労働者の休業日数が3日以内の場合、労働者死傷病報告は、3ヵ月に一度、きまった期間ごとに発生 した労働災害をとりまとめて提出することになっています。具体的には、1~3月発生分は4月末まで、4~6月発 生分は7月末まで、7~9月発生分は10月末まで、10~12月発生分は1月末までに提出しなければなりません。

 このように、労災保険の休業補償給付支給請求書と労働者死傷病報告は、どちらも所轄の労働基準監督署に提 出するものですが、その意味づけはまったく異なります。休業災害や死亡災害については、労災保険に関する書 類だけでなく、労働者死傷病報告も必ず提出しなければならないことに注意を払っておきたいものです。



3.参考資料 (15%で正社員とパートの職務が同じ ~パートタイム労働者総合実態調査~)

 このほど厚生労働省が発表した「平成28年パートタイム労働者総合実態調査」によると、昨年10月1日 現在、正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、正社員と職務が同じパートがいるのは15.7% で、このうち58.7%の事業所で基本給の算定方法が正社員とパートで異なることが分かりました。

 *この調査の「パート」とは正社員以外の労働者で、パートタイマー、アルバイト、準社員、嘱託、 臨時社員等の名称にかかわらず、週の所定労働時間が正社員よりも短い労働者をいい、短時間正社員は 含みません。


パートの就業状況

《パートの割合》

 平成28年10月1日現在、パートの割合は27.4%で、産業別にみると、「宿泊業、飲食サービス業」が60.2% で最も高く、次いで「生活関連サービス業、娯楽業」44.6%、「卸売業、小売業」41.1%となっています。

《パートを雇用している事業所割合と雇用理由》

 「パートを雇用している」事業所割合は68.8%で、雇用理由(複数回答)をみると、「1日の忙しい時間帯 に対処するため」が41.6%で最も高く、次いで「人件費が割安なため」41.3%、「仕事内容が簡単なため」 36.0%となっています。


雇用管理の状況

《賃金を決定する際に考慮した内容》

 パートの賃金を決定する際に考慮した内容(複数回答)をみると、「能力、経験」が52.4%で最も高く、次いで 「職務(業務の内容及び責任の程度)」45.4%、「最低賃金(地域別・産業別)」35.7%となっています。

《手当等、各種制度の実施及び福利厚生施設の利用状況》

 パートに対する手当等、各種制度の実施及び福利 厚生施設の利用状況別事業所割合(複数回答)をみる と、「通勤手当」が76.4%で最も高く、次いで「更 衣室の利用」58.4%、「休憩室の利用」56.9%とな っています。

《パートの正社員転換制度》

 「パートの正社員転換制度がある」事業所割合は 44.2%で、転換の基準(複数回答)をみると、「パ ートが所属する部署の上司の推薦」が65.6%で最も 高く、次いで「人事部門などによる面接の結果」 47.0%、「人事評価の結果」42.9%、「(一定の) 職務経験年数」33.6%、「筆記試験の結果」24.0% となっています。


パートへの処遇の説明

 雇入れ時(更新時を含む)に、パートに対して「処遇の説明を実施している」事業所割合は85.0%で、説明方 法(複数回答)をみると、「個々に処遇の内容を記載した文書を交付している」が55.3%で最も高く、次いで 「個々に口頭で説明している」48.7%、「複数に対して、説明会等で口頭で説明している」8.4%となっています。

 平成27年4月1日の改正パートタイム労働法の施行を機に「実施した措置がある」事業所割合は39.4%で、産業 別にみると、「金融業、保険業」が52.4%で最も高く、次いで「不動産業、物品賃貸業」及び「複合サービス事 業」48.8%、「生活関連サービス業、娯楽業」47.0%となっています。

 また、その措置(複数回答)をみると、「パート相談窓口等を整備し、雇入れ時に労働条件通知書等で明示し た」が44.1%で最も高く、次いで「パートの賃金等処遇を(正社員との均等・均衡を考慮して)見直した」30.7 %、「相談窓口等でパートからの相談に応じた」21.6%、「パート雇入れ時に雇用管理の改善措置の内容につい て説明した」13.5%、「パートに関する通勤手当の支給を見直した」10.9%となっています。



正社員と職務が同じパートの状況


 正社員と職務が同じパートのいる事業所割合は15.7%で、産業別にみると、「学術研究、専門・技術サービス 業」が25.3%で最も高く、次いで「医療、福祉」24.9%、「鉱業、採石業、砂利採取業」22.2%、「複合サービス 事業」21.4%となっています。

