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メールマガジン2018年01月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2018年01月 Vol.108

1.人事・総務ニュース

厚労省が「モデル就業規則」を改定へ ~副業・兼業を原則容認に~


  柔軟な働き方に関して議論を進めている厚生労働省の検討会は、現在は労働者の副業や兼業を原則禁止とし ている同省の「モデル就業規則」について、これを原則容認する方向で改定する案を提示しました。

 現行のモデル就業規則では、労働者の遵守規定において副業・兼業は「会社の許可なく行ってはならない」と した禁止事項とされていますが、改定案ではこの規定を削除して、新しく副業・兼業に関する条項を設け、勤務 時間外であれば事前の届出により行えるとしています。

 ただし、遵守規定における職務専念義務の違反や不正行為などがあれば、会社は、これを禁止または制限す ることができるとしています。



初任給が全学歴で増加  ~厚労省の初任給調査結果~


 このほど厚生労働省がまとめた「賃金構造基本統計調査(初任給)」(常用労働者10人以上の約1万5,000事業 所が対象)の結果によると、新規学卒者の平成29年の初任給は、すべての学歴で前年を上回っており、大学卒( 男女計)で20万6,100円(前年比2,700円、1.3%増)、高専・短大卒で17万9,200円(同2,300円、1.3%増)、高 校卒で16万2,100円(同800円、0.5%増)となりました。

  また、企業規模別でも、大学卒では、大企業で前年より2.0%増の21万1,000円、中企業で同0.7%増の20万 2,500円、小企業で同0.3%増の19万9,600円と、いずれも前年を上回りました。



年収850万円超では増税に  ~与党税制改正大綱が決定~


 自民、公明両党は12月14日、平成30年度の与党税制改正大綱を決定しました。

 注目となっていた所得税の見直しについて、会社員など給与所得者に適用される給与所得控除を一律10万円減 らし、さらに控除額の上限を現在の「年収1,000万円以上で年220万円」から「年収850万円以上で年195万円」に 引き下げるとしています。

 その一方で、すべての納税者が受けられる基礎控除は「年38万円」から「年48万円」に引き上げられ、この結 果、年収850万円以下の人は、給与所得控除の縮小額と基礎控除の増加額が同じとなり、増税にも減税にもなりま せんが、年収850万円超の人は増税になります。

 なお、実施時期は平成32年1月からとしています。



大学生の内定率が過去最高の75.2%  ~平成30年春卒業予定~


 厚生労働省と文部科学省が共同で発表した平成30年3月大学等卒業予定者の就職内定状況調査によると、29年10月 1日時点での大学生の内定率は前年同期を4.0ポイント上回る75.2%で、調査開始以来、同時期での過去最高となった ことが分かりました。

 男女別でみると、男子は74.5%(前年同期比5.2ポイント増)、女子は76.0%(同2.4ポイント増)となっています。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール ~雇用保険手続きの届出内容の訂正等~


雇用保険被保険者資格取得(喪失)届の訂正


 雇用保険の被保険者資格取得届を、事業所を管轄するハローワークに提出すると、資格取得確認通知書や被 保険者証が交付されます。あとで被保険者資格を取得する人の氏名(ふりがな)や生年月日、性別、資格取得 日などを誤って届け出てしまったことが分かった場合は、「雇用保険被保険者資格取得(喪失)等届訂正(取 消)願」に、誤って届け出た内容と正しい内容を記載してハローワークに届け出る必要があります。

 訂正の届出の際には、訂正内容を確認できる書類の提示が求められます。

 氏名・生年月日であれば運転免許証など公的機関の証書類のコピー、資格取得日の訂正であれば賃金台帳や出 勤簿などとなります。

 届出にかかる人が前職で雇用保険に加入したことがあれば、ハローワーク側で雇用保険の被保険者番号など により検索が行われ、氏名や生年月日などの照合が行えますが、初めて被保険者資格を取得する人については、 ハローワークでも確認照合が出来ませんので、正しく届け出ているかどうか十分なチェックが必要となるでし ょう。



離職票の記載内容の訂正

 雇用保険の被保険者が退職して資格を喪失する場合、被保険者から離職票の交付を請求されていれば、雇用 保険被保険者資格喪失届に加えて、雇用保険被保険者離職証明書をハローワークに提出することになっていま す。

 この離職証明書には、離職理由を記入する欄が設けられていて、離職に至った具体的な事情を記載すること とされています。離職証明書の2枚目(安定所提出用)には、事業主が選んだ離職理由に異議があるかどうか 労働者が判断する欄があり、異議があれば、離職者本人が離職理由を記入できるようになっています。

 また、本人が離職票を受け取ったあとでも、離職理由に異議があれば、住所地を管轄するハローワークに申 し立てをすることができます。

 このように、離職理由について事業主と離職者の見解が異なってしまうケースもあります。そのときには、 管轄のハローワークから事業主に対して、離職理由の再度の確認を求められます。確認の結果、離職証明書に 記載した離職理由が事実と明らかに異なる場合には、「雇用保険被保険者離職票記載内容補正願」に離職証明 書の事業主控えを添えてハローワークに提出します。

