1. 東京都千代田区・社会保険労務士法人ACROSEED
  2. 人事労務Q&A

人事労務Q&A

人事労務Q&A

1.就業規則に関するQ&A

 パートタイマーを適用除外とした正社員用の就業規則はありますが、パートタイマー用の就業規則は作成していません。正社員用の就業規則がパートタイマーへも適用されますか?

 一概に正社員用の就業規則がパートタイマーへ適用されるとはいえませんが、契約締結時の労働条件の明示方法によっては、適用される可能性がないとはいえません。パートタイマーの採用時、賞与や退職金の支給がないなど労働条件が正社員と異なることを明示し、またパートタイマーもこれを承諾していれば賞与や退職金の支払い義務が生じる可能性は低いと考えられますが、いずれにしましても、労働基準法第89条の就業規則の作成義務違反とはなります。

 就業規則には「始業時刻午前9時」と規定されており、「始業時刻には直ちに業務を開始できるようにしなければならない」と定められています。しかし、9時までには出勤しているものの、9時からコーヒーを入れたり所用を済ませたりし、実際に業務を開始するのは9時をとうに過ぎています。規定どおりに9時から業務を開始するようにするには、就業規則を作成し直す必要がありますか?

 就業規則を変更する必要はありません。ただし、9時に出勤していれば遅刻扱いなどせず、また注意を喚起するなどしていない場合、長期間反復・継続して行われてきたとして労使慣行としてある一定の効力を有していると考えられます。しかし、始業時刻には直ちに業務を開始するよう、社内規律を是正することは社会通念上に照らしても妥当といえる範囲と考えられますので、就業規則の「始業時刻には直ちに業務を開始できるようにしなければならない」という定めをあらためて周知し、1ヶ月程度の一定期間の予告期間を設けて労使慣行を是正するとよいと考えます。


 欠勤控除の方法が就業規則では、「1ヶ月平均所定労働日数で除す」となっておりますが、実際にはその月の労働日数で日割計算しています。これらの計算方法はどのように違うのでしょうか?

 従業員が自己都合で欠勤した場合、欠勤控除の計算方法については法律上の規定はありません。そのため、合理的であり社会通念上妥当性があれば問題はありません。通常、就業規則等に計算方法が記載されていればその記載方法によります。「1ヶ月平均所定労働日数」は、割増賃金の残業代計算として労働基準法施行規則第19条に定められています。しかし、実際にはその月によって労働日数が異なるのが通常ですので、「その月の労働日数で除す」計算方法を用いる企業も多いです。この度のケースは、就業規則の規定と実際の計算方法が異なっておりますので、これらを統一する必要があります。


 当社の従業員が精神的疾患により欠勤しています。どのように対応すればいいでしょうか?

 うつ病に代表される精神疾患全般をメンタルヘルス不全といいますが、多くの企業ではそうした理由による欠勤に対して休職制度を設けています。休職制度は、従業員がメンタルヘルス不全を原因として労務を提供できない、または完全な労務を提供できない場合に、会社がその従業員と労働契約の関係を継続しながら労働義務を免除する、または労務提供を禁止することをいいます。休職制度は一定期間、解雇を猶予する機能があり、従業員を退職から保護する制度といえます。まずは会社の就業規則を確認し、規定を参考に対応する必要があります。


 労働局の育児休業の規定のサンプルを見ましたが、内容がよくわかりません。就業規則に記載しなければいけませんか?

 労働基準法第89条により、「休暇」に関しては、必ず記載しなければならない事項となっております(絶対的記載事項)。育児休業も「休暇」に含まれると解されているため、記載する必要があります。しかし、育児介護休業法に具体的に規定されていますので、「育児休業等の対象社員、手続き等の必要な事項については、育児・介護休業法等に定めるところによる。」というように育児・介護休業法に委任する旨の規定があれば、記載義務は満たされていると考えます。

2.労働保険・社会保険関係手続Q&A

 業務上や通勤途上の交通事故が第三者の原因で起きた場合、労災保険と自賠責保険のどちらで補償してもらえるのでしょうか?

  業務上や通勤途上の労災事故が第三者の原因で起きた災害を、「第三者行為災害」といいます。災害を発生させた第三者に対し民事上の損害賠償請求ができ、また、同時に業務上または通勤災害として、労災保険にも請求する権利が生じます。本件のように第三者行為災害が自動車事故の場合、民事上の損害賠償は、自賠責保険から一定の額まで損害賠償を受けることができます。

 どちらも同時に請求することもできますが、同一事由による損害は、二重に補償されません。一般的には労災保険からの支給よりも、自賠責保険からの支給が先に行われます。また、自賠責保険の方が慰謝料などの給付の幅が広く、労災保険より有利と言われております。


 事業主が雇用保険の加入手続きをしていなかった場合は、遡及して加入することが可能でしょうか?

