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メールマガジン2018年08月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2018年08月 Vol.115

1.人事・総務ニュース

技術系で3000円増に ~平成31年大卒初任給~


 労働新聞社が実施した調査によると、大卒技術職の初任給が前年より3000円ほど高くなっています。来年(平成31年)3月に卒業を見込む学生を対象として、インターネット上に提示されている初任給を集計したものです。

 系統別の平均は、技術系21万7119円、事務・営業系の総合職21万4465円、一般職18万6844円、営業系23万556円などです。

 業種別にみると、技術系の中で最も金額が高かったのは「サービス業」の22万2186円、同じ22万円台が視野に入る「建設・不動産業」(21万7015円)が次いで高い水準を示しました。

 総合職では20万円未満の求人はすっかり影を潜めた一方、企業の収益力向上のカギを握る営業プロパーに至っては、22万円以上の金額を提示しないと獲得が難しくなりつつあります。



欠勤でも出勤扱い ~地震時に特別休暇を活用~


 6月18日に発生した「大阪北部地震」では、多数の従業員が通勤困難に陥りました。

  そうした状況下、神戸のIT会社では、一昨年に導入済みの「有事の特別休暇」が大いに効果を発揮しました。

 災害発生時に出勤できなかった場合に欠勤扱いとせず、出勤・在宅勤務の場合には「休日手当を支給する」という内容です。今回のケースでは、9割の従業員が出社を見合わせ、一部は在宅勤務に従事したということです。



労災防止へチェック表 ~中災防が高齢者対策~


 中央労働災害防止協会は、高年齢労働者の安全確保に向けた手引き「エイジアクション100」を作成しました。チェックリストを用いて職場の課題を洗い出し、具体的な改善につなげる方法を示しています。

 労災被災者の約半数は、50歳以上の高齢者です。「生涯現役社会」の実現のためには、加齢に伴う身体・精神機能の低下等に着目した防災対策が欠かせません。

 チェックリストでは、たとえば多発している転倒災害について、「階段への手すり設置、通路の段差解消、すべり止めなどの整備改善を実施している」など8項目を盛り込みました。リストに基づく点検は、同じ事業所内でも職場ごとに状況が異なる項目については、職場ごとにチェックした後、事業所全体で集約します

 そのほか、高年齢者が働きやすい職場環境の整備、働き方の見直しのポイントなどを踏まえた職場改善計画のひな型等も用意しています。



2.成績不良で机が消えた!? ~逃げ回る社長に説明求める~


 社員の営業成績が落ち込むと、周囲の上司・同僚が「明日来たら、机がなくなっているぞ」などとからかうことがあります。しかし、冗談ではなく、本当にそうした待遇がなされた事案です。(従業員側の主張ですが)

 都道府県労働局にあっせんを申請したのは、物品販売に従事していた従業員です。営業途上の社用車の中で、突然、上司から「商品を売れないようなら辞めろ」と告げられました。翌日、出社すると、机や営業カバンなどの備品が処分されていて、社長に説明を求めようとしても、「自分から辞めたと聞いている」といって面談を拒否されます。

 解雇か自主退職かをめぐって、会社と従業員の主張は平行線をたどるばかりです。


従業員の言い分


 社長から直接解雇を告げられたわけではなく、直属の班長・主任から「社長と話をして、辞めるなら机の整理をしろ」等の指示を受けました。翌日にはすでに私の席はなく、真意をただすべく、社長への面会を求めましたが、はっきりした回答を得られません。

 思い返せば、その5日ほど前から地理の不案内な地域に営業地域を変更され、「これは間接的な退職勧奨という意味ではないか」などと感じていました。

 今回の対応は、一方的な即時解雇であり、会社には解雇予告手当の2倍相当額の支払いを求めます。



事業主の言い分


 社内で聞き取りを行ったところ、本人から「身を引く」という発言があったという趣旨の証言が得られました。主任の話でも、「もう辞める。机の整理に明日来る」といって帰宅したということのようです。

