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メールマガジン2017年12月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2017年12月 Vol.107

1.人事・総務ニュース

障害年金の時効は障害発生から開始 ~最高裁で原告敗訴が確定~


  交通事故で左脚を切断した札幌市の男性(67歳)が、申請した障害年金について5年の時効を理由に一部しか 支給されなかったのは不当として、不支給分約2,700万円の支払いを国に求めた訴訟の上告審判決で、最高裁 は10月17日、年金を受ける権利の時効は障害の発生から進行するとの判断を示し、男性の上告を棄却しました。

 年金を受ける権利は、権利が発生してから5年を経過したときは、時効によって消滅すると法律で定められて いますが、訴訟では、いつの時点から時効が進行するかが争われていました。昭和45年6月に事故にあった男性 は平成23年6月に障害年金を申請しましたが、申請から5年さかのぼった分しか支給されませんでした。



中小企業、66.1%が賃上げ実施 ~中小企業の雇用状況に関する調査~


 経済産業省はこのほど、「中小企業の雇用状況に関する調査」の集計結果を取りまとめました。

  平成29年度に正社員1人あたりの平均賃金を「引き上げる、または引き上げた」と回答した中小企業は66.1% で、前年度を7.1ポイント上回る結果となりました。

 賃金の引上げ方法(複数回答)としては、「月例給与の引上げ」を実施した企業が92.0%(前年度91.3%)、 「賞与・一時金の増額」が24.9%(同23.7%)となっています。

 引上げの理由(複数回答)としては、「人材の採用・従業員の引き留めの必要性」が最も多く49.2%、次いで 「業績回復・向上」が34.3%、「他社の賃金動向」が21.6%となっています。



夏季賞与、0.4%の増加  ~毎月勤労統計調査の特別集計~


 厚生労働省が11月7日に発表した毎月勤労統計調査の特別集計によると、従業員5人以上の事業所で支給され た今年の夏季賞与は1人平均36万6,502円となり、前年と比べて0.4%増加したことが分かりました。

 事業所規模別でみると、5~29人の事業所では26万7,386円(前年比2.0%増)、30~99人では32万6,080円(同 3.6%増)、100~499人では42万437円(同0.6%減)、500人以上では63万1,353円(同2.8%減)となっています。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール ~社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の扱い~


社会保険料控除とは


 社会保険料控除とは、所得税の年末調整や確定申告の際に、自分自身の社会保険料(国民年金、国民健康保 険、健康保険・厚生年金保険など)を納めたとき、または、配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を 納めたときに受けられる所得控除のことをいいます。控除の金額は、その年に納めた社会保険料の金額で、給 与から天引きされた金額も控除対象となります。

 年末調整においては、給与から天引きされた社会保険料のほかに、自分で直接納めた社会保険料(国民年金 や国民健康保険の保険料など)があれば、その金額も含めて控除の適用を受けることができます。この場合、 その年のうちに支払ったものであれば、過去の年分のものであってもその年の社会保険料控除の対象になりま す。

 ただし、自分で納めた社会保険料は事業所が把握することができませんので、控除を受けたい場合には、年 末調整の際に提出する「給与所得者の保険料控除申告書」に、実際に納めた額を自分で記入する決まりになっ ています。



社会保険料控除証明書の提出

 自分で納めた社会保険料のうち国民年金保険料については、年末調整や確定申告の際に社会保険料控除の適 用を受ける場合には、「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」や領収証書を、申告書を提出するときに添 付するか、または提示する必要があります。

 この控除証明書は、その年に納めた国民年金保険料の納付額を証明する書類のことで、日本年金機構から通 常は毎年10月下旬に、その年の1月1日から10月上旬までの間に国民年金保険料を納めた人に送付されることに なっています。

 国民年金保険料を納めたにもかかわらず控除証明書が届いていない場合は、すぐに近くの年金事務所に問い 合わせをすることで発送状況などの確認がとれます。また、控除証明書を失くしてしまった場合には再発行が 可能なので、これも早めに年金事務所へ問い合わせると良いでしょう。

