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メールマガジン2018年12月

メールマガジン メールマガジン「人事・総務レポート」
2018年12月 Vol.119

1.人事・総務ニュース

外国人在留に新資格 ~2段階で就労期限設定~


 政府は、外国人材の受入れ拡大に向けた在留資格改正案を臨時国会に提出しました。人材不足分野で一定の技能を有する外国人を対象とする「特定技能1号」と「特定技能2号」を創設します。

 1号は、「相当程度の知識・経験を有する」ことが条件で、所管官庁が定める試験で技能水準や日本語能力(生活に支障がないレベル)を確認します。外国人技能実習制度の「技能実習2号」修了者は試験を免除するのがミソです。

 在留期間は通算5年が上限で、家族帯同は基本的に認められません。

 2号は「熟練技能」が要件で、1号資格者が試験に合格すれば移行できます。在留期間の上限はなく、家族の呼び寄せも認める方針です。



育休から復帰後の雇止め無効 ~正社員復帰は認めず 東京地裁~


 語学学校で、育休後いったん有期契約となった女性労働者が雇止めとなった事案で、東京地方裁判所は処分無効と判断しました。学校に対して、不誠実な交渉を理由に110万円の支払いを命じています。

 トラブルは、保育園が決まらなかったことが発端です。労使双方の話し合いにより、週3日勤務で期間を1年とする契約社員として復帰が決まり、契約書には「子の就学後等に希望する場合は正社員への再変更が可能」と記されていました。

 ところが転換後すぐに、保育園が決まり、女性労働者が正社員復帰を求めたため、話が紛糾します。学校側は、要求の変化に「信頼関係が築けない」と反発、1年後に雇止めを強行しました。地裁は、「フル勤務で復職すれば、欠勤を繰り返し解雇となる可能性が高かった」等を考慮し、正社員復帰させなかった点については育介法違反に当たらないと判示しています。



賃金構造統計等を基準に ~派遣の均衡待遇で比較方法案~


 厚生労働省は、派遣労働者の不合理な賃金格差を解消するための労使協定方式案を明らかにしました。

 働き方改革関連法のうち、改正派遣法では、派遣労働者と派遣先直用労働者の均衡・均等待遇に関する新たな仕組みを整備しています。派遣元は、次のいずれかの方式を選択します。

 ① 派遣先の通常の労働者との比較による待遇改善
 ② 労使協定に基づく一定水準を満たす待遇決定による改善

 ②の一定水準は「厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金」であることが求められます。比較対象となる一般労働者の賃金水準は、国の統計である賃金構造基本統計調査と職業安定業務統計を参考とします。職種・経験年数別賃金などの一覧表や地域指数などを作成したうえで、対応する個々の派遣労働者と比較し、同等以上かを確認します。

 退職金についても、勤続年数に応じた支給月数の相場を示す方針です(給与への上乗せ等によることも可能です)。



2.派遣先のクレームで首を切られた ~金銭補償の額が焦点に~


 卸売会社で働いていたAさんは、取引先の百貨店へ、販売員として派遣されていました。ところが、百貨店側から会社に対して、「Aさんが同僚をいじめている。他の従業員との人間関係もうまくいっていない」という連絡が入りました。

 会社は大口取引先のクレームにびっくり仰天。Aさんの派遣を取りやめると同時に、1カ月後の解雇を通告しました。身に覚えのない本人は、到底承服できません。

 解雇の撤回を求めて会社と交渉しましたが、らちが明かないために、都道府県労働局のあっせんに委ねることにしました。


従業員の言い分


 百貨店に派遣される以前、社内で働いている間、勤務態度・販売成績ともに高評価を得ていました。会社も、私がいじめをするような人間でないことは、分かっているはずです。百貨店側の一方的ないい分に基づいて、処分するのはあんまりではないでしょうか。

 解雇を撤回してもらい、別店舗で働きたいと希望しています。それがムリならば、退職金とは別に6カ月分の賃金支払いを求めます。



事業主の言い分


 取引先の強硬な態度をみて、事情調査等に時間を費やしている場合ではないと判断し、早々に本人を派遣先から引き揚げさせました。

 別店舗への異動や内勤も検討しましたが、採算性から新たな枠を確保するのは難しいのが実情です。会社としては、補償金の支払いという方向で本人に納得してもらいたいと考えています。



指導・助言の内容

 解雇の撤回については、双方の主張に隔たりが大きいため、金銭解決を中心としてあっせんを進めました。

 本人は「6カ月分の支払いが難しいなら、基本給でなく職務給も含めてほしい」と主張します。会社側は 「当初、基本給4カ月分の支払いを想定していたけれど、5カ月に上乗せする」というので、会社側の譲歩案を軸に調整を図りました。



結果

 会社がAさんに対し、補償金として基本給の5カ月分(125万円)を支払うことで、双方ともあっせん案を受諾しました。



3.厚生労働省「平成28年社会保障を支える世代に関する意識調査」

 子供を育てる理想的環境というと、現在も「片親が主に子育てを行う」という回答が39.3%でトップです。しかし、最近は「共働きで、一方が在宅で仕事しながら子育て」という回答も11.1%と増えてきているのが注目です。