 私としても、退職勧奨類似の行為に及んだ覚えはなく、本人の自主退職と考えています。



あっせんの内容

 労使双方の事実認識に大きな隔たりがあり、話し合いの場でも感情的な言い争いとなる場面もみられたほどです。

 しかし、個別に打診したところ、当初、渋っていた会社側も和解金の支払いに同意しました。

 従業員側も「逃げ回っていた社長に対して、自分の言い分を伝えることができた」と満足の意を示し、解決方法についてはあっせん委員へ一任ということで理解を得ました。



結果

 会社側が従業員に対し、和解金として解雇予告手当相当額を支払うということで、合意文書が作成されました。



3.日本商工会議所「人手不足等への対応に関する調査」

 市場の熱気はもう一つですが、人手不足は深刻な状況のようで、企業の採用担当者は対応に大わらわです。日本商工会議所の調査によると、ブランド力のある大手よりも、中小レベルで問題は深刻化していて、従業員11人から300人規模で昨年より人手不足感が強まっています。


 不足を嘆く会社に「求める人材」を尋ねたところ、トップは「一定の経験を有した若手社員(第2新卒等)」で、64.2%の企業が「喉から手が出る」状況となっているようです。そのほか、新規学卒者(高卒)が、昨年対比11.4%も増加している点が注目されます。




4.休日・休暇①


 労働者にとって大切な権利「お休み」には、休日・休暇・休業・休職・休憩などの呼び方があります。 そのなかで、「休日」と「休暇」について、次号にわたり取りあげます。


1. 共通点と相違点


(1)共通点

 雇用関係を維持しながら、一定の理由や事情によって労働者の権利義務を免除する効果を発生させます。


(2)相違点
「休日」は、もともと労働義務のない日です。
 「休暇」は、労働日であるにもかかわらず労働義務が免除される日(または時間)です。


2. 種類と性質

(1)休日

●法定休日
 労基法35条の休日(原則として毎週1日、例外的に4週間に4日以上の休日)。
 与えなかった場合に使用者に罰則があります。
 この日に労働させることは、36協定を結んでいる場合にのみ例外的に認められます。

●法定外の休日
 労働契約等で定める法定休日を上回る休日。所定休日とも言われます。


(2)休暇

●法定の休暇
 年次有給休暇(労基法39条)、産前産後休業(同65条)、生理休暇(同68条)、育児休業(育児介護休業法5条)、介護休業(同11条)、介護休暇(同16条の5)、子の看護休暇(同16条の2)などがあります。
 なお、育児介護休業法では、短期のものを「休暇」と呼び、長期のものを「休業」と呼んでいます。

●法定外の休暇
 就業規則や労働契約で定める休暇で、例えば、リフレッシュ休暇、教育訓練休暇、慶弔休暇、ボランティア休暇、誕生日休暇など、多種多様です。

 就業規則で「夏休み」が規定されている場合、「休日」「休暇」のどちらに当たるのか、意識してみると良いでしょう。



5.実務に役立つQ&A どちらの労基署へ請求書? ~転勤直前業務でケガ~


 本社への転勤が発令されていた従業員が、異動直前に業務でケガをしました。本人の希望は考慮するとして、予定どおりに転勤(引っ越し)した場合、休業補償の請求は本社を所管する労基署になるのでしょうか。


 業務が原因でケガをして、療養のため労働ができないために賃金を受けない第4日目からは、休業補償給付が支給されます(労災法14条)。休業補償給付は休業1日ごとに請求が可能ですが、「1カ月ごとぐらい」にまとめるのが一般的とされています(労災法コンメンタール)。

 支給を受けようとする者は、請求書を所轄労基署長に提出しなければなりません(労災則13条)が、ご質問のケースでは、支社で被災した後に、本社へ異動する形となります。ここでいう所轄ですが、原則として被災した事業場を管轄する労基署と解されています。なお、本社管轄先に提出しても回送されるということです。



6.助成金情報  人材確保等支援助成金(介護福祉機器助成コース)

 今月は、雇用関係助成金のうち、雇用環境整備等関係の助成金である「人材確保等支援助成金」(介護福祉機器助成コース)をご紹介します。

 本助成金は、介護労働者のための介護福祉機器の導入、適切な運用に対しての費用を助成することにより、労働環境を改善し、介護労働者の雇用管理の改善を図ること、また、介護労働者の身体的負担軽減等の効果を見込んでいます。