 問い合わせや再発行の手続きの際には、年金手帳など基礎年金番号が分かるものを用意しておくとスムーズ に進みます。



年末調整での確認

 年末調整の際には、保険料控除申告書の社会保険料控除の欄に記載があるか、ある場合には控除証明書の添 付があるかなどを確認することが大切となります。

 とくに、その年の中途で採用した人は、離職期間中に自身の国民年金保険料を納めていることが考えられま す。また、20歳以上で生計を同じくしている子がいる人は、子にかかる国民年金保険料を負担していることも 多いので、他の保険料控除と同様に、社会保険料控除についても十分な注意が必要となるでしょう。



3.参考資料 (7割が「老後の所得保障の充実」を要望)

 このほど厚生労働省が発表した「平成27年社会保障における公的・私的サービスに関する意識調査」に よると、今後、充実させるべき年金や医療などの社会保障の分野(複数回答)として、69.4%の人が「老 後の所得保障(年金)」を挙げていることがわかりました。なお、この調査は20歳以上の男女13,420人を 対象に行われたものです。


社会保障全般

《今後、充実させるべき社会保障の分野》

 今後、充実させる必要があると考える社会保障の分野(複数回答)は、「老後の所得保障(年金)」が最も多 く69.4%、次いで「高齢者医療や介護」が51.8%、「子ども・子育て支援」が43.5%などとなっています。 (下図参照)

 年齢階級別にみると、20~30歳代では「子ども・ 子育て支援」が最も多く、20歳代では約60%、30歳 代では70%、50歳以上になると「老後の所得保障( 年金)」が最も多く、70%以上となっています。


《社会保障の給付と負担についての考え方》

 今後の社会保障の給付と負担については、「給付水準 を維持し、少子高齢化による負担増はやむを得ない」が 最も多く30.3%、次いで「給付水準をある程度引き下げ つつ、ある程度の負担増もやむを得ない」が17.1%、「 給付水準を引き上げ、そのための負担増もやむを得ない」 が13.2%などとなっています。


老後の所得保障

《個人年金への加入状況》

 民間の個人年金には28.4%が加入しており、年齢階級別にみると、50歳代が最も多く、39.7%が加入しています。

 その理由としては、「公的年金制度の将来に不安があるから」が最も多く56.9%、次いで「公的年金だけでは、 生活に不安があるから」が25.8%などとなっています。


《老後の生計を支える手段》

 老後の生計を支える手段(すでに老後生活を送っている場合は現在の状況)として1番目に頼りにするものは 「公的年金」が最も多く54.4%、次いで「自分の就労による収入」が21.6%、「配偶者の就労による収入」が 7.6%などとなっています。


《老後の生活を支える年金給付等のあり方》

 老後の生活を支える年金給付等のあり方については、「公的年金を基本としつつも、その水準は一定程度抑制 し、企業年金等を組み合わせて老後に備えるべき」が最も多く44.7%、次いで「負担が増加しても、公的年金の みで充足できるだけの水準を確保すべき」が40.1%などとなっています。


医療や介護のサービス

《民間の医療保険や介護保険への加入状況》

 民間の医療保険や介護保険には72.1%が加入しており、年齢階級別にみると、30歳代から60歳代では70%を超 え、特に40~50歳代では80%を超えています。

 また、民間の医療保険か介護保険のいずれかに加入している人のうち、医療保険のみは72.6%、介護保険のみ は1%、両方は26.4%となっています。


《民間の医療保険や介護保険に加入している理由》

 民間の医療保険や介護保険に加入している理由(複数回答)をみると、「公的医療保険や公的介護保険の自己 負担分を補うため」が最も多く56.3%、次いで「治りにくい病気にかかり治療が長期化することに備えて」が46.9 %、「公的医療保険で賄えない高度の医療や投薬を受けるかもしれないから」が32.6%、「入院や介護が必要にな ることなどに伴って、仕事ができなくなるかもしれないから」が29.9%などとなっています。


《今後の公的医療保険の対象とする範囲》

 今後の公的医療保険の対象とする範囲については、「現在のまま、傷病の治療のために病院や診療所などを利用 した場合を対象とすべき」が最も多く62.1%、「負担が増加しても、現在の対象に加えて、予防や健康づくりなど も対象とするよう範囲を広げるべき」が23.4%などとなっています。