  雇用保険を遡及して加入することは可能です。以前は2年内の期間に限り、加入手続できましたが、現在は給与明細や源泉徴収票にて雇用保険料が給与から天引きされていたことが明らかであれば2年を超えて遡及して加入できるようになりました。 また、雇用保険加入要件を満たしている従業員に事業主が加入手続を行っていなかった場合の遡及できる期間は、これまでどおり2年となります。

 なお、雇用保険を遡及加入した場合の保険料に関しては、ハローワークが直接従業員に保険料を請求することはせず、保険料納付義務者である事業主がいったん納付します(事業主は従業員負担分を別途請求することになります)。



 65歳以降に離職するとハローワークで受ける失業給付の金額が少なくなると聞いたのですが、どうしてでしょうか?

  65歳に達した日の前日(誕生日の前々日)から引き続いて65歳に達した日(誕生日の前日)以後も同一の事業主に雇用されている場合、被保険者の種類が一般被保険者から高年齢継続被保険者へと変更されます。

 高年齢継続被保険者が離職した場合、一般被保険者の求職者給付(ご質問の「失業給付」)ではなく高年齢求職者給付金という一時金が支給されます。金額は基本手当日額(受給できる1日当たりの金額)の30日分(被保険者期間が1年未満)または50日分(被保険者期間が1年以上)を1回限りの支給となりますので、一般被保険者の休職者給付(被保険者期間が10年未満の場合は90日分)の金額よりは低額になります。



 私傷病で仕事ができずに、健康保険から傷病手当金を支給されています。この期間の健康保険料と厚生年金保険料は支払うのでしょうか?

  健康保険と厚生年金保険の保険料は、事業主と従業員が各々同額を折半負担しています。これは、傷病手当金を受給している間も同様です。

 なお、傷病手当金を受給している期間は給与が支払われないことが一般的ですが、保険料の金額は、原則として変更されないため傷病手当金の金額も変更されません。



 海外出張の際に現地の医療機関で受診した場合、医療費はどうなりますか?

  海外出張中などでやむを得ず現地の医療機関で診療を受けた場合、医療費をいったん窓口で負担し、後日、全国健康保険協会(通称「けんぽ協会」)へ申請することにより医療費の一部の払い戻しを受けることができます。これを、“療養費”といいます。支給金額には、通常、窓口での自己負担は3割ですので、7割が療養費として支給されます。

 ただし、実際に現地で払った額の7割ではなく、受けた治療を国内の保険診療費に置き換えた金額(実際に海外で支払った額の方が低い時はその額)となります。すなわち、海外で要した医療費が日本国内の保険診療費よりも割高の場合、自己負担の3割を差し引いた額よりも、実際に支給される療養費が大幅に少なくなることがあります。なお、療養費の申請は、海外で医療費の支払いをした日の翌日から2年を経過すると時効により申請できません。


3. 雇用契約書の作成でよくあるQ&A

 採用したときに勤務時間と給与額を口頭で説明しただけで、雇用契約書などを渡していません。今からでも作成した方がよいでしょうか?

 雇用契約は契約書などの書面がない場合であっても、口頭で成立しています。しかし、勤務時間、給与の額、休日など労働条件は非常に多岐にわたります。後でお互いが「言った」「言わない」とならないためにも、今から雇用契約書などの書面を作成したほうがよいでしょう。

 従業員と個別に締結した雇用契約の内容と、就業規則の内容が違っている場合はどうなるのでしょうか?

 就業規則は企業における最低労働条件を規定するのが一般的であり、その内容が契約内容となります。就業規則の規定内容が個別に締結していた労働条件と異なる場合は、個別に合意している雇用契約の内容が優先されます。ただし、個別に合意している雇用契約の内容が就業規則で定める内容に達していない場合、つまり就業規則に規定している労働条件を下回る場合は、その個別の合意は無効となり就業規則が優先されます。


 試用期間を定めているため、正式に採用を決定してから雇用契約書を交付すればいいでしょうか?

 試用期間も労働契約であるため、雇入れの際に労働条件を明示する必要があります。試用期間については、書面により明示が義務付けられている“労働契約の期間に関する事項”といえますので、労働条件通知書や雇用契約書を交付しなければなりません。なお、試用期間中の給与額を正式採用後の給与額より低く設定する場合は、試用期間中および正式採用後の給与額を区分し、書面により交付する義務があります。


 当社には正社員とパート社員がいます。雇用契約書にはどのような違いがありますか?