 計画書認定の申請をし、その後の導入・運用期間を経て、一定期間内に助成金の申請をします。


計画認定から支給申請の流れ

1.導入・運用計画書を作成し、提出します。
その際、認定申請日の12カ月前の日の属する月の初日から導入・運用計画認定申請日の属する月の前月末までの期間の離職率を「計画時離職率」とします。

2.認定された計画に基づき、機器の導入・運用をします。

3. 機器導入助成の支給申請を計画期間終了後2カ月以内に行います。

4.導入・運用計画期間の末日の翌日から起算して12カ月経過する日までの期間の離職率を「評価時離職率」とします。「計画時離職率」と「評価時離職率」を比べて、離職率の低下が計画認定時に示した一定の目標値を達成していれば、目標達成助成を受けられます。この場合、いわゆる生産性要件を満たした場合は助成率が上がります。

5.評価時離職率算定期間終了後2カ月以内に支給申請を行ないます。


支給要件

1.機器導入助成

(1) 計画を作成し、労働局長の認定を受けること
(2) 認定された導入・運用計画に基づき機器を導入し、介護労働者の雇用管理改善に努めること
(3) 雇用管理責任者を選任していること

2.目標達成助成

(1) 「機器導入助成」に記載する措置を実施すること
(2) 離職率を目標値以上に低下させること
(3) 離職率が30%以下となること


計画の作成・内容

1.導入する福祉機器の品目、台数、費用、メンテナンス方法

2.導入機器の使用を徹底するための研修の予定日、内容、費用

3.導入効果を把握するスケジュール


計画期間 3カ月以上1年以内

1.計画開始日は、最初に介護福祉機器を導入する月の初日

2.新規創業事業主の場合、計画期間の開始日は上記と同様。ただし、事業が開始された月の初日から3カ月以上の期間を設けること

3.導入・運用期間中にさらに介護福祉機器を導入する場合は、その導入する月の初日から3カ月以上の期間を設けること


支給額


 本助成金は、介護保険法関連、障害者総合支援法関連、児童福祉法関連、その他の法律等で介護事業を営む介護事業主を広く対象としています。また、離職率について目標達成助成を設け、介護労働従事者の離職を防止しようというものです。

 現場で、身体的負担に耐えかねて離職することを防止したい介護事業主にふさわしい助成金です。



7.コラム  ~自治体の外国人職員の複数職種を容認~

 政府は近く政省令を改正し、全国に5000人超いる外国籍自治体職員の在留資格について、複数の職種に就くことを包括的に認めうる仕組みを導入するとしています。

 従来、地方自治体に勤める外国人職員は、「技術・人文知識・国際業務」では通訳・翻訳や外国人観光客へのPRを、「技能」ではスポーツ活動指導を、さらに「教育」ではALT(Assistant language teacher)などの職を担っていました。この枠内では1人の職員が複数の職務にまたがる仕事をかけ持つことができず、スポーツ指導員が空いた時間で翻訳・通訳などに従事する際には「資格外活動許可」などをその都度申請する必要がありました。しかし、この手続きは煩雑であるため、今回の改正至ったとのことです。

 今回は地方自治体の職員に限定された話ですが、同じ状況は一般企業でも起こっています。特に一般企業に勤務する外国人の大半が所持する「技術・人文知識・国際業務」については、「翻訳・通訳」として申請したがその後の配置転換で営業に従事しているなど、その職務内容があいまいなまま放置されている例が多くみられます。そのため、2018年7月24日に政府が発表した「外国人の受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について」では、「外国人材に係る業種・職種・在留資格別などの就労状況を正確に把握する仕組みを構築する」としています。

 今後は外国人社員の職務内容等でより柔軟な対応がとられていくことが期待できますが、その反面、コンプライアンスはより厳格化していくことに間違いありません。労働力不足を抱える日本においてはあらゆる業種で外国人雇用が広がると予想されますが、外国人雇用をうまく活用できる企業と、そうではない企業の線引きがなされつつあるようです。