

試用期間はどれくらいの長さまで設けられることが可能ですか?
会社にとって本採用を決める前の試用期間は、その社員の能力や適正を判断するための重要な期間です。しかし従業員にしてみれば、待遇・賃金等の面で大変不安な期間でもあります。
この試用期間の長さについては法の規制はありませんので、会社が自由に決めることができますが、一般的な試用期間は1〜6ヶ月程度です。あまりにも長い試用期間は判例により公序良俗に反すると判断しています。
社員が過労死してしまいました
過労死と認められる条件ですが、次の三要件が挙げられます。
@発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事(以下「異常な出来事」という。)に遭遇したこと。
A発症に近接した時期において、特に過重な業務(以下「短期間の過重業務」という。)に就労したこと。
B発症前の長期にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務(以下「長期間の過重業務」という。)に就労したこと。
過労死と認定されると、業務災害となり会社の責任問題が発生します。つまりふだんから従業員の健康に対して措置を講じていたか、ということです。会社が何の措置も講じていなかったのであれば、遺族からの損害賠償請求を拒むことはできなくなります。
なお、従業員が自殺した場合は以下の要件について会社責任が問われます。
@自殺について、労働以外の要因があるか
A会社が従業員の異常に気がついていたか
B会社が従業員の異常について、措置を行っていたか
C自殺に至るまでの労働が加重であったか
会社は安全配慮義務を負っており、従業員の心身について危険から保護しなくてはなりません。
会社で費用を援助して資格を取得させたものに対して、資格取得後●年以内に退職した場合は、費用の全額返済をさせる取り決めをしたいが大丈夫でしょうか?
労働基準法第16条により、損害賠償額の予定をする契約を締結することを禁じていますが、このケースの場合は一概には判断することができません。
まず、会社が一旦費用を負担し、労働契約でその後の一定期間の勤務を義務付け、途中で退職する労働者に対して費用を返還させる旨を定めることは、上記の損害賠償額の予定に該当し、労基法第16条に違反します。
しかし、労働契約とは別個に、一定期間の勤務やその状況により費用の返済を免除するという特約つきの金銭消費貸借契約を締結して会社が費用を立て替える場合には、原則として労働者は金銭消費貸借契約に基づき、立て替えてもらった費用についての返済義務を負っており、一定の条件を充足すればこの義務を免除されるというものなので、法第16条に違反しないと考えられます。
ただしこの場合でも、@費用の計算が合理的であること、A費用の返済によりいつでも退職できること、B労働契約が雇用関係の継続を不当に強要する恐れのないこと、などを併せて満たすことが必要になります。
また、業務と区別されることも必要とされます。つまり、資格の取得が業務の遂行に不可欠なものであり、その資格の取得を義務付けているような場合は、資格取得が業務と密接に関連していることになり、たとえ金銭消費貸借契約を結んでいたとしても、事実上3年間の勤務を強制していると認められる場合もありますので、充分注意が必要です。
社員が、ネット上で社内の悪口を書いているようですがやめさせられますか?
本人を特定できるか、という点が大きなハードルになります。
本人が特定できたら就業規則にのっとって制裁を発動します。インターネットによる問題行動は日に日に増加しておりますので就業規則の服務規律、制裁規定に細かく明文化しておくことが重要です。
無断欠勤社員を解雇したいのですが・・・
無断欠勤の従業員に連絡が取れない場合、会社が従業員本人に対して解雇の意思表示が出来ず、解雇は出来ません。しかし会社としては業務に支障が出る、従業員の補充する判断が下せない、保険料を払い続けなくてはならないと、様々な問題が生じます。
このような問題が生じないよう、事前に就業規則の規定に 「連絡の取れない無断欠勤が一定期間(特定しておきます)続いた場合、その従業員は退職の意思表示をしたものとして扱う」とする文言を定めておきます。
社員が、競合会社に転職するのをやめさせたいのですがどうすればよいでしょうか?
競業避止義務に関する誓約書をとりましょう。
これは労働者の職業選択の自由と対立する規定になりますので、特約として期間や範囲について限定的に取り決めをしておかないと有効になりません。退職時にもらうのがベストですが退職時はなかなかとれないので最低でも入社時にはとっておくようにしましょう。
年俸制なので残業代は含めて支給していると考えてよいですか?
年俸に残業代を含める場合には、年俸のうち、いくらの部分が「何時間分の残業代に相当するのか」ということを明確にしておかなくては法的には有効とみなされません。
会社と労働者間でそうした認識の相違が後々の問題を引き起こします。年俸制に残業代を含める場合にはそのあたりを明確にしましょう。
外国人留学生をアルバイトとして雇いたいのですが、注意事項を教えてください
まず、原則として、外国人留学生をアルバイトとして採用することはできません。なぜなら、留学生の在留資格は、日本で教育を受けるために与えられるもので、日本で就労することは、本来の目的からはずれるからです。しかし、地方入国管理局に申請し、法務大臣からの資格外活動の許可を受けた外国人留学生は、日本での学業に差し支えのない範囲内で、アルバイトなどの「報酬を受ける活動」をすることができます。ただし、その場合でも、無制限に就労させることはできません。原則として、1日の就労時間は、4時間以内です。もし、1日4時間以上就労させたい場合には、さらに、許可を受けることが必要になります。
資格外活動の許可を受けた外国人留学生には、資格外活動許可書が渡されていますので、採用時に資格外活動の許可を受けていることを確認したうえで、雇い入れるようにしてください。もし、それを確かめずに、就労資格のない外国人留学生を雇い入れ、就労させると、会社にも罰則(3年以下の懲役または200万円以下の罰金)が課せられることがあります。
また、外国人留学生がアルバイトとして就労する場合にも、労災保険が適用されますので、外国人留学生をアルバイトとして雇い入れた場合には、日本人のアルバイトと同じく、支払った賃金にかかる労働保険料を申告・納付しなければなりません。ただし、労働保険のうちの雇用保険は、日本人の学生アルバイトと同様に、外国人留学生にも適用されませんので、労働保険料のうち、労災保険にかかる保険料のみを申告・納付します。外国人留学生は、在留期限が限られていますので、雇用保険に保険料を支払ったとしても、掛捨てになる可能性が大きいからです。
なお、健康保険や厚生年金保険については、日本人の学生アルバイトと同じ要件が適用されます。したがって、アルバイトの外国人留学生等が昼間学生の場合には、社会保険の被保険者にはならないことになります。