 ただし、離職理由について記載した内容に不備や誤りがないと事業主が判断すれば、退職に至った経緯や退 職理由についての根拠などを書面(形式は任意)にして提出することになります。

 離職証明書の記載内容が事実と異なっていると、離職者にとって不利になる場合があるため、思わぬトラブ ルが生じることもあります。離職者から異議を唱えられないように、離職理由などについて慎重に確認するこ とが重要だといえるでしょう。



3.参考資料 (賃上げ企業、前年を上回る)

 厚生労働省が11月29日に発表した「賃金引上げ等の実態に関する調査」(常用労働者100人以上の企業が 対象)によると、8月時点で、平成29年中に1人平均賃金(1ヵ月当たりの1人平均所定内賃金)の「引上げ」 を実施したまたは予定していると回答した企業の割合が87.8%と前年より1.1ポイント上昇し、比較可能な 平成11年以降で最高を更新したことが分かりました。


賃金の改定の実施状況

 平成29年中に1人平均賃金を「引き上げた・引き上げる」と回答した企業は87.8%(前年86.7%)、「引き下 げた・引き下げる」は0.2%(同0.8%)、「賃金の改定を実施しない」は6.3%(同7.1%)で、前年に比べて、 1人平均賃金を「引き上げた・引き上げる」企業は1.1ポイント上昇し、「引き下げた・引き下げる」企業は0.6 ポイント、「賃金の改定を実施しない」企業は0.8ポイントそれぞれ低下しました。(下表参照)


賃金の改定額および改定率

 平成29年中の賃金の改定状況(9~12月実施予定を含む)をみると、1人平均賃金の改定額は5,627円(前年 5,176円)、改定率は2.0%(同1.9%)となりました。

 また,改定額を産業別にみると、「建設業」が8,411円(前年7,986円)で最も高く、次いで「不動産業、 物品賃貸業」が6,341円(同6,822円)、「情報通信業」が6,269円(同5,986円)、「製造業」が6,073円(同 5,667円)、「学術研究、専門・技術サービス業」が5,845円(同5,054円)、「金融業・保険業」が5,802円(同 2,494円)などとなりました。


定期昇給(定昇)、ベースアップ(ベア)の実施状況

 「定昇制度」の有無をみると、管理職の「定昇制度あり」の企業は75.9%(前年73.9%)で、このうち、平成 29年中に定昇を「行った・行う」が69.0%(同68.1%)、定昇を「行わなかった・行わない」が6.3%(同5.0%) となりました。

 一方、一般職では、「定昇制度あり」の企業は82.8%(前年82.2%)で、このうち、平成29年中に定昇を「行っ た・行う」が77.5%(同78.4%)、定昇を「行わなかった・行わない」が5.0%(同3.3%)となりました。 (下表参照)

 また、定昇制度がある企業について、「定昇とベア 等の区別あり」の企業は、管理職で61.4%(前年57.8 %)、一般職で64.2%(同58.9%)となりました。

 このうち、平成29年中に「ベアを行った・行う」企 業は、管理職で22.9%(同17.8%)、一般職で26.8% (同23.3%)となりました。


賃金カットの実施状況

 平成29年中に賃金カットを実施したまたは予定し ていると回答した企業は6.3%(前年10.7%)で、 その対象者別にみると、「管理職のみ」が26.8% (同40.3%)、「一般職のみ」が24.4%(同17.4%) 、「一般職一部」と「管理職一部」が47.9%(同 35.8%)などとなりました。

 また、対象者別に賃金カットの内容をみると、管理職では、「基本給のみ減額」が、管理職一部で41.9%(前年 34.5%)と最も多くなりました。

 一般職については、「基本給のみ減額」が、一般職一部で36.2%(前年37.5%)と最も多くなりました。


賃金の改定事情

 平成29年中に賃金の改定の決定に当たり最も重視した要素をみると、「企業の業績」と回答した企業が55.0% (前年51.4%)と最も多く、次いで「労働力の確保・定着」が8.7%(同11.0%)、「世間相場」が5.1%(同4.2%)、 「親会社または関連(グループ)会社の改定の動向」が4.6%(同5.9%)、「前年度の改定実績」が4.0% (同2.7%)、「雇用の維持」が3.9%(同4.6%)などとなりました。

 なお、「重視した要素はない」とした企業は13.1%(同15.7%)でした。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)

 「無期転換ルール」の本格スタート①

 労働契約法の改正により、有期労働契約から無期労働契約への転換に関する新しいルールが設けられ ました。これは「無期転換ルール」と呼ばれ、平成25年4月1日から改正法が施行されています。

 無期転換ルールとは、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申し込みに より、期間の定めのない労働契約に転換されるルールです。通算5年のカウントは平成25年4月1日以降 に締結した有期労働契約から開始されますので、平成30年4月以降は、有期労働契約で働く人の多くに 無期転換申込権の発生が見込まれ、無期転換ルールの本格運用が始まります。


対象となる労働者

 無期転換ルールが適用される有期契約労働者は、「パートタイマー」「アルバイト」「契約社員」など、 その名称にかかわらず、契約期間があらかじめ決まっている人であって、同一の使用者との間で1回以上更 新された契約期間が通算して5年を超えている人です。(図①参照)

