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メールマガジン2018年10月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2018年10月 Vol.117

1.人事・総務ニュース

改正省令・指針案等を公布 ~働き方改革関連法の施行に向け~


 労基法・安衛法等改正の主要部分は平成31年4月1日の施行(時間外の上限規制強化については、中小企業を対象に1年の経過措置)で、労基則・安衛則・36協定に関する指針に関しては以下の改正が公布されました。

【36協定関連】

 時間外・休日労働(36)協定で定める事項は法律の本則に明記されましたが、「その他必要な事項」を労基則で列挙する形を取ります。有効期間や特別条項発動時の手続き、健康確保措置の実施状況等の記載が必要になるほか、「過半数代表者を使用者の意向によって選出できない点」も労基則上に追記します。  協定に関する指針では、時間外等は必要最小限にとどめる・安全配慮義務に留意する等の基本的理念と併せ、協定発動の手続や健康確保措置について細かな解説を加えています。

【年休の時季指定の義務付け】

 改正法では年休付与日数が5日に満たない場合、使用者に時季指定を義務付けていますが、その際、改正法に基づく措置(39条7項)であることを明らかにし、労働者の意見を聴取しなければならない旨等を労基則に定めます(年休管理簿の作成も義務付け)。年休を前倒しで付与し、入社年と翌年で年休の基準日が異なる場合等に関する特例ルールも明らかにします。

【労働条件の明示】

 現行では労働条件の明示方法は書面の交付に限られていますが、①ファクシミリ、②電子メールによる方法も可能とします。パート労働法や派遣法等では既にペーパーレス化が認められていますが、労基法もそれに合わせる形です。

【労働時間の把握義務】

 改正法では管理職も含め、労働時間の把握義務を強化しますが、「タイムカードおよびパソコン等の記録など客観的な方法その他適切な方法」によるべきことを安衛則で定めます。



オリンピック開会式に向け試験運用 ~テレワーク・デイズ2年目の取組~


 総務省・厚労省等は、2020東京オリンピックが開催される7月24日を「コア日」として、テレワークの全国一斉実施を呼びかけています。2年目の今年はその前後期間(23日~27日)も合わせ実施期間とし、1380の企業・団体が参加しました。

 本社が新国立競技場等に近い大京グループでは部署ごとに2日以上、モバイルPCを使った社外勤務にチャレンジしました。キユーピーは、社員に在宅勤務など6つの選択肢から働き方を選ばせました。

 NTTデータは、VR(バーチャルリアリティー)技術を活用したウェブ会議を試行。レオパレス21では大災害を想定し、部署一斉の在宅勤務を実施しました。



2.失業給付を受けられない!! ~会社が雇保の加入手続き失念~


 退職届の提出を考える従業員は、当然のことながら「退職金がいくら、雇用保険がいくらだから…」とそろばんを弾きます。

 ところが、本事件の従業員は、まったく当てが外れてしまいました。会社が雇用保険の手続きを取っていなかったのです。

 「受け取れたはずの保険金」の保証という興味深い問題について、都道府県労働局のあっせんの場では、どのような判断が下されたのでしょうか。


従業員の言い分


 会社のずさんな事務処理のおかげで、本来なら180日分の失業給付(基本手当)を受けることができたはずなのに、90日分に減ってしまいました。そればかりでなく、教育訓練給付制度も利用できないことが判明しました。

 ハローワークにも相談しましたが、時効が経過した分は訴求処理できないという回答です。

 「受け取れたはずの給付額」との差額40万円および教育訓練給付の限度額30万円(紛争当時の上限)を合わせた70万円の弁済をもとめます。



事業主の言い分


 本人が入社した際、再三、関係書類の提出を促しましたが、放置されたままとなっていました。後で書類なしでも対応可能という話を聞き、その時点で遅まきながら加入手続きを済ませました。

 早めにハローワークに相談していればトラブルは回避できたわけで、「後悔先に立たず」です。その点では、当社担当者の対応にも至らない点があったと認識しています。



指導・助言の内容

 本人が書類の提出を怠っていたことも原因ですが、会社側の落ち度も小さくありません。和解金による解決という方向で両者の同意を得たうえで、以下の案を提示しました。

 ・基本手当に関しては、差額相当の40万円から本人の過失相殺分5万円を差し引いた額を支払う。

 ・教育訓練給付については、指定講座を受講した場合のみ補填される性格である点を踏まえ、補償の対象としない。



結果

 会社が従業員に対して35万円を支払うことで合意が成立し、その旨を記載した和解文書が作成されました。



3.経団連「2018年夏季賞与・一時金大手企業業種別妥結結果」

 今夏の賞与は過去最高レベルを記録したといいますが、経団連の最終結果で数字を確認しましょう。新聞等で発表された上場企業の決算結果をみても、大手企業は高い利益を上げているようです。

 そうした好条件を背景として、夏季賞与は前年比8.62%の伸びを示しました。非製造業で特に伸びが著しく(16.68%増)、絶対額でも製造業を上回っています。


 大手企業は好業績だけれど、下々の企業の中には「利益のご相伴にあずかっていない」ところもあるでしょう。しかし、連合の傘下企業の集計結果(2018春季生活闘争最終回答集計、夏季一時金)をみても、前年比7.3%増加しています。

 賞与交渉には、世間相場も大きく影響します。「人手不足の影響もあって、今年は無理をして支払ったけれど、来年の賞与交渉を思うと気が重い」という経営者の方も少なくないかもしれません。




4.休憩


 働き方改革関連法成立で労働時間に注目が集まるなか、これまで「お休み」に焦点をあて、年次有給休暇の付与や休日・休暇について解説してきました。今月は、労働時間中にあるお休み「休憩」について解説します。


1. 休憩の意義


 休憩は、労働者の心身の疲労を回復させ、より能率的な業務遂行ができるようにする役割があります。


2. 法律で定める休憩(労基法34条)

 休憩時間は、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間です。

(1)休憩の3原則 休憩は、その趣旨において、次のように与えることが原則です。
 ① 労働時間の途中に与える
 ② 一斉に与える
 ③ 自由に利用させる
 ※例外や適用されない場合もあります。

(2)休憩時間
・労働時間が6時間を超える場合は、少なくとも45分
・労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも1時間
 ※労基法41条該当者、列車・自動車の運転手などの一部等、例外があります。
 いずれも「超える」とありますので、例えば、6時間労働の場合は休憩無し、8時間労働の場合は45分を与えていれば足ります。


3. 3原則について


1.労働時間の途中に与える

2.一斉に与える
 労働時間の途中に一斉に与えること以外の規制がないため、分割したり、毎日異なる時間に与えたり、拘束時間を長くし長い休憩時間を設定することもできます。  ただ、分割が細切れの場合、手待時間(労働時間)とみなされる可能性もあります。

3.自由利用
 「休憩時間の利用について、事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない」(昭22.9.13基発17 号)とされています。例えば、「休憩時間中の外出について所属長の許可を受けさせることについては、事業場内において自由に休息し得る場合には必ずしも違法にはならない」(昭23.10.30基発1575号)とされています。


4.法定外の休憩


 法定の休憩時間(上記2.(2))の基準を超える休憩については、労基法の規定は適用されませんが、労働契約や就業規則等に定めがなく、法定の休憩と一体のものとして規定、運用されている場合は、同じ取扱いをすることが約定されていると考えられます。



5.実務に役立つQ&A 「年間平均」で調整可能に ~月変時の残業代高いとき~


 臨時の昇給等があった場合、「随時改定(月変)」の手続きが必要になります。その時期に「たまたま」残業等が集中すると、標準報酬月額が大幅にアップしてしまいます。救済策はないのでしょうか。


 基本給や手当等の「固定的賃金」に変動があった際には、その後3カ月の報酬をみて、標準報酬月額が2等級以上変動すれば、随時改定の対象になります(健保法43条)。住宅・通勤手当など固定賃金の変動のみで2等級の差がないときも、残業手当を含めて比較する必要があります。

 定時決定については、残業の影響で「適正に賃金実態を反映できない」ケースでは、年間平均値と比較して修正する特例が設けられています(平23・3・31保発0331第17号)。被保険者本人が同意していることも条件です。

 制度改正により、随時改定に対しても「年間平均に基づく修正ルール」を適用できるようになりました(平30・3・1保発0331第8号)。対象は、平成30年10月以降の随時改定です。



6.助成金情報  業務改善助成金 ~「事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)」の引上げ~

 今月は、平成30年度業務改善助成金をご紹介します。中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援することで、「事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)」の引上げを図るための助成金です。

 本助成金は、賃金の引上げを行うことを目指し生産性向上、労働能率の増進に資する設備投資等を行う中小企業事業者に対し、その設備投資等に要した費用の一部を助成し、賃金引上げに際しての負担を軽減することにより、最低賃金の引上げに向けた環境整備を図ることを目的としています。最低賃金引上げにより大きな影響を受ける中小企業の事業主を支援するものです。


支給対象者

事業場内最低賃金が、1000円未満の中小企業・小規模事業者


支給対象者

 事業場内最低賃金の引上げ額(30円以上または40円以上)、引き上げる労働者数や助成対象事業場の最低賃金額等によって助成率や助成額の上限額が決められています。


支給額


助成事例(厚生労働省ホームページから)



7.コラム  ~日本の難民支援について~

 アメリカのトランプ政権による強行的な難民政策が話題となることが多くなりましたが、最近では日本でも難民に関する話題が多くなっている気がします。日本の場合は「偽造難民」と言われる就労目的で難民申請を行う外国人やその認定率の低さに話題が集中しています。

 ちなみに、平成29年の難民申請者数は19,628人、そのうち難民と認定された人は19人、難民とは認めないが人道的な配慮を理由に滞在が許可された人が45名となっています。後者を含めても難民認定率は0.3%となっており、当然、欧米諸国と比べてもとても低い数値となっています。

 このような状況の中、「ジャパンタイムス」にシリア難民のシェフが南青山にシリア料理レストランを開いたという記事が出ていました。テック・メス・ライフ㈱の代表取締役 森川氏との出会いがきっかけとなり、クラウドファンディングで開業資金を集め開業に至ったとのことです。また、今後は料理教室などによる文化交流を通じてシリアの現状の情報発信も行っていくそうです。難民支援というとNPOなどの活躍がすぐに思い浮かびますが、民間企業でも様々な形で支援が可能だということに気づかされました。

 アジアの先進国である日本として、難民申請は今後も増加する傾向にあり、各国からの受入れに対する要請も徐々に強くなると思われます。もちろん、不正者の排除などは徹底して行わなければなりませんが、もう少し寛容な気持ちで真摯に難民に接していく必要があるのはないかと思います。外国人に一番近い立ち位置にいるACROSEEDとしても、ビジネスを通して何らかの協力をしていかなければと考えています。