 また、正社員と職務が同じパートについて、基本賃金(基本給)の支払い状況を正社員と比べると、「正社員 と同様の算定方法(制度・基準)に基づいている」事業所割合は16.2%、「正社員の算定方法(制度・基準)とは 異なる」は58.7%となっています。

 次に、正社員と職務が同じパートについて、1時間当たりの 基本賃金(基本給)を正社員と比べると、「正社員より高い」 事業所割合は5.8%、「正社員と同じ(賃金差はない)」は 22.2%、「正社員より低い」は61.6%。低い理由(複数回答) をみると、「パートは勤務時間の自由が利くから」が49.0%で 最も高く、次いで「パートは残業の時間数、回数が少ないから」 30.9%、「そういった契約内容でパートが納得しているから」 29.5%となっています。(下図参照)




4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 改正育児・介護休業法で創設された事業主が講ずる措置とは?

Q .育児・介護休業法が改正されて、今年10月1日から事業主が行うべきことが増えたらしいですが、具体 的にはどのような内容なのでしょうか?

事業主が講ずるべき措置

 育児・介護休業法は、労働者が育児や介護のため退職せずに済むようにその雇用の継続を図ることなどを 目的として、育児休業や介護休業などに関する制度のほか、事業主に対して労働者が育児や家族の介護を行 いやすくするための措置を講ずることを定めています。

 事業主が講ずるべき措置は、違反しても同法における罰則が適用されない、いわゆる「努力義務」とされ ているものが多く、その内容も多岐にわたっています。


10月に創設された措置とは

 事業主が講ずるべき措置として今年10月に創設されたものは次のとおりで、いずれも事業主の努力義務 となっています。

 (1)育児休業等に関する制度の個別の周知

 労働者やその配偶者が妊娠・出産したことなどを知ったとき、または対象家族を介護していることを知っ たときには、その労働者に対して個別に育児休業や介護休業などに関する制度を知らせるように努力しなけ ればなりません。

 従来、休業中の待遇や休業後の賃金、配置その他の労働条件などについて就業規則などで周知させる努力 義務はありましたが、今回注目しなければならないのは、「個別に」知らせるという部分です。

 普段は漠然と理解していたとしても、いざ自分が休業を必要とするようになったときには、具体的に処遇 などはどうなるのか、個別の質問や相談を受けることも考えられます。その場合には、対象となる労働者の 勤務内容や労働条件に応じて、休業中や休業後の処遇などについてより理解してもらうことで、安心して休 業ができるようにします。

 今回の法改正では、育児休業の延長が最長で2歳までできるようになりました。こうした改正内容なども あわせて周知させることが重要となっています。

 (2)育児に関する目的での休暇制度を設ける努力

 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が子育てをしやすいように、育児に関する目的で利 用できる休暇制度を設けるように努力しなければなりません。これは、育児に関して法律で定められている 育児休業や子の看護休暇でカバーできないような場合にも、労働者が安心して休めるような休暇制度を言い ます。

 指針では、配偶者出産休暇、入園式や卒園式など子の行事参加のための休暇(失効した年次有給休暇の積 み立てによる休暇制度の一環として、育児に関する目的のために利用できるものを含む)などが休暇の例と して挙げられていますが、各企業の実情に応じた整備が望まれています。



「休業(補償)給付」とは

 労災保険の「休業(補償)給付」とは、労働者が業務上または通勤途上において、負傷または病気になり、 その療養のために働くことができず、その期間について賃金の支払を受けていない場合に支給されるものです。

 通勤途上の災害の場合には、事業主の補償義務はありませんので、「補償」の文字が入らず「休業給付」と 呼ばれています。

 業務上災害の場合、休業の最初の3日間は、労働基準法の規定により事業主が補償しなければならないことに なっていますので、労災保険の休業補償給付は休業4日目から支給対象となります。

 休業補償給付を請求するには、「休業補償給付支給請求書」(休業特別支給金支給申請書と兼用)に医師の証 明を受けてから、被災した労働者が所属する事業所を管轄する労働基準監督署へ提出します。



「労働者死傷病報告」とは

 一方、労働安全衛生法では、労働者が業務中や、事業場内や付属する建設物・敷地内などにおいて負傷し、ま たは中毒や疾病にかかったことにより、死亡もしくは休業することが必要となった場合、事業主に対して、 「労働者死傷病報告」を所轄の労働基準監督署に提出することを義務づけています。