少子化対策(子ども・子育て支援)


《社会保障としての少子化対策のあり方》

 社会保障としての少子化対策のあり方については、「税や社会保険料の負担を考慮しながら、現行の少子化対策 をより充実させていくべきである」が最も多く45.1%、次いで「少子化対策は社会全体で行うべきものであり、育 児に関わらない人の税や社会保険料の負担が増えても、大幅に拡充すべきである」が17.0%、「現行の公的な少子 化対策は十分に充実しているので、現行の対策を維持すべきである」が13.5%などとなっています。


《有効だと考える少子化対策》

 少子化対策として有効だと考えるもの(複数回答)としては、「保育施設の整備」が最も多く46.9%、次いで「 子育てと仕事が両立できる職場環境(ワークライフバランスなど)の推進」が43.2%、「育児休暇や育児時間など、 働きながら子育てするための制度の充実」が42.2%などとなっています。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 労働関係の書類はいつまで保存するのか?
このたび当社に労働基準監督署の調査が入ることになりました。調査時に用意する書類として、過去2 年分の賃金台帳や出勤簿などが示されましたが、こうした労務関係の書類はいつまで保存しておかなけれ ばならないのでしょうか。また、電子データのみで保存することもできるのでしょうか?

労務関係文書の保存期間

 企業活動を行う際に作成される様々な文書は、企業にとって重要な情報財産ですので、その作成から保存、 廃棄にいたるまでは適切に管理することが重要です。とくに、顧客情報や人事・労務関係の個人情報に関連し た文書の管理・保存・廃棄については、個人情報保護法の趣旨も踏まえた細心の配慮が求められています。

 労働基準法(第109条)により、労務に関連して作成される書類として、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、 解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類は、3年間保存することが義務付けられています。 また、出勤簿またはタイムカードは、「労働関係に関する重要な書類」に該当するとされるので、これも保 存期間は3年間です。

 また、ここでいう3年間は起算日も定められていて、労働者名簿であれば労働者の死亡、退職または解雇の 日、賃金台帳は最後の記入をした日、出勤簿やタイムカードは完結した日から起算することになっています。


電子データの扱い

 企業活動においては、社内文書を、保管スペースや用紙のコスト削減などから、可能な限り書面ではなく 電子データで保存することが当たり前のこととなっています。労働者名簿や賃金台帳なども書面ではなく電 子データで保存することも多いでしょう。

 これらの帳簿を電子データで保管することも認められていて、データの保存期間も同じとされますが、そ の取り扱いについては一定の要件があって、労働基準法にかかる行政通達により詳細に示されています。

 それによると、故意や過失による消去、書換え及び混同ができないようにすることや、保存義務のある内 容の画像情報を記録した日付、時刻などの情報も同一の電子媒体上に記録されるとともに、これらを参照す ることができるようにしなければなりません。

 また、画像情報を正確に記録し、かつ、法定の保存期間にわたって損なわれることがなく保存ができると ともに、労働基準監督官の調査や保存文書の閲覧、提出などが必要とされる場合に、直ちに必要事項が明ら かにされ、かつ、写しを提出できるシステムとなっていることが必要とされています。

 このように、出勤簿や労働者名簿、賃金台帳などの労務関係書類は、いつでも労働基準監督署の調査対象 となり得る重要な帳簿ですので、少なくとも保存義務のある期間は確実に保存できるようにしておかなけれ ばなりません。とくに電子データで保存する場合には、データの不正な消去や改ざんが行われないよう、セ キュリティー対策も十分に講じておくことが重要となるでしょう。



5.参考資料 (70歳以上まで働ける企業、2割超 ~平成29年「高年齢者の雇用状況」~)

 このほど厚生労働省は、高年齢者を65歳まで雇用するための高年齢者雇用確保措置(以下「雇用確保措置 」)の実施状況などをまとめた平成29年「高年齢者の雇用状況」の集計結果を公表。今年6月1日現在、従業員 31人以上の企業156,113社のうち、雇用確保措置を実施済みの企業は99.7%(155,638社)で、前年より0.2ポ イント上昇。また、70歳以上まで働ける企業は22.6%(35,276社)で、同1.4ポイント上昇したことが分かり ました。


