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メールマガジン2018年03月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2018年03月 Vol.110

1.人事・総務ニュース

協会けんぽ、健康保険料率を決定


  全国健康保険協会は、平成30年3月分(4月納付分)から 適用される都道府県(支部)ごとの健康保険の保険料率 を決定しました(下表参照)

 健康保険料率が改定されるのは42の支部で、そのうち、 引上げが18支部、引下げが24支部となっていて、5支部で は据え置かれました。

 一方、全国共通の介護保険料率については、1.65% (労使折半)から1.57%へ引き下げられることになりま した。



小規模飲食店は表示で喫煙可能に  ~受動喫煙対策で骨格まとまる~


 厚生労働省は1月30日、受動喫煙による健康への影響を 解消するため、対策の強化を図る新たな法整備の骨格を まとめ、公表しました。

  事務所や飲食店は原則として屋内を禁煙としつつ、喫煙 専用室(室外への煙の流出防止措置を講じており、もっぱ ら喫煙を行うもの)内でのみ喫煙を可能とする一方で、既 存の飲食店のうち、中小企業や個人が運営する店舗で、面積 が一定規模以下については、「喫煙」「分煙」の表示があれ ば、喫煙を可能とするとしています。(店舗面積については今後決定する予定)

  同省は、早期の実施に向け、こうした内容を盛り込んだ健康増進法改正案の策定に取り組むとしています。



有効求人倍率が44年ぶりの高水準に  ~29年平均は1.50倍~


 厚生労働省の発表によると、平成29年平均の有効求人倍率は、前年に比べて0.14ポイント上昇の1.50倍となり、 昭和48年以来44年ぶりの高い水準になったことが分かりました。

 有効求人倍率は、ハローワークに申し込まれた求職者数に対する求人数の割合で、職を求めている人1人に対し て何人分の求人があるかの指標です。「1.50倍」は、単純にみれば、求職者2人に対して3人分の求人があることに なります。

 また、総務省が同日発表した平成29年平均の完全失業率は、前年から0.3ポイント下がった2.8%と、7年連続で 低下しています。



30年度の雇用保険料率は据え置き


 厚生労働省はこのほど、平成30年度の雇用保険料率について、29年度と同率に据え置くことを公表しました。

 これにより、30年4月1日以降に適用される雇用保険料率は、一般の事業が0.9%、農林水産・清酒製造の事業が 1.1%、建設の事業が1.2%で、現行と変更はありません。



2.社会保険ワンポイント・ゼミナール ~兼務役員の雇用保険加入~


雇用保険の被保険者


 雇用保険の被保険者には、適用事業に雇用される労働者であって、1週間の所定労働時間が20時間以上、か つ同一の事業主に継続して31日以上雇用されることが見込まれる人が該当します。ただし、法令で適用除外と されている労働者は被保険者とはなりません。

 また、ここでいう「労働者」とは、事業主に雇用され、事業主から支給される賃金によって生活している人 をいいます。



兼務役員の労働者性


 法人の取締役、監査役、その他協同組合など組織上の役員にあたる人は労働者ではありませんので、原則と しては雇用保険の被保険者にはなりません。

 ただし、代表者以外の取締役などであって、同時に会社の部長、支店長、工場長など、従業員としての身分 を有する「兼務役員」で、労働者的性格が強く、雇用関係があると認められるときは、被保険者の資格を有す るとされています。

 労働者性が強く雇用関係があるかどうかは、いくつかの判断要素に基づきます。具体的には、一般の従業員 に適用される就業規則などが兼務役員にも適用される、従業員としての賃金が役員報酬よりも多く支払われて いる、その他に出勤の義務かおるなど、その就労実態から総合的に判断されます。

 なお、役員報酬と従業員としての賃金が明確に分けられていない場合は、役員報酬規程や取締役会議事録な どで報酬額が確認できれば、そこから賃金額を割り出すことになります。また、労働保険料は、原則として労 働者に支払われる賃金を算定基礎としていますので、兼務役員が雇用保険の被保険者になる場合は、役員報酬 を労働保険料の算定基礎額から除く必要があります。



兼務役員の被保険者資格取得・喪失の実務

 兼務役員を雇用保険の被保険者とする場合は、資格取得届にあわせて、ハローワークが指定する「兼務役員 雇用実態証明書」に必要事項を記入し、確認資料とともに提出します。また、すでに従業員として雇用保険の 被保険者になっている人が兼務役員に就任した場合にも、この証明書を提出することが必要です。ハローワー クでは証明書や確認資料をもとに、被保険者資格を認めるかどうかを判断することになっています。