 パートやアルバイトなどの短時間勤務の社員は、雇入れ後に労働条件について疑問が生じトラブルとなることが少なくないことから、平成20年にパートタイマー労働法が改正されています。そのため、特にトラブルとなりやすい「昇給」「退職手当」および「賞与」の有無については書面の交付により明示することが義務付けられています。なお、パート等の短時間勤務の社員との契約が、期間を定めた労働契約(有期労働契約)の場合は、「契約更新の有無の明示」および「更新する場合があると明示した場合にはその判断基準の明示(業務量、勤務成績・態度、労働者の能力等)」をしなければなりません。

4.給与計算に関するQ&A

 当社の従業員は年俸制で残業代を含んでいます。そのため特に勤務時間の管理はしていませんが問題はありませんか?

 未払い残業代が発生している可能性があります。年俸制としていてもそれは給与額の決定方法の1つであり、年俸制であるからといって残業代を含んでいるとは限りません。就業規則や雇用契約書などにより、通常の給与部分と残業代部分とを明確に区分しなければなりません。含んでいる残業代が何時間の残業なのか、さらにはその含んでいる残業時間をこえる残業が生じた場合は、超えた部分の残業代の支払いが必要です。すなわち、残業代を含んで年俸制を採用している場合であっても、従業員の勤務時間の管理は必要です。

 当社では、入社した従業員の健康保険料や厚生年金保険料を、翌月支給分の給与から控除を始めています。どうして翌月から徴収するのでしょうか?

 法律により、定められているためです。健康保険法および厚生年金保険法には、従業員負担分の保険料は、「前月に係る保険料を控除できる」と規定しています。一部の企業では、当月に係る保険料を控除している場合もありますが、年金事務所でも前月分保険料の控除を徹底しているようではないようです。なお、その月の最終日に退職した場合は、前月と当月に係る保険料を控除できるとしています。


 賞与の支給金額の計算をする場合、雇用保険料を控除していますが、離職票の賃金額の欄には記入していません。賞与の雇用保険料は掛捨てでしょうか?

 実際、賞与から控除される雇用保険料は、掛捨てとなっています。これは、「雇用保険の失業等給付の財源をどのような方法で徴収するか」という観点で雇用保険料の徴収方法が決定されているためです。そのため、必ずしも雇用保険料を失業等給付と連動させる必要がないとされているためです。
 その他の理由として、雇用保険料は「労働保険料徴収法」で徴収方法が規定されており、雇用保険の失業等給付に関しては「雇用保険法」に規定されています。それぞれの法律が異なることも掛捨ての原因の1つと考えます。


 従業員が長期で海外出向する際、年末調整をすると聞きましたがどうしてですか?

 年の途中、1年以上の予定で海外の支社などへ出向することが決まった従業員は、所得税法でいう非居住者となります。非居住者が海外で得た給与は、原則として日本の所得税は課税されません。そのため、非居住者となるときまでに控除された所得税を精算する必要があるため、12月の給与にかかわらず、年末調整を行います。なお、年の途中で年末調整を行うことになっても、年末調整の方法は12月と同様であり、配偶者控除なども受けられます。


 従業員から給与 の振込を 自分の 母親名義の口座に振り込んでほしいと依頼がありましたが、 問題ありませんか?

 労働の対価である給与給料の支払いについては、給与が安全にかつ確実に従業員に支払われるようにするため、労働基準法により従業員本人へ直接支払わなければならないことが規定されています。委任、代理等による受領も認められていません(病気欠勤などの限定的な理由がある場合のみ、家族などへ支払うことが認められています)。原則本人以外に支払うことはできません。労働基準法により給与支払の5原則(①通貨払い②直接払い③全額払い④毎月1回以上払い⑤一定期日払い)が定められており、ご質問の件は②の直接払いの原則に反する事になるからです。法規制の本来の趣旨は、仲介人や親権者等による賃金の中間搾取の弊害をなくすための規定です。ご質問のケースはこの趣旨とは異なるため、重大な法違反とされる可能性は低いと思いますが、労働基準法違反には変わりありません。従業員ご本人の口座名義を開設してもらう方がよいと考えます。なお、給与を口座振込みで行う場合、必ず従業員個々の同意が必要となります。

5.人事給与制度に関するQ&A

 給与を決定するルール(人事給与制度)制度を構築するうえで、どのような制度がいいのか全く分かりません。

 給与を決定するルールである人事給与制度を構築するうえで、最低賃金を除き、特に法律で規制されていません。自由に制度設計できることを意味します。人事給与制度を構築するうえで重要なのは、優秀な人材を確保することができ、かつ従業員のモチベーションを保つために、従業員の“納得性”を得られる制度にすることです。

 当社は中小企業ですので、採用は即戦力として中途採用がほとんどです。また、給与額の決定方法が特に決まっていないため、従業員のあいだに給与のばらつきがあります。今後どのようにすればよいでしょうか?