 労働者死傷病報告は、労働災害の原因分析や同種の労働災害の再発防止など、労働者の安全衛生対策の検討 に生かされています。内容が虚偽であったり故意に提出を怠つた場合、「労災かくし」として処罰されること もあるため、報告義務についてきちんと把握しておくことが重要といえます。



報告の提出時期

 被災した労働者が死亡または休業が4日以上の場合の労働者死傷病報告は、遅滞なく提出することが求められ ています。

 また、前述の休業補償給付支給請求書には、1回目の請求に限りこの労働者死傷病報告を提出した日を記載し なければなりませんので、請求にあたってはこの報告書をいつ提出したか確認しておくことも必要です。

 被災した労働者の休業日数が3日以内の場合、労働者死傷病報告は、3ヵ月に一度、きまった期間ごとに発生 した労働災害をとりまとめて提出することになっています。具体的には、1~3月発生分は4月末まで、4~6月発 生分は7月末まで、7~9月発生分は10月末まで、10~12月発生分は1月末までに提出しなければなりません。

 このように、労災保険の休業補償給付支給請求書と労働者死傷病報告は、どちらも所轄の労働基準監督署に提 出するものですが、その意味づけはまったく異なります。休業災害や死亡災害については、労災保険に関する書 類だけでなく、労働者死傷病報告も必ず提出しなければならないことに注意を払っておきたいものです。



5.参考資料 (女性の平均給与、1.3%の増加 ~平成28年民間給与実態統計調査~)

 国税庁がこのほど公表した民間給与実態統計調査によると、平成28年1年間を通じて民間企業に勤務した 給与所得者の年間の平均給与は422万円で、前年に比べて0.3%(1万2,000円)増加しました。

 これを男女別にみると、男性は521万円で前年比0.1%増だったのに対して、女性は280万円で1.3%増とな りました。

 雇用形態別では、正規労働者は前年比0.4%増の487万円、パートタイマーや契約社員などの非正規労働者 は0.9%増の172万円。なかでも、女性の正規労働者が1.7%増と最も高い伸び率となっています。

 一方、1年を通じて勤務した給与所得者4,869万人について給与階級別分布をみると、「300万円超400万円 以下」が854万人(構成比17.5%)で最も多く、次いで「200万円超300万円以下」が796万人(同16.3%)と なっています。

 給与階級別分布の構成比を前年と比較すると、男性はどの階級でも大きな変化はみられませんが、女性は 「100万円超200万円以下」が26.1%から25.1%と1.0ポイント減っているのに対して、「300万円超400万円以 下」が16.3%から16.5%と0.2ポイント増、「400万円超500万円以下」が9.2%から9.7%と0.5ポイント増加 するなど、構成比の低所得層から中間所得層への移動が目立っていて、女性の非正規から正規へ、非管理職 から管理職への登用が進んでいることを裏づける結果となっています。



6.参考資料(製造業外国人従業員受入事業について)

 現在、経済産業省がメインとなる、新しい“製造業に限定した外国人従業員の 受入れ方法”が実施されています。背景としては、は日本企業の生産技術を海外 事業所に普及させることにより、産業の空洞化を抑制し、日本企業の国際競争力 を強化することが目的とされています。この制度において研修を受ける職員は、 帰国後には工場長やチームリーダーなどのある程度の上級職につく職員が主な対 象となります。

 また、制度の概略としては外国人従業員の受入れ企業が経済産業大臣の認定を 受ける事で、海外の事業所の職員を在留資格「特定活動」で最長1年間入国させ、 日本の事業場で技術移転を図るものです。

 外国人研修制度、技能実習制度と非常によく似ていますが、一番の違いは研修 内容で、現場での製造工程を学びながら、生産管理や労務管理、人材育成、労働 安全衛生などのマネジメントも同時に習得できる点です。在留資格で言えば、現 場作業の「技能実習」とホワイトカラー研修を対象とした「企業内転勤」を同時 に実行できるようなものとなります。

  また、もう一つの利点としては、大臣の認定を受ければ入国管理局への申請が 簡素化される点です。とはいえ、経済産業省にある程度の書類提出をしなければ なりませんが、従来の技能実習制度に比べるとある程度の簡素化が図られていま す。

 大臣の認定を受けるには様々な条件がありますので、制度の説明を含め、ご興 味がおありの場合にはぜひACROSEEDまでご連絡ください。