◆雇用確保措置の実施状況

 雇用確保措置の実施済企業は99.7%で、前年比0.2ポイント上昇。企業規模別にみると、大企業(301人以 上規模)では99.9%(同変動なし)、中小企業(31~300人規模)では99.7%(同0.2ポイント上昇)となっ ています。

◆雇用確保措置の内訳

 「継続雇用制度の導入」により雇用確保措置を講じている企業は80.3%、「定年の引き上げ」は17.1%、 「定年制の廃止」は2.6%となっています。

◆継続雇用制度の内訳

 「継続雇用制度の導入」により雇用確保措置を講じている企業のうち、①希望者全員を対象とする65歳以上 の継続雇用制度を導入している企業は70.0%、②高年齢者雇用安定法一部改正法の経過措置に基づく継続雇用 制度の対象者を限定する基準がある継続雇用制度を導入している企業は30.0%となっています。

◆継続雇用先の内訳

 「継続雇用制度の導入」により雇用確保措置を講じている企業の継続雇用先について、自社のみである企 業は94.1%、自社以外の継続雇用先(親会社・子会社等)のある企業は5.9%となっています。

◆希望者全員が65歳以上まで働ける企業の状況

 希望者全員が65歳以上まで働ける企業は75.6%で、前年比1.5ポイント上昇。企業規模別にみると、大企業 では55.4%(同1.6ポイント上昇)、中小企業では78.0%(同1.5ポイント上昇)となっています。

◆希望者全員66歳以上の継続雇用制度を導入している企業の状況

 希望者全員が66歳以上まで働ける継続雇用制度を導入している企業は5.7%で、前年比0.8ポイント上昇。企 業規模別にみると、大企業では2.2%(同0.3ポイント上昇)、中小企業では6.1%(同0.9ポイント上昇)とな っています。

◆70歳以上まで働ける企業の状況

 70歳以上まで働ける企業は22.6%で。前年比1.4ポイント上昇。企業規模別にみると、大企業では15.4% (同1.5ポイント上昇)、中小企業では23.4%(同1.3ポイント上昇)となっています。

◆高年齢労働者の状況

 31人以上規模の企業における常用労働者数(約3,080万人)のうち、60歳以上の常用労働者数は約347万人 で11.3%を占めています。

 年齢階級別にみると、60~64歳が約204万人、65~69歳が約106万人、70歳以上が約38万人となっています。



6.参考資料(日本の魅力とは)

 スイスのIMD世界競争力センターが11月20日に発表した2017年度「世界人材ラ ンキング」によると、日本は高度人材にとって魅力的な国ランキングで63か国中 51位となり、アジアで最低ランクとなりました。ちなみに、アジアでは1位はシ ンガポール、2位は香港、以下、インドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、 中国…となっています。

 世界をかけての高度人材の獲得はもはや国同士の争いとなっており、日本政府 も在留資格「高度専門職」を創設したり、永住権の取得要件の緩和などの措置と っていますが、いずれも対処療法に近く、本質的な問題解決には至っておりませ ん。

 日本経済の低迷、労働者の低賃金化、過酷な労働環境、未発達な英語環境など、 多くの問題を抱えており、これらの根本的な解決無くしては日本の魅力が上昇す ることはありません。2020年の東京オリンピックを控え「おもてなし」の精神と 観光立国としての地位向上を目指していますが、本当に取り組むべき課題は国際 的に通用する力強い経済成長ではないでしょうか。

  現状では高度人材によるAI開発など先端技術に関する人材が不足しており、こ の状況は今後ますます激化していくと予想されています。「高度人材にとって魅 力のない国」というレッテルが取れなければ、次第に技術においてもアジア各国 に遅れをとることになり、単なる観光国となればお年寄りだけが老後をのんびり 過ごす国にもなりかねません。

 ACROSEEDの経営理念は「日本社会の調和と活力あるグローバル化に貢献するこ と」です。一企業ができる事は微々たるものかもしれませんが、それが集まれば 大きな力となります。まずは仕事を通して社会に貢献できるように、そして、自 社で働く従業員が幸せになれるように、ACROSEEDができることを一つずつ確実に 実行していこうと思います。