 中途採用者の給与は、採用者の前職の給与額や既存の従業員の給与を比較し、その均衡を考えなければならないため頭を悩ませます。また、採用時期の違いや景気状況などにより、給与額などの採用条件が異なることもしばしば生じてしまいます。そのため人事給与制度を整備し、給与額を合理的に決定します。導入する際は、複雑な人事給与制度を設計する必要はありません。重要なのは、従業員との間に“納得性”を得られるようにすることです。


 職能資格制度の能力主義を見直し、成果や業績による成果主義への転換を考えています。しかし、日本の雇用社会に成果主義は馴染まないともいわれていますが…。

 日本の能力主義は、企業内の労働市場の機能性、すなわちフレキシブルな人事異動を可能なものとし、日本の経済成長にとってたいへん大きな役割を果たしてきたといわれています。少なくとも日本の中小企業にとって、今後も労働市場の機能性はその必要性がなくなることはないのではないでしょうか。しかし、経済のグローバル化や高齢化などの新たな環境の中で、成果主義的要素も導入していかざるを得ない状況も事実だと思います。一方、成果主義といわれている欧米では、単に仕事基準だけではなく、日本のような人間基準の職能給を取り入れる傾向があるようです。日本は欧米寄りに、欧米は日本寄りに進んでいくなかで、これまでの日本型給与モデルを廃棄するのではなく、その長所を活かしながら欧米モデルの良さも取り入れていく姿勢が必要なのではないでしょうか。

6.人事評価制度に関するQ&A

 なぜ人事評価制度が必要なのですか?

 人事評価制度の代表的な目的として、給与や賞与、昇進・昇格などの人事処遇の決定を行うことがあります。こうした制度が存在しない場合、人事処遇の決定方法が曖昧になったり、恣意的になったりしてしまい、人事処遇に対する従業員の納得が得られづらくなってしまいます。また、どのような職種、専門分野、技能水準、雇用形態の人的資源がいるのかの人材ポートフォリオを描くことが困難となることから、育成指導の方針が不明瞭となり、有効な人材育成に資することができなくなってしまいます。

 人事評価制度の導入を考えていますが、職場の雰囲気が悪くなったり逆にモチベーションを低くなったりしてしまわないか不安です。

 人事評価制度の導入を検討する場合、まずは継続可能な人事評価制度とするために、企業理念により企業が向かうべき方向性、あるべき企業像を従業員に明確にし、統一的な価値判断を全従業員と共有することから始めます。そして、複雑な人事評価制度は現場の混乱を招くおそれがありますので、考課者である管理職の負担にならず、かつ被考課者となる従業員の理解を得るためにも、シンプルな制度から始められることをお奨めします。ちなみに、厚生労働省の「就労条件総合調査(2010年)」では、人事評価制度の問題点として「職場の雰囲気が悪化する」とした企業の割合は5.4%、「評価によって勤労意欲の低下を招く」とした企業割合は20.9%となっています。


 人事評価制度を導入しましたが、従業員が評価結果に納得してくれません。

 評価結果に対する不平や不満の根底には、評価者と被評価者との信頼関係が揺らいでいる事態が生じていることを表しています。どういったところに納得がいかないのか、まずは従業員の話しを聞くことから始めます。評価者が評価ルールを遵守していないことによる不満なのか、同じ目標・目的のために協力するチームとしての“協働”に混乱や不和が生じていないか、また、成果を追い求めるあまりプロセスが評価されていないか、といった視点で、再度導入した人事評価制度を見つめ直す必要があります。そして、被評価者の主張に耳を傾け、まずは同意し、それから評価結果を説明して理解を求めていきます。


 従業員が管理者の指示をあまり聞かず、部長などの上位職へ指示を仰ぐ傾向があります。

 評価者の管理者が被評価者に対していくら高い評価をしていても、上位職などの第2次評価などで評価結果が変更されてしまっては、第1次評価者である直属の上司は、権威を保てなくなってしまいます。「わたしはあなたにAの評価をしたんだけどね…」などと言われてしまえば、被評価者は「この上司に認められてもダメだ。上位職の部長から高い評価を得られるようにならなくては」という事態になってしまいます。第2次評価者となる上位職は、第1次評価者の評価を変更するのではなく、評価点の分布割合や部門間の平均点などを用いて調整を行うべきです。


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