 ただし、同一の使用者との間で有期労働契約を締結していない期間(無契約期間)が一定の長さ以上にわた る場合、この期間が「クーリング」として扱われ、それ以前の契約期間は通算対象から除外されます。その 場合、無契約期間の次の有期労働契約から、通算契約期間のカウントが再度スタートします。(図②参照)

 クーリングの対象となる期間は、無契約期間の前の通算契約 期間に応じて下表のとおりとされています。




5.参考資料 (年次有給休暇を取得しやすい職場)

 労働力不足解消のためには採用の強化、長期雇用を考える上では福利厚生の拡充が必要であり、中でも年 次有給休暇(以下「年休」という)の取得促進は、働くときは働き、休みはしっかり取るというメリハリの あるワークスタイルを確立し、労働者にも企業にも活力を与えてくれます。


年休の取得状況

 厚生労働省の公表によると、平成27年1年間に企業が付与した年休日数は労働者1人平均18.1日。そのうち 労働者が取得した日数は8.8日で、取得率は48.7%となっています。

 また、同省の「『仕事と生活の調和』の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査」によると、 全体の約3分の2の労働者が、年休取得にためらいを感じていることがわかりました。


年休の仕組み

 業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者等の区分に関係なく、次の要件を満たした 全ての労働者に年休を与えなければなりません(労基法第39条)。

①雇入れの日から6ヵ月間の継続勤務
②全労働日の8割以上出勤

 付与日数は所定労働日数や所定労働時間、勤務年数に応じて変わります。


取得率アップのための取組み

①年休の計画的付与制度の活用

 年休の付与日数のうち、5日を超える部分は、労使協定を結べば計画的に取得させることができます。企業、 事業場の実態に合わせて付与方法を工夫すると、さらに年休が取得しやすくなるでしょう。

・製造部門など操業を止めることができる事業場⇒一斉付与方式
・流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい事業場⇒交代制付与方式

②時間単位年休の活用

 年休は、1日単位で与えることが原則ですが、労使協定を結べば、1時間単位で与えることができます(上 限は年間5日分)。

 多様化する労働者の働き方のニーズに合わせて、年休を時間単位で取得することができます。

今後の環境づくり

 平成30年4月から、キッズウィーク(地域ごとに学校の長期休業日を分散化する取組み)がスタートします。 学校休業日や地域のイベントに合わせて、労働者が年休を取得しやすいよう配慮することが「労働時間等見直 しガイドライン」(平成29年10月1日から適用)に盛り込まれました。

 また、政府は平成32年までに年休取得率を70%にする目標を掲げています。そのため、労働者の年休取得を 企業の義務とすることが検討されています。



6.参考資料(求められるコンプライアンス)

 昨今の流れとして、外国人雇用企業へのコンプライアンスが強く求められているのは言うまでもありあません。しかし、現実的にはしっかりとした会社であっても、知らず知らずのうちに不正な手続きが行われていることがあります。ここでは、最近よく見られる代表的な事例を2つほどご紹介いたします。

 世界をかけての高度人材の獲得はもはや国同士の争いとなっており、日本政府 も在留資格「高度専門職」を創設したり、永住権の取得要件の緩和などの措置と っていますが、いずれも対処療法に近く、本質的な問題解決には至っておりませ ん。

 1.採用時と違う職務内容

  採用時には翻訳・通訳として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得した外国人従業員が、その後の配置転換など在留資格に該当しない業務に就いている場合です。カテゴリー1,2の企業であれば、在留手続き時には何の証拠の提示も必要なく、単に翻訳・通訳と記入すれば申請自体は通ることが多いため、意外なようですが特に大企業でこのような事例が多くみられます。

 申請を行う企業担当者の方も「前任者と同じ申請をしているだけ」、または「上司から翻訳・通訳と記入すれば大丈夫と言われている」といった認識であることが多いのですが、これは虚偽申請とみなされる可能性が非常に高いため、具体的な職務内容を記した上で申請を行った方がよいでしょう。


 2.就労ビザを取得せずに来日

  海外から人材を業務として呼び寄せる際、仮に日本での滞在が1~2日であろうとも、就労に該当するのであれば何らかの就労可能な在留資格を取得しなければなりません。多くのケースでは短期滞在で来日して業務を行いますが、その際の賃金を別の名目で払う、他の収入に含めるといったことが行われています。就労に該当するかどうかの判断は非常に難しいところではありますが、迷うようであれば専門家や入国管理局などに確認をとった方がよいでしょう。


 本年11月より新しい技能実習法が施行され、法務省と厚生労働省のもとに非常に厳格なコンプライアンスが求められています。現状では技能実習生の受入れ企業のみが対象となっていますが、この流れは一般的な外国人雇用企業にも波及することが予想されます。また、外国人従業員の在留申請、出入国歴はすべて記録に残るため、後からさかのぼって正そうとしても難しいケースがよくあります。そのため、今後は、普段からのコンプライアンスを意識した企業活動が重要となるでしょう。