 一方で、兼務役員が役員専任になった、役員報酬が賃金額を上回ったなど、就労の実態からみて労働者とし ての性格を有することがなくなったときは、被保険者資格喪失届を提出することが必要となります。

 兼務役員が退職する場合も資格喪失届を提出しますが、失業給付を受けることを希望していれば、離職証明 書も作成し、提出することになります。労働保険料の算出方法と同じように、雇用保険の失業給付の算定基礎 となる賃金には役員報酬が含まれませんので、離職証明書に賃金を記載する際にはこの点に留意しておくこと が大事です。



3.参考資料 (昨年の給与、4年連続でプラス)

 厚生労働省が2月7日に発表した「毎月勤労統計調査」(速報、常用労働者5人以上の事業所が対象)に よると、平成29年のパートを含む労働者1人1ヵ月平均の現金給与総額は前年比0.4%増の31万6,907円と4 年連続で増加したことが分かりました。なお、速報値は確報で改訂される場合があります。


賃金

 1人平均の月間現金給与総額は、労働者5人以上の事業所(以下すべての項目で同規模)で前年比0.4%増の 31万6,907円となりました。

 現金給与総額のうち、きまって支給する給与は0.4%増の26万793円(うち所定内給与が0.4%増の24万 1,228円、所定外給与が0.4%増の1万9,565円)で、特別に支払われた給与は0.4%増の5万6,114円でした。

 また、現金給与総額を就業形態別にみると、一般労働者は0.4%増の41万4,001円、パートタイム労働者は 0.7%増の9万8,353円となりました(次ページの表参照)。

 なお、パートタイム労働者の時給(所定内給与を所定内労働時間で除して算出)は1,110円で、平成5年の 調査開始以降、最高の水準となりました。



労働時間

 1人平均の月間総実労働時間は、前年比0.3%減の 143.4時間となりました。

 総実労働時間のうち、所定内労働時間は0.4%減の 132.5時間、所定外労働時間は1.0%増の10.9時間で した。

 なお、月間の時間数を12倍して年換算すると、総 実労働時間は1,721時間(所定内労働時間が1,590時 間、所定外労働時間が131時間)となりました。

 また、総実労働時間を就業形態別にみると、一般 労働者は0.1%増の168.8時間、パートタイム労働者 は1.4%減の86.1時間となりました。



雇用

 常用労働者は,前年比2.5%増の5,003万人で,このうち,一般労働者は2.6%増の3,463万5,000人,パート タイム労働者は2.7%増の1,539万6,000人となりました。



4.労務管理(トラブル回避の対応術)


無期転換ルールの導入に向けて

 改正労働契約法により、多くの企業で平成30年4月から本格的に無期転換への申込みの発生が見込まれ ています。

 無期転換ルールは、企業側にとってはで負担になる面もあるかもしれませんが、人材が不足傾向にある 現在では、有期雇用から無期雇用に転換することで、中長期的にみれば、人材確保や中核を担う社員の育 成などに意義があるとされます。したがって、導入に向けては、後ろ向きな考えではなく、こうした視点 に基づいて取り組むことが重要でしょう。

導入にあたって何をすべきなのか、戸惑うこともあるかもしれませんが、次のような手順で進めること が推奨されています。



有期契約社員の就労実態を調べる

まずは、自社で働いている有期契約社員の現状を把握することからはじめます。

パート、アルバイト、契約社員や嘱託社員など雇用形態ごとの人数、職務内容、月や週の労働時間、契約 期間、更新回数、勤続年数(通算契約期間)を調べ、無期転換申込権が発生する時期などを把握しておくこ とが大事です。

また、有期契約社員に適用する就業規則や雇用契約書が備わっているか、正社員の就業規則や給与規程な どから、有期契約社員が適用除外となっているかの確認も必要となるでしょう。


社員の仕事、役割や責任を再検討する

 有期契約社員が正社員と同じように無期契約に転換した場合、転換後の雇用区分を明らかにして、従来の 正社員と仕事の内容、役割や責任がどう異なるのかを明確にしておくことが、トラブルを防ぐ意味において も大切となります。

 そのためにも、業務の特性の違いなどに着目して、現在有期契約社員が従事している仕事について、基幹 的な業務か補助的な業務か、業務の必要性が一時的か恒常的か、の2つの観点で分類することからはじめま す。そして、無期転換後の社員に任せる業務や役割、責任などは、従来の有期契約社員が担うものとは別の ものとすることが適当なのか、あるいは現状どおりで問題はないのか、検討しておくことが必要となるでし ょう。



適用する労働条件を検討し、就業規則を整備する

 無期転換後の社員について、従来の有期契約社員の業務や役割などとは異なるものとする場合、それらの 内容とともに労働条件に関しても検討することが望ましいとされます。

検討した内容に基づき、必要に応じて無期転換後の社員に適用する就業規則を作成します。その場合には、 対象となる社員を正社員の就業規則の対象から除外しておく必要があるので、正社員の就業規則も見直すこ とになります。

このような手順で進める制度設計の段階では、労使間のコミュニケーションを密にすることで、導入やそ の後の運用をスムーズに行うことができるとされています。

無期転換の申込みについて、その要件や手続き、転換後の働き方などを有期契約社員に事前に説明してお くことも重要で、意見などがあれば必要に応じて制度の改善を行うことも求められるでしょう。



5.参考資料 (外国人労働者、最多の128万人)

 外国人雇用状況の届出に基づき、このほど厚生労働省が集計した結果によると、昨年10月末現在、日 本で働く外国人労働者数は127万8,670人と前年同期に比べて19万4,901人(18.0%)増加し、5年連続で 過去最高を更新したことが分かりました。

外国人労働者の状況

 平成29年10月末現在、外国人労働者数は127万8,670人で、前年同期に比べて19万4,901人(18.0%)の増 加となりました。

 国籍別にみると、中国(香港等を含む)が最も多く外国人労働者全体の29.1%(37万2,263人)を占め、 次いで、ベトナム18.8%(24万259人)、フィリピン11.5%(14万6,798人)、ブラジル9.2%(11万7,299人) の順となっています。

 また、在留資格別にみると、「身分に基づく在留資格」が外国人労働者全体の35.9%(45万9,132人)を占 め、次いで、「資格外活動(留学を含む)」が23.2%(29万7,012人)、「技能実習」が20.2%(25万7,788 人)、「専門的・技術的分野の在留資格」が18.6%(23万8,412人)となっています。


外国人雇用事業所の状況

 外国人を雇用している事業所数は19万4,595ヵ所で、前年同期に比べて2万1,797ヵ所(12.6%)の増加と なっています。

 都道府県別にみると、東京が27.8%(5万4,020ヵ所)を占め、次いで、愛知8.0%(1万5,625ヵ所)、大 阪6.6%(1万2,926ヵ所)、神奈川6.5%(1万2,602ヵ所)、埼玉4.7%(9,103ヵ所)となっています。

 産業別にみると、「製造業」が22.2%(4万3,293ヵ所)を占め、 次いで、「卸売業、小売業」17.1%(3万3,229ヵ所)、「宿泊業、 飲食サービス業」14.3%(2万7,779ヵ所)、「建設業」8.6%(1 万6,711ヵ所)となっています。


外国人労働者の就労状況

 都道府県別にみると、東京が30.9%(39万4,834人)を占め、 次いで、愛知10.1%(12万9,155人)、大阪5.6%(7万2,226人)、 神奈川5.4%(6万9,400人)、埼玉4.3%(5万5,534人)となって おり、この5都府県で全体の半数を超えます。

 産業別にみると、「製造業」が30.2%(38万5,997人)を占め、 次いで「サービス業(他に分類されないもの)」14.8% (18万9,858人)、「卸売業、小売業」13.0%(16万6,182人)と なっています。(下図参照)



6.参考資料(外国人労働者の受け入れ拡大)

 政府は2月20日の経済財政諮問会議で、外国人労働者の受入拡大を検討すると発表しました。しかしながら、移民政策ではないとして、家族の帯同は認めず、在 留期間は5年程度、永住権の付与はせず、早ければ今秋の臨時国会での入管法改正を目指すとしています。具体的な職種などはまだ公表されていませんが、おそらくは単純労働者を対象とした改正になると思われます。

 ちなみに、お隣の韓国では「雇用許可制」と言われる制度が既に実施されています。韓国政府は毎年何万人というように全体の人数制限を設け、求人広告を掲載するなどして応募がない事を証明した受入れ企業には、業種と従業員数に応じて受入人数を決定するといった仕組みとなっています。外国人単純労働者の受入れという点では一定の評価を得ている制度ですが、当然にデメリットもあり、失踪者や不法滞在者の増加、制度をすり抜けた定住者が増えることによる社会福祉費用等の問題などが挙げられています。

 一方、日本の単純労働者の受入れは、「技術移転」という名目の技能実習制度に依存していますが、誰もが知っている通り名目と実態がかけ離れた制度となっています。しかし、今回の法改正により、このような制度的な矛盾が解消し適正な労働者の受入れが行われるのであれば歓迎すべきことと思われます。

 いずれにせよ、外国人労働者の受入れにはメリットもある一方、多くの問題点や課題も含まれています。日本社会のグローバル化に貢献するACROSEEDとしては、 この問題点を解決し多くの日本企業がメリットを活かして活性化するよう、専門的なサービスを提供していく所存です。