 子供が小さい間のワーク・スタイルですが、「イクメン」が増えているとはいうものの、大多数の男性は常勤を選択するしかないというのが現実です。女性は1歳までは育児休業をフル活用し、「子供が小学校に上がるまで」は短時間勤務というのが主流派です。常勤希望が産前レベルに回復するのは、「子供が中学に上がって以降」になってからです。




4.身近な労働法の解説 ~平均賃金②~


 今回は、労基法の平均賃金の計算方法を解説します。


1.原則の計算方法(12条1項)



 ※銭単位で算出し、銭未満の端数は切り捨てることができます(昭和22.11.5基発第232号)


2.「算定事由発生日以前3カ月間に支払われた賃金総額」とは(分子の部分)

(1)算定事由発生日とは(労基法関係の場合の起算日)


(2)以前3カ月間とは

「以前」とありますが、算定事由の発生した日は含まず、その前日から遡って暦日の3カ月です。 賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から遡って3カ月です。例えば、賃金締切日に事由発生の場合は、その前の締切日から3カ月となります(12条2項)。

次の期間は、その「日数」およびその期間中の「賃金額」は算定期間および賃金総額から控除します (12条3項)。
 ①業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間
 ②産前産後の休業した期間
 ③使用者の責任によって休業した期間
 ④育児・介護休業期間
 ⑤試みの使用期間(試用期間)

(3)賃金総額とは

算定期間中に支払われる、11条に規定する全ての賃金です。 通勤手当(6カ月通勤定期も含む)、年次有給休暇中の賃金、割増賃金なども、同法に規定する賃金であればすべて含まれます。

 一方で、賃金総額から除外されるものは次のとおりです(12条4項)。  ①臨時に支払われた賃金  ②3カ月を超える期間ごとに支払われる賃金


3.「算定事由発生日以前3カ月間の総日数」とは(分母の部分)


上記(2)の期間の総暦日数です。



5.実務に役立つQ&A 自宅に戻り通災か ~会議用資料忘れて帰宅~


 従業員が、会議用に作成した資料を自宅に置き忘れ、出勤してきました。上司に一喝され、自宅に戻りましたが、慌てていたため、路上で自転車と接触しそうになったといいます。ケガをした場合、通勤災害の申請ができるのでしょうか。


 通勤の定義は労災法7条にありますが、その基本パターンは「住居と就業の場所との間の往復」です。ちなみに、「通勤は1日について1回しか認められないものではないので、昼休み等に帰宅する場合も、その往復行為は就業行為との関連性を認められる」と解されています。 (平18・3・31基発0331042号)。

 お尋ねのケースも自宅にいったん戻る形になりますが、個人の都合で帰宅したわけではありません。上司の命令により、業務と関連のある書類を取りに行ったのですから、業務上の行為とみなされます。例えば、顧客の会社等に書類を置き忘れたのと同様です。

 業務上災害に該当しますが、交通災害ですから、通常の労災給付請求に合わせ、第三者行為災害届等も提出することになります。  



6.助成金情報  両立支援等助成金(再雇用者評価処遇コース)

 妊娠、出産、育児または介護を理由として退職した者が、就業が可能になったときに復職でき、適切に評価され、配置・処遇される再雇用制度を導入し、かつ、希望する者を採用した事業主に支給します。


支給額

 妊娠、出産、育児または介護を理由とした退職者に ついて、退職前の勤務実績等を評価し、処遇の決定に 反映させることを明記した再雇用制度を導入すること。

 上記制度に基づき、離職後1年以上経過している対 象者を再雇用し、無期雇用者として6カ月以上継続雇 用すること。


対象となる事業主

 次の事項の他一定の事項を規定する再雇用制度を新たに労働協約または就業規則に規定すること。

 1.当該制度の対象となる退職理由として、妊娠、出産、育児および介護のいずれも明記している。

 (規定例)第〇条 資格要件
 次のいずれかの理由により退職した者であること。
 1.入社後1年以上在職したこと。
 2.次のいずれかの理由により退職した者であること。
  (1)妊娠、出産
  (2)育児
  (3)介護
  (4)その他会社が認めた理由
 3.退職時または退職後に、再雇用を希望する旨を申 し出た者

 2.退職者が、その退職の際または退職後に、「退職理由」と「就業が可能となったときに退職した事業主や関連事業主の事業所に再び雇用されることを希望する旨の申出」を登録し、事業主が記録するものである。

 (規定例)第〇条 手続
 1.退職時または退職後に、退職理由および再雇用を希望する旨を書面により人事担当部署に申し出ること。
 2.会社は申出者のうち第〇条の資格要件を満たす者を「再雇用希望者登録名簿」に記録し、登録証を交付する。
 3.登録証を交付された者は、就労が可能となった場合、人事担当部署に採用希望時期を申し出ること。


 3.制度の対象となる年齢について、定年を下回る制  限を設けていない。

 4.その他、退職前の勤務実績等を評価し、処遇の決 定に反映させることを明記していること等の一定  の事項を明記していることが必要。


対象労働者

次の要件に該当する労働者

1.申請事業主または関連事業主の事業所を妊娠、出 産、育児または介護のいずれかを理由として退職し た者であり、再雇用制度により採用された。

2.退職時または退職後に、退職理由と再雇用の希望 を申し出ていたことが書面で確認できる。

3.その他、継続雇用期間や退職日から再雇用に係る 採用日において、1年以上経過しているなどの要件 